長く短い祭り 見慣れた黒くて寂しい宇宙も、強く輝く太陽も、どこか遠くて。ただ、離れないようにしっかりと掴んだ彼の手首と、静かに、けれど柔らかいライムグリーンの瞳だけが全てだった。
「エランさん」
「……スレッタ・マーキュリー」
お互いに名前を呼び合う。
続く言葉はない。
言葉がなくても、私たちの瞳は饒舌だった。
——このままふたり、どこまでも漂っていたい。
交わる視線と、お互いさえいれば、どこまでも行けそうだ。
今まで求めても得られなかった、温かいご飯でもお気に入りのコミックでも埋められなかった心の奥底にある空洞が、熱く優しいもので満たされていく。熱はじわりと広がり、喉、瞼、指先と、身体の隅々まで温めていく。
「……好きです」
3146