こわがりな夜の熔かし方【全年齢版】「クリスマスプレゼントはマヨイさんがいいです。」
何度聞いても巽はそう答えていた。
にっこりと微笑みながらそう答える恋人を見て、マヨイはむむむ…と唸ってしまう。
もともと物欲の薄い巽の事だから、本心なのだろう。
(うぅん………でも………クリスマスですし、何かしてあげたいです………。………あ、)
スマホを取り出すと、思いついた事柄を検索画面に打ち込んで調べる。開いたのはそれはとあるネットショップだった。
「……ひえぇ………。」
検索した画面を見て赤面しつつも、マヨイは購入のボタンを押したのだった。


ここはESビル内のマヨイの秘密の部屋。
「ふふふ、ケーキ美味しいですね。」
「はい、藍良さんのお勧めなだけありますな。」

無題　誰もいない共有スペースで巽は一人座っていた。ここ数日は仕事が立て込んでいて、朝起きて仕事に行って帰って来たら泥のように眠る、という生活を送っていた身からしたらこの静寂の時間は貴重なものだった。時折遠くから聞こえてくるアイドルたちの喋り声はどれも楽しそうに弾んでいる。そんな声たちに耳を傾けながら、壁に掛けられた時計が立てる規則的な音だけが響く部屋で巽は迎えの車を待っていた。
　ただ待つだけではなんだからと紅茶を淹れてみたが、紙コップで飲むティーバッグの紅茶はどこか味気なく感じる。『フレイヴァー』で日和に徹底的に指導されたおかげか茶葉から淹れて飲む習慣がついてしまったらしい。昔は茶葉からだろうかティーバッグからだろうがどうでもよかったのだが、復帰してから様々なアイドルと交流を重ねる機会を得た結果、自分の趣向が緩やかに変化していくことは決して嫌ではなかった。

月に吠える「月がきれーだな」
「そうですね」
　窓から差し込む月光が、さやかに室内を照らしている。珍しく同じ時間にベッドに入ったものの、色々な話に花が咲き、なかなか寝付けないでいたところ。
　ふと話題が途切れた瞬間だった。
「今頃吸血鬼やろーが張り切ってるのかな」
「そうかもしれませんね、きっとよい夜を過ごしているでしょう」
「だな」
「今日の月はウルフムーンというんですよ、飢えた狼の遠吠えが由来だそうです」
「へえ、まるでロックに飢えてる俺様みたいじゃねぇか」
　視線を巽の方に向けると、こちらを向く視線とぶつかって、少し鼓動ががはねた。
「そっくりですね」
　月明かりに照らされる巽の姿は、そのまま光に吸い込まれそうで、思わず。

one last ■■■■ 风早牧师是这个镇子上唯一的牧师，一年多前从大城市被派来管理镇上那座小小的教会。
他很年轻，刚来的时候受着腿伤，拄着拐杖，但现在已经不需要了。他为人和蔼，充满耐心，博学而沉着，对于信仰也十分虔诚。镇上的男女老少很快就打消了对新鲜外来者的疑虑，将他视作友邻；甚至对宗教并不太感兴趣的居民，都无法否认对他的好感。
可风早牧师虽然喜欢和人交流，但从未提及过自己的过去。一些流言悄悄传开，有人说他曾经是在大城市里犯了什么事，才会被排到这样偏僻的小镇上，那条腿也是在犯事的时候摔断的……如此蜚语，得到的只有牧师友善的笑容——他的样子是那样真诚，就仿佛不曾有过任何过错。
今天是休息的日子。风早巽将来教会帮忙的青少年和妇女请回去之后，独自一人收拾祭坛。他扯下半通明的白纱，将主受难的塑像遮盖，又转身来到唱诗班用的钢琴前。这台钢琴是前几年地区教会的捐赠，但在巽来这里之前，从没有人使用过它。

（仮題）色褪せた思い出も、それはそれで美しいと君が言うのでHiMERUに最初にそれを知らせたのは、張本人の風早巽ではなく、同じ事務所からメンバーとして参加していた巴日和でもなく、その件についてはまったく無関係なはずの七種茨だった。
「かぐや姫？」
「はい！　まるでお伽噺の姫君のようにわがま……いえ、自由奔放で、いつ『お迎え』が来るかもわからない、儚く美しい殿下にはぴったりです！」
ESの四事務所横断での映画や雑誌のプロモーション企画は、HiMERUも記憶に新しい。コズミック・プロダクションからはまだCrazy:Bのメンバーしか縁がなかったのだが、いよいよ他のユニットにも声が掛ったようだ。どういう経緯かはHiMERUの知るところではないが、巴がタイアップ曲のセンターを勝ち取ったというのだから、やはりESビッグ三の一角は格が違う。ともあれ、HiMERUが口を出す立場でもないし、まあ、そういうこともあるのだなと思って適当に相槌を打った。