帝
かがり
PROGRESSれめさめ。大正風・妖怪ミステリ風味パロ。大正時代に似た雰囲気の架空都市・帝都で妖怪関連のいざこざを解決する軍組織・特務課に所属する憲兵れめと軍医さめさんの物語。
パロ設定れめさめ。出会い(深夜の神社、妖の往診後)「やぁ、良い夜だな、軍人さん」
見回りに来た憲兵か。村雨はそう判断して極力不自然にならないよう話しかけた。
「よぉ、良い夜だな、書生くん」
青年はそう言って、村雨の方に歩いていった。
「何をしていた?」
「……いや、桜が綺麗だったもので、遠回りして花見に」
「……でかい医者鞄を担いで、か?」
軍人の青年がくくっと声を落として俯いて笑う。
「……見習いでね。先生の所に、勉強をしに行ってその帰りだ」
「ふーん……」
話術なら村雨の方が一枚上だ、と思っていた。だが、青年は急に村雨の顔を見て、こんなことを言った。
「猫のしっぽは治してやったのかい、お医者様?」
「!!」
「おっと図星って顔だ。そうか。今日はここに集まっていたか。惜しかったなぁ……もう少し早ければ、殺せてたのに」
1682見回りに来た憲兵か。村雨はそう判断して極力不自然にならないよう話しかけた。
「よぉ、良い夜だな、書生くん」
青年はそう言って、村雨の方に歩いていった。
「何をしていた?」
「……いや、桜が綺麗だったもので、遠回りして花見に」
「……でかい医者鞄を担いで、か?」
軍人の青年がくくっと声を落として俯いて笑う。
「……見習いでね。先生の所に、勉強をしに行ってその帰りだ」
「ふーん……」
話術なら村雨の方が一枚上だ、と思っていた。だが、青年は急に村雨の顔を見て、こんなことを言った。
「猫のしっぽは治してやったのかい、お医者様?」
「!!」
「おっと図星って顔だ。そうか。今日はここに集まっていたか。惜しかったなぁ……もう少し早ければ、殺せてたのに」
okyanyou3
REHABILIハクオンのような帝のような 男は長きに渡り、人を探していた。
探す相手は男の肉親であった。世界が一度終わってしまう寸前に別れた、血を分けた弟。人が不死の肉塊へと変じる奇病が爆発的に感染拡大する中、唯一『人間』として生き残った、生き残ってしまった男が、自らの躰を自己クローン体に取り換える延命処置を幾度も繰り返す間も(言うまでもないが、複数回の記憶の生体移行は生命倫理の観点から忌避されている)、数百年という長い長い歳月を生きて尚その存在を忘れることのなかった、『生きている』という希望を捨てられなかった人。
その弟が、今、男の目の前にいた。
奇病の発生直前に冷凍睡眠装置に入った弟は、別れたときと同じ姿であった。そのはずだ。男の幾度も取り換えた脳は、もう、かつての弟の姿も名前も記憶していないけれど、DNAが男と目の前の人との血の繋がりを証明していた。
4319探す相手は男の肉親であった。世界が一度終わってしまう寸前に別れた、血を分けた弟。人が不死の肉塊へと変じる奇病が爆発的に感染拡大する中、唯一『人間』として生き残った、生き残ってしまった男が、自らの躰を自己クローン体に取り換える延命処置を幾度も繰り返す間も(言うまでもないが、複数回の記憶の生体移行は生命倫理の観点から忌避されている)、数百年という長い長い歳月を生きて尚その存在を忘れることのなかった、『生きている』という希望を捨てられなかった人。
その弟が、今、男の目の前にいた。
奇病の発生直前に冷凍睡眠装置に入った弟は、別れたときと同じ姿であった。そのはずだ。男の幾度も取り換えた脳は、もう、かつての弟の姿も名前も記憶していないけれど、DNAが男と目の前の人との血の繋がりを証明していた。
辻千歳(CTS🌙)
DOODLEなろう版「告白 表」の投稿を受けて傷心した結果の妄想ツイより。客観的な描写にしたいのでオリキャラが出てきます。続。
2024/01/26
もう別れざるを得ない場合(まだ付き合っていない)、皇帝になった壬氏と後宮医官になった猫猫でまた謎解きをすればいいよ…二人とも愛し合っていることをひた隠して、医局でお茶飲んだり事件解決したりするけど、一線だけは絶対に超えない超絶プラトニックラブを見せてくれる… 4
あもり
DONE永久凍土帝国アナスタシア配信6周年おめでとう〜〜〜!配信時間には普通に遅れましたが4日中に投稿自体は間に合ってよかった…カドアナに囚われて6年、これからもよろしくお願いします。いつも通りの糖度低めな本編開始前のふたりです!
