猫又
NekoRomans
DONE今度やるリアルキャラシ卓の【calling】のOP状態のお部屋、やるメンツには一応まだ見てほしく無いからこの状態で上げる、シンプル・イズ・ザ・ベストという事で……( ˇωˇ )パスはあなたはメンバーじゃないですか?って意味での『yes』で。
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DONE【「こういうのも悪くないかもな」】毎月300字小説企画第16回参加作品。
猫又と男子高校生のこれまでの日々。
「こういうのも悪くないかもな」 この四月から、俺もとうとう高校三年生になった。
つい先日入学したばかりのような感覚だが、あっという間に受験生である。
穏やかな高校生活を送りたかったのに、一年生の冬、初詣で訪れた神社で猫又と遭遇してしまってからは毎日のように振り回される日々。
家でも外でも、おまけに学校にまでやってきてちょっかい出してくるのは正直やめてほしい。ツッコミを我慢するのも大変なんだ。
……なんてことを自室の勉強机に向かいながらつらつらと考えていると、机の上に丸まっていた猫又に二股の尻尾で頬を撫でられた。
「なにをぼーっとしてるんですか、少年」
「……なんでもねえよ」
こんなの、憧れていた高校生活とはほど遠い。
けれども、まあ……。
336つい先日入学したばかりのような感覚だが、あっという間に受験生である。
穏やかな高校生活を送りたかったのに、一年生の冬、初詣で訪れた神社で猫又と遭遇してしまってからは毎日のように振り回される日々。
家でも外でも、おまけに学校にまでやってきてちょっかい出してくるのは正直やめてほしい。ツッコミを我慢するのも大変なんだ。
……なんてことを自室の勉強机に向かいながらつらつらと考えていると、机の上に丸まっていた猫又に二股の尻尾で頬を撫でられた。
「なにをぼーっとしてるんですか、少年」
「……なんでもねえよ」
こんなの、憧れていた高校生活とはほど遠い。
けれども、まあ……。
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DONE【酔いどれ猫又】毎月300字小説企画第15回参加作品。
猫又と男子高校生と出雲のお酒。
酔いどれ猫又 家に帰ると、俺の部屋で猫又が飲んだくれていた。
「お帰りなさい少年~」
「……なにやってんだ、お前」
「見ての通り月見酒ですよ~。昨年の出雲のお祭りで~、何本かもらってきて~、ちょっとずつ飲んでたんです~。これが最後の一本~」
「前にも思ったけど……あれは神様の集まりだろ。なんで妖怪が行ってんだよ?」
「あれね~、実を言うと~、人間以外は簡単に参加できるんですよ~」
そんなことより少年も一杯どうですか~、なんてムニャムニャ言いながら、猫又は狸が持っていそうな丸い徳利に巻きついてそのまま寝入ってしまった。
「……俺はまだ十七だっつーの。酒なんか飲めるかよ」
まったく、未成年の部屋を酒臭くしやがって! 換気、換気!
336「お帰りなさい少年~」
「……なにやってんだ、お前」
「見ての通り月見酒ですよ~。昨年の出雲のお祭りで~、何本かもらってきて~、ちょっとずつ飲んでたんです~。これが最後の一本~」
「前にも思ったけど……あれは神様の集まりだろ。なんで妖怪が行ってんだよ?」
「あれね~、実を言うと~、人間以外は簡単に参加できるんですよ~」
そんなことより少年も一杯どうですか~、なんてムニャムニャ言いながら、猫又は狸が持っていそうな丸い徳利に巻きついてそのまま寝入ってしまった。
「……俺はまだ十七だっつーの。酒なんか飲めるかよ」
まったく、未成年の部屋を酒臭くしやがって! 換気、換気!
