賢者
yutaxxmic
DONEひか星3の展示品です。特性「ときめき」を元にしたお話。
前の賢者様もちらりと出てきます。
ときめき ふ、と意識が浮上する。少し首を反らして視線を机の上へと向ける。しっかりと閉めているはずのカーテンの端から僅かに光が漏れている。既に日は昇っているらしい。耳をすませば、誰かの声が聞こえてくるような気配がする。よもや自分が他人の存在を近くに感じる生活を再びすることになるとは思ってもみなかった。魔法舎で生活することが決まった直後はそうした生活に慣れず、厄介な厄災の傷に対する不安も相まって寝付くことが中々できない日々が続いていた。それが今ではすっかり熟睡することができるようになっている。それもこれもあの子──今の賢者が僕のことを気にかけてくれたお陰とも言えるだろう。いや、あの子は僕だけが特別という訳ではないことは分かっている。あの子は──真木晶という男は、賢者の魔法使い全てに等しく優しさを振り撒くのだ。そんな姿を見ると、少しだけちくりと胸の辺りが痛むようだった。賢者の魔法使いとして、この感情に名前をつけるべきではないことは明白だ。頭ではそう理解し、納得しているはずなのだけれど、前の賢者が僕に言ったことを思い出す。もう名前も、声も、顔も思い出すことができない前の賢者。賢者自身のことは忘れてしまったのに、授けてくれた知恵や言葉は覚えている。あの時はさもお見通しだとでも言うかのような物言いが不快でしかなかったが、今では彼のことが預言者のように思えてならない。──あいつの言葉に甘えてもいいのだろうか。そう考えながら食堂へ向かう身支度を整える。確か今日はあの子もこの魔法舎にいたはずだ。今までは足を運ぶことが憂鬱でしかなかった食堂への道中も、ネロの作った美味い料理と晶を一目でも見られるかもしれない期待で胸を満たせば、思わず足取りも軽くなってしまうようだった。
9879minamin030v
DONE第3回ブラカイ版ワンドロライお題「ひまわり」匂わす程度もない「ジューンブライド」
※俺賢者♀います
ひまわり「ブラッドリー!すまん、遅くなった!」
夜も深まった時間に、カインは慌ただしくブラッドリーの部屋を訪ねていた。
ガチャリとドアが開き見えたのは少し不機嫌そうな部屋主の顔。
快くとはいかないものの、すぐに部屋の中に入れてくれた。
「俺様を待たせるとは良い度胸してンじゃねぇか」
「悪かったよ、来る途中に賢者様に会って…えと、書物を運んでいたから手伝っていたんだ。あぁ、ほら!栄光の街自慢のワインを持ってきたから、許してくれ」
「たりめーだ、授業料はきっちりいただくぜ」
カインは右手に持つワインを掲げて早速ご機嫌取りにでる。
カインはブラッドリーの機嫌や気分が良い時に魔法や戦闘の稽古ををつけてもらっていた。きっちり見返り付きで。その話を聞いた賢者はどんな要求をされているのか心配をしたが、食べ物や酒を持っていけば大概受け入れてくれる、本当に面倒見がいい奴だよ、と爽やかに言われてしまえば、賢者は深く突っ込むことが出来なかった。
3408夜も深まった時間に、カインは慌ただしくブラッドリーの部屋を訪ねていた。
ガチャリとドアが開き見えたのは少し不機嫌そうな部屋主の顔。
快くとはいかないものの、すぐに部屋の中に入れてくれた。
「俺様を待たせるとは良い度胸してンじゃねぇか」
「悪かったよ、来る途中に賢者様に会って…えと、書物を運んでいたから手伝っていたんだ。あぁ、ほら!栄光の街自慢のワインを持ってきたから、許してくれ」
「たりめーだ、授業料はきっちりいただくぜ」
カインは右手に持つワインを掲げて早速ご機嫌取りにでる。
カインはブラッドリーの機嫌や気分が良い時に魔法や戦闘の稽古ををつけてもらっていた。きっちり見返り付きで。その話を聞いた賢者はどんな要求をされているのか心配をしたが、食べ物や酒を持っていけば大概受け入れてくれる、本当に面倒見がいい奴だよ、と爽やかに言われてしまえば、賢者は深く突っ込むことが出来なかった。
nenoha
DONEひか星3展示新作賢者ではなくなった晶くんが、何者でもないことに悩む話。
夢遊病の晶くん、フィガロがずっといます。CP未満。
この居場所に名前を。「晶、ちょっとだけ俺に付き合ってくれる?」
