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    家出

    kegokawaii

    DOODLE結婚指輪(と同等の価値があると双方が判断した指輪)を作るモイケイの話です
    もっとカラッと元気なのを想定してたのにどんどん湿度が増していってすごくじっとりしてる。すぐセンチメンタルに寄っていくのよくないクセだよ。

    26歳のモイケイが社会人になって実家出て二人暮らししてる設定のパラレルだと思ってください。
    私が工房の人だったら早よ帰れって言うと思う
    「ケイゴ、指輪作るか」
     なんの予定もない土曜の昼だった。遅く起きて、モリヒトが作ったチャーハンを向かい合って食べていた。オイスターソースとウスターソースを両方使うのがキモなんだと炒飯の蘊蓄を一通り話したあとに、モリヒトは指輪を作ろう、と言った。
     指輪?と思わず聞き返そうとして、せまいリビングの棚の上に置いてある卓上カレンダーが目に入って、ひとり納得した。モリヒトと友達以上の関係になってから、ちょうど十年くらい経つ時期だ。自信はないけど、たぶん。
    「いいんじゃない」
     モリヒトは区切りとかそういうのを大事にする人だから、モリヒトが今作るというなら、今がちょうど良いのだろう。なんのためにとか、どういう意味のとか、そんなことは聞かない。聞いたってその指輪がオレたちを証明する道具になることはないのだし、オレたちはオレたちを誰かに証明するつもりはない。ただ、モリヒトから言ってくれたことが嬉しかった。揃いの指輪を嵌めようと、思ってくれたことが嬉しかった。
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    soseki1_1

    DOODLEナワーブ🤕と喧嘩して家出したイライ🔮を匿うノートン🧲/現パロ大占傭占
     火種って簡単に点くんだなって思った。鼻の先にある、灰色の間からちらちら覗く赤色は綺麗で、心臓みたいだなんて見たことのないものの想像をした。ただ咥えてるだけなのに口の中に煙が溜まるのが不思議だった。吐き出してばかりいたそれを思い切って吸い込んだとき、喉が焼けるような不快感に襲われて咳き込んだ。そこからはもうてんで駄目で、ただ口内に煙を溜めておくだけで僕は咳をするようになった。向いてない。明らかに分かる事実が悔しくて、認めたくなくて、僕は咳をしながら煙草をふかし続けた。
     ひたすら歩いて歩いて歩いた先にあった見慣れたコンビニでそれは買えた。ライターだって簡単に買えた。レジの隣に置いてあった。「煙草を」と言った僕に気怠げな店員は「何番ですかぁ」と草臥れた問いかけをして、僕は、淀み無く番号を言った。彼がたった一度だけ僕の前で言った煙草の銘柄を僕は馬鹿みたいに覚えていて、彼が言わなかった番号まで調べて覚えていた。言うつもりはなかったのに、その番号が口からついて出た。悔しかった。その番号以外知ってるものなんてなくて、店員はスムーズに立ち並んでる箱達からたったひとつを取り出していて、僕は撤回する機会を失った。
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