【ゼン蛍】もっとして「一度休憩を挟もう」
そう言って立ち上がったアルハイゼンに続いて私も立ち上がる。
数日前、スメールに戻ってきた私はアルハイゼンの休日に合わせて彼の家に訪れていた。カーヴェとパイモンは私たちに気を遣って明日までいない。
とはいえ恋人らしいことをするわけでもなく、フォンテーヌで手に入れた古書を一緒に読み、時々フォンテーヌでの出来事を話しながら二人きりの時間を過ごし、そして今キリがいい所まで読み終えて休憩をしようとコーヒーを淹れるためにキッチンに立った。
火を熾すアルハイゼンの側でフォンテーヌで手に入れたレシピで作ったお菓子とコーヒー豆を用意し、コーヒーミルを、と手を伸ばしていつも片付けている場所に無いことに気付く。
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