skrsketch
MOURNING【話未完】子猫又料理帖モブカプの飯屋で料理を教えてもらうようになる猫又いちまつ(人間のふり)
データの整理をしてたら見つけた書きかけのネーム2。描き上げる余力がないので一旦ここで供養させてください。セリフしか置いてないコマもあります。話未完。
雰囲気で読んでいただけたら嬉しいです。 8
Sa_636_Ni
MENU🌷ケモエク霊のんびり日常日和③🌷【フルパワー猫又はフカモフ🐈⬛❤️🔥】
満月の日にしか見れない猫又エクの
フルパワー姿は嫁さんしか知らない姿らしい。
🦊『エクボー!モフらせろー!』と
他には見せたことないぐらいキラキラ期待した目ととびきりの笑顔になる嫁さん。
そんな顔を見てこの姿も悪くないと思う猫又エク🐈⬛
Sa_636_Ni
MENU🌼ケモパロエク霊🌼猫又エクボ✖️妖狐霊幻
・笑窪茶屋🍵お品書き
・2人のプロフィール
⚠️文字が小さめなので拡大してご覧下さい🙇🏻♀️
書きたい設定が有りすぎました…へへ☺️💦 3
u_tm_275
DONE【猫(又)のくせに】毎月300字小説企画第14回参加作品。
猫又と男子高校生と丸くなる場所。
猫(又)のくせに すっかりおなじみになってしまった猫又が、今日も今日とて俺のベッドの上ですやすやと寝息を立てている。
昨日は今の時期にしてはずいぶんと暖かかったからか、日中は日当たり良好な玄関先で丸まっていた。
その前は、リビングのソファの上で。そのまた前は、ダイニングテーブルの上で。
いつの間にか、我が家のいたるところで猫又の寝姿を目撃するようになっている気がする……なんだか、こいつが妖怪だってことを忘れてしまいそうだ。
「猫はコタツで丸くなるんじゃなかったのか?」
「ボクは猫じゃなくて猫又ですよ、少年」
「……」
独り言だったはずの揶揄に返事をされ、俺は思わず顔をしかめた。
忘れてたけど、お前は狸寝入りが得意なんだったな!
335昨日は今の時期にしてはずいぶんと暖かかったからか、日中は日当たり良好な玄関先で丸まっていた。
その前は、リビングのソファの上で。そのまた前は、ダイニングテーブルの上で。
いつの間にか、我が家のいたるところで猫又の寝姿を目撃するようになっている気がする……なんだか、こいつが妖怪だってことを忘れてしまいそうだ。
「猫はコタツで丸くなるんじゃなかったのか?」
「ボクは猫じゃなくて猫又ですよ、少年」
「……」
独り言だったはずの揶揄に返事をされ、俺は思わず顔をしかめた。
忘れてたけど、お前は狸寝入りが得意なんだったな!
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DONE【雪猫】毎月300字小説企画第13回参加作品。
猫又と男子高校生の雪の日。
雪猫 このところ暖かい日が続いていたが、今日は突然の寒波によりすっかり冬らしくなり雪まで降る始末だ。
なんとはなしに外に目をやれば、そこはまさしく銀世界。
「ずいぶん積もったな……ん?」
眼下でなにか動いた気がした。目を凝らしてみれば、どうやら雪の上を白猫が歩いているらしい。
……いや、違う。
(猫又じゃねえか!)
見慣れた二股の尻尾がご機嫌に揺れている。白猫と見間違えるほど雪にまみれて風邪をひかないのかと一瞬思ったが、そうだアイツは妖怪だ。気にするだけ馬鹿らしい。
無駄な心配をするよりも、雪まみれで部屋に侵入られないようにするのが先決だ。
俺はため息とともに、タオルを取るため、なくなく暖かい部屋を出ていった……。
338なんとはなしに外に目をやれば、そこはまさしく銀世界。
「ずいぶん積もったな……ん?」
眼下でなにか動いた気がした。目を凝らしてみれば、どうやら雪の上を白猫が歩いているらしい。
……いや、違う。
(猫又じゃねえか!)
