つつ(しょしょ垢)
DOODLEモーメントに限界を感じ始めたので、倉庫代わりにゆるりとこちらに投げてみることにしました。とりあえずテストぽいぽい。
重雲くんのそこはかとなき魈くんへの恨み節はこうして時々意趣返しされてるといい。
パイモンは無自覚で魈を可愛いと認識してるといい。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ60
鍾魈 現パロ軸。コーヒー飲める先生とあんまり飲めない魈くんの話。
60 鍾魈コーヒーの入ったマグカップを片手に、鍾離はベランダに続く窓際に立ち、朝の訪れと共に白んでいく空と街を眺めていた。
一五階建てのマンションから見下ろす視界の中には、昨晩降った雨で光を反射する屋根が映る。駐車場に並んだ大小様々な車も同様で、特に白色の胴体を持ったものは一粒の宝石にも見えた。
近隣にある小学校からは、日中であればチャイムや吹奏楽の奏でる音が聴こえてくるが、今のところそれらは一切届かない。まだ眠っている箱にこれからたくさんの声が宿ることを、鍾離は密やかに楽しみにしていた。
璃月にいた頃にも、早朝、街を見下ろせる高所から景色を眺める時間があった。
理由として挙げられるのは、国の繁栄に翳りがないかの確認であることがほとんどだったが、凡人として生きることを決めた後には、ただ人の営みがあることを感じ取ることだけが目的だったように思う。
2104一五階建てのマンションから見下ろす視界の中には、昨晩降った雨で光を反射する屋根が映る。駐車場に並んだ大小様々な車も同様で、特に白色の胴体を持ったものは一粒の宝石にも見えた。
近隣にある小学校からは、日中であればチャイムや吹奏楽の奏でる音が聴こえてくるが、今のところそれらは一切届かない。まだ眠っている箱にこれからたくさんの声が宿ることを、鍾離は密やかに楽しみにしていた。
璃月にいた頃にも、早朝、街を見下ろせる高所から景色を眺める時間があった。
理由として挙げられるのは、国の繁栄に翳りがないかの確認であることがほとんどだったが、凡人として生きることを決めた後には、ただ人の営みがあることを感じ取ることだけが目的だったように思う。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ49
鍾魈 魈くんお誕生日おめでとうの話。モブ少女が喋ります。
49 鍾魈「しょうりせんせい! こんにちは!」
「おや、お嬢さんは……」
「もう! 急に走り出して……母さんの側から離れちゃだめでしょ? ごめんなさいねぇ、鍾離さん」
鍾離の元に元気よく走ってきたのは、髪をふたつに結った少女だった。遅れて駆けつけたのは彼女の母親で、肩で息をしながら「もう離れたらだめよ」と少女の片手を握った。
璃月港を出て望舒旅館に赴く直前に声を掛けられた鍾離は、膝を曲げて少女の目線にまで落とす。「何かあったのか?」と訊ねると、少女は何度も首を縦に振り、斜めがけにしていた麻の小さな鞄に手を入れて「これ!」とあるものを引っ張り出した。
それは薄紅色の包みで覆われて、黄色の紐で留められている。大きさは少女の両手に乗るほどのサイズで、風が吹くと蝶々結びにされた紐がふわりと揺れていた。
4428「おや、お嬢さんは……」
「もう! 急に走り出して……母さんの側から離れちゃだめでしょ? ごめんなさいねぇ、鍾離さん」
鍾離の元に元気よく走ってきたのは、髪をふたつに結った少女だった。遅れて駆けつけたのは彼女の母親で、肩で息をしながら「もう離れたらだめよ」と少女の片手を握った。
璃月港を出て望舒旅館に赴く直前に声を掛けられた鍾離は、膝を曲げて少女の目線にまで落とす。「何かあったのか?」と訊ねると、少女は何度も首を縦に振り、斜めがけにしていた麻の小さな鞄に手を入れて「これ!」とあるものを引っ張り出した。
