雌獅子は愛を抱く⑦ 目が覚める。
僅かに開いたカーテンの隙間から差し込む夕日に目を焼かれ、紅い空間の中で目を開いた。寝かしつけるだけのつもりが、幼子の体温に釣られて随分長く寝ていたらしい。
昼前の時点で来ていた客人達の事をちらりと思い出したが、流石に帰っているだろう。そもそも招いてもいない。勝手に来て勝手に帰っていく輩だ。
「……礼那」
娘はすやすやと眠っている。握り締めている小さな手の細い指を一本ずつ辿りながら反応を窺うが、何の反応もない。
これはきっと、今夜はもう眠ってくれないだろう。仕方が無い。夜中に元気になるであろう娘に一晩中付き合う覚悟を固めつつ、まだ夢の中にいる彼女を抱き上げて部屋を出た。今夜は寝ないにしても夕飯は食べさせなければ。
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