見慣れた二股の尻尾がご機嫌に揺れている。白猫と見間違えるほど雪にまみれて風邪をひかないのかと一瞬思ったが、そうだアイツは妖怪だ。気にするだけ馬鹿らしい。
無駄な心配をするよりも、雪まみれで部屋に侵入られないようにするのが先決だ。
俺はため息とともに、タオルを取るため、なくなく暖かい部屋を出ていった……。
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PAST【クリスマスの装い】過去作サルベージ。
毎月300字小説企画第12回参加作品。
猫又と男子高校生とクリスマスの気配。
クリスマスの装い バイトからの帰り道――
帰路を急ぐ俺を呼ぶ声が塀の上から降ってきた。
「こんばんは、少年」
俺のことを〝少年〟なんて呼び方する奴はひとり……いや、一匹しかいない。眉をしかめて声のほうを見上げれば、顔なじみの猫又がなぜだかサンタの帽子を被って鎮座していた。
「それ、どうしたんだ?」
「これですか? 公園で昼寝してたら子どもに被せられたんです。意外と暖かいですよ」
当たり前のように俺の肩に飛び降りてきた猫又のその口ぶりからすると、どうやら気に入ったらしい。肩口で器用に丸まられると、帽子の飾りが頬をかすめて少しくすぐったい。
だがまあ。
「妖怪がクリスマスで浮かれた格好してるって、なんか面白いな」
「うるさいですよ!」
333帰路を急ぐ俺を呼ぶ声が塀の上から降ってきた。
「こんばんは、少年」
俺のことを〝少年〟なんて呼び方する奴はひとり……いや、一匹しかいない。眉をしかめて声のほうを見上げれば、顔なじみの猫又がなぜだかサンタの帽子を被って鎮座していた。
「それ、どうしたんだ?」
「これですか? 公園で昼寝してたら子どもに被せられたんです。意外と暖かいですよ」
当たり前のように俺の肩に飛び降りてきた猫又のその口ぶりからすると、どうやら気に入ったらしい。肩口で器用に丸まられると、帽子の飾りが頬をかすめて少しくすぐったい。
だがまあ。
「妖怪がクリスマスで浮かれた格好してるって、なんか面白いな」
「うるさいですよ!」
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PAST【ベッド争奪戦】過去作サルベージ。
毎月300字小説企画第11回参加作品。
猫又と男子高校生の陣取り合戦。
ベッド争奪戦 家に帰ると、すっかり顔なじみになってしまった猫又が我がもの顔で熟睡していた。
俺の部屋で。
俺のベッドのど真ん中で。
「……起きろ、猫又」
「んにゃむ……」
声をかけても、むにゃむにゃ寝言を言うばかりでいっこうに目を覚ます気配がない。うーん、腹立つな!
「だあーーーっ! 毎度毎度ひとの寝床を奪いやがって! おら! どけ!」
猫又をベッドから追い出そうとするが、小柄とはいえさすがは妖怪。まったくもってビクともしない。
しかし、ビクともしないということは。
「……おい、お前起きてんだろ」
「おや、バレましたか」
狸寝入りをかましてやがった猫又が涼しい顔でベッドから降りていく。
これにて、本日のベッド争奪戦は終了だ……やれやれ。
340俺の部屋で。
俺のベッドのど真ん中で。
「……起きろ、猫又」
「んにゃむ……」
声をかけても、むにゃむにゃ寝言を言うばかりでいっこうに目を覚ます気配がない。うーん、腹立つな!
