炯螺〜Kayla〜
PAST2023年の思追誕生日おめでとうSS藍思追生誕祭「おーい、思追そっちにあったかー」
「魏先輩、こちらにありました!蓮の芽が出てます!!」
「おぉ!そうか!やっと芽をつけたか」
「含光君がこの池に蓮を植えてから初めて芽がでましたね」
「ハハッ、あいつが俺のために蓮池作ろうとしてたのは驚いたけどな」
「魏先輩…私思い出したんです」
「ん?何をだ??」
「私が幼い頃、夷陵で魏先輩が植えた蓮の芽を私が抜いてダメにしてしまいました…魏先輩ごめんなさい」
「おいおい、思追もう何年も前の話だろ。
それにお前まだ小さかったし俺は気にしてないぞ」
「で、でも....」
「なにも気にするなよ」
「俺はさ阿苑が生きてて、今こうして一緒に蓮池を作ることができる…今がある事が嬉しいんだ」
「魏先輩…私も羨哥哥と有銭哥哥と共に過ごせる今が大好きですよ!」
1452「魏先輩、こちらにありました!蓮の芽が出てます!!」
「おぉ!そうか!やっと芽をつけたか」
「含光君がこの池に蓮を植えてから初めて芽がでましたね」
「ハハッ、あいつが俺のために蓮池作ろうとしてたのは驚いたけどな」
「魏先輩…私思い出したんです」
「ん?何をだ??」
「私が幼い頃、夷陵で魏先輩が植えた蓮の芽を私が抜いてダメにしてしまいました…魏先輩ごめんなさい」
「おいおい、思追もう何年も前の話だろ。
それにお前まだ小さかったし俺は気にしてないぞ」
「で、でも....」
「なにも気にするなよ」
「俺はさ阿苑が生きてて、今こうして一緒に蓮池を作ることができる…今がある事が嬉しいんだ」
「魏先輩…私も羨哥哥と有銭哥哥と共に過ごせる今が大好きですよ!」
はるもん🌸
MOURNING江澄のママから厳しくされてきたので、女性がイライラしやすい時期を感覚的に学習した魏嬰のお話魏嬰先生の教え「いいか?お前ら、季節の変わり目は、特に女の子には優しくしろよ」
「なぜですか?」
藍思追と藍景儀は首を傾げた。
「まったくお前たちは。無駄な知識は沢山あるのに、重要な事はとんと知らない事が多い」
魏無羨はやれやれと肩をすくめる。
「やっぱり。夷陵老祖が遊び人だったっていう噂は本当だったんだ」
女性に詳しい印象を抱いた藍景儀は腰に手を当て、少し軽蔑する目をした。魏無羨はムッとなり、彼の頬を軽くつねる。
「馬鹿言え。俺は含光君だけだ」
「別に聞きたくないですよそんな事!」
「あの、魏先輩、考えてみたのですが、どうしてもわからなくて…」
「女だけでなく男もそうだが、季節が変わると人間の気の流れが変わる。それに伴って怒りっぽくなったり、気が落ち込みやすくなるんだよ」
663「なぜですか?」
藍思追と藍景儀は首を傾げた。
「まったくお前たちは。無駄な知識は沢山あるのに、重要な事はとんと知らない事が多い」
魏無羨はやれやれと肩をすくめる。
「やっぱり。夷陵老祖が遊び人だったっていう噂は本当だったんだ」
女性に詳しい印象を抱いた藍景儀は腰に手を当て、少し軽蔑する目をした。魏無羨はムッとなり、彼の頬を軽くつねる。
「馬鹿言え。俺は含光君だけだ」
「別に聞きたくないですよそんな事!」
「あの、魏先輩、考えてみたのですが、どうしてもわからなくて…」
「女だけでなく男もそうだが、季節が変わると人間の気の流れが変わる。それに伴って怒りっぽくなったり、気が落ち込みやすくなるんだよ」
はるもん🌸
MOURNING魏嬰先生のお話。 魏嬰先輩の講義「思追、自分の長所を一つあげてみろ」
「!」
魏無羨が講義をしていると聞いた。夜狩りから戻ってきてすぐ入った情報だ。
一体何を教えているのかは知らないが、魏無羨が教える事なら役に立つ情報のはずである。
もうすでに講義は始まっていた為、邪魔にならないよう音を立てずに後ろの席に座った。そして気づいた魏無羨は部屋に入ってきたばかりの藍思追に自分の長所を言えと指示をしてきたのである。
「えぇっと…」
立ち上がり、それなりの回答をしなければと頭を巡らすも、なかなか答えられない。
いつもは質問にすぐに答える事ができる藍思追だが、この質問は魏無羨が思った通り藍思追には難しいようだ。
「どうした?謙虚にならなくていいぞ。これは授業なんだから。言わないと話が進まない」
