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    風景

    sougetsu_nhz

    REHABILIなんか風景書きたくて書いたやつ
    恵まれた秋空に色づく木々の合間から覗く空は、よく晴れて高く蒼い。
    緩やかに歩ませる馬の背から眺める森の風景は穏やかだ。木々が陽光に向かい先を争って枝を広げ葉を茂らせる夏よりも、落葉樹が務めを果たした葉をいくらか放した今の方が森は明るい。暗がりを好む魔物は何処か他所へ去り、時折顔を見せる者達はおとなしく、冬支度にと落ちた木の実を集めている。
    歩む蹄の固い音は厚く積もった落ち葉に吸われてしまう。今アグロヴァルを包む光景は信じがたいほど静謐だった。
    午後から視察に出るとだけ言えば優秀な側近は事情を飲み込んだ。そもそも数日前に隣国の港に懇意の騎空団の艇が停泊しているという話を吹き込んできたのも彼であったので、特段驚くべきことでもないのだが、物わかりのよさが少々落ち着かない事案でもある。視察に行くと言いながら馬を引いてまで人出のある街と反対方向の森に来たのはそういう事情もあった。これから顔を合わせるだろう相手はどうせ、アグロヴァルがどこに姿を隠そうが勝手に見つけ出す。ただ察しのよすぎる側近には、どこかで示し合わせて落ち合うような気安さではないことを言い訳しておかなければならなかった。
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