彼にそう言われて、ダメだなんて答えたことは一度もない。少しだけ訝しんで、様子を伺うことはあったけれど、彼が本心で軽口を言っているわけではないのだと知ってからは、少し待たせてしまったり日を改めて貰うことはあっても必ず彼の言葉に沿うようにした。
「はい、もちろん大丈夫ですよ」
なのに、彼は返事を聞くと必ず淋しそうに笑いながらありがとうと言う。どうしてそんな風に笑うんだろう、と思うことはあったけれど、もしも俺が同じように誰かに声をかけたとして。俺も、同じように笑うのかもしれないと思った。
―― だって俺は、異世界からきてこの世界に残された、正真正銘の迷子なのだから。
5139彼にそう言われて、ダメだなんて答えたことは一度もない。少しだけ訝しんで、様子を伺うことはあったけれど、彼が本心で軽口を言っているわけではないのだと知ってからは、少し待たせてしまったり日を改めて貰うことはあっても必ず彼の言葉に沿うようにした。
「はい、もちろん大丈夫ですよ」
なのに、彼は返事を聞くと必ず淋しそうに笑いながらありがとうと言う。どうしてそんな風に笑うんだろう、と思うことはあったけれど、もしも俺が同じように誰かに声をかけたとして。俺も、同じように笑うのかもしれないと思った。
―― だって俺は、異世界からきてこの世界に残された、正真正銘の迷子なのだから。
wd_aign
DOODLEsuperについて知らない状態で、"ゴールデン"に対する第一印象を記録した落書きです。 最後に急に賢者タイムが来てしまったので字は書いていませんが、エロネタを使っているので、嫌な人は読みに注意してください。最後はセルも黄色になっちゃうんじゃないの?! という内容ですが。 第一印象を記録しただけなので、おそらく本編に出ると喜ぶでしょう。 (笑) 2
ImmortalWindil
MOURNING賢者少女⭐︎エイミちゃん企画キービジュアルが仕上がらなかった場合の代替用に描いてみたもの。魔法少女っぽいポーズを漁って描いた結果、たいへんそれっぽくなりましたが、目指したはずの「どこかで見た感じ」が逆に怖くなったので、ボツになります。
oki_tennpa
DONE薄めのティカクロ2部直前に書きました。
クロエのマナエリアの話。短め、雰囲気小説。
クロエとラスティカの関係は変わってしまうかもしれないけど、幸せな時間がどこかにあると思うので。
カプ感ほぼ無し。捏造賢者、死ネタ有ります。
冒頭の詩は童謡「からたちの花」のパロディになります。
春って暖かくて良いな~。
春の水晶にヴィオレットは濡れてミモーザの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。
「綺麗な歌だね。のんびりしてて、昼寝しながら聞きたい感じ。でもミモーザって黄色じゃない?白いのもあるの?」
「おや、そうだったかな。賢者様の教えてくださった歌と混ざってしまったようだ。ミモーザは黄色だよ、クロエ」
時計の針も仕事を忘れて、白蝶貝の盤面でうたた寝するような昼下がり。
きぃんと澄んだ鉱石の、冬の空にはお別れをして、甘やかな木苺の春風と三拍子のステップを踏むころ。
ラスティカとクロエは森で遊んでいた。
寝不足のクロエは陽だまりの温もりに包まれ、船を漕いでいる。
「ふわぁ……いつの間にかすっかり春になっちゃった。俺、そんなに出てなかったんだ」
「どうだろう?僕は今朝眠っていて、ムルに起こされた時にはもう春だったよ」
3006白い白い花が咲いたよ。
「綺麗な歌だね。のんびりしてて、昼寝しながら聞きたい感じ。でもミモーザって黄色じゃない?白いのもあるの?」
「おや、そうだったかな。賢者様の教えてくださった歌と混ざってしまったようだ。ミモーザは黄色だよ、クロエ」
時計の針も仕事を忘れて、白蝶貝の盤面でうたた寝するような昼下がり。
きぃんと澄んだ鉱石の、冬の空にはお別れをして、甘やかな木苺の春風と三拍子のステップを踏むころ。
ラスティカとクロエは森で遊んでいた。
寝不足のクロエは陽だまりの温もりに包まれ、船を漕いでいる。
「ふわぁ……いつの間にかすっかり春になっちゃった。俺、そんなに出てなかったんだ」
「どうだろう?僕は今朝眠っていて、ムルに起こされた時にはもう春だったよ」
minamin030v
DONE #ブラカイ版ワンドロライ参加させていただきます!