「だあーーーっ! 毎度毎度ひとの寝床を奪いやがって! おら! どけ!」
猫又をベッドから追い出そうとするが、小柄とはいえさすがは妖怪。まったくもってビクともしない。
しかし、ビクともしないということは。
「……おい、お前起きてんだろ」
「おや、バレましたか」
狸寝入りをかましてやがった猫又が涼しい顔でベッドから降りていく。
これにて、本日のベッド争奪戦は終了だ……やれやれ。
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PAST【何色なのか】過去作サルベージ。
毎月300字小説企画第10回参加作品。
猫又と男子高校生の縁の糸。
何色なのか「知ってますか、少年。運命の赤い糸って、実在するんですって。しかも、縁の糸は赤以外にもたくさん種類があるそうですよ」
「へえ……」
この世には、フィクションだと思われている妖怪だって当然のように存在するのだ。現に今、俺の目の前では猫又が俺のベッドの上で我がもの顔でくつろいでいる。
だから、縁の糸が存在したとしてもなんら不思議ではない。
「……で、それがどうしたんだ?」
「別に。先日、出雲のお祭りで縁結びを司る神様から聞いたのをふと思い出したので」
なんで神様の集まりに猫又が顔出してんだ……なんて、聞いてもろくな答えは返ってこないんだろうな。
「縁の糸ねえ……」
366「へえ……」
この世には、フィクションだと思われている妖怪だって当然のように存在するのだ。現に今、俺の目の前では猫又が俺のベッドの上で我がもの顔でくつろいでいる。
だから、縁の糸が存在したとしてもなんら不思議ではない。
「……で、それがどうしたんだ?」
「別に。先日、出雲のお祭りで縁結びを司る神様から聞いたのをふと思い出したので」
なんで神様の集まりに猫又が顔出してんだ……なんて、聞いてもろくな答えは返ってこないんだろうな。
「縁の糸ねえ……」
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PAST【向日葵】過去作サルベージ。
毎月300字小説企画第9回参加作品。
猫又と男子高校生と向日葵。
向日葵 我が家では、毎年夏になると向日葵が大輪の花を咲かせる。夏生まれの俺の花だからと、両親が庭の一画で育てているのだ。
俺は男なのになぜ花を育てるのか。
花=女の子のものと思っていた幼少期に両親に尋ねたことがある。
返ってきた答えは――
「向日葵のように明るく育ってほしいから……ね。暗い子だったんですか?」
「他人には見えないものが視える、聞こえないものが聴こえる……暗くならないほうが難しいだろ」
幸い、前述の通り両親から大事にされて育ったおかげで、そこまでひねくれずに済んだんだが。
「俺の分まで食うなよ、猫又」
「はいはい」
――今年も立派に咲いた向日葵から収穫した種をつまみながら、猫又と無駄話ができるぐらいには。
349俺は男なのになぜ花を育てるのか。
花=女の子のものと思っていた幼少期に両親に尋ねたことがある。
返ってきた答えは――
「向日葵のように明るく育ってほしいから……ね。暗い子だったんですか?」
「他人には見えないものが視える、聞こえないものが聴こえる……暗くならないほうが難しいだろ」
幸い、前述の通り両親から大事にされて育ったおかげで、そこまでひねくれずに済んだんだが。
「俺の分まで食うなよ、猫又」
「はいはい」
――今年も立派に咲いた向日葵から収穫した種をつまみながら、猫又と無駄話ができるぐらいには。
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PAST【狩猟本能】過去作サルベージ。
毎月300字小説企画第8回参加作品。
猫又と男子高校生と青い鳥。
狩猟本能 俺の部屋の勉強机の上には、幼い頃に親戚から旅行土産にともらった幸せの青い鳥の置き物がある。特に鳥が好きというわけではないけれど、一度飾ってからなんとなくそのままにしてあった。
知り合ってほどなくから何度となく勝手に俺の部屋に侵入りまくっている猫又は、どうやらその鳥がいたくお気に入りらしい。今日もまた、机の上に飛び乗ってフンフンと鼻を寄せている。
……正直言ってとても邪魔なんだが、言っても無駄なことは分かりきっているので大人しく我慢しよう。
「それ、落とすなよ」
「分かってますよ」
鳥を前足でちょいちょいとつつきながら、こちらに見向きもせずに返事をする猫又の金色の瞳は、まん丸に見開かれ爛々と輝いていた。
329知り合ってほどなくから何度となく勝手に俺の部屋に侵入りまくっている猫又は、どうやらその鳥がいたくお気に入りらしい。今日もまた、机の上に飛び乗ってフンフンと鼻を寄せている。
