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    めめめめ

    SPUR MEここまで書けた 早く先が読みたい(書きたい)
    青春系侑北が書きたい大事な話があります。

    珍しく真剣な顔をした侑にそう言われたのは、人生最後の春高バレーを終えて、引退した後のことだった。どうしても二人きりで話したいと食い下がる侑に競り負けた結果、部活が終わるまで図書館で時間を潰すことになり今に至る。
    改まって二人きりで話さなあかん大事な話って、なんやろ。他人の気持ちなんて幾らこっちが考えたところで分かるわけがないと頭では理解しているのだが、それでもあれこれ思考を巡らせてしまうのが人間という生き物らしい。

    「すんません!お待たせしぁした!」
    「お疲れさん」
    「銀とサーブ勝負始めたらつい長引いてもうて…!」
    「ええよ。遅くならんうちに帰るで」
    「ウィッス!」

    読み途中だった純文学を本棚に戻し、侑と共に図書館を出た。靴箱で一旦離れただけの僅かな間にも、侑は多くの人間に声を掛けられている。今からカラオケやゲームセンターに行こうと誘われていたり、差し入れのクッキーを押し付けられていたり。耳を澄ませているわけではないのに、声が響きやすい昇降口特有の構造のせいで全て耳に入って来る。俺はとっくに靴を履き替え、女子数人が溜まっている少し後ろでまだかまだかと待ち侘びた。
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