麿
u2_wall
DOODLE・花と血と麿水ちゃんの小話・清麿くん視点、政府時代の回想的な妄想を含みます
・怪我や流血表現あり
・両片想い中だけどなんとなく距離は近い感じの二振です
「……痛」
任務帰りの夕暮れ時。
清麿は、不意に頬に感じた微かな痛みにその整った顔を僅かばかり歪めた。先の戦闘で何か顔を掠めたような気はしていたからそれが傷になったのだろうが、まあ大した損傷ではないから手入れするほどのものではないだろう。そう勝手に判断して、手入れ部屋には寄らずそのまま自室に戻ることにする。
下手に触れてしまったせいで手袋の指先が赤く染まってしまったことが少しだけ面倒だなと考えながら部屋に続く廊下を歩いていると、庭の方から風に吹かれて覚えのある香りが漂ってくることに気付いた。
(あれ、この匂い)
その気配に足を止めて庭の景色に目を向けると、小さな橙色の花をつけた木が見える。盛りは過ぎて幾らかの花は地面に落ちているが、その鮮やかな色は目に映る風景にまた別の彩りを添えている。
8199任務帰りの夕暮れ時。
清麿は、不意に頬に感じた微かな痛みにその整った顔を僅かばかり歪めた。先の戦闘で何か顔を掠めたような気はしていたからそれが傷になったのだろうが、まあ大した損傷ではないから手入れするほどのものではないだろう。そう勝手に判断して、手入れ部屋には寄らずそのまま自室に戻ることにする。
下手に触れてしまったせいで手袋の指先が赤く染まってしまったことが少しだけ面倒だなと考えながら部屋に続く廊下を歩いていると、庭の方から風に吹かれて覚えのある香りが漂ってくることに気付いた。
(あれ、この匂い)
その気配に足を止めて庭の景色に目を向けると、小さな橙色の花をつけた木が見える。盛りは過ぎて幾らかの花は地面に落ちているが、その鮮やかな色は目に映る風景にまた別の彩りを添えている。
ringofeb9
DOODLE夏ノ雪くにちょぎスピンオフ。きっとこういう物語もあったかもしれない。完全に後付け設定。2人を軍属にするかサナトリウムに入れるか悩んで後者を選びました。こういうの書いてみたいなっていう試し書きです。
昭和初期の設定なので現代にそぐわない表現や考えがありますが当時の時代背景を考慮した創作上のものですので悪しからずご了承ください。
君ノ記憶 学徒出陣の命が出されたのは昭和18年10月のことだった。大学生の水心子正秀も徴兵検査を受けて国のために戦う――はずだった。
「……診断に間違いは?」
窓から海が見える診察室でレントゲンのフィルムを睨む医者を見つめながら水心子は訊ねた。
「ないな。典型的な肺結核の所見だ」
カルテに万年筆を走らせながら金髪の医者は答えた。
「では、国のために私は戦えないということか」
「そうなるな。大人しくここで療養してもらうことになる」
「……」
水心子は俯いた。結核患者は徴兵の対象にはならないから命を賭して国のために戦うことは出来ない。
「そんな体で戦地に赴くと、あんたが結核を広めてしまう可能性がある。そうなるとこの国は戦力が大きく削られる」
3688「……診断に間違いは?」
窓から海が見える診察室でレントゲンのフィルムを睨む医者を見つめながら水心子は訊ねた。
「ないな。典型的な肺結核の所見だ」
カルテに万年筆を走らせながら金髪の医者は答えた。
「では、国のために私は戦えないということか」
「そうなるな。大人しくここで療養してもらうことになる」
「……」
水心子は俯いた。結核患者は徴兵の対象にはならないから命を賭して国のために戦うことは出来ない。
「そんな体で戦地に赴くと、あんたが結核を広めてしまう可能性がある。そうなるとこの国は戦力が大きく削られる」
慚愧マン
DOODLE熟女麿が最近のトレンドと聞いては筆をとるしかないッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!かわいいねッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(クソデカ大声)なつあき
DONE麿さに♀/ずっと傍にいると約束する小話。小さくも、愛は。 夕闇に染まりゆく黄昏時のとある日。小高い丘の上で菜の花畑を見つめる審神者の姿があった。時折吹くやわらかな夏の風が花弁をさらうと夕焼け空の向こうへ飛ばしていく。その様を審神者は、夕焼けの光に目を細めながら眺めていた。