それは薄紅色の包みで覆われて、黄色の紐で留められている。大きさは少女の両手に乗るほどのサイズで、風が吹くと蝶々結びにされた紐がふわりと揺れていた。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ45
鍾魈 モブ視点なうえに鍾離成分ほぼないです…美しい二人をまえに落ち着いてられない一般人の話。
45 鍾魈「人間。起きられないのか」
私を見下ろしてくるまさに「美少年」という言葉がぴったりな誰かが、「起きられないのかと聞いている」とやや苛立った声で訊ねている。
璃月港に向かう道中で、ヒルチャールの群れと鉢合わせしてしまった私は、すぐ方向転換をして大急ぎで逃げ出した。しかし、かつて近所の子供たちとの間でかけっこをした時に、だれにも追いつけなかった脚の速さだ。程度が知れている。すぐにやつらに追いつかれ、ああもう無理だ死ぬしかないと思った矢先。現在もこちらを見下ろしている彼が疾風の如く舞い降りて、殺気を放っていたやつらを瞬時に一掃してしまった。
驚きと、安堵と、まだ残る恐怖で声が出ない。しかしこのままでいては美しい眉をさらに歪ませてしまうだろう。私はひとまず抜けてしまった腰を叱咤して、木の幹に寄りかかりながら起き上がった。
2239私を見下ろしてくるまさに「美少年」という言葉がぴったりな誰かが、「起きられないのかと聞いている」とやや苛立った声で訊ねている。
璃月港に向かう道中で、ヒルチャールの群れと鉢合わせしてしまった私は、すぐ方向転換をして大急ぎで逃げ出した。しかし、かつて近所の子供たちとの間でかけっこをした時に、だれにも追いつけなかった脚の速さだ。程度が知れている。すぐにやつらに追いつかれ、ああもう無理だ死ぬしかないと思った矢先。現在もこちらを見下ろしている彼が疾風の如く舞い降りて、殺気を放っていたやつらを瞬時に一掃してしまった。
驚きと、安堵と、まだ残る恐怖で声が出ない。しかしこのままでいては美しい眉をさらに歪ませてしまうだろう。私はひとまず抜けてしまった腰を叱咤して、木の幹に寄りかかりながら起き上がった。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ43
鍾魈 嘘はつけない魈くんの話。
43 鍾魈洞天の中で鍾離と魈がふたり、茶と雑談を楽しんでいる最中。そういえば、と鍾離が口を開いた。
「今日はエイプリルフールという日らしい。嘘をついてもいい日、と聞いている」
と、鍾離がにこやかにしていると、魈は「嘘ですか」と目を瞬かせる。
「しかしそう仰っても……我が鍾離様に嘘をつくなどということはできませんので」
「そんなに真面目にならなくても。そうだな……たとえば、好きなものを嫌いと言ってみるとか」
わりと定番らしい、と言う鍾離も、その文化は旅人から聞いたことのようで、具体的にどんな嘘をつくかまでは聞いていないそうだ。
好きなものをあえて嫌いと言う。たしかに嘘をついていることにはなるが、果たしてそこになんの意味があるのか?
951「今日はエイプリルフールという日らしい。嘘をついてもいい日、と聞いている」
と、鍾離がにこやかにしていると、魈は「嘘ですか」と目を瞬かせる。
「しかしそう仰っても……我が鍾離様に嘘をつくなどということはできませんので」
「そんなに真面目にならなくても。そうだな……たとえば、好きなものを嫌いと言ってみるとか」
わりと定番らしい、と言う鍾離も、その文化は旅人から聞いたことのようで、具体的にどんな嘘をつくかまでは聞いていないそうだ。
好きなものをあえて嫌いと言う。たしかに嘘をついていることにはなるが、果たしてそこになんの意味があるのか?
