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    ハングマン

    秋日子

    DONEルスハン。嫉妬深いルースターと浮気を疑われたハングマン。ギャグ風味
    俺の恋人が優秀過ぎる件「なんか、俺ばっかり好きな気がする」
    少しだけぶすくれたルースターが、食堂でランチをかきこみながらそんな事を言うのももう何度目だろう。フェニックスはため息をついて、再び始まったルースターの愚痴とも惚気ともつかない独り言に耳を貸すことにする。
    「今度はなによ」
    「いやさぁ、なんかここんとこ変なんだよ…何か隠してる感じというのか、よそよそしいというのか」
    「もともとそんなに甘いタイプじゃないんでしょ?」
    「うーん…甘くはなくても、俺がソファ座ってたら絶対近くにいるし、飯だって休みの日は大概一緒に食べてたし、スマホ隠してるような事もなかったんだけど。なんか最近避けられてるような感じなんだよなぁ」
    頭を抱えてしまったルースターは、恋人であるハングマンにベタ惚れである。歳下で同僚で優秀なウィングマンでもある彼とこの親友が交際をしだしてどのくらいだろう。数えるのはバカバカしいのでもちろんきちんと憶えている訳では無いが、そろそろ半年というところのはず。にもかかわらずルースターは付き合いたての頃と同じく、いやそれ以上に彼にぞっこん、首ったけ、メロメロ、とにかくそれはもう、傍から見てもあの生意気な男の事が『大好き』なのだ。
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    mori_yuen

    DONEふわふわニットを着たハングマンに懐くルースターから始まるお話です。
    close the distanceモヘア
    「お前っ……、何だよ、これっ……!」
    「はぁ⁉︎ ってお前何してんだ」
     突然上がった声に驚くハングマンを完全に無視し、ルースターは一心不乱に彼の胸や背中を撫でさすった。正確には、ハングマンが身につけているニットのふわふわとした表面を。

    「おい、もういいだろ」
    あれから優に30分は撫で続けているルースターにハングマンが呆れた視線を向ける。「もうちょっと……」と抵抗するルースターは、すっかりハングマンが着ているふわふわとした触り心地のニット――モヘアニットと言うらしい――に魅了されていた。
    「そんなにさすられちゃ、落ち着かないんだよ」止まらないルースターの腕を引き剥がしにかかったハングマンに「たまにはいいだろ、恋人なんだし」と言い募る。ぐっと言葉に詰まって捕らえたルースターの腕を解放するハングマンに、まぁ戸惑う気持ちも分かるけどな、と心の中で共感する。付き合い始めてからの時間はそんなに長くないとはいえ二人は実際に恋人同士ではあるし、今日のようにハングマンがルースターの家を訪れるのも片手の指では足りないくらいの数にはなる。しかし、それでもこういった触れ合いは殆ど無く、今のようにルースターがぴったりハングマンに寄り添って座ることも無い。いつもは互いのパーソナルスペースをしっかり守って座っていて、ボブやフェニックス、コヨーテ達との距離の方が明らかに近かった。それでいて体の関係が無いかといえばそうではない。親友未満の距離感のくせにやる事はやっていた。むしろ体の関係から始まった事が、恋人らしい触れ合いが出来ない現状を招いたと言ってもよかった。
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    芦緖(あしお)

    DONE前回書いたハングマンとボブの話(マヴェ達帰還直後の話)の続き。
    今回はハン側の視点で。ハンボブの民ですが、まだまだそこに至るまでの道が長い。
    ※ポイピクの話をもとに書いた「それは雫のように」はオンイベなどで頒布してます!
    それは雫のように ほっとした瞬間、ハングマンの視界がぐらついた。周囲の音が聞こえなくなって、代わりに自分の鼓動だけが耳に大きく響いて、今いるこの場が現実なのか分からなくなった。
     本当に自分は二人を救えたのか? もう手遅れで、何もできず自分も撃墜されて死ぬ間際に都合のいい夢を見ているんじゃないか? そんな疑問がハングマンの思考を支配する。
     そのうち歓喜に湧くデッキにいるのが耐えられなくなり、悟られないように人混みを抜けた。一人になると少し冷静になって、現実と悪夢の区別がつくようになってくる。それでも身体の震えが止まらなかった。
     ハングマンにとってこんなことは初めてだった。危険な任務はこれまでもあったしパイロットとして命の危機に瀕したこともあった。きっと今までのハングマンであればこんな状態にはならなかっただろう。しかしマーヴェリックに教えられる中で知ってしまった。パイロットとしての生き様だけでなく、チームが、仲間がどういうものなのか。そしてそれを失う恐怖も。
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