絵画異聞帯ロシア、その中央に聳える宮殿にはかつての栄華の名残が山のように、されどひっそりと人知れず遺されていた。彫刻、絵画、工芸、音楽、書物と多岐にわたる遺物たちは王侯貴族たちがありとあらゆる文化を用いて、己が栄光と名誉を末世の子孫にまで語り継ごうとした証の数々。
美しい、と思う。けれど、カドックは本質までそれらを理解できるかと言われれば否定する。自分は貴族ではない、ただの平民だ。本質を知らないのであれば、ここにある全てもただの美しい"だけ"のことだ。美しいまま、永遠に降り続ける雪の中に埋没していく。忘れられていく。まるで凍土における自分たちのようだ、と自嘲する。意味をつけるのはいつだって、所有者の理解だ。
2282美しい、と思う。けれど、カドックは本質までそれらを理解できるかと言われれば否定する。自分は貴族ではない、ただの平民だ。本質を知らないのであれば、ここにある全てもただの美しい"だけ"のことだ。美しいまま、永遠に降り続ける雪の中に埋没していく。忘れられていく。まるで凍土における自分たちのようだ、と自嘲する。意味をつけるのはいつだって、所有者の理解だ。
86mayuri
DONE全文はpixivに上げています。【墜天の王 蔭 11 蜜月】長編修帝小説の一部。追憶。原作軸。翼の団時代の回想シーン。阿修羅×帝釈天
墜天の王 11 その馴れ初めは焦がれて苦く ②.
天域の四季は比較的温暖でだいぶ気候も春めいて穏やかになってきたところだが。窓を開け放って就寝するにはまだ早い。日中の気温とはさすがに違うこともあり、帝釈天が腰掛けていた大きな出窓も今は閉じられている。
正面の窓の外で自由に枝を伸ばす桜の木はちょうど見頃を迎えていた。
商人の邸宅に咲く大きな桃の花も見事だったが、それよりも控えめな色合いの柔らかい薄紅は、彼の白に近い金糸のような髪色によく馴染む。そこで春の景色に溶け込みその一部となったように出窓で羽根を休める彼の中に、季節の移ろいを静かに見守る優しさを見たような気がした。
収まらない怒りをぶつけるまま、仕事を放り出して呆けていたとそう見えていた昼の自分とは、全く異なる見立てになったが。
3033天域の四季は比較的温暖でだいぶ気候も春めいて穏やかになってきたところだが。窓を開け放って就寝するにはまだ早い。日中の気温とはさすがに違うこともあり、帝釈天が腰掛けていた大きな出窓も今は閉じられている。
正面の窓の外で自由に枝を伸ばす桜の木はちょうど見頃を迎えていた。
商人の邸宅に咲く大きな桃の花も見事だったが、それよりも控えめな色合いの柔らかい薄紅は、彼の白に近い金糸のような髪色によく馴染む。そこで春の景色に溶け込みその一部となったように出窓で羽根を休める彼の中に、季節の移ろいを静かに見守る優しさを見たような気がした。
収まらない怒りをぶつけるまま、仕事を放り出して呆けていたとそう見えていた昼の自分とは、全く異なる見立てになったが。
near
PAST2023/7/30発行帝幻「Songs without Words」
.
【死と忘却】をテーマにした、帝幻ふたりの「言葉のない歌」。
忘れたくても忘れられない記憶、忘れたいのに忘れたくない記憶。人間が持つ記憶能力とは実に儘ならないものですね。
sample→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20304560 3
near
PAST2022/12/18発行窓コル(帝幻)「コラプスと六夢」
.
妄想癖のある幻太郎は、仕事中ガラス越しに一度目が合っただけの窓拭き清掃の男に微笑みかけられたと思い込み一目惚れをする。次第に妄想、夢、現実の区別がつかなくなっていく「コラプス=崩壊」の話。
王道「月9」じゃない、ねっとり系窓コル。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18871011 3
near
PAST2022/10/16発行陸剣(帝幻)「replay the last SUMMER」
.
あの夏、何も告げることなく帝統の前から姿を消した幻太郎。帝統は高校卒業後も彼への思いをずっと断ち切れずにいた。新生活へと向かう準備を進める中、思い出のカセットテープを聴きながら2人で過ごした季節を回想する話。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18497328 3
near
PAST2022/5/29発行帝幻「動物の謝肉祭」
.
【動物】をテーマにした帝幻短編集。
獅子王の行進/亀/水族館/耳の長い登場人物/大きな鳥籠/化石
sample→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17607533 3
near
PAST2022/1/23発行帝幻「厭世的街角で見る夢は」
.