「主」
「あら、こんばんは、清麿」
審神者の背に呼び掛けたのは、江戸三作が一振、源清麿だった。審神者の霊力に似た淡い藤色のかの刀は、審神者に近づくと「こんばんは、結構探したんだよ?」と微笑んだ。
「あらあら、ごめんなさい。何時もは書き置きするのだけど忘れていたわ」
「ふふっ、折角の休暇だからね。浮き足立つのもしょうがないよ」
とある本丸に影響を受けてかこの本丸も数日間の夏休みという休暇を設けていた。都サーバに繰り出して買い物を楽しむものもいれば、趣味に没頭するものや修行に励むものもいて個々に休暇を楽しんでいるようだった。
1228「主」
「あら、こんばんは、清麿」
審神者の背に呼び掛けたのは、江戸三作が一振、源清麿だった。審神者の霊力に似た淡い藤色のかの刀は、審神者に近づくと「こんばんは、結構探したんだよ?」と微笑んだ。
「あらあら、ごめんなさい。何時もは書き置きするのだけど忘れていたわ」
「ふふっ、折角の休暇だからね。浮き足立つのもしょうがないよ」
とある本丸に影響を受けてかこの本丸も数日間の夏休みという休暇を設けていた。都サーバに繰り出して買い物を楽しむものもいれば、趣味に没頭するものや修行に励むものもいて個々に休暇を楽しんでいるようだった。
sangan_a_x79mn
DOODLE冬に半纏&炬燵でも寒いので6歳ガちゃん(最強湯たんぽ)を抱っこする14歳清麿❄️ぽかぽかしてデレる清麿と、デレて🍊食べさせて貰えるのが嬉しくてたまらないガちゃんフスキ
DONE水麿家族パロ、まろくんが不倫に誘われる回。立ちはだかれ夫と娘!というお話です。(水麿家族パロ)不倫に誘おうものならば 水心子に見つけてもらって、抱きしめられたとき、清麿は本当に嬉しかった。心から安堵をした。彼から逃げたのは自分なのに、ずっと会いたかった。
結局己の帰るべき場所を、あのときすでに清麿は理解していたのだと思う。水心子もわかってくれていた。だから広い日本列島で再会できて、足掻きがうそのようにきちんと結ばれることができた。
運命はあのときからずっと笑顔で傍にある。
「ママ、かいわすれなんてめずらしいねえ」
「うう……ごめんね……」
コンビニの入口をくぐって、清麿は肩を落とし牛乳のコーナーに歩み寄る。娘のまひろが先にパックを重たそうに手に取って、清麿の持ったレジかごに入れてくれた。
「一本では足りないよね……もうひとつ買う? まひろたくさん飲むよね」
4068結局己の帰るべき場所を、あのときすでに清麿は理解していたのだと思う。水心子もわかってくれていた。だから広い日本列島で再会できて、足掻きがうそのようにきちんと結ばれることができた。
運命はあのときからずっと笑顔で傍にある。
「ママ、かいわすれなんてめずらしいねえ」
「うう……ごめんね……」
コンビニの入口をくぐって、清麿は肩を落とし牛乳のコーナーに歩み寄る。娘のまひろが先にパックを重たそうに手に取って、清麿の持ったレジかごに入れてくれた。
「一本では足りないよね……もうひとつ買う? まひろたくさん飲むよね」
ringofeb9
MOURNINGhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18766346のアナザーストーリーもしくはhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17806949の続き。江がメイン。江の関係性は共通の友人と思っていただければ。慣れないことを沢山しているので雰囲気でどうぞ。 15735フスキ
DONE水麿家族パロ、家族で家飲み回です。よっぱらいしんし再び。(水麿家族現パロ)家族で飲み会 明日は土曜。抱えていた仕事も一段落し、久しぶりにゆっくり休めるなあ、と思いながら帰宅したら、妻が『これ、いただいたんだ』と白ワインの瓶を見せてくれた。
「甘口だから、水心子も飲めるかなって。今晩一緒に開けない?」
すこしだけ窺うような表情で覗き込んでくる清麿に、いいね、と笑ってやると彼はぱあっと表情を明るくした。よほど嬉しかったのか、これ度数もそんなに高くなくてね、フルーティーだって評判のやつなんだよ、と矢継ぎ早に続けるので、水心子は吹き出してその額を小突く。
「いただきもの、は嘘だな? 買ってきたんだろ、わかるぞ」
