マスターとコユキとじゃんけんハゲ（野球拳大好き）
　ある日の自宅。ナギリが熱心にテレビを見ている。何を見ているんですか、ナギリさん。マジック。何もないところからハトが出た…。マジロだったらもっと良いな。あれは種も仕掛けもあるんですよ。一つ、お手本を見せましょう。トランプマジック。なっ？！　お前も？！　俺のは仕掛けがあります。でも、プロの方ならその仕掛けすら無いように見せるんですよ。凄いな…。
　仕事場。ん、マスターは？　集まりがあって居ません。あれ？　マスターは？　サテツが来る。今、居ない。下等吸血鬼を退治して、腹が減ったんだが…。回想。ー良いですか、ナギリさん。私が居ない間にお客様が来たら、コユキに料理をさせてはいけませんよ。？　サテツさん、お腹が空いたのなら私が作ります！　お前、マスターに料理するなと…。頼みます、コユキさん。何を作る気だ？　玉子とケチャップとご飯を出す。オムライスか。異空間クッキング。黒くて鋭角な尖りのある物質の登場。

処刑場にて　ざぁ、と冷たく乾いた風が砂を巻き上げる。昼は灼熱の地となる砂漠も、月明かりに照らされた今は肌寒いほどだ。リンクは処刑場をぐるりと囲む外壁の上に腰を下ろした。小さな体でここまで登るのは苦労したが、ここからでないと見つかってしまう。何度かずり落ちたために擦り剥いた膝に滲む血を手でぬぐい、リンクは処刑場中央で鎖に繋がれた男を見下ろした。
　ガノンドロフ。
　ゲルドで100年に一度生まれる男。圧倒的な力をその原動力とし、ハイラルを統べることを目論んだ砂の王。
「何だか、あっけないや」
　かつてここではない世界で、この世界の彼ではない彼と対峙した。もちろんガノンドロフはリンクが別の世界で何をしたかは知らない。別の世界で己がこの小さな子どもに倒されていることなど、この賢い頭の中の想像の一つにもないだろう。