1461「!」
魏無羨が講義をしていると聞いた。夜狩りから戻ってきてすぐ入った情報だ。
一体何を教えているのかは知らないが、魏無羨が教える事なら役に立つ情報のはずである。
もうすでに講義は始まっていた為、邪魔にならないよう音を立てずに後ろの席に座った。そして気づいた魏無羨は部屋に入ってきたばかりの藍思追に自分の長所を言えと指示をしてきたのである。
「えぇっと…」
立ち上がり、それなりの回答をしなければと頭を巡らすも、なかなか答えられない。
いつもは質問にすぐに答える事ができる藍思追だが、この質問は魏無羨が思った通り藍思追には難しいようだ。
「どうした?謙虚にならなくていいぞ。これは授業なんだから。言わないと話が進まない」
chunyang_3
MEMO景儀と思追の出会いの妄想です。思追が温寧と温家の弔いを済ませ雲深不知処に戻った頃に、魏無羨も雲深不知処に留まる様になったという時間軸の設定です。うさぎと一緒に人参を食べていた頃の思追くんと景儀の出会いの話を書いてみたくなって書きました。君と兎と しんと静まり返った蘭室を前にして、藍景儀は柄にもなくとても緊張していた。今日は景儀にとって初めての座学だ。随分前に蘭室には遊びで入って良い場所ではないと叱られてからは一度も近寄っていないので、この建物に来ること自体、ちょっと尻込みしてしまう。
同じ年頃の藍家の子弟が中に入って行くのに続けて景儀もその静かな空間に足を踏み入れた。周囲を見回してみると、どうやら空いている席に座って良さそうだ。
こっそり息を吐いて、周囲を見回す。近くに誰か景儀が知っている友達がいると安心できるのだけれど来ているだろうか。そう思って既に座っていた隣の席の少年へと視線を向けた景儀は、視界に入ってきた横顔に思わず息を呑んだ。まるでお手本のように姿勢良く座っていた景儀と同じ白い藍氏の校服を身に纏った少年も、隣に誰かが座ったことに気付いたらしい。軽く横へ顔を向けたことで、景儀と顔を互いに合わせることになった。その顔を見て、景儀は思わず叫ばずにはいられなかった。
6997同じ年頃の藍家の子弟が中に入って行くのに続けて景儀もその静かな空間に足を踏み入れた。周囲を見回してみると、どうやら空いている席に座って良さそうだ。
こっそり息を吐いて、周囲を見回す。近くに誰か景儀が知っている友達がいると安心できるのだけれど来ているだろうか。そう思って既に座っていた隣の席の少年へと視線を向けた景儀は、視界に入ってきた横顔に思わず息を呑んだ。まるでお手本のように姿勢良く座っていた景儀と同じ白い藍氏の校服を身に纏った少年も、隣に誰かが座ったことに気付いたらしい。軽く横へ顔を向けたことで、景儀と顔を互いに合わせることになった。その顔を見て、景儀は思わず叫ばずにはいられなかった。
はるもん🌸
MOURNINGいっちゃいちゃしてる忘羨です。【突発!お蔵入り忘羨】冷たい洞穴の中。二人は熱を分かちあうように寄り添って座っていた。
「寒いよ…俺、死んじゃうのかな」
体温が下がっている彼の体を藍忘機がさする。魏無羨の手は氷のように冷えていた。その手を両手で温めてやると、魏無羨がピッタリと藍忘機の胸に頭を預けてくる。
「私が死なせない」
そんな二人を少し離れた場所から眺める二人の少年がいた。
「思追…含光君、ずっと同じこと言ってるけど飽きないのかな」
「ふふ、魏先輩に合わせているんだと思う」
藍景儀はフーンと目をすがめ、熱々な道侶たちから目をはずす。姑蘇の方が寒いというのにと思った事はあえて黙っておいた。この場にいる全員が知っている。魏無羨が自分の呪符で火を起こせる事を。夜狩りの帰りに突然雪嵐に見舞われてしまい、急遽見つけたこの洞穴に避難する事になったのだ。
574「寒いよ…俺、死んじゃうのかな」
体温が下がっている彼の体を藍忘機がさする。魏無羨の手は氷のように冷えていた。その手を両手で温めてやると、魏無羨がピッタリと藍忘機の胸に頭を預けてくる。
「私が死なせない」
そんな二人を少し離れた場所から眺める二人の少年がいた。
「思追…含光君、ずっと同じこと言ってるけど飽きないのかな」
「ふふ、魏先輩に合わせているんだと思う」
