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    シュガー

    💤💤💤

    INFO『シュガーコート・パラディーゾ』(文庫/152P/1,000円前後)
    9/19発行予定のモクチェズ小説新刊のサンプルです。
    同道後すぐに恋愛という意味で好きと意思表示してきたチェズレイに対して、返事を躊躇うモクマの話。サンプルはちょっと不穏なところで終わってますが、最後はハッピーエンドです。
    【本文サンプル】『シュガーコート・パラディーゾ』 昼夜を問わず渋滞になりやすい空港のロータリーを慣れたように颯爽と走り去っていく一台の車——小さくなっていくそれを見送る。
    (…………らしいなぁ)
    ごくシンプルだった別れの言葉を思い出してると、後ろから声がかかった。
    「良いのですか?」
    「うん? 何が」
    「いえ、随分とあっさりとした別れでしたので」
    チェズレイは言う。俺は肩を竦めて笑った。
    「酒も飲めたし言うことないよ。それに別にこれが最後ってわけじゃなし」
    御膳立てありがとね、と付け足すと、チェズレイは少し微笑んだ。自動扉をくぐって正面にある時計を見上げると、もうチェックインを済まさなきゃならん頃合いになっている。
     ナデシコちゃんとの別れも済ませた今、ここからは本格的にこいつと二人きりの行き道だ。あの事件を通してお互いにお互いの人生を縛りつける選択をしたものの、こっちとしてはこいつを離さないでいるために賭けに出ざるを得なかった部分もあったわけで、言ってみれば完全な見切り発車だ。これからの生活を想像し切れてるわけじゃなく、寧ろ何もかもが未知数——まぁそれでも、今までの生活に比べりゃ格段に前向きな話ではある。
    30575

    nayutanl

    DONE「シュガーポットの魔法」向け展示だったもの
    クロエのお誕生日に賢者があげたもの、その由来とか、これからのふたりの願いの話です。一年目のBDのカードのクロエの目が本当にきれいだと思って書いた話です。
    賢者の性別に関する描写はありません。イメージに委ねます。

    二年目はこちら→https://poipiku.com/3138344/6778380.html
    ルーチェ #1 賢者がくれた贈り物の箱の中には、裁縫で使うまち針が入っていた。ケース入りで、長さ別に五色の玉がついている。作るものによって使い分けができて良さそうだ。

    「色々考えたんですが、やっぱりクロエにはお裁縫に関するものがいいかと思って」
    「ありがとう! とっても嬉しいよ。まち針はいくらあっても困らないし、折れたり曲がったりしたら交換しないといけないからさ」

     クロエは嬉しそうにしながら晶に向かってそう答えた。晶はあまり裁縫に明るくはなく、知識はもとの世界で学校に通っていたときに授業で聞いて覚えていたことにとどまるのだが、クロエからしばしば話を聞くようになってやっと道具の名前や布の種類が少し分かるようになってきた。しかし、その程度といえばその程度だし、針が折れたり曲がったりするということは頭にはなかったので、何の気なしに選んだものに対する思ってもいなかったコメントに晶は興味を抱く。
    1932

    とむた

    DONEルチミス。不思議なシュガーのお話。
    いずれ夢十夜みたいにしたいな(願望)
    君に夢を 夜の帳も下りた頃、魔法舎の自室で一人ミスラは空を眺める。そこから見えるのは忌々しい傷をつけた厄災。今日も今日とて、望まぬ長い夜を過ごさなくてはいけない元凶を一つ睨みつけるも、当たり前だが何の効力にもなりはしない。いっそ得意の空間魔法を繋いで直接壊してやろうかとも考えるが、魂が砕けるのは望むことではなかったので考えるだけに留める。その他にもオズへの襲撃も考えるが、身体のダルさを考えるとそれすらも気分が乗らない。連日の寝不足で働かない頭で考える事はどうも纏まりがなかった。何度体勢を変えても、抱き枕を抱え直しても一向に訪れる気配のない意識の消失にそろそろ我慢の限界だった。オーエン辺りにちょっかいをかけに行こうか、と考え始めたあたりで、聞き逃しそうな程小さな音が部屋に響く。部屋へと身体の向きを変えるも音の発生源となるものはなく、気のせいかと瞼を閉じかけたあたりで、また一つコン、と音が鳴る。今度ははっきりと聞こえたそれは、ドアの向こう側から響いたものだった。少し考えて、まあどうせ眠れやしないし、と酷く緩慢な動きでドアへと足を進めた。
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