再録を含むオムニバス短編集。
sample→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16758106 2
Sachi
DOODLE鯉月🐲🐰https://poipiku.com/159168/9879829.html
坊は元服したら即メ島を迎えに行くわけですが。
鯉は神様の一族なので基本的に死なないです。
伴侶の月も鯉と契りを結んでいるので
鯉の身に何もない限り死なないです。
でも鯉に何かあれば共に逝く。
2枚目
メ島(10代髭なし/月に住むうさぎ)は帝釈天的な神様の鶴見から龍神様一家に派遣されて来たメイドちゃん。 4
111miyuki
DONE明治軸で、ぞうはん組が勇尾を勇尾にしようとがんばる?漫画です。大のほほん帝国陸軍のほんわか師団のお話です。
※書いてから気づいたんですけど今って美人局ってわかるんだろうか……「つつもたせ、とは」で検索してください……(笑) 4
edanikudk
MAIKINGとても前に書いた帝幻SS「コドクの宗教」の改訂版です。完全版はちょっとだけ大人向けになる予定…。※🎲(18)×📚(20)
※現パロ?な謎世界線。捏造しか無いです。
※回想で📚の昔の交際相手が出てきます。 9975
himmel_blumen
PAST◆きらきら、金のほしの降る3/17春コミの無配だった話です。
しばらく姿を見せなかった帝統が、久しぶりに幻太郎と顔を合わせて、ある提案をする話。
過去作「やわくてぬくい、橙の」(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21076654)の後の話ですが単独でも読めます。
きらきら、金のほしの降る 最近、帝統の付き合いが悪い。最初にそう感じたのは、カレンダーを一枚捲って、最後の一枚が日の目を見た頃だった。
仕事も一区切りつき、午後に少し入った頃。昼食でも取ろうかと思いつつ、一人の食卓を想像するとどうにもしっくりこなくて、よく我が家で食卓についている男にメッセージを送った。
普段なら、食事をご馳走すると言えば一も二もなく飛んでくる。返事がない時は、ひたすらギャンブルに夢中で連絡に気付いていない時か、ごくごくまれにアルバイトをしている時くらいだ。でもその日は、すぐに返事が来たにもかかわらず、いつもの迷いない同意ではなかった。
『今ちょっとそっち行けねえから、悪いけどまた今度行く』
どういう理由でその場を離れられないのか、短い文章からは読み取れない。パチンコかスロットで大当たりの波でも来ているのか。そんな想像をするがどうしても引っかかる。そういう時は大抵素直に状況報告をしてくれていたのに。
8273仕事も一区切りつき、午後に少し入った頃。昼食でも取ろうかと思いつつ、一人の食卓を想像するとどうにもしっくりこなくて、よく我が家で食卓についている男にメッセージを送った。
普段なら、食事をご馳走すると言えば一も二もなく飛んでくる。返事がない時は、ひたすらギャンブルに夢中で連絡に気付いていない時か、ごくごくまれにアルバイトをしている時くらいだ。でもその日は、すぐに返事が来たにもかかわらず、いつもの迷いない同意ではなかった。
『今ちょっとそっち行けねえから、悪いけどまた今度行く』
どういう理由でその場を離れられないのか、短い文章からは読み取れない。パチンコかスロットで大当たりの波でも来ているのか。そんな想像をするがどうしても引っかかる。そういう時は大抵素直に状況報告をしてくれていたのに。
1000sai_
DONE帝幻祭 展示①帝幻祭7開催おめでとうございます!