藍景儀はフーンと目をすがめ、熱々な道侶たちから目をはずす。姑蘇の方が寒いというのにと思った事はあえて黙っておいた。この場にいる全員が知っている。魏無羨が自分の呪符で火を起こせる事を。夜狩りの帰りに突然雪嵐に見舞われてしまい、急遽見つけたこの洞穴に避難する事になったのだ。
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MEMOCQL話数ワンドロワンライ5回目(41〜50話)。50話の思追と温寧です。番外編も含めて叔父さんって呼んでるの良いなぁと思っています。思い出さない方が良いと思っていた温寧が、二人で一緒に走って追いかけるんだなぁというところが改めて嬉しいなと思いました。焔つなぐ 少し前からもしかしたらと思うことは幾度もあった。己が一体どこの家に生まれ、父母亡き後に一体誰と一緒にいたのか。
思追は幼き日のことを覚えていなかった。けれどそれは忘れていただけだったのだ。もう会うことは叶わないはずだった人に出会ってから、忘れ去られていた記憶は少しずつ断片的に焔が灯るように蘇っていた。真っ暗な夜空に散らばっていた小さな灯りは、輝く星が互いに繋がり星座を描くように、段々とその全容を理解することができるようになっていた。
観音廟の外に出ると、思追は駆けつけた他の子弟達に囲まれ、無事を喜ばれながらも観音廟での事の顛末を聞かせてくれとせがまれた。温寧を追いかけて辿り着いてからのことだけでも、思追が説明することは難しい。ましてや金光瑶がどのような人物であったのかを語ることもできそうにない。十六年前に起きたことについても同様だ。それでも、この目で見たことや感じたことはしっかりと覚えておきたいと思った。だからこそ、今はまず不確かな己の過去と向き合いたかった。
1910思追は幼き日のことを覚えていなかった。けれどそれは忘れていただけだったのだ。もう会うことは叶わないはずだった人に出会ってから、忘れ去られていた記憶は少しずつ断片的に焔が灯るように蘇っていた。真っ暗な夜空に散らばっていた小さな灯りは、輝く星が互いに繋がり星座を描くように、段々とその全容を理解することができるようになっていた。
観音廟の外に出ると、思追は駆けつけた他の子弟達に囲まれ、無事を喜ばれながらも観音廟での事の顛末を聞かせてくれとせがまれた。温寧を追いかけて辿り着いてからのことだけでも、思追が説明することは難しい。ましてや金光瑶がどのような人物であったのかを語ることもできそうにない。十六年前に起きたことについても同様だ。それでも、この目で見たことや感じたことはしっかりと覚えておきたいと思った。だからこそ、今はまず不確かな己の過去と向き合いたかった。
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MEMO“君”がいない世界の藍忘機。藍忘機の元に思追くんがいてくれて良かったのではないかという部分にどうしても夢を見てしまう。
CQLはラストで一旦手を離してしまうのは、前世時代の魏無羨をもし連れ帰っていたとしても、それが良いことだったのかという点に悩んだことがあったりするのかなぁと思ったりしながら書いた、秋の話です。
君待ち/藍忘機「問う音に声は返らず君何処 時は黄昏色を失い」
優雅でありながら切実な響きをもった琴の音が谷にこだまする。「問霊」の琴の音が消えると、辺りはしんと静まり返った。藍忘機は座して答えの返ってくるのを黙って待っていたが、一向に返答の琴の音が鳴ることは無かった。
藍忘機が張り詰めていた息を吐くと、聞こえなくなっていた川の水の流れる音と、風が森を抜けてゆく音が耳に入ってくる。琴を仕舞い立ち上がった時にはいつしか辺りは茜色に染まり、太陽が西へと沈んでゆく時辰となっていた。今日もまた、日が暮れる。
彼の仕業らしいと噂を聞けば向かい、せめて誓った言葉を守り抜こうとしているうちに、「逢乱必出」と言われるようになったらしい。
3331優雅でありながら切実な響きをもった琴の音が谷にこだまする。「問霊」の琴の音が消えると、辺りはしんと静まり返った。藍忘機は座して答えの返ってくるのを黙って待っていたが、一向に返答の琴の音が鳴ることは無かった。
