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    ループもの

    tamagobourodane

    DOODLE元の世界に帰れなくなっちゃった晶くんが全部忘れたフィガロの家の近くに住んでいる話
    フィガ晶♂

    点滴効果はないよ!

    注意書き↓
    ※ループものの最初のルートとして考えていたお話の最初のところです。
    2周年読んだ感じ、2章の方向性次第ではプロットごとさよなら(あーん)かもしれないのでどんな話だったのか、最初のとこだけダイジェスト風にして置いておきます。
    2章の雰囲気次第では長いやつとしてぜんぶ書くかも?



     子供の泣く声が響いている。
     今しがた細い若木のような腕に差したばかりの注射針を鉄製の容器の中に戻しながら、フィガロは単純に元気な子供だな、という感想を抱いていた。若い生命は小さな痛みも大きな危機のように捉えて、助けを求める声を上げるエネルギーを惜しまない。隣では子供の母親が決まり悪そうに身体を竦めていて、時折その小さな背中に触れていた。我が子の行儀が悪いと思っているのかもしれない――医師としてはそんなことは気にならなかったのだが。医者の処置を受ける時の子供というのは、得てしてこんなものである。
    「痛いの我慢して、よく頑張ったね。ちゃんと毎日薬は飲むんだよ」
     子供にねぎらいの言葉をかけながら、フィガロは傍らの薬の包みを取ってそれを紙袋に入れると、母親に向かって差し出した。
    8586

    _aonof

    PROGRESSついでに私のループもの五夏五読んでほしい。「それはつまり……」
     言葉を途切れさせた夏油が、五条から目を離して口元を覆うように隠す。その視線はどこか空に向けられ、困惑したような気配がにじみ出ていた。
     夕暮れの教室は窓から差し込むオレンジ色の光に照らされて、影とのコントラストが徐々に強くなっている。放課後の教室に残ってくれと頼んで、椅子に座ったままの夏油を、五条は隣の席の椅子に座って唖然と見返していた。夏油の反応の意味が分からず、戸惑っていると、夏油は躊躇いがちに視線を五条に戻す。
    「君が私を好き、と言う話かい?」
     は? と全てを台無しにするような反応を、五条は本能的に抑え込んだ。
     おかしい。そういう話ではなかったと思っていた。夏油のことはどっちかと言われれば好きだが、そんな告白を受けているみたいな顔をされるような意味じゃない。確かに自分は夏油が何より大事で信頼していて出来ればずっと一緒に居たい、ということを一生懸命言ったが、それでもそういう意味ではなかった。いや、多分言い方を失敗した。
     じっと自分を見つめる夏油の瞳が、五条の真意を問うものであることに、ここで失敗は出来ないと五条は思う。ここで断って信頼を下げるよりも、肯 2320