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    リーガ

    kurage_honmaru

    DONE成田さん作品ワンドロ・ワンライ企画の参加作品です。デッドマウント・デスプレイ回。
    物騒仲良しな阿牙倉ファミリーがとても好き。少し物騒。
    阿牙倉である今を心地よく思ってくれていたら嬉しいなと思う。

    ※口調や呼び方が一部異なりますが、いったんそのまま上げます。
    ※タイトルは某ボカロ曲のパロディ。好きな歌です。
    とある家族の待ち合わせ「百兄はさ、阿牙倉になる前のことって覚えてる?」

    「って、この間夢ちゃんから訊かれたんだぁ。夏南姉さんとダリア姉さんは覚えてる?」
    「百矢が訊かれたなら百矢の答えを先に言いなよ」
    「ん……ダリアの言う通り……」
     眼鏡をかけパーカーを着た少女。長い三つ編みを揺らす婦人。彼女たちに即答され、ひょろりとした長身の彼は、うーんうーんと芝居がかった仕草をしながら答える。
    「どうだったかなぁ、俺はなんて答えたかなぁ。あんまり興味ないから答えごと忘れちゃったなぁ」
    「何それ、じゃあ私たちも答える義理なくない?」
    「むしろ自分は答えず私たちに答えさせようとしたのがムカつく……」
    「ごめんよぉ。だってこいつらがおかしなこと言ってくるからさぁ。最近似たようなこと訊かれたなぁって思い出したんだよぉ」
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    60_chu

    DONEブラッドリーが産まれて育つ話ですがほとんどモブが話してる架空の話なので架空の話が大丈夫な人は読んでください。
    ベイン夫人が言うことには 幌越しに風の音を聞きながら今夜も降り続ける雪のことを思った。馬橇は止まることなく故郷から遠ざかる為に走っていく。どこまでも白い景色の中で私たちは揺られ続けていた。自分でどれだけ息を吹きかけても指先は暖かくならない。私たちは互いに手を擦り合ってここより暖かいであろう目的地のことを話した。誰かが歌おうと声をあげた時、体が浮き上がる感覚がして私たちは宙に放り出された。浮いている時間は一瞬だったはずだけれど空にある大きな白い月が触れそうなほどはっきり見えた。天使みたいに私たちは空を飛んで、そして呻き声をあげたのは私だけだった。
     轟音と断末魔が落下していく。馬橇がクレバスを越えられなかったのだろう。獣みたいな唸り声が自分から出たことが信じられなかった。痛みのせいで流れた涙が、すぐに凍って瞼を閉ざしてしまう。体は動かない。肌の上で融ける雪を感じながら私は自分たちの村を守護してくれていた魔法使いに祈った。それしか祈る相手を知らなかった。私は私を馬橇に乗せた人を憎もうとしてでもできなくてまた泣いた。
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