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    @t_utumiiiii

    DOODLEウッズさんに記憶がない泥庭同人誌の設定(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12846692)で、ピアソンさんがウッズさんを寝かしつける二次
    淑女の夜(泥庭) 少し前のことだ。羅刹緋春――例の、異国風の派手な赤いワンピース――を着ていた試合中に頭を強く打ったせいで、ただでさえ緩い頭のネジが弾けとんだのか、それまでの記憶のすべてが飛んだエマ・ウッズを捕まえて「自分たちは恋人同士」だと騙すことに成功したので、彼女はもうクリーチャーを拒むことはない。何なら少し構ってやらないで放ったらかしていると、どこで覚えたのかピッキングなんかしてドアの鍵を開けた挙げ句、クリーチャーの部屋に勝手に上がり込んで、帰りを待ち構えていたりする(最初はさすがの俺様もぎょっとしたが、しばらく続くと慣れた)。
     とはいえ、そうやって部屋の鍵を勝手に開けて、中で「待ち構えている」といっても、まあ可愛いもので、物々しい面持ちをしているわけでもなく、彼女は部屋の中で勝手に掃除をしていたり、そこらに放っておいたクリーチャーのシャツを繕ったり、繕うようなシャツがない時には、自分で持ち込んだ布に、何かを熱心に縫い付けたりなんかしていて、それで、クリーチャーが戻ってきたのを見ると「おかえりなさい!」と言って、花の開くように笑うので、クリーチャーは「留守の部屋の鍵をピッキングで開けて上がり込むんじゃない」「一体何のために鍵をかけていると思っているんだ」「だいたい、ピッキングなんかどこで覚えたんだ!?」というようなまっとうな苦情をずっと言い損なっている。
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    zeppei27

    PROGRESS傭泥!久々に意思疎通ができない仄暗いものを書きたいな〜〜と思ったので書き始めました
    細々と完成させて行きますが、指定がどの程度になるかはまだ未定
    つづき 古来、軍隊とは外界から切り離された一種独特の組織である。社会的通念よりも軍隊内での規則や上下関係が優先され、軍外での身分も表向き撤廃されているとされる。無論そうとは言い切れないが、生きるか死ぬかの二択しかない、一蓮托生の状況になれば話は変わる。大事なのは強さであり、結びつきであり、規則なのだ。よって、一般的社会では不可思議とされることも良とされ、その逆もまた存在する。それは時に残酷で、時に底抜けに甘ったるい。

     ナワーブ・サベダーにとって、軍隊とは人生の殆どであった。幼少期こそ故郷で育ったものの、早くに父親を失ったことによりその時期はやや短い。物心ついてからはずっと傭兵暮らしだ。平和に田畑や工場に働きに出る暮らしとはまるで異なる。言うなれば、世間一般が共有するうっすらとした道徳であるとか、倫理であるとか、習俗の類はまるで知らないままで過ごしてきた。ナワーブの人生は軍隊が基準である。軍隊を出て、個人請負を始めたところでそれは変わらない。
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    @t_utumiiiii

    MAIKING謎時空の泥庭(青髭と怪鳥) ※日記のないキャラ(機械技師・狂眼(?))の言動を背景推理等から無理やり捏造してる。
    (6) 丸い形のヘッドライトが特徴的な社用の軽自動車(店主は「お前さんの顔に似ている」と言い、その車をトレイシーに宛がった)で出先から戻るなり早速シルクハットを取り、その内側で冷や汗を掻き通していたボブヘアに風を通しながら、行きがけに店主が入れ知恵をした「青髭」の屋敷でのことがどんな具合に薄気味悪かったかを、さながら飲まされた毒を吐き出すような勢いで喋り続けていたトレイシーは、「そうやって可哀そうだって言い出したのが、いちばん不気味だった。」と、苦いものを噛み潰したように顔を顰めてそう零す。作業台の上で酒瓶を傾けていた老店主は、それを興味もなさそうに聞き流していた。
     老人相手に話をしているとも、一人で必死に言葉を吐き出しているとも取れない調子で、トレイシーはぶつぶつと零す愚痴の内容を次々変えていった。「青髭の妻」が、トレイシーの目から見るとあからさまに人間であったこと。それにも関わらず、彼女はまるで鳥籠のような大きな釣り鐘型の檻の中に、一瞬人形と見まがうようなやり方で閉じ込められていること。トレイシーの見立てでは、彼女は高機能の義手義足を着用した生身の人間であるが、そもそも何故、彼女がそのような傷を負うに至ったのか? その大きな怪我が、彼女に正気のありかも見失わせてしまったのでは?
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    @t_utumiiiii

    MAIKING謎時空の泥庭(青髭と怪鳥)
    (1) 「青髭」というのはグリム童話の一つであるが、郊外に大層な屋敷を構えている彼は、近隣の町の住人からそう呼ばれている。郊外に建てた屋敷に閉じこもるように暮らし、後ろ暗い経歴のある大勢のものがそうするように、近隣のまともな地域社会と関わり合いになろうとしない、偏屈な独り身の金持ちが彼だった。
     青髭の屋敷には、得体の知れない連中が雇われている。日々飲み屋に入り浸って日銭を泡にしているような連中の間で、気前よく仕事を与える彼は「気のいい領主」のように親しまれているのだが、一方で、素行が良いと地元で折り紙付きの者が物は試しと乗り込んでみても、その男から仕事を賜ることはなく、追い出されるのがオチだった。
     そうやって追い出されるのならまだ良い。その屋敷に入ってくると、二度と日の目を見ないものもある。例えば、クリスマスに買い与えられたサッカーボールやラジコン、糸の切れたタコなんかが、ひとたびその屋敷の敷地に吸い込まれると、子供がどれほど泣きわめこうと、二度とは戻ってこなかった。迂闊に取り返そうとして屋敷の扉を叩けば、その日以降、青髭が雇っているに違いない素行の悪い連中からしつこく絡まれ、遅かれ早かれ、夜逃げ同然にその町を追われることになるので、もう誰もそんなことをしない。
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