雨宿り バケツをひっくり返したような土砂降りの中、コンビニの軒下で手遅れになってしまったTシャツを絞る。スニーカーから染み込んだ雨は、靴下までも濡らしていた。ぐっしょりと重さを持った靴が気持ち悪い。
「なぁ湯沢、誰が降らないって?」
屋根から伝う雨のカーテンを憎らしげに睨みつつ、事の原因に棘のある言葉を投げる。
「えー、俺は降らないって言ってないよ。今は晴れてるって言っただけ」
「はぁ? 『今は』は言ってなかっただろ! つーか、普通出かけるのに今の話はしねぇし。今の天気なんて外でりゃ分かんだろ」
「確かに」
「確かにじゃねぇ……それに、俺ははっきりと言ったぜ。『これからの』天気はどうかって」
「そうだっけ?」
十センチ上から湯沢が悪びれる様子もなく答えた。
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