お題:腕まくり
※冒頭私の分身賢者♀がいます
腕まくり雲一つない青空の下、賢者は剣の稽古に励む二人の魔法使いをベンチに座って熱心に見ていた。
剣が交わる音が止まる事なく響いている。
「なぁにニヤけた面して見てんだ、賢者」
「ひゃいっ!!!!」
突然かけられた声に驚いて振り向くと、朝から見かけなかったブラッドリーが立っていた。
「ブ、ブラッドリー!心臓に悪いのでやめてください…」
「別に気配殺してたわけでもねぇよ。お前が気づかなかっただけだ。何に夢中になってたんだろうなぁ?」
「うっ…」
意地の悪い笑みを浮かべたブラッドリーに、賢者は居心地の悪さを感じる。
絶対に揶揄ってやろうという魂胆が見え見えなのだ。賢者はすっと視線を逸らす。
ブラッドリーは構わずドカッと隣に腰を下ろした。
2724剣が交わる音が止まる事なく響いている。
「なぁにニヤけた面して見てんだ、賢者」
「ひゃいっ!!!!」
突然かけられた声に驚いて振り向くと、朝から見かけなかったブラッドリーが立っていた。
「ブ、ブラッドリー!心臓に悪いのでやめてください…」
「別に気配殺してたわけでもねぇよ。お前が気づかなかっただけだ。何に夢中になってたんだろうなぁ?」
「うっ…」
意地の悪い笑みを浮かべたブラッドリーに、賢者は居心地の悪さを感じる。
絶対に揶揄ってやろうという魂胆が見え見えなのだ。賢者はすっと視線を逸らす。
ブラッドリーは構わずドカッと隣に腰を下ろした。
澙谷@D_9903
DONEオズフィガWebオンリー『悠久のヘリオスフィア2』展示作品
全年齢オズフィガ漫画です!
多分賢者が来る前後あたりの最近くらい…!
背景が白いので補完お願いします…
2022/05/21 澙谷【お7】
2022/05/23 イベント後、パスワードを外して公開しました 6
chacco
INFO「よあけの漂鳥」サンプル。ネロが突然姿を消す話。CPなし。東の魔法使いと賢者が出てきます。
モブキャラ、ネロの過去捏造していますので、何でも許せる方向け。
boothにて通販行っています。
A5/30P/300円
よろしくお願いします! 13
春園ひなた
DOODLE晶フィ 初夜翌朝 フィガロがまだ籠絡気分(だんだん本気になるよ大丈夫だよ勝つのは賢者様だよ) 目が覚めると、そこに賢者様の顔があった。そうか、昨日セックスをしたのだった、と俺はぼんやりと思い出す。すうすうと穏やかに寝息を立てる姿は、いつもより幼く見えた。こんな子どもみたいな人間が俺にあれだけの性欲を抱いていたことを思うと自然と口元が上がる。決して上手くはなかったけれど、一生懸命に抱いてもらえるのはなかなかよかった。
そうやって眺めているうちに、彼のまぶたがうっすらと開いた。
「あれ……? フィガロ?」
まだ寝ぼけているのだろう。目の前に俺がいることに少し驚いた様子がかわいらしかった。
「うん。おはよう、賢者様」
だからにっこり笑ってあいさつしてやると、ぱちりと目が開いた。
「あ、」
曖昧な声が漏れる。徐々に頬が染まっていくのがこの距離ならよく観察できる。照れるかな、と思っていたのに、彼は俺から目を逸らさないまま、じんわりと笑った。眉を下げて、目を細めて、噛み締めるように。
958そうやって眺めているうちに、彼のまぶたがうっすらと開いた。
「あれ……? フィガロ?」
まだ寝ぼけているのだろう。目の前に俺がいることに少し驚いた様子がかわいらしかった。
「うん。おはよう、賢者様」
だからにっこり笑ってあいさつしてやると、ぱちりと目が開いた。
「あ、」
曖昧な声が漏れる。徐々に頬が染まっていくのがこの距離ならよく観察できる。照れるかな、と思っていたのに、彼は俺から目を逸らさないまま、じんわりと笑った。眉を下げて、目を細めて、噛み締めるように。