藍忘機が張り詰めていた息を吐くと、聞こえなくなっていた川の水の流れる音と、風が森を抜けてゆく音が耳に入ってくる。琴を仕舞い立ち上がった時にはいつしか辺りは茜色に染まり、太陽が西へと沈んでゆく時辰となっていた。今日もまた、日が暮れる。
彼の仕業らしいと噂を聞けば向かい、せめて誓った言葉を守り抜こうとしているうちに、「逢乱必出」と言われるようになったらしい。
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MEMOCQL話数ワンドロワンライ1回目(1~10話)。1話〜2話にかけての含光君と思追の話です。50話まで見た人向けの話になってしまいました。CQLはあの曲を知ってる思追くんというのがとても好きです。※画像で上げたものと基本的に同じですが、表現などを手直ししています
懐かしき調べ 莫家荘に邪祟退治をするためにやってきた藍思追と藍景儀をはじめとする藍家の子弟達が西院で迎え撃つべく準備を進め、手筈通りに位置に着いた頃には陽が落ちていた。
庭を囲むように屋根の上に立ち、招陰旗を手に景儀と並んでその時をいまかと待ち構えていた時だった。張りつめた空気の中、気配に集中するように目を瞑っているとどこからか何か曲が聞こえてくる。これは笛の音だろうか。音は聞き慣れないが、この旋律はどこかで聞いたことがあるような気がする。
「景儀、この曲どこかで……もしや姑蘇の調べか?」
いつどこで聞いたのかは分からない。分からないながら、旋律が胸に響く。
「どこかで聴いたことがある」
「そんなはずないだろ。こんな下手な曲、聴いたことがあるわけない」
2111庭を囲むように屋根の上に立ち、招陰旗を手に景儀と並んでその時をいまかと待ち構えていた時だった。張りつめた空気の中、気配に集中するように目を瞑っているとどこからか何か曲が聞こえてくる。これは笛の音だろうか。音は聞き慣れないが、この旋律はどこかで聞いたことがあるような気がする。
「景儀、この曲どこかで……もしや姑蘇の調べか?」
いつどこで聞いたのかは分からない。分からないながら、旋律が胸に響く。
「どこかで聴いたことがある」
「そんなはずないだろ。こんな下手な曲、聴いたことがあるわけない」
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MEMOCQL義城の後、兎の絵柄の灯篭をもらった思追と景儀の話。二人は雲深不知処で同室という勝手な設定です。少しずつ思い出したっぽかったので、そのきっかけになっていたんじゃないかなぁという話です。記憶の灯り 雲深不知処に戻って来た思追は、部屋の扉を閉めると急激に疲れを感じた。義城での事件は、思追達にとっては初めてのことばかりで目が回るようだったから、疲れ切っているのは確かだ。
「はぁー……疲れた」
「もう景儀、そのまま寝ないでよ」
先に部屋に入った景儀がそのまま寝台に倒れ込んでいるのを見ながら、旅の荷物を片付ける。そして、持ち帰った灯篭を枕元に飾ろうとして、置き場所に悩んでいると景儀に後ろから声を掛けられた。
「飾るのか。律儀だな」
「だって、含光君からこんな風に何かを頂くのは珍しいし」
「まぁ、確かにそれもそうだな」
灯篭に描かれている兎を見ると、含光君が日頃から慈しんでいる兎達を思い出して頬が緩んでしまう。この灯篭を手渡してくれた時の含光君の顔を思い出すと、思追はどこか懐かしい記憶が引き出されるような気がして胸に手を当てた。
2112「はぁー……疲れた」
「もう景儀、そのまま寝ないでよ」
先に部屋に入った景儀がそのまま寝台に倒れ込んでいるのを見ながら、旅の荷物を片付ける。そして、持ち帰った灯篭を枕元に飾ろうとして、置き場所に悩んでいると景儀に後ろから声を掛けられた。
「飾るのか。律儀だな」
「だって、含光君からこんな風に何かを頂くのは珍しいし」
「まぁ、確かにそれもそうだな」
灯篭に描かれている兎を見ると、含光君が日頃から慈しんでいる兎達を思い出して頬が緩んでしまう。この灯篭を手渡してくれた時の含光君の顔を思い出すと、思追はどこか懐かしい記憶が引き出されるような気がして胸に手を当てた。