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    94

    UoxoU

    TRAINING94・💙🤎
    第一週・金曜日 「レンジ使うぞ」「はぁい」…チーン。レンジからカップを取り出して口付けるナギリを見てカンタロウが微笑みを浮かべている。「何だ、ニヤニヤして気持ち悪い」「うふふ。ナギリさん、レンジを使いこなせるようになったんだなぁと思いまして」「ぐっ…。昔の事は忘れろ」せっかく甘くて暖かいホットミルクを飲んでいたのに、ナギリは思いっきり苦虫を噛み潰した顔になった。
     ───それはナギリがカンタロウと一緒に暮らし始めた最初の頃の話。
     ボンッとレンジの中から破裂音がした。「どうされました?! 辻田さん!!」「は? な、ぁ??」キッチンまで数歩の距離。ドタドタ足音を立ててカンタロウが走り寄る。レンジの前には呆然と立ち竦むナギリ。動けないナギリの代わりに、カンタロウがレンジを開けた。「あぁ。牛乳が爆発しちゃったのでありますね」爆発した原因が分からずに、ナギリは焦る。「玉子とネコはレンジに入れたらいけないと丸の主人から聞いていたが、牛乳も駄目だったとは聞いていないぞ!!」「これは、突沸でありますね」「とっぷつ」ナギリがカンタロウの言葉を復唱する。言い方が可愛らしい。「水がいきなり沸煮する現象のことを言います」「でも、今までレンジで牛乳を温めていたがこんな事は起こらなかった…」「突沸は様々な要因が関係して起こる現象で、今回たまたま起こってしまった様でありますね。カップが割れなくて良かったです」まだ熱いカップを流し台へ。布巾を手に取る。もう一度レンジの前へ来て、飛び散った牛乳を拭いていく。「本官も簡単なのでレンジを使うときは“おまかせ”をお使いくださいと伝えていましたが、この様な事を防ぐために、今度は“おまかせ”ではなく、六百ワットで三十秒とかワット数と時間を決めて温めましょう」「う、ぁ…」自分の失敗を気を遣われながら助け船を出されて居心地が悪い。「すまない。悪かった、カンタロウ…」「こんなの、拭き掃除すれば元通りであります。そう言えば最近レンジの掃除をしていなかったので丁度良い機会でした」それから暫くの間、レンジの爆発を怖がったナギリはレンジ使用の際は必ずカンタロウに声をかけてボタンを押して貰っていた。
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    UoxoU

    TRAINING94・💙🤎
    第一週・水曜日 魚は生臭くて好きではないが、肉ばかりでは良くないだろうと思い、今日は鮭とキャベツを蒸したのを作ろうと思う。味噌バター味にするかちゃんちゃん焼きとやらにするか、味付けに迷う。カンタロウが帰って来てから味付けを決めさせるか。
     フライパンに適当に切ったキャベツと鮭を乗せる。キャベツは蒸すと思ったより量が少なくなるから多めに入れておく。軽く酒をまぶして中火で五、六分蓋をして完成だ。
     「ケイ・カンタロウただいま戻りましたあぁぁ!! ナギリさん!! ただいまでありまあぁぁ!!!!」「毎回毎回うるさい声のボリュームを落とせ馬鹿おかえりすぐ飯が出来るうがい手洗いをしてこい!!」「はいっ!!」と、何時もの馬鹿うるさいやり取りをして洗面所へ送り出してしまったが、味付けを決めさせるんだった。「ガラガラガラ、ペッ」「おい」「何ですか?」「鮭とキャベツ蒸したヤツの味付け、何味が良い?」「ほぇ~。今日はお魚ですか」「テンションを下げるな。毎日肉ばかりだと体に悪い」「それはそうですがぁ~」「とにかく味付けだ。さっさと決めろ」「ナギリさん的には何味にしようと思っていたんですか?」「味噌バターかちゃんちゃん焼きだが?」「ええっと、ちゃんちゃん焼きも味噌味ですよ」「………じゃあ、味噌味で良いな!!」「ああっ! バター!! 味噌バター味でお願いしまあぁぁぁぁ!!!!」「分かったから十分待て!! 直ぐ飯だ!!」「はいっ! 楽しみにしています!!」
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    UoxoU

    CAN’T MAKE94・🐐+🤎
    神在月先生とミッキーとクワバラさん
     うんうん、それでね。おい、来たぞ。辻田さん、どうもー。お前はまた…。原稿は? 辻田さん、シンジの事怒んないでやって。俺から呼び出ししちゃったから。これから仕事するね! バイバイ、ミッキー!! …。ミッキー、シンジ。そう言えば自分は、名前で呼んだことがないな。おい、 うぼわぁー!! するよ! ちゃんと! 仕事!! (そう言う事じゃ無いんだが…) いい。何でもない。
     それからも、辻田さんは神在月先生を名前呼びしようと頑張ったが上手くいかない。
     何か最近、辻田さんに絡まれるなぁ…。僕、何かした?? おい……。あ。名前、呼びたかったのか。(察しの良い神在月)違ってたらごめんね。なぁに? ナギリさん。 !!………別に!! 進捗はどうか聞きたかっただけだ!! あのね、僕、あんまり友達が多くなかったから分からないんだけど、仲良くなったら下の名前で呼んだり、あだ名で呼んだりすると思うんだけどさ、辻田さんもここで働いて少し経つでしょう? だからさ、僕も辻田さんの事、名前で呼んでも良いですか?!! すっ、好きにしたら良いだろう!! …シンジ。うっ、うん!! そうするね、ナギリさん!! おー。甘酸っぱー。おっちゃんもアシくんの事、名前で呼んでええ? うわぁー!!
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