15ロド青春初体験 体育の授業中、俺はかっこつけてスライデングカットをして、見事に左足に擦り傷を作った。「他の奴は試合続行〜」という体育教師の声を聞きながら、授業中の静かな廊下を俺はしょんぼりと一人保健室へ歩いていく。
扉が開いたままの保健室を覗き込むと、無人かと思った室内には同級生のドラルクがいた。
ドラルクは吸血鬼だ。だけど全然怖くなくて、むしろとにかく病弱で線が細いヒョロガリのガリ勉。女子とキャラキャラ話していることも多い彼は、まるで自分とは別の生き物のようだ、と見るたびに思う。女子と同じように苦手だった。だからこれまでドラルクを喋ったことはなかった。
なのに何故かいつのまにか、左足の治療をしてもらうことになっている。先生今いないからって、やつは慣れた様子で引き出しから消毒液や脱脂綿を出して、俺に早く傷口を洗えとかそこに座れとか偉そうに言うから、逆らうのもなんか違う気がして言いなりになったんだ。
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