水野しぶき
DOODLE【ミスオエ】いってらっしゃいのキスするタイプのミスオエ②✰︎男賢者視点
①【ミスオエ】いってらっしゃいのキスするタイプのミスオエ - 水野しぶき #ミスオエ #poipiku https://poipiku.com/3901738/6642484.html 7
komadori817
DONE賢者のマナスポット2022の無配4コマ漫画です。逆トリしたまほと晶ちゃんが温泉旅館に行ってます。まほは割と自由に世界を行き来できます。
オエ晶♀、フィ晶♀、ネロ晶♀、ファウ晶♀、ルチ晶♀です。 5
きうみ
DOODLEフィガロと賢者と中庭の猫中庭の猫 木漏れ日とベンチ、膝で丸くなる猫。ぴちちと鳴く鳥の声が聞こえる魔法舎の中庭で、漂ってくる甘い香りは誰かのアフターヌーンティーのものだろうか。
平和そのものといったその情景の中、何故か賢者は険しい表情で不自然な位置に腕を構えていた。
「…何しているの?」
「わっフィ」
フィガロが声をかけると、賢者は呼びかけた名前を押しとどめて、首だけで振り向いた。唇に人差し指を当てて、少し申し訳なさそうに、あるいは甘えるように囁く。
「ちょっとだけ、しーー…で」
おねだりに頷いて、ゆっくり近づいていく。賢者に拒否する気配はない。ちょっとだけ静かにしていれば近づいても良さそうだと判断して、隣に腰掛ける。
賢者の膝には、短毛種の猫が乗っていた。年老いており毛並みがパサついているが、健康ではあるようだ。しなやかな筋肉をもって、いつでも動ける程度には緊張している様子だった。静かにと釘を刺された理由はこれかと目星を付ける。賢者の耳に口を寄せて、抑えた音量で「かわいいね」と言えば機嫌良さそうに微笑んだ。小さな声の返事が返ってくる。
1497平和そのものといったその情景の中、何故か賢者は険しい表情で不自然な位置に腕を構えていた。
「…何しているの?」
「わっフィ」
フィガロが声をかけると、賢者は呼びかけた名前を押しとどめて、首だけで振り向いた。唇に人差し指を当てて、少し申し訳なさそうに、あるいは甘えるように囁く。
「ちょっとだけ、しーー…で」
おねだりに頷いて、ゆっくり近づいていく。賢者に拒否する気配はない。ちょっとだけ静かにしていれば近づいても良さそうだと判断して、隣に腰掛ける。
賢者の膝には、短毛種の猫が乗っていた。年老いており毛並みがパサついているが、健康ではあるようだ。しなやかな筋肉をもって、いつでも動ける程度には緊張している様子だった。静かにと釘を刺された理由はこれかと目星を付ける。賢者の耳に口を寄せて、抑えた音量で「かわいいね」と言えば機嫌良さそうに微笑んだ。小さな声の返事が返ってくる。
ごまど
DONE大大大遅刻マン参上☺️🌸まほやく2周年おめでとうございました!!!!3年目へも突っ走っていきましょうね。。。
小耳にはさむ第二部への反響が不穏すぎるので、この4人の笑顔をかき上げてからにしようしようと震えてました………。
なので近日中に第二部へ、ダイブ!します、、、、こわいよ、、、なんかもう解放されてるストーリーのサブタイトルだけで泣いちゃうよ、、世の賢者も魔法使いもみんな生きてる?? 3
simasimadayone
DONEヒュンマ村もくりから生まれた、ジャンプリミックス ダイの大冒険 輝け大破邪呪文~ポップ、賢者への道編⑤掲載のベンガーナデパート商品紹介からのネタ。(長い)商品としての岩石のお客様の声として、ヒュンが「文句なしのいい岩石」と感想を述べていた上、その岩石の絵がマァム修行中に使用されていた岩であった事から、ヒュンがマァムにデパートの岩石を差し入れした疑惑が生じ、村民の腹筋が崩壊した。
kurage_mogemoge
