Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    なこ

    odgr

    SPOILERチェズルク版ワンドロワンライ第38回提出作品です。お題は台詞お題の「逃がしませんよ」で。
    暮らドメバレ、チェとルで某スタイリッシュな軟体動物たちでインクを塗り合うシューティングアクションで遊ぶ話です。今回はチェズルクっていうかチェ+ルというか……チェはハイ〇ラントの面白さに気づいたら大変なことになると思う。
    「やばっ」
     現実でルークが発した声に、画面の中の小さな悲鳴が重なる。
     まっすぐに飛んできた弾丸に貫かれ、携帯ゲーム機に映っていたキャラクターが弾け飛び、明るいパープルのインクがステージに四散した。
    「フフフ……。逃がしませんよ、ボス」
     リビングのテレビの画面では、楽しそうに笑うチェズレイが操るキャラクターが大型の狙撃銃を構えている。スナイパー役のチェズレイが睨みを効かせている間に、テーマパークを模したステージがチェズレイのチームカラーにどんどん塗り替えられていく。スタート地点である自陣に戻され、ルークは焦りと感嘆とを長い溜息に変えて唸った。
     夕食後、ルークがリビングで一息ついていた時、そわそわとした様子のチェズレイにゲームに誘われた。一週間ほど前にルークがチェズレイの前でやってみせたゲームをルークの不在時に練習したので、一緒にやって欲しいという。海生軟体動物と人型を自由に切り替えられるキャラクターを駆使して広大なステージ中を駆け回り、カラフルなインクを射出する様々な種類の武器を用いて、ステージのフロアをチームカラーで侵食しあい陣取り合戦をするその対戦アクションゲームを気に入ったようで、仲間たちと同時プレイが出来るように携帯ゲーム機本体とソフトまで買ってきたという気合いの入れようだった。携帯ハードの方は既にルークの自宅のWi-Fiにも接続してあり、インターネットを介した同時プレイの準備も万端だった。
    2905

    tsuyuirium

    PAST狂児さんの賭けとそんなことはつゆ知らずの聡実くん。
    映画の演出を踏まえた描写がございます。
    大穴ばかり外すギャンブラーに明日はない 今日は振り返るやろうか。慣れた帰り道を少し俯きながら歩く背中に変わったところはなさそうだ。ベッティングまでに残された時間はあと少し。何か見落としていることはないか。可能な限りの情報を集めるために、対象の観察をしばし続ける。
     屋内での部活だからか、日に焼けていない頸がヘッドライトに照らされると幽霊みたいに白いこと。助手席で寝てしまってシートに押し付けられた後ろ髪が癖になってたまにはねていることも、後ろから見送るようになって初めて知った。
     初めて送り届けた日。家を教えられないと健気にも突っぱねながらも可哀想に、車に乗っている時点で無理だと告げたあの日から始まったことだ。
     家を知られたくないなんて面と向かって言った相手にすらも礼を尽くせるこの子の心根が、心配になるほど清らかで美しいのを目の当たりにして、そこにつけ込んだと言う自覚は正直、あった。着いたらラインして。心配やもん。そう言うとあの時の聡実くんはぎょっとした表情で目を丸くしてこちらを見ていた。あの顔を思い出すと今でも愉快な気持ちになれる。
    2331