siwasu1203
PROGRESS12/15発行のボクらの水木さん内に入れたかった3期鬼水小噺下書まで終わってたんですが間に合わず…いつかどこかで本にしたいと思いつつ
今回本を買っていただいた方のみ見れるようにパスワード付きです
パスワードは新刊最後のページに掲載しております。 13
Usikiyama
PROGRESS高1、3学期末の暮三(まだ三井しか出てない)今書いてるものの冒頭。長編書いた反動でなかなか進まない〜〜ダラけてしまう
曇り硝子越しに春の光が淡く揺らめき、キッチンに静かな温もりを運んでいた。
三井は土埃にまみれた学ランを着たまま、長方形のフライパンに向かって立っている。額から流れる血が鼻筋をつたい、熱せられた鉄板に赤い雫が滴り落ちた。鋭い音を立てて、油の波紋の中で黒く焦げつく。
三井は何事もなかったかのように卵液を一気に流し込んだ。黄金色の液体が熱に反応し、じゅうっと弾けながらすぐに固まりはじめた。甘く懐かしい香りが漂う。
菜箸を握る手がわずかに震えている。拳の裂傷が引き起こす痛みのせいだ。それでも三井は眉ひとつ動かさず、フライパンを傾けて焼けた卵を一巻きごとに重ねていく。かすかな焦げ目をつけながら箸先で形を整えた。
648三井は土埃にまみれた学ランを着たまま、長方形のフライパンに向かって立っている。額から流れる血が鼻筋をつたい、熱せられた鉄板に赤い雫が滴り落ちた。鋭い音を立てて、油の波紋の中で黒く焦げつく。
三井は何事もなかったかのように卵液を一気に流し込んだ。黄金色の液体が熱に反応し、じゅうっと弾けながらすぐに固まりはじめた。甘く懐かしい香りが漂う。
菜箸を握る手がわずかに震えている。拳の裂傷が引き起こす痛みのせいだ。それでも三井は眉ひとつ動かさず、フライパンを傾けて焼けた卵を一巻きごとに重ねていく。かすかな焦げ目をつけながら箸先で形を整えた。
nojiko2020
PROGRESSプルプラ展示予定の、冒頭部分。※大戦後の冬。全部捏造。
アンタレス ナイトウォーク 序 夜の繁華街を歩くことに慣れた足取りだった。
それが切島鋭児郎に対し、ファットガムが最初に感心した点だった。
死穢八斎會の一件を経て中断し、冬に再開されたインターン。夜間パトロールに彼を伴う機会が増えると、その印象は確信に変わる。見知らぬ路地裏に踏み込む度胸があり、くだを巻く酔っぱらいのいなし方も上手かった。客引きの声に動揺することも無ければ、チンピラのいざこざにも物怖じせず割って入れる。煌びやかな水商売の女性たちから声をかけられても、緊張せず、やに下がりもせず自然体で接していた。
――珍しいんちゃうか。雄英っちゅうと、マジメなええとこの子が多いし。
先に採用した天喰がとにかくあがり症の小心者だったので、余計にその印象が強かったのかもしれない。彼の場合は繁華街に慣れるだけで半年を要した。とはいえ切島は見た目にそぐわぬ真面目な体育会系で、やんちゃをしていた様子もない。
5720それが切島鋭児郎に対し、ファットガムが最初に感心した点だった。
死穢八斎會の一件を経て中断し、冬に再開されたインターン。夜間パトロールに彼を伴う機会が増えると、その印象は確信に変わる。見知らぬ路地裏に踏み込む度胸があり、くだを巻く酔っぱらいのいなし方も上手かった。客引きの声に動揺することも無ければ、チンピラのいざこざにも物怖じせず割って入れる。煌びやかな水商売の女性たちから声をかけられても、緊張せず、やに下がりもせず自然体で接していた。
――珍しいんちゃうか。雄英っちゅうと、マジメなええとこの子が多いし。
先に採用した天喰がとにかくあがり症の小心者だったので、余計にその印象が強かったのかもしれない。彼の場合は繁華街に慣れるだけで半年を要した。とはいえ切島は見た目にそぐわぬ真面目な体育会系で、やんちゃをしていた様子もない。