そう言ったら、彼は口を開けて顔を真っ赤にした。慌てる清麿の足元、娘のまひろがけたけた笑う。
3005「甘口だから、水心子も飲めるかなって。今晩一緒に開けない?」
すこしだけ窺うような表情で覗き込んでくる清麿に、いいね、と笑ってやると彼はぱあっと表情を明るくした。よほど嬉しかったのか、これ度数もそんなに高くなくてね、フルーティーだって評判のやつなんだよ、と矢継ぎ早に続けるので、水心子は吹き出してその額を小突く。
「いただきもの、は嘘だな? 買ってきたんだろ、わかるぞ」
そう言ったら、彼は口を開けて顔を真っ赤にした。慌てる清麿の足元、娘のまひろがけたけた笑う。
u2_wall
DOODLE・両片思いだけど別にまだくっついてはいない(けど距離は近い)麿水ちゃん・前にTwitterに上げてたものに少しだけ加筆したものです
・最後の方に獅子王くんと長義くんが出てきます
「うわ」
どこかの時代──秋の終わりと冬の始まりが混ざる、肌寒い季節。
戦場に、一際強い風が吹き抜ける。その風に羽織った外套を捲られた水心子が、小さく声をあげた。
戦いが終わった残骸だけが転がる殺風景な場ではあったが、その風に煽られて辺り一面に色とりどりの楓の葉が舞う。その一瞬、風に流れる紅葉の群れが清麿の視界から水心子の姿を隠した。
「すごい風だね……。水心子、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。……あのな、この程度で飛ばされるわけないだろう」
咄嗟に水心子の手首を掴んだ清麿に、何をしているんだと水心子が笑う。まあ確かに人の身を飛ばすほどの風ではないと分かってはいるのだが、思わず手が出たのは反射的なものだ。あまり離れないでいてほしいという、ただの願望が溢れただけ。自分でも何をしているんだと思うようなものだから、ごめんねと笑って誤魔化した。
3864どこかの時代──秋の終わりと冬の始まりが混ざる、肌寒い季節。
戦場に、一際強い風が吹き抜ける。その風に羽織った外套を捲られた水心子が、小さく声をあげた。
戦いが終わった残骸だけが転がる殺風景な場ではあったが、その風に煽られて辺り一面に色とりどりの楓の葉が舞う。その一瞬、風に流れる紅葉の群れが清麿の視界から水心子の姿を隠した。
「すごい風だね……。水心子、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。……あのな、この程度で飛ばされるわけないだろう」
咄嗟に水心子の手首を掴んだ清麿に、何をしているんだと水心子が笑う。まあ確かに人の身を飛ばすほどの風ではないと分かってはいるのだが、思わず手が出たのは反射的なものだ。あまり離れないでいてほしいという、ただの願望が溢れただけ。自分でも何をしているんだと思うようなものだから、ごめんねと笑って誤魔化した。
フスキ
DONE水麿小説です!!養生本丸とふた×女のすいまろが出会うお話。ほぼまろとまろしか喋ってません。年末に書き出してたので年末設定です……両設定をお読みいただいている方はぜひ!(養生本丸とふたにょの水麿)この身体に積もる 雪が降るころになると、清麿は降り出す空のその高さにぞっとする。ふつうは秋にこそそう思うのだろうけれど、雪空のどこから降るのかを探ろうと視線を上向ければ、まるで吸い込まれそうに、天に昇ってしまいそうにある白を不思議とそう感じるのだった。
「本丸間交流だ~? この忙しい年末にか、政府連中は正気か?」
「まあ、彼らが正気だとはまったく思わないが」
大包平がしかめっ面でこぼした言葉を、水心子は腕を組んで苦笑しながら拾いあげた。寒い縁側に立ったままのやり取り、清麿は外を見ていた目を大好きな声につられて内に戻す。
「忙しさでいったら、こちらに来るという先方のものたちのほうがよほどだろう。彼らは今ごろ連隊戦の真っ最中だ」
5386「本丸間交流だ~? この忙しい年末にか、政府連中は正気か?」
「まあ、彼らが正気だとはまったく思わないが」
大包平がしかめっ面でこぼした言葉を、水心子は腕を組んで苦笑しながら拾いあげた。寒い縁側に立ったままのやり取り、清麿は外を見ていた目を大好きな声につられて内に戻す。
「忙しさでいったら、こちらに来るという先方のものたちのほうがよほどだろう。彼らは今ごろ連隊戦の真っ最中だ」