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    なつとまと

    DONEライオンの獣人レオ×スナネコの獣人司
    【敵将の血筋のサラブレッドなくっころ戦士朱桜司を気に入って、それまで妃の一人もいなかった後宮《ハレム》に連れて帰っちゃう王さま月永レオっていう王国パロが読みたい。】という妄想ツイートを頑張って発展させて書いてみました。
    色々設定盛り込んじゃったので後日設定資料ちゃんと作って出します。
    花盗人は愛を詠う獣人たちの住む大陸、ディール。その東側に位置する花の国ニャフラと音楽の国ミュゼカは領土を争い、戦いを繰り広げてきた。そんな中、ニャフラの若き将でスナネコの獣人、朱桜司は数人の部下を連れて国境の森に敵国の偵察のため訪れていた。
    耳をピンと立てて鼻を動かす。
    「ふむ…特に怪しい匂いなどないですね。みなさん、なにか痕跡は見つかりましたか。」
    部下たちに呼びかけると一様に首を横に振る。
    猫の嗅覚は犬ほどではないが優れている。人口に占める猫の獣人の数が多いニャフラではこうして足音を潜め、匂いを辿ることが基本的な偵察方法だ。
    「よぉ。おまえらここで何してんの?」
    「誰です!?」
    緑の狩人服に顔には仮面、耳としっぽはライオンの男が木から降りて司たちの前に立ちはだかった。司たちは声をかけられるまで気配に全く気づけなかった。
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部12話
    後のクロウリー学園長=カラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第12話です。日々研鑽に励む王妃グリムヒルデが女王となる日がついにやって来ました。しかしグリムヒルデは意外なことに……。
    (本文約3100文字/豆知識(サファイアについて)410文字)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部⑫話「喪服と戴冠」 王妃は公務と秘薬の研究にいそしみつつも、決して忘れないことがあった。
     それは自らの「美」を磨く努力だった。
    「私はね、世界一美しくなければいけないの。いつどこで誰に見られても、この美で魂すらつかめるようなカリスマにならなければ。我が君亡き今、たみを従え諸国と渡り合うためには、私自身にカリスマ性が必要。秘薬でからめ取るのは補助に過ぎないのよ。勝負は第一印象で決まるの。だから絶対手を抜いては駄目」
     そして彼女は、毎朝毎晩、あの魔法の鏡に尋ねるのだ。
    「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは誰?」
     と。すると鏡は必ず応える。
    「王妃様、貴女あなたさまが世界で一番美しい」
     ディアヴァルには、王妃はそうやって鏡に尋ね、答えを得ることで自分を鼓舞しているように見えた。なんて強い女性ひとなのだろう。夫を失い、突然国政を任されて辛い日々なのに、それを他人に見せることもなく一人で運命に立ち向かっている。その姿を見ているだけで、心の底から深い尊敬の念と狂おしいほどの愛おしさが湧き上がってくるのだった。
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部11話
    後のクロウリー学園長=カラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第11話です。
    隣国の王を退けてからの王妃は、ディアヴァルを連れて毎日のように地下室へと降りてゆき、秘薬の研究をするようになります。ある日、王妃は子ども時代の思い出を語り始めました。それは哀しい物語だったのです…。
    (本文約3000文字/豆知識(魔女の大釜について)約1160文字)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部⑪話「王妃、生い立ちを語る」 隣国の王が穏便おんびんに帰っていってからのこと。
     ディアヴァルは今では城のあちこちに出入りして、時に姿を見せつけ、時にひっそりと物陰に隠れて聞き耳を立てて人々の噂を集めていた。それをグリムヒルデに伝えることは出来なくても、いつか役に立つこともあるかもしれない。それに何よりも、愛する人がどう評価されているのか気になってしまったのだ。
     人々の噂は、はっきりと変化していた。
     いまや王妃は、一日の多くを地下室で過ごすようになった。寂しがる姫には、おかあしゃまは大事なお仕事があるから、と言い聞かせて乳母に任せ、ディアヴァルを伴って地下へと降りてゆく。そこで秘薬の調合の研究に没頭するのだった。
     そんな日が続くと、城の中には「王妃は魔女だ」という噂が再び囁かれるようになった。ただ、以前とは違って、その囁きはおそれこそ含んではいたが、悪意は含まれていなかった。
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第2部第8話
    後のクロウリー学園長=カラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第8話です。
    王妃と再会したディアヴァルは、ずっと側にいて欲しいと言われて幸福に酔いしれるのだった。そこへ誰かがドアを開けて入ってきた…。(本文約1630文字/豆知識は今回はお休みです。支部移植字に話数が減る予定なので今回はそれを見込んでの調整です)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部八話「命名」 ディアヴァルが王妃グリムヒルデに背中を撫でられて恍惚こうこつとなっていたその時、部屋のドアがキィっと開く音がした。
     誰か来た?! まさか追い払われたりはしないだろうか。王妃に魔女の疑いがかかってしまったりしたらどうしよう……。
     そんな心配が頭の中を駆け巡る。
     だが、次の瞬間、部屋に飛び込んできたのはスノーホワイト姫だった。
    「おかあしゃま、あのね……」
     そう言いかけた姫の顔はたいそう寂しげで、ディアヴァルはこんな小さな女の子がこんなにも寂しげな顔をするなんて、と胸を痛めた。が、次の瞬間、姫の顔がぱっと輝いた。
    「あっ!! カラスしゃん!! カラスしゃんだ!!」
    「そうよ、カラスさんが遊びに来てくれたのよ」
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