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ40
鍾魈 居眠りしちゃう魈くんの話。
40 鍾魈とある休日の正午。週末に片付ける家事がひと段落ついて、一休みしようと魈はソファに座った。ちなみに鍾離は次の原稿について打ち合わせがあるからと出かけていて、部屋には魈ひとりだけが残っている。
ガラス窓の開いた網戸から入ってくる風はちょうどいい温度で、カーテンを揺らし、魈の眠気を誘った。
『戻るのは十三時頃になる。待っていてくれるなら、昼食は俺が作ろう』
『そのようなお手間は……我が準備しておきますので』
『それはそれでありがたい申し出だが、ここ最近はお前に頼り切りだったからな。そろそろ落ち着きそうだし、手始めに料理を振る舞いたいんだ』
『……わかりました。それでは、楽しみにしてます』
壁に掛かったアナログ時計が秒針をすすめている。それは鍾離が戻るまであと一時間弱であることを知らせていた。
1729ガラス窓の開いた網戸から入ってくる風はちょうどいい温度で、カーテンを揺らし、魈の眠気を誘った。
『戻るのは十三時頃になる。待っていてくれるなら、昼食は俺が作ろう』
『そのようなお手間は……我が準備しておきますので』
『それはそれでありがたい申し出だが、ここ最近はお前に頼り切りだったからな。そろそろ落ち着きそうだし、手始めに料理を振る舞いたいんだ』
『……わかりました。それでは、楽しみにしてます』
壁に掛かったアナログ時計が秒針をすすめている。それは鍾離が戻るまであと一時間弱であることを知らせていた。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ38
鍾魈 帝君ぬいと魈くんの話。
38 鍾魈空から「いま璃月ですごく人気なんだ」と言われ魈が受け取ったのは、岩王帝君を模したぬいぐるみだった。
両腕で抱えきれる程度の大きさのそれは、中に詰まった綿でふっくらしていてほつれもなく、可愛らしい見た目にデフォルメされた仕上がりだった。
「……これを我に渡して、お前はどうして欲しかったんだ?」
「え? 特に何も。お土産感覚というか……それに魈、帝君に関するものならなんでも喜ぶじゃん」
「そ、んなことは」
「あるある。まあとりあえずそれはもう君のものだから、好きに飾るなり遊ぶなりしてよ」
それじゃあまたねと、空が旅館にある魈の部屋から出て行く。この後冒険者協会の依頼をこなしてくるらしい。
「…………」
両腕で抱えたぬいぐるみを見下ろす。眠った表情をしているそれは、目の部分が線だけで縫われていた。瞳の色はわからない。
1231両腕で抱えきれる程度の大きさのそれは、中に詰まった綿でふっくらしていてほつれもなく、可愛らしい見た目にデフォルメされた仕上がりだった。
「……これを我に渡して、お前はどうして欲しかったんだ?」
「え? 特に何も。お土産感覚というか……それに魈、帝君に関するものならなんでも喜ぶじゃん」
「そ、んなことは」
「あるある。まあとりあえずそれはもう君のものだから、好きに飾るなり遊ぶなりしてよ」
それじゃあまたねと、空が旅館にある魈の部屋から出て行く。この後冒険者協会の依頼をこなしてくるらしい。
「…………」
両腕で抱えたぬいぐるみを見下ろす。眠った表情をしているそれは、目の部分が線だけで縫われていた。瞳の色はわからない。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ36
鍾魈 いけないことをしようって魈くんを誘う先生の話。
36 鍾魈「魈、〝いけないこと〟をしてみないか?」
鍾離の暮らす家、璃月の城下に呼ばれた魈が告げられたのは、かなり曖昧な提案だった。
時刻はそろそろ日付を変える所まで迫っており、周辺の家々からは灯りが消えていく。この部屋もそうなるはずだが、家主はまだ、灯火を消す素振りは見せていない。
「いけないこと、ですか」
「そうだ、いけないことだ。調理場に行くぞ」
言われ、魈は大人しく鍾離のあとを着いて行く。歩くたびにゆらゆら左右に踊る鍾離の髪を眺めていると、目的地の調理場へはすぐに到着する。調理器具は上下の収納棚の中にあり、食器類はガラスの張られた戸棚に収まっている。数は多くないが、ひとつひとつが丁寧に扱われているだろうことは一目でわかった。
