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    karrruko

    DONE①7/24無配をベースに、11000文字追加したものです。
    ②フィガロがモブの男娼を買い、彼に抱かれて満足している描写があります。
    ③フィガロがオズの前で酒の印象を伝えようとし、遠回しな性行為の隠喩を行う描写があります。
    ④スノホワ様のキスシーンがあります。
    ふいうち

     燃えるような朝焼けに目を細め、フィガロは森を飛翔した。こんな時間に野外をうろつくなど人間に傅かれて暮らしていた幼い頃以来だったが、ある意味で状況は当時より悪化していた。何せ師匠二人から〈オズの成人祝いを渡す〉という無茶な仕事を命じられているのだ。一度は石にするべきだとも思った弟弟子が、今どこでどうやって暮らしているのか、己は全く知らないと言うのに。

     この厄介な話は、昨晩唐突に降ってわいたものだった。

     高弟としての自覚というか二人から躾られた義理というかで、スノウとホワイトの館から出でて暮らして五年が過ぎても、フィガロは月に一度は彼らの前に顔を出すようにしている。昨晩もその習慣に従ったのだが、食堂に足を踏み入れた途端に嫌な予感に襲われた。テーブルには極上のマナ石と黒みがかったケーキが給仕されている。石はともかく、素朴な見た目のケーキが大いに問題だった。
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    karrruko

    DONE革命軍でレノとファウスト二人への恋心にあがいて疲れ、南に逃れたフィガロの話。
    着地はビターなレノフィガですがファウスト←レノックスの執着と、ファウスト←フィガロの執着が話のベースにあり、ファウストとの未来こそが自分の運命だとフィガロが語る描写が多いです。ファウストは理想に邁進していて、二人の真情が見えていません。

    アレクの話し言葉を捏造、モブ娼婦がレノとフィガロと親しげに会話する描写があります
    あがき(レノフィガ)2020年に開催されたレノフィガワンドロライ様お題「羊」に提出したものをベースに加筆修正しています。


     フィガロは最初、レノックスという男の存在を概念として捉えた。
     ファウストが弟子入りを願い出たとき、レノックスはその傍に控えていたらしいが容貌がまったく意識にのぼらない。なんだか岩石みたいなやつがいるなと感じたことだけは覚えている。魔力がすこぶる弱いくせに鉄心石腸というやつか、一度こうと決めたことは絶対に揺らがせにしない怖い心根のやつだとも意識の端にちらっと思ったがそれも一瞬だった。
     石が備え持つ不屈の精神の艶めきは、ファウストという華やかで明るく、柔らかな輝きの前にあっさり消え失せてしまった。だがレノックスは、ファウストの口を借りてフィガロの前に存在を絶えずほのめかせ続けた。
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