……正直言ってとても邪魔なんだが、言っても無駄なことは分かりきっているので大人しく我慢しよう。
「それ、落とすなよ」
「分かってますよ」
鳥を前足でちょいちょいとつつきながら、こちらに見向きもせずに返事をする猫又の金色の瞳は、まん丸に見開かれ爛々と輝いていた。
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PAST【ふわふわの目覚まし時計】過去作サルベージ。
毎月300字小説企画第7回参加作品。
猫又と男子高校生の休日の朝。
ふわふわの目覚まし時計 カーテンの隙間から差し込む陽射しにそろそろ起きなければと思いつつも、ベッドから離れがたい休日の朝――
まどろみに身を委ねる俺の頬に、ふと柔らかいものが触れたのを感じて意識が浮上する。なんだと思う間もなく、それは耳元へと移動してきた。
「ぶははっ! なんだよもう!」
あまりのくすぐったさに笑いながら目を開けば、枕元にゆらゆらと踊る二本の尻尾が。その持ち主はと見遣れば、小柄な猫又が丸まってスヤスヤと寝息をたてていた。
いつの間に侵入ってきたんだこいつ……。
起こされた腹いせに起こし返してやろうかとも思ったが、穏やかな寝顔にそんな邪気も削がれてしまう。
「……さて、起きるか」
俺は苦笑をこぼし、ウーンと伸びをした。
335まどろみに身を委ねる俺の頬に、ふと柔らかいものが触れたのを感じて意識が浮上する。なんだと思う間もなく、それは耳元へと移動してきた。
「ぶははっ! なんだよもう!」
あまりのくすぐったさに笑いながら目を開けば、枕元にゆらゆらと踊る二本の尻尾が。その持ち主はと見遣れば、小柄な猫又が丸まってスヤスヤと寝息をたてていた。
いつの間に侵入ってきたんだこいつ……。
起こされた腹いせに起こし返してやろうかとも思ったが、穏やかな寝顔にそんな邪気も削がれてしまう。
「……さて、起きるか」
俺は苦笑をこぼし、ウーンと伸びをした。
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PAST【器用な尻尾の産物】過去作サルベージ。
毎月300字小説企画第6回参加作品。
猫又と男子高校生と山盛りエノコログサ。
器用な尻尾の産物 家に帰ると、俺の部屋で大量のエノコログサ――ねこじゃらしが待っていた。
どこから持ってこられたかは分からんが、誰が持ってきたかは一目瞭然。
「猫又!」
「なんですか、少年?」
俺の怒声に、ねこじゃらしの山から猫又が顔を出す。
「なんですか? じゃないわ! 人のベッドの上に変な山を築くな!」
「変な、とは失礼な。エノコログサですよ」
「名前の話じゃねえ!」
だいたい、こんな大量にどうしたんだ。
尋ねてみれば、自分で摘んできたと言う。
「こう、ひょいっと採るのが楽しくなっちゃって」
山の中から数本、二股の尻尾で持ち上げて手折る仕草をしてみせる姿は、なるほど器用だ。
……だからって。
「なんで俺の部屋に持ってくるんだよーーー!」
339どこから持ってこられたかは分からんが、誰が持ってきたかは一目瞭然。
「猫又!」
「なんですか、少年?」
俺の怒声に、ねこじゃらしの山から猫又が顔を出す。
「なんですか? じゃないわ! 人のベッドの上に変な山を築くな!」
「変な、とは失礼な。エノコログサですよ」
「名前の話じゃねえ!」
だいたい、こんな大量にどうしたんだ。
尋ねてみれば、自分で摘んできたと言う。
「こう、ひょいっと採るのが楽しくなっちゃって」
山の中から数本、二股の尻尾で持ち上げて手折る仕草をしてみせる姿は、なるほど器用だ。
……だからって。
「なんで俺の部屋に持ってくるんだよーーー!」
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PAST【待宵月】過去作サルベージ。
毎月300字小説企画第5回参加作品。
猫又と男子高校生の満月前夜。
待宵月 自室のベッドに寝転がり本を読んでいると、頭上の窓の外が急に明るくなったように感じ、俺は光源を探して顔を上げた。するとそこには、雲間から姿を現した大きな月が。
「すげえ……満月かな」
「いいえ、待宵月ですよ」
……独り言への返事にももう慣れてしまった。
声がしたほうを見遣れば、やはりそこには、いつの間にか侵入ってきたらしい猫又の姿が。
「なんだって?」
「待宵月です。満月の一日前の月のことですよ」
「へえ……」
永く生きているだけあって、そういう知識は豊富なんだなあ。
「じゃあ、明日は満月か」
「そうですよ」
満月だと知ると、不思議と明日の夜が待ち遠しく感じてきた。月を愛でる日本人の性だろうか。
明日も晴れますように!