1902鍾離の暮らす家、璃月の城下に呼ばれた魈が告げられたのは、かなり曖昧な提案だった。
時刻はそろそろ日付を変える所まで迫っており、周辺の家々からは灯りが消えていく。この部屋もそうなるはずだが、家主はまだ、灯火を消す素振りは見せていない。
「いけないこと、ですか」
「そうだ、いけないことだ。調理場に行くぞ」
言われ、魈は大人しく鍾離のあとを着いて行く。歩くたびにゆらゆら左右に踊る鍾離の髪を眺めていると、目的地の調理場へはすぐに到着する。調理器具は上下の収納棚の中にあり、食器類はガラスの張られた戸棚に収まっている。数は多くないが、ひとつひとつが丁寧に扱われているだろうことは一目でわかった。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ34
鍾魈 先生の髪がばっさり切られちゃう話。
34 鍾魈囲んできた魔物は全て大したことはなかった。一体が持つ能力は高が知れている。ただ、群れを成しているため処理に時間がかかっていた。
それでも、容易い。この程度なんの問題もない。
魈は身体と一体となった槍を躊躇なく魔物に突き刺していく。空や鍾離も各自応戦し、残るは数体となった時。
「先生っ、後ろ!」
悲鳴じみた空の声が響き渡る。シールドは全員に張られていたが、数秒前に効果が切れている。魈は舌打ちして振り返ると、腰まで揺らしていた鍾離の髪が肩の高さで刻まれて、はらはら宙を舞っているのを目にした。
「大した敵ではないと思っていたが、まさかあのように背後を取られるとはな。少々油断していたか」
目的であった素材の収集も終わり、心配そうな空と別れた鍾離と魈は洞天の中にいた。愛用の茶器で淹れた鍾離特選の茶を飲みながら、魈な苦々しい顔をする。
1800それでも、容易い。この程度なんの問題もない。
魈は身体と一体となった槍を躊躇なく魔物に突き刺していく。空や鍾離も各自応戦し、残るは数体となった時。
「先生っ、後ろ!」
悲鳴じみた空の声が響き渡る。シールドは全員に張られていたが、数秒前に効果が切れている。魈は舌打ちして振り返ると、腰まで揺らしていた鍾離の髪が肩の高さで刻まれて、はらはら宙を舞っているのを目にした。
「大した敵ではないと思っていたが、まさかあのように背後を取られるとはな。少々油断していたか」
目的であった素材の収集も終わり、心配そうな空と別れた鍾離と魈は洞天の中にいた。愛用の茶器で淹れた鍾離特選の茶を飲みながら、魈な苦々しい顔をする。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ22
鍾魈 先生出てこない、空くんと魈くんの会話文
22 鍾魈「魈、今日も牛乳飲んでるの?」
「何か問題でも?」
「ないけど。よく飽きないなぁと思って。ほかにも種類はあるのに、いつも同じだからさ。前はそこそこローテーションしてたのに」
「そういう気分なだけだ」
「そうなの? あ、そういえばさ、この間の身体測定どうだった? 俺ねー、身長伸びたんだあ、なんと一センチ!」
「………………………」
「あ、あれ? 魈〜? なんで黙っちゃうの? ていうか顔こわいんだけど急に」
「何をした」
「え? 何って何が?」
「身長が伸びたと言ったな、何をしてそうなった?」
「な、なんだろ……好き嫌いせずご飯食べるとか、運動するとか……? あんまり意識してないな」
「何故だ! 何故何も考えていないぽやぽやしているお前の身長が伸びて、我は伸びない!? こうして牛乳を飲んでも、…………くっ」
1242「何か問題でも?」
「ないけど。よく飽きないなぁと思って。ほかにも種類はあるのに、いつも同じだからさ。前はそこそこローテーションしてたのに」
「そういう気分なだけだ」
「そうなの? あ、そういえばさ、この間の身体測定どうだった? 俺ねー、身長伸びたんだあ、なんと一センチ!」
「………………………」
「あ、あれ? 魈〜? なんで黙っちゃうの? ていうか顔こわいんだけど急に」
「何をした」
「え? 何って何が?」
「身長が伸びたと言ったな、何をしてそうなった?」
