C.K🌸
TRAINING21.11.14付き合ってるにっかぺSS
『旅の一夜のにっかぺ2話目』
24.6.8
下げてた過去作の再掲です
少し書き直しました
旅の夜 2 ◇
いつからから、抱擁を解いた空っぽの両手には淋しさと名残惜しさが染みついていた。次はいつ、とも確約の取れない関係だから、部屋に残るケンジの残り香が切なかった。
帰したくない、ずっと抱き締めていられたなら……と、零次はもう何度願ったかわからない。
けれど、今夜は違う。
制約も誰の目も気にせず、この隔離された密室でケンジを独占できるのだ。
語らいながら見つめあったり、飽くまで抱き締めあったり、いつもはできない恋人らしい触れあいが、今夜ならできる。
朝までのタイムリミットを心得た一方で、零次にはこの一夜が洋々と広がる時のようにも思えた。
「なんて豪勢な部屋なんだろう……スイートなんて初めて泊まるよ、僕」
4354いつからから、抱擁を解いた空っぽの両手には淋しさと名残惜しさが染みついていた。次はいつ、とも確約の取れない関係だから、部屋に残るケンジの残り香が切なかった。
帰したくない、ずっと抱き締めていられたなら……と、零次はもう何度願ったかわからない。
けれど、今夜は違う。
制約も誰の目も気にせず、この隔離された密室でケンジを独占できるのだ。
語らいながら見つめあったり、飽くまで抱き締めあったり、いつもはできない恋人らしい触れあいが、今夜ならできる。
朝までのタイムリミットを心得た一方で、零次にはこの一夜が洋々と広がる時のようにも思えた。
「なんて豪勢な部屋なんだろう……スイートなんて初めて泊まるよ、僕」
片海鏡
TRAINING前回二次創作で蕨さんの小説書いてみたんで、一貫さんも挑戦してみようと書いてみました。個人の解釈と妄想とはいえ、形にするのは難しいです。多分、書き直すと思います 一等星の様なその才能の輝きに憧れ、可能性を見出した。
何度も意見を交わし、試行を重ね、より良い音楽を共に作り上げられると信じた。
悪戦苦闘しながら走り続けた日々を懐かしく思うが、既に海の底へ沈んだ。
時代の波に乗り遅れれば、腐っていくだけだ。
流行と廃りではない。成長を止めた時点で、生きているとは言えないモノに成り下がる。
4人でバンドを組み、曲を作り上げた事へ後悔は一切ない。むしろ、誇らしい位だった。
けれど、頂点なんて立った覚えはない。
光が当たった瞬間、目にも止まらぬ速さで世界が一変した。
最初から間違っていたと思えるほどに、勝手に周りがもてはやし、祭り上げられた。
始まったばかりで予定なんてないに等しかったが、これから作り上げる筈の道は大衆の波に踏み荒らされた。
3260何度も意見を交わし、試行を重ね、より良い音楽を共に作り上げられると信じた。
悪戦苦闘しながら走り続けた日々を懐かしく思うが、既に海の底へ沈んだ。
時代の波に乗り遅れれば、腐っていくだけだ。
流行と廃りではない。成長を止めた時点で、生きているとは言えないモノに成り下がる。
4人でバンドを組み、曲を作り上げた事へ後悔は一切ない。むしろ、誇らしい位だった。
けれど、頂点なんて立った覚えはない。
光が当たった瞬間、目にも止まらぬ速さで世界が一変した。
最初から間違っていたと思えるほどに、勝手に周りがもてはやし、祭り上げられた。
始まったばかりで予定なんてないに等しかったが、これから作り上げる筈の道は大衆の波に踏み荒らされた。
menhir_k
TRAININGクロディにはなったけどクロードとディアスに怒られそうクロディ 凪いだ海が眼下に横たわっていた。澄み渡る夜の空気の中、控えめな波の音だけがディアスの鼓膜を揺らす。空に浮かぶ一際大きな星が、夜の海に降り注いで揺らめいていた。
視線を落とした先の、崖下に広がる浜辺によく知る少女の背中を見留める。それから、その隣にいる先客の存在に気付き、ディアスは階段に向かいかけていた足を止めた。
決戦を明日に控えて眠れない夜を過ごしているのではないか、と思われた血の繋がらない妹は、既に兄の手を離れ心細い夜を共に乗り越える相手を見付けていた。ディアスが故郷を離れ、マーズ村で彼女と再会するまでに二年の月日が経っていた。人が変わるには充分な時間だ。だから大切な幼馴染みの——レナの隣に誰かがいる事実に、一抹の寂しさのようなものを覚えこそすれ、得心がいかないことは何もなかった。ただ一つ引っかかるところがあるとすれば、彼女の隣に並び立つ人影がディアスの思い描いていた遠い星の青年ではなかったことだけだ。
4803視線を落とした先の、崖下に広がる浜辺によく知る少女の背中を見留める。それから、その隣にいる先客の存在に気付き、ディアスは階段に向かいかけていた足を止めた。
決戦を明日に控えて眠れない夜を過ごしているのではないか、と思われた血の繋がらない妹は、既に兄の手を離れ心細い夜を共に乗り越える相手を見付けていた。ディアスが故郷を離れ、マーズ村で彼女と再会するまでに二年の月日が経っていた。人が変わるには充分な時間だ。だから大切な幼馴染みの——レナの隣に誰かがいる事実に、一抹の寂しさのようなものを覚えこそすれ、得心がいかないことは何もなかった。ただ一つ引っかかるところがあるとすれば、彼女の隣に並び立つ人影がディアスの思い描いていた遠い星の青年ではなかったことだけだ。