DOODLE大人になるまでそういう関係にはならないって、ちゃんと納得してそれでもいいそばにいられればいいって思ってたのに、ほろよい一本で酔ってふにゃふにゃ笑いながら不防備な姿を晒してくるのに色々募って、何とか着替えさせてベッドに寝かしつけた後、ソファの上で抜いてしまい賢者モードになった瞬間凄まじい自己嫌悪で「……」になるトシミチュ(好きシチュ)minato_kt
DONEファウスト先生が「幸せになるつもりはない」発言を東の子どもたちにうっかり聞かれて詰め寄られる話。ネロ視点。※賢者もいます。性別はどちらでも読める仕様です。
※Twitterからの再掲です。レイタ山脈スポエピ初読時に衝動で書きました。
しあわせを願う(東4人)「僕はもう、幸せになるつもりなんてない」
その言葉が聞こえた時、あ、まずいな、とネロは思った。
「えっ」
案の定、絶句したような声がして、前を歩いていたヒースクリフがどさどさと荷物を取り落とす。彼の隣を歩いていたシノもぴたりと足を止めて、微かに背中を強張らせている。
その音が聞こえたのだろう。何か話していたらしいファウストと賢者が、ゆっくりとこちらを振り返る。
「おまえ、今、幸せじゃなかったのか」
「先生、今、不幸なんですか……?」
「シノ、ヒース、今のは、」
口々に言い、駆け寄ってくる生徒たちに詰め寄られて、ファウストがたじろいでいる。賢者が空を仰いで、そろりと一歩後退った。
「俺たちの授業をしている時も……」
1750その言葉が聞こえた時、あ、まずいな、とネロは思った。
「えっ」
案の定、絶句したような声がして、前を歩いていたヒースクリフがどさどさと荷物を取り落とす。彼の隣を歩いていたシノもぴたりと足を止めて、微かに背中を強張らせている。
その音が聞こえたのだろう。何か話していたらしいファウストと賢者が、ゆっくりとこちらを振り返る。
「おまえ、今、幸せじゃなかったのか」
「先生、今、不幸なんですか……?」
「シノ、ヒース、今のは、」
口々に言い、駆け寄ってくる生徒たちに詰め寄られて、ファウストがたじろいでいる。賢者が空を仰いで、そろりと一歩後退った。
「俺たちの授業をしている時も……」
zasshu220
DONEフィガ晶♂です。とある賢者の書によって2人が色々と考えるだけの話です。 「好きだよ」と言われて、先生に呼ばれた生徒のように元気よく、大きな声で「はい!」と応えたのは少し前の話。いやいや点呼じゃないんだから……と、思い出すたびに晶は自室だろうが廊下だろうが頬を火照らせて呻き声を上げていた。
あれはフィガロの箒に乗って中央の国の市場に向かっていたときの出来事だった。空を飛ぶことにも慣れてきた晶が、川の中を覗き込むような調子で眼下の町並みを眺めていたときに、まるで「いい天気だね」と語りかけるかのようにさらりとフィガロが告げたのだ。
「君が好きだよ」
あまりに前触れもなく、それまでの会話の脈絡を無視した普段通りの口調に、晶は「はい」と返した。ほとんど反射的に応えていて、何も考えていなかった。「え?」は遅れてやってきた。
25474あれはフィガロの箒に乗って中央の国の市場に向かっていたときの出来事だった。空を飛ぶことにも慣れてきた晶が、川の中を覗き込むような調子で眼下の町並みを眺めていたときに、まるで「いい天気だね」と語りかけるかのようにさらりとフィガロが告げたのだ。
「君が好きだよ」
あまりに前触れもなく、それまでの会話の脈絡を無視した普段通りの口調に、晶は「はい」と返した。ほとんど反射的に応えていて、何も考えていなかった。「え?」は遅れてやってきた。
すすき
DOODLE魔法舎ブラカイ。最近めちゃくちゃ多忙なカインのことを賢者とブラッドリーが話してるだけ。
