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    食欲

    杜蘭―とらん―

    MAIKING現パロのひぜなんです

    大学図書館職員の南海先生と、猫の肥前くんの出会いのお話です 続くかは分からない…

    ▶南海 朝尊(なんかい ともたか)
    28歳 私大の図書館司書。 本の虫で人付き合いが悪い。
    ▶ひぜん
    ?歳 猫。食欲旺盛でじゃれて遊ぶのは好きではない


    ※フィクションです。ペット禁止の集合住宅でペットを飼ってはいけませんしまたそれを推奨する目的はありません。
    猫も雨天に夢を見る.






    ここ最近、家に居着き始めた黒猫。

    僕が仕事から帰る時間を見計らったかのようにアパートの扉の前で待っているその黒猫は、夕方頃に僕が階段を上がってくるのを見つけると足元へやってきて一つも鳴くことなく目だけで訴える。

    中に、入れろと。

    扉を開ければ家主である僕を先導するように悠然と室内へ入り、すっかりお気に入りになったらしいソファの隅を我が物顔で陣取る。寝ようとしたところで毛布をめくるとベッドの真ん中へやってきて僕のことをお構い無しに伸びて寝ることもあった。すっかり自分の家のように振る舞ってはいるし夜寝ていると枕元へ来ることもあるのだが、何故か彼は、朝には忽然と姿を消している。
    初日こそご飯を食べて満足したのだろう、飼い主の元へ帰ったのだろうと思ったが、その日もまた前日の時のように、僕が帰宅すると玄関の前に行儀よく座って彼は僕を待っていた。
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    さめしば

    MOURNING※供養※ 灼カバワンドロワンライのお題「食欲の秋」で書き始めた作品ですが、タイムアップのため不参加とさせていただきました。ヴィハーンと山田が休日にお出掛けする話。⚠️大会後の動向など捏造要素あり
     しゃくっ。くし切りの梨を頬張って、きらきらと目を輝かせる男がひとり。
    「……うん、おいしー! すごくジューシーで甘くって……おれの知ってる梨とはずいぶんちがう!」
     開口一番、ヴィハーンの口から出た言葉はまっすぐな賞賛だった。「そりゃよかった」と一言返してから俺は、皮を剥き終えた丸ごとの梨にかぶりついた。せっかくの機会だ、普段はできない食べ方で楽しませてもらおう。あふれんばかりの果汁が、指の間から滴り落ちる。なるほどこれは、今まで食べたどの梨より美味い。もちろん、「屋外で味わう」という醍醐味も大いに影響しているのだろう。
     ——俺とヴィハーンはふたり、梨狩りに訪れていた。

     長かった夏の大会が幕を閉じ、三年生はみな引退し、そしてヴィハーンは帰国の準備を着々と進めていた十月下旬のある日——「帰る前になにか、日本のおいしいものを食べたい!」ヴィハーンから俺に、突然のリクエストが降って湧いたのだった。
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    DONE2023年タケ漣WEBオンリーのネップリ企画(テーマは食欲の秋!)で書いた、タケ漣のSF(少し不思議)です。
    人を食ったような男の話ですが、グロでもカニバでもないです。
    犬も食わない。 秋といえば食欲の秋だ。でも、食欲の秋だからってなんでもかんでも食べていいってわけじゃないだろう。まして、人を食べるだなんて。
     人を食ったような性格、という言葉はアイツにピッタリだけど、まさか本当に人を食うとは思わないじゃないか。しかも、俺が食われるとは夢にも思っていなかった。
     人生で、何かに食われることがあるなんて考えたこともなかった。アイツは意味がわかんないやつだけど、ここまで意味がわからないやつだとは。
     俺が食われたとは言っても、それは捕食みたいな猟奇的なことではなくて……なんていか、隠すって感じなのかなってぼんやり思う。食われた自覚はあるけれど、俺は無傷で意識もはっきりある。
     なんというか、和風のホラーゲームで見たような、神隠しと似ている感じがする。あれは帰り道のことだったか。アイツが大きく口を開けた瞬間、一瞬だけ意識が暗転して気がついたら俺は知らない場所にいた。よくわかんないけど、ぱくりと丸呑みにされたって──食われたって感覚がある。
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