以心伝心「もしかしたら俺の心臓、動いていないのかもしれない」
そんなことを鶴丸が言い出したのは彼が顕現してからひと月は経とうというときである。
気づくのが遅すぎるのではないかと思ったが、案外、自分の鼓動というのは気にしないものなのかもしれないと自分の胸に手を当てて大倶利伽羅は考えた。
この本丸の鶴丸は感情が希薄である。心臓が動いていないことに起因するというのであれば納得できるところがあった。心臓が動いていなくとも行動できるのは、刀剣男士ゆえのことだろう。
俺はこのままでもいいんじゃないかと思ったんだが、主がなにかあるといけないというのでな。そこで、きみ、きみの心臓の音を真似させてくれないか。
なぜ俺なんだ。
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