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    編集者

    陽炎@ポイピク

    TRAINING『漫画家だって恋がしたい!』
    不定期連載編集者兄貴×漫画家ペッシ
    何でも許せる人だけ読んで下さい……
    「そら、タイ曲がってんぞ」
    小さな姿見の前でオレの背後から輝を回し蝶ネクタイを直す兄貴に本当に世話好きだなぁと内心呟く。
    編集者ってもっお面倒な性格だという先入観もあったけれど兄貴はオレへ弟のように接してくる。
    「兄貴ィ、やっぱり変だよぉ。オレにはちゃんとした格好ニ似合わねぇよぉ」
    「ペッシペッシペッシペッシよぉ~。これからオメーは新人賞の授賞式に行く。ダセェ服着ていく訳にはいかねぇだろ?」
    そんな事言われてもオレは未だに実感が湧かねぇ。
    オレが描き上げた新作漫画はあれよという間に連載が決まり新人賞を獲得しちまったんだ。
    「オレ、未だに夢見てるような気分だ」
    「ハン、新人賞なんてまだまだ栄光への第一歩だぜペッシ。オレ達は更に上を目指さなきゃならねぇ」
    ぽんと両肩へ手を置かれてオレは改めて身が引き締まる。
    兄貴は不思議だ。言葉だけで自分に自信のねぇ気弱なオレを鼓舞してくれるんだから。
    受賞パーティーはとあるホテルの会場だった。四畳半のボロアパートとは違って煌びやかな世界。
    オレはそんな空間に来てしまい場違い感でくらくらしそうだった。
    「おいおい、こんな所でぶっ倒れるなよ」
    さり気なく支 1840

    陽炎@ポイピク

    BLANK編集者兄貴×漫画家ペッシ
    そららさんからネタだけお借りしました
    この場でお礼を申し上げます
    オレはペッシ。最近デビューしたばかりの新人漫画家だ(ペッシというのはペンネームだけど)。オレは今白紙のままの原稿用紙を前に頭を抱えて唸っていた。
    そういう時に限ってインターホンが鳴る。
    ピンポーン。……ほら、やっぱり。
    渋々四畳半の部屋から玄関へと向かって扉を開けると見目麗しい男が立っていた。
    「よう、進捗具合を見に来たぜ」
    このモデルのような出で立ちの人はオレの担当編集者だ。
    「タイミング悪過ぎやしませんか?兄貴」
    兄貴と呼べと言われてるからそう呼んでるけど本名は聞いた事がない。兄貴は悪びれもせずずかずかと机へ近付くと原稿用紙を覗き込んだ。
    「ハン、まだ下書きすらしてねぇのか?」
    一瞬眉を寄せながらも次の瞬間には吹き出した兄貴にオレはぽかんとした。
    編集者ってもっと怖い存在だと思っていた。
    幼い頃から漫画を読むのが好きでいつしか漫画を描きたいと漫画家を目指してきたオレ。
    でも漫画家のエピソードは大抵編集者との確執とかそういうのばっかりで、漫画家デビューしたら編集者にドヤされながらネームを進めたりするんだろうなと考えていた。
    だから初めて兄貴と会った時もオレはビビってオドオドした態度で 1399

    a_la_do

    DONE2021 うちよそバレンタイン
    Variations−Chatons et papillons

    ラズルーカと白雪くんと、それを見守る一人の編集者の話

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    consacrer au sort d’une journée enneigée

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    子猫と蝶のヴァリアシオン


    「と、言うわけで、こちらが完成したお品でございます」

    小さな白い紙袋を両手でうやうやしく差し出しながら、ラズの向かいに座った男は頭を垂れた。
    作家先生ご自宅のリビング、十四時半、打ち合わせ。
    作家先生、こと、ラズルーカはただでさえ寄り気味の眉根をぐっと近づけて不快感をあらわにした。

    「そういう茶番は要らない」

    本を渡すくらい普通にやれ、と、差し出された紙袋をぱっと奪い取る。男は、空中に浮いたまま所在なくなった手をにぎにぎと開け閉じしながら、さも悲しげな様子でため息をついた。

    「つれないなぁ、ラズ先生は」
    「シリュウは喧しい」

    シリュウ、と呼ばれた青年は、心外だと言わんばかりに片眉をひょいとあげ、先生ひどい、と文句を垂れる。が、ラズは知らん顔だ。聞こえていないのか聞こえていないことにしているのか、不機嫌そうな顔のまま紙袋の中身を検めはじめる。
    紙袋の中身は小さな絵本だ。ラズはその一ページずつを、端々までを丁寧に目を通していく。
    まったく相手にされないだけでなく、真面目に仕事を始めてしまった作家先生を前に、シリュウはやれやれとため息をついた。

    ラズ 6285