Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    遊園地

    abicocco

    PAST※ノーマルEND革命後のレムラキ
    前回の続きでまわりに恋人と偽ってるふたり。
    今回のキーワードは『遊園地』『ナンパ』です。
    続き→https://poipiku.com/4491035/9387275.html
    偽装交際3 人間が生まれ持った慣れという習性は逞しいものだ。はじめはあれだけラキオの『あーん』にまごついていたレムナンも、外食のたび同じ行為を繰り返されるうちに、今では自ら口を開けて待つようになった。すっかり今の特殊な状況に順応したレムナンの態度を「相変わらず君は神経が太い」と評して、面白くなさそうに彼の口へとスプーンを差し込むラキオも、恋人役が随分板についてきたようだ。
     ラキオが示した恋人として正しい距離感を演じるため、今のふたりの物理的距離は関係を結ぶ前と比べて大分近い。テーブルを挟み向かい合って座っていた食事の席は隣同士に。人一人分の空間を空けていたふたりのパーソナルスペースは拳二つ分にまで縮まった。そして、それと同時に互いの身体が触れ合う機会も自然と増えた。隣に座っていれば『あーん』をしていない時でも、ふとした瞬間に肩が触れ合ったり、相手の髪の香り——同じ洗髪剤を使用しているため、香り自体は自分が纏っているものと同じはずなのだが——を感じたりすることもあるし、すぐ近くで歩いていれば内側にある手同士が意図せず当たってしまうことだってある。
    7626

    16natuki_mirm

    DONE8/27の悪学で無配にしたもの。うぶうぶなさとあすが遊園地デートするお話。
    「Paradise on sea!」の、佐藤くん視点のサイドストーリーです。
    Paradise~の裏話的なお話なので、どちらから読んでも大丈夫なようにはなっていますが、Paradise~から読んで頂く想定で書いています。
    きみのいろをさがす デートである。
     やっとこぎ着けた、念願の、紛れもないデートである。
     編集者と作家としてだけの関係でしか無かった入間と有栖が、プライベートでも食事に行くようになったのはしばらく前のことだ。それから、仕事の取引相手と行くには随分とムードのある飲食店で、酒を交えた食事を重ねているのだから、これはもうほぼ、付き合っていると言っていい筈だ。
     明確に言葉にしたわけでは無いけれど、中高生ではあるまいし、社会人になってわざわざ「付き合ってください!」もないだろう――と、「編集者」と呼ばれる人種の中で過ごしている入間は考えている。
     はじめこそ、売れっ子作家と新人編集者という立場上、有栖のことは、ちょっと怖い、なんて思っていた入間だったが、あっという間にその、キツい言葉の裏に隠れた――もとい、全く隠し切れていない――本心とか、ふとした瞬間に見せる幼さの残る笑顔とか、仕事に妥協をしない姿勢とか、それから、ちょっとだけ、美味しいものをたくさん食べさせてくれるところとか、に夢中になった。夕方頃に校正用の試し刷りを持って行ったときなんか、分かりやすくそわそわと何かを期待するように落ち着かないそぶりを見せて、仕事が片付いた後食事に誘えば嬉しそうに承諾してくれる――口先では、仕方ないから付き合ってやる、なんて言うけれど、本心と裏腹のことを言うとき、必ず話し始めの一言を言い淀む、本人は気付いていないらしい癖に、入間はちゃんと気付いている――ところなんか、たまらなく可愛い。
    4998