「何かちょっとやばい気がするから、ブラッドリーちゃんあとよろしく!」
「オズちゃんも気にしてたから早めにね!」
どうぞ、と紙を差し出され、ブラッドリーは眉間に皺を寄せた。その表情に、あれと賢者が首を傾げる。
「ブラッドリーが頼んだって聞いたんですけど…」
「んなもん頼んでねえよ」
ここ最近ブラッドリーが頼んだものと言えばフライドチキンぐらいなものである。それに賢者に何か頼むのならこんな回りくどいことはしない。必要ないと言い換えてもいい。
つまり、賢者に嘘を吹き込んでこの紙を用意させた者がいる。
「誰に言われた?」
問いかければ、賢者も何かを察したのか途端に視線が泳ぎだす。その顔を見れば自ずと答えはわかる。案の定小さく呟かれた双子の名に、ため息を吐いた。
「いいように遊ばれてんじゃねえぞ」
「うう、すみません…」
項垂れて小さくなった賢者の手から、紙を抜き取る。懲りずに双子に遊ばれた賢者に呆れはするが、それはそれとして何が書かれているかが気になった。あの二人がわざわざブラッドリーの名前を出してまで頼んだというのも引っかかる。
1259「ブラッドリーが頼んだって聞いたんですけど…」
「んなもん頼んでねえよ」
ここ最近ブラッドリーが頼んだものと言えばフライドチキンぐらいなものである。それに賢者に何か頼むのならこんな回りくどいことはしない。必要ないと言い換えてもいい。
つまり、賢者に嘘を吹き込んでこの紙を用意させた者がいる。
「誰に言われた?」
問いかければ、賢者も何かを察したのか途端に視線が泳ぎだす。その顔を見れば自ずと答えはわかる。案の定小さく呟かれた双子の名に、ため息を吐いた。
「いいように遊ばれてんじゃねえぞ」
「うう、すみません…」
項垂れて小さくなった賢者の手から、紙を抜き取る。懲りずに双子に遊ばれた賢者に呆れはするが、それはそれとして何が書かれているかが気になった。あの二人がわざわざブラッドリーの名前を出してまで頼んだというのも引っかかる。
am_sk22
DONEミスラと賢者♀ 何も始まっていない二人星影と言の葉と祝福の儀のカドスト後(※カドスト等ネタバレ有)
一部設定、性能を捏造しています。
目を開けると一面の空であった。少し明るくなってきているが日はまだ見えない。
記憶を遡るのには時間がかかった。死の湖にて儀式が終わったのは夜遅く。そこからミスラが眠りについて、私もいつの間にか寝てしまっていたらしい。起き上がって周りを見渡すと、寝そべってこちらを見ていた視線とぶつかった。
「おはようございます」
「ミスラ、おはようございます。あまり眠れなかったんですか」
「三回までは寝られました」
私が寝ている間も、起きては手を握ってを繰り返していたらしい。よく見れば手はミスラのものと繋がれたままであった。これは四、五回目ということだろうか。
「ミスラ、寝てしまってすみません。あの、扉を魔法舎に繋げてもらっても良いでしょうか。儀式をすることしかみんなに言ってないので早く戻らないと」
6787記憶を遡るのには時間がかかった。死の湖にて儀式が終わったのは夜遅く。そこからミスラが眠りについて、私もいつの間にか寝てしまっていたらしい。起き上がって周りを見渡すと、寝そべってこちらを見ていた視線とぶつかった。
「おはようございます」
「ミスラ、おはようございます。あまり眠れなかったんですか」
「三回までは寝られました」
私が寝ている間も、起きては手を握ってを繰り返していたらしい。よく見れば手はミスラのものと繋がれたままであった。これは四、五回目ということだろうか。
「ミスラ、寝てしまってすみません。あの、扉を魔法舎に繋げてもらっても良いでしょうか。儀式をすることしかみんなに言ってないので早く戻らないと」