アレスは意外といってはなんだがお洒落だ。
解放軍からみた傭兵は、よく言えば質実剛健悪くいえば粗野な印象で、王子とはいえ傭兵育ちという印象が先行しているアレスは相当浮いた人物だった。
「失礼しま〜す。アレスいる?」
セリスはアレスの部屋に訪れノックすると中から勝手に開けて入れと盟主を相手にして雑な返事をした。セリスも盟主としてではなく親友として、恋人としての距離感で接しているから不満なく、むしろアレスらしいなと、はいはい分かったと適当な返事で扉を開けた。
相変わらず部屋に私物は少ない。傭兵生活で移動も全て自分で行うから私物は自ずと少なくなるとアレスは言っていた。壁際に置かれる対のティーカップはプレゼントとしてセリスが贈り、荷物がかさむといいつも大切に使っている品だ。
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