パンプキンの魔法「おねぇーちゃぁぁぁん!」
家の中に響き渡る賑やかな声。
一階のステンドグラスを磨いていた手を止めたモモが、エプロンで手を拭いながらなぁに?と階段から顔を覗かせる。
「カボチャにしよ!」
夏も過ぎ去り、庭の緑が黄色や橙に染まり始めた頃、暫く寂しげにしていたケイが伏せていた耳をピコーン!と立てて、良いこと思いついたっと立ち上がったのは依頼もない日の朝食後。
掃除をしていたモモを遠慮のない声で呼びつけて得意げに頬を染めてみせた。
「南瓜?」
「そう!お家の中!」
「ああ、飾り付けのことね?」
むふん!と鼻を鳴らす妹分を穏やかに見つめ返しながら、そういえばそろそろそんな時期か、と次節に思いを馳せる。
昨年はバタバタと忙しなかった色々が重なり、エオルゼアもフリーカンパニーの面々もそれどころではなかったのだ。窓でケイが飾った風鈴がちりん、と秋の風に揺れるのを見やって、モモはそうね、と頷いてみせる。
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