ふが、と盧笙は鼻を鳴らし、ビクリと反動で身体を震わせると、パチリとその目を開ける。
柔らかいラグの下の固い感触が背と頭をきつく刺激し、肩が痛む。
自由に伸びた腕と足の感覚に、盧笙はようやく自分の体勢を脳で理解する。
「……あかん、寝てた」
床に大の字に転がった体勢のまま、盧笙は掠れた声で呟く。
室内灯が煌々と照らす中、よく眠れたものだ。盧笙は自分自身に呆れた。
「よう。おはようさん、か?」
斜め上から降ってきたその声に、盧笙は僅かに顎をあげ視線を向ける。
そこには、机にノートパソコンを広げ立て膝をつきながら盧笙を見下ろしていた零がいた。
そうだ、と盧笙は思い出す。
二人で酒を飲んでいたのだった。最初は缶ビールでお疲れ様と乾杯し、チューハイを一本空けた後、零が土産だと言って持ち込んだ日本酒をグラスで飲み始めた辺りからの記憶が無い。
2023