341「すげえ……満月かな」
「いいえ、待宵月ですよ」
……独り言への返事にももう慣れてしまった。
声がしたほうを見遣れば、やはりそこには、いつの間にか侵入ってきたらしい猫又の姿が。
「なんだって?」
「待宵月です。満月の一日前の月のことですよ」
「へえ……」
永く生きているだけあって、そういう知識は豊富なんだなあ。
「じゃあ、明日は満月か」
「そうですよ」
満月だと知ると、不思議と明日の夜が待ち遠しく感じてきた。月を愛でる日本人の性だろうか。
明日も晴れますように!
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PAST【ある朝の攻防】過去作サルベージ。
毎月300字小説企画第4回参加作品。
猫又と男子高校生の攻防。
ある朝の攻防「……猫又。なにやってんだ」
「見てのとおり遊んでます。少年はこれから学校ですか?」
「ああ、そうだよ! だから早く俺の靴から出ろ! 靴紐にじゃれるな! おろしたてなんだぞ!」
せっかくの新しい靴を履く前から毛だらけにされるなんて最悪だ!
しかし、ここで俺が怒り狂ったところでどこ吹く風だろう。妖怪は人間の都合なんてお構いなしなのだ。
気持ちを静めるために深呼吸を繰り返し、猫又を靴の中から追い出す。よかった、思ったより毛は付いていない。
諦め悪く伸びてくる前脚を避けながら靴を履き終え立ち上がれば、猫又が音もなく肩に飛び乗ってきた。
「……学校まではついてくんなよ」
「分かってますよ」
そのニヤニヤ笑い、信用できねえな!
335「見てのとおり遊んでます。少年はこれから学校ですか?」
「ああ、そうだよ! だから早く俺の靴から出ろ! 靴紐にじゃれるな! おろしたてなんだぞ!」
せっかくの新しい靴を履く前から毛だらけにされるなんて最悪だ!
しかし、ここで俺が怒り狂ったところでどこ吹く風だろう。妖怪は人間の都合なんてお構いなしなのだ。
気持ちを静めるために深呼吸を繰り返し、猫又を靴の中から追い出す。よかった、思ったより毛は付いていない。
諦め悪く伸びてくる前脚を避けながら靴を履き終え立ち上がれば、猫又が音もなく肩に飛び乗ってきた。
「……学校まではついてくんなよ」
「分かってますよ」
そのニヤニヤ笑い、信用できねえな!
