白いレースの布と 休日の昼下がり、家にいると同じく一緒に暮らしている慈々がみとらの名前を呼ぶ。なんだろうか、とみとらは慈々の所へとやってきた。そこにいくと、慈々がなにやら布のようなものを手にして、こちらを手招きする。みとらは近寄り、しゃがむ。しゃがまないと、身長差のせいで慈々の声が聞こえないのだ。
「慈々?」
「掃除してたら出てきた、どうする?」
それは白いレースの布だった。いつ買ったか覚えてなかったが、確か目隠しで買ってみようか、と買って結局使わなかったものだったはず、とみとらは思い出す。
じっと布を見ていたみとらは、おもむろに慈々の頭に被せた。丁度部屋から入る太陽の光で、まるで綺麗な花嫁みたいに見え、みとらは笑う。
869