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    村人

    Na0

    DONE昨年の1122の日合わせに始めた連載のつづき。ハテノで夫婦になった2人を、村人から見て尊いと感じられる何かを書きたくてはじめて、折返しまできました。ハテノの独自解釈NPCが出ます。
    それはきっとあなたとおなじ66

     二人が村外れの古びた橋を渡ると、トントン、ギッギッと二人分の音が鳴る。
    村の古民家と同じ造り。積み石に漆喰で整えた村境のアーチを潜り、峠道を行く。
     後ろから吹く風が村名を記した看板を揺らし、また風車を回して重く擦れた音をたてる。草むらからは、虫の音が響いた。
     研究所までの道行き。リンクとゼルダは、その後も何人もの人と言葉を交わした。東風屋の女将と軽く手をあげて。いつもの場所に佇むマンサクとは「今朝も仲睦まじい事で、結構な事だな」と皮肉交じりの挨拶を。宿の前のご主人はにこやかに笑い、幼い子供達は足元をあちらこちらへと走りより、若い二人を憧れと好奇心の眼差しで見上げる。
     中でも、ゼルダの心を慰めたのは、炊事場の大木の横に腰掛けているウメだ。季節の薬草が芽吹いた事を知らせると、好奇心に瞳を輝かせて自分も探してみると言うゼルダに、目を細めた先達は「あんた達になら」と、普通なら家族にも教えない自分の秘密の場所を教えてくれた。驚きに顔を見合わせたリンクとゼルダは、ならばと足の悪い彼女の代わりに薬草を摘んで届ける約束をした。
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