新刊「春の心で満たして」より、
1話目 たんぽぽと告白
を公開します。パスワードはピクスクのお品書きを確認してください。
イベント終了後も新刊のサンプルとして公開します 5
yok_612
DONE帝幻祭7おめでとうございます!!帝統×幻太郎(狐)のパロ漫画です。
2年前に出した本の2人が結ばれた後、春祭りに行くお話。
特殊設定が複数ありますので、
1P目の注意書きをお読みくださいますようお願いいたします。 13
himmel_blumen
PAST◆よろこびは光のいろをしたクリスマスのアドベントカレンダー企画で描いた話の再録。
12月25日の夜に幻太郎の家を訪ねる帝統の話。
よろこびは光のいろをした クリスマスは子どもの願いが叶う日。世間のイメージではそういうことになっていて、当の子ども自身もそう信じている。だけどクリスマスに夢見るような歳の頃でも、俺にとってその日は何も良いことがなかった。
開けても開けてもきりのない、大層な包装のプレゼントの山。レストランかと思うばかりの豪華な食卓。それを多分世の中の奴らは羨ましがるんだろうけど、俺にとってそれは一番欲しいものじゃなかった。
普段は会えないおふくろは、特別な節目には帰ると言った。ただし、言っただけだった。
いつもクリスマスの食卓では、おふくろのための席は空っぽで、帰れない謝罪の手紙と罪滅ぼし代わりの贈り物だけが渡された。
今になっても思う。あの頃欲しかったものは、一度だって手に入らなかった。子どもだった俺にとって、本当のクリスマスプレゼントなんて何処にもなかった。
4987開けても開けてもきりのない、大層な包装のプレゼントの山。レストランかと思うばかりの豪華な食卓。それを多分世の中の奴らは羨ましがるんだろうけど、俺にとってそれは一番欲しいものじゃなかった。
普段は会えないおふくろは、特別な節目には帰ると言った。ただし、言っただけだった。
いつもクリスマスの食卓では、おふくろのための席は空っぽで、帰れない謝罪の手紙と罪滅ぼし代わりの贈り物だけが渡された。
今になっても思う。あの頃欲しかったものは、一度だって手に入らなかった。子どもだった俺にとって、本当のクリスマスプレゼントなんて何処にもなかった。
himmel_blumen
DONE◆夢見の花が舞う道で帝幻祭のお題企画のお題「夢見草」をお借りして書いた話。
夢は儚く寂しいものだと思う夢野と、夢は希望だと捉えている帝統の話。
夢見の花が舞う道で 人生、誰でも何度かは、失敗したと明確な自覚を持つ瞬間があると思う。俺にとってその一瞬は今だった。
「……どうしました?」
「あ、えーと……」
もう一円玉さえ入っていないコートのポケット。財布なんて当然ない。その状況からちょっと助けてもらえないかと、幻太郎の家のインターホンを押した。そして出てきた家主を見た瞬間に、自分の選択が間違いだったと悟った。
「……帝統? まさか今時ピンポンダッシュを決めようとした、などと数世代前の悪戯っ子のような用事ではありませんよね?」
「ピンポンダッシュて何?」
「違うなら結構」
いつもの本気なんだか冗談なんだかよくわからない発言の後、作家の両の目は俺をじっと見つめてくる。それで、と尋ねる目元は明らかな披露と隠せない鬱屈感が滲んでいた。
7087「……どうしました?」
「あ、えーと……」
もう一円玉さえ入っていないコートのポケット。財布なんて当然ない。その状況からちょっと助けてもらえないかと、幻太郎の家のインターホンを押した。そして出てきた家主を見た瞬間に、自分の選択が間違いだったと悟った。
「……帝統? まさか今時ピンポンダッシュを決めようとした、などと数世代前の悪戯っ子のような用事ではありませんよね?」
「ピンポンダッシュて何?」
「違うなら結構」
いつもの本気なんだか冗談なんだかよくわからない発言の後、作家の両の目は俺をじっと見つめてくる。それで、と尋ねる目元は明らかな披露と隠せない鬱屈感が滲んでいた。
伊吹半兵衛/磐城ムツ田老
DONEオスマン帝国・チャナッカレ県ゲリボル(ガリポリ)に送られた兵士の手紙の日本語訳。オーストラリア・ニュージーランド軍団のある兵士からの手紙大正4年8月10日、ゲリボル
かつては幸せだった我が家族の皆様、ゲリボルの地獄からこんにちは。こんな手紙をあなたたちに書くつもりはありませんでした。しかし私は若かりし頃の夢を描きたかったのです。あと、私がここを地獄と呼ぶのは気にしないでください。ここは本当に美しい場所です。オリーブの木に豊かで、戦であるにも関わらず、どこでも花を咲かせる赤いケシに喜びが満ちる。そして、ゲリボルの鶯があなたたちへの憧れと相まって私の心を痛めつける。
幾時も幾時も、私は何も感じず、何も聞きません。その間、彼はただ見て、隠れ、撃ち、銃剣を直し、敵を殺し、シラミを掻き取る。食料として渡された乾燥ビスケット、クラッカー、干し肉のかけらをかじる。時間があれば彼は眠り、私は本当に僅かにしか眠らない。
2045かつては幸せだった我が家族の皆様、ゲリボルの地獄からこんにちは。こんな手紙をあなたたちに書くつもりはありませんでした。しかし私は若かりし頃の夢を描きたかったのです。あと、私がここを地獄と呼ぶのは気にしないでください。ここは本当に美しい場所です。オリーブの木に豊かで、戦であるにも関わらず、どこでも花を咲かせる赤いケシに喜びが満ちる。そして、ゲリボルの鶯があなたたちへの憧れと相まって私の心を痛めつける。
幾時も幾時も、私は何も感じず、何も聞きません。その間、彼はただ見て、隠れ、撃ち、銃剣を直し、敵を殺し、シラミを掻き取る。食料として渡された乾燥ビスケット、クラッカー、干し肉のかけらをかじる。時間があれば彼は眠り、私は本当に僅かにしか眠らない。