u_tm_275
PAST【見送る側】過去作サルベージ。
毎月300字小説企画第3回参加作品。
猫又と男子高校生と別れの季節。
見送る側 春は出会いと別れの季節とよく言うが、三月は卒業シーズンなのもあって、出会いより別れの気配を色濃く感じる。
かくいう俺も、この時期になると決まって、幼い頃海外に引っ越す幼なじみを空港で見送った日のことを思い出してしんみりしてしまう。今でも手紙やメッセージのやり取りは続いているけれど、直接会えないのはやはり寂しいものだ。
(二度と会えないとなると、なおさらだろうな……)
猫又は何百年と生きてきたのだ。
途方もない時間の中、何度大切なものを見送ってきたのだろう。
いつも散々からかわれている身としては仕返しできるネタは大変貴重だが、猫又の瞳に時おり寂しさが滲むのを、俺は気づかないふりをしておいてやろうと決めた。
336かくいう俺も、この時期になると決まって、幼い頃海外に引っ越す幼なじみを空港で見送った日のことを思い出してしんみりしてしまう。今でも手紙やメッセージのやり取りは続いているけれど、直接会えないのはやはり寂しいものだ。
(二度と会えないとなると、なおさらだろうな……)
猫又は何百年と生きてきたのだ。
途方もない時間の中、何度大切なものを見送ってきたのだろう。
いつも散々からかわれている身としては仕返しできるネタは大変貴重だが、猫又の瞳に時おり寂しさが滲むのを、俺は気づかないふりをしておいてやろうと決めた。
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PAST【嘘か、真か、】過去作サルベージ。
毎月300字小説企画第2回参加作品。
猫又と男子高校生とチョコレート。
嘘か、真か、 バレンタインデーが近づくと、どこもかしこもチョコレートの甘い匂いで満ちてくる。甘いもの好き、とくにチョコ好きな俺にとっては嬉しい限りだ。
近頃は逆チョコなるものもメジャーになってきたおかげで、男がバレンタイン向けの催事場にいても白い目で見られないのもまた嬉しい。
ここぞとばかりに気になっていたチョコをいくつか自分用に見繕い、ホクホクしながら帰路に着くと、肩の上から憐れむような声が降ってきた。
「自分でチョコレートを購入って……」
「うるさいぞ、猫又! 自分が食いたいもんを自分で買ってなにが悪い!」
もらえないから買ってるんじゃないし! 毎年ちゃんと女子からもらってるし! ……おい、なんだその顔! 嘘じゃないぞ!
331近頃は逆チョコなるものもメジャーになってきたおかげで、男がバレンタイン向けの催事場にいても白い目で見られないのもまた嬉しい。
ここぞとばかりに気になっていたチョコをいくつか自分用に見繕い、ホクホクしながら帰路に着くと、肩の上から憐れむような声が降ってきた。
「自分でチョコレートを購入って……」
「うるさいぞ、猫又! 自分が食いたいもんを自分で買ってなにが悪い!」
もらえないから買ってるんじゃないし! 毎年ちゃんと女子からもらってるし! ……おい、なんだその顔! 嘘じゃないぞ!
u_tm_275
PAST【出逢い初め】過去作サルベージ。
毎月300字小説企画第1回参加作品。
猫又と男子高校生の出逢い。
出逢い初め 初詣で、猫又に出逢ってしまった。
「こんにちは、少年」
参拝中――突然の呼びかけに顔を上げてから、やってしまったと後悔した。
思わず渋面になる俺を面白がるように、目の前では声の主――賽銭箱の上に行儀よく座る小柄な三毛猫が目を細めて微笑んでいる。猫が小首をかしげると、首輪についた小さな鈴が、ちりん、と軽やかな音を響かせた。
「妖怪の姿だけでなく言葉まで認識できる人間なんて、何百年ぶりでしょう。ねえ、お友達になってくださいよ」
にこやかな声音とともに、二股の尻尾が嬉しそうに揺れている。
――ああ、神様。たしかに俺はついさっき、出逢いが欲しいと願ったけれど。
「……人外のオスとの出逢いなんて求めてねえーーー!」
337「こんにちは、少年」
参拝中――突然の呼びかけに顔を上げてから、やってしまったと後悔した。
思わず渋面になる俺を面白がるように、目の前では声の主――賽銭箱の上に行儀よく座る小柄な三毛猫が目を細めて微笑んでいる。猫が小首をかしげると、首輪についた小さな鈴が、ちりん、と軽やかな音を響かせた。
「妖怪の姿だけでなく言葉まで認識できる人間なんて、何百年ぶりでしょう。ねえ、お友達になってくださいよ」
にこやかな声音とともに、二股の尻尾が嬉しそうに揺れている。
――ああ、神様。たしかに俺はついさっき、出逢いが欲しいと願ったけれど。
「……人外のオスとの出逢いなんて求めてねえーーー!」