「な、なんだろ……好き嫌いせずご飯食べるとか、運動するとか……? あんまり意識してないな」
「何故だ! 何故何も考えていないぽやぽやしているお前の身長が伸びて、我は伸びない!? こうして牛乳を飲んでも、…………くっ」
ni_tai_tw
REHABILI神の座を降りたらお前を抱く宣言してた先生~~~長年片思いしてた相手に触れてもらえて嬉しくてポヤポヤのショウくんとようやく特別扱いが出来るようになってるんるんの先生 2namo_kabe_sysy
PROGRESSサキュパロ進捗 駆け抜けた モラ魈と鍾魈で3ピーえろ 大体8ページくらいになったけど、その前から既におっぱじめてるから実質もうちょいある 楽しかった…(絶賛下書きです) 3namo_kabe_sysy
TRAINING800文字(前後)チャレンジ19
鍾魈
19 鍾魈予定に予定が重なって、その日の鍾離は久しぶりに多忙な一日を送っていた。往生堂での打ち合わせから始まり、商人たちとの情報交換や素材採取、そして旅人から引き受けた依頼がダメ押しとなり、さすがに表に疲労が滲み出てしまったようで、心配した旅人が洞天での休憩を勧めてくれた。
その言葉に甘えることにして、用意された部屋で茶を淹れようと茶器に手を伸ばすも、今すぐ横になりたい欲求が色濃く出て、嘆息してからベッドに横になる。普段からあまり疲労が溜まらないよう管理しているつもりだが、油断していたのかもしれない。凡人になってからというもの、神であった頃とは背負う責任の重さが違って、なんでも気軽に手を付けてしまう癖がついたせいで、最近は以前より睡眠時間も減っていた。今回の疲れも原因はちょっとした睡眠不足だろうと踏み、人間よりは頑丈で体力もあると自負はしているが、あまり酷使するのも良くなかったと一人反省する。
1600その言葉に甘えることにして、用意された部屋で茶を淹れようと茶器に手を伸ばすも、今すぐ横になりたい欲求が色濃く出て、嘆息してからベッドに横になる。普段からあまり疲労が溜まらないよう管理しているつもりだが、油断していたのかもしれない。凡人になってからというもの、神であった頃とは背負う責任の重さが違って、なんでも気軽に手を付けてしまう癖がついたせいで、最近は以前より睡眠時間も減っていた。今回の疲れも原因はちょっとした睡眠不足だろうと踏み、人間よりは頑丈で体力もあると自負はしているが、あまり酷使するのも良くなかったと一人反省する。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ18
鍾魈とアル空
18 アル空と鍾魈人は苦難に打ち克つことができる。
各人の前に立ちはだかる問題、その壁は何かしらの術をもってすれば、必ず乗り越えられるもののはず。
乗り越えた先にあるのは自身への勝利、そして成長や名誉があるだろう。
だから今、この目の前にある強敵に、怯む訳にはいかない――
「鍾離様……! もう、もうおやめください! あとは我が……!」
「いいんだ、魈。これは俺の問題……いや、課題なのだろう。俺のために用意されたものならば、俺が対処せねばならない」
「ですが……」
「そんなに不安そうな顔をするな。お前は俺を信じてくれればそれでいい」
「……信じております。心から、あなたのことを信じております! ですが、……あなたにその海鮮丼はあまりに負担が大きすぎます!」
1843各人の前に立ちはだかる問題、その壁は何かしらの術をもってすれば、必ず乗り越えられるもののはず。
乗り越えた先にあるのは自身への勝利、そして成長や名誉があるだろう。
だから今、この目の前にある強敵に、怯む訳にはいかない――
「鍾離様……! もう、もうおやめください! あとは我が……!」
「いいんだ、魈。これは俺の問題……いや、課題なのだろう。俺のために用意されたものならば、俺が対処せねばならない」
「ですが……」
「そんなに不安そうな顔をするな。お前は俺を信じてくれればそれでいい」
「……信じております。心から、あなたのことを信じております! ですが、……あなたにその海鮮丼はあまりに負担が大きすぎます!」
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ17
鍾魈
17 鍾魈鍾離様からいただいたものは、それがどんなものであっても大切に保管しておく。
璃月で採れた草花は枯れてしまわぬよう、押花にしてしおりに変えた。
鉱石は当初そのまま保管していたが、常に身につけられるよう控えめな装飾品に変えた。
食品は長期間の保存が難しいために、勿体ないと思いながら自分の血肉に変えた。
そうしていると鍾離様ご自身が近くに居らずとも、なんとなく側に在るような気がして、落ち着くような気恥ずかしいような、異なる性質の感情が胸中で混ざり合う。
貰ってばかりでは申し訳なくて、こちらからもお返しをしようと、清心を集め束にしたり、料理の材料になるものを拾ったりすることもあった。
鍾離様は喜んで受け取って下さる。喜んで、というのはあくまでも、そのように見えるというのであって実際のところはわからない。
1243璃月で採れた草花は枯れてしまわぬよう、押花にしてしおりに変えた。
鉱石は当初そのまま保管していたが、常に身につけられるよう控えめな装飾品に変えた。
食品は長期間の保存が難しいために、勿体ないと思いながら自分の血肉に変えた。
そうしていると鍾離様ご自身が近くに居らずとも、なんとなく側に在るような気がして、落ち着くような気恥ずかしいような、異なる性質の感情が胸中で混ざり合う。
貰ってばかりでは申し訳なくて、こちらからもお返しをしようと、清心を集め束にしたり、料理の材料になるものを拾ったりすることもあった。
鍾離様は喜んで受け取って下さる。喜んで、というのはあくまでも、そのように見えるというのであって実際のところはわからない。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ16
アル空と鍾魈
16 アル空と鍾魈青い草原の広がる洞天の中で、桜の木を植えたからお花見しようと空が誘ったのは、魈と鍾離、そしてアルベドだった。
稲妻の城下を歩いていた時に舞い散る薄桃色の花弁が美しく、いつでものんびり観たいなと思っていた矢先にマルが用意してくれたため、迷わずコインと樹木を引き換えのだ。
雨の降らない洞天の中は気温も安定していて過ごしやすい。パイモンが「お花見するなら団子がいるよな!」と瞳を輝かせたために、稲妻の土産と称した三色団子も買ってきている。鍾離は茶を用意してくれて、魈は望舒旅館のオーナーから預かったという菓子を取り出し、アルベドはつまみもあるといいのではとガイアに勧められた、モンド風焼き魚を持ち寄った。
持ってきた料理のほとんどを食べきったパイモンは、満腹になったせいかそのまますよすよ寝息を立て始めてしまった。花より団子を体現するパイモンに、期待を裏切らないなあと空は苦笑をこぼす。
1216稲妻の城下を歩いていた時に舞い散る薄桃色の花弁が美しく、いつでものんびり観たいなと思っていた矢先にマルが用意してくれたため、迷わずコインと樹木を引き換えのだ。
雨の降らない洞天の中は気温も安定していて過ごしやすい。パイモンが「お花見するなら団子がいるよな!」と瞳を輝かせたために、稲妻の土産と称した三色団子も買ってきている。鍾離は茶を用意してくれて、魈は望舒旅館のオーナーから預かったという菓子を取り出し、アルベドはつまみもあるといいのではとガイアに勧められた、モンド風焼き魚を持ち寄った。
持ってきた料理のほとんどを食べきったパイモンは、満腹になったせいかそのまますよすよ寝息を立て始めてしまった。花より団子を体現するパイモンに、期待を裏切らないなあと空は苦笑をこぼす。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ15
アル空と鍾魈 アル空の成分がやや多め
15 アル空と鍾魈「無相の氷、削りに削ったら大量のかき氷ができたりしないかな……」
稲妻にて、素材集めのため無相の炎をかれこれ十回連続で討伐していた空がぼやくと、パーティに組まれていた魈、鍾離、アルベドが各々反応を示した。
「氷とはいえ食べるようなものでもあるまい? ……そのようなことを考えるとは、疲れ過ぎているのではないか?」
魈は若干の心配をみせつつ嘆息して、
「そうかもしれないな。戦闘も続いたし、少し休むといいだろう。それにしても面白い発想だな……コアとそのまわりを覆う氷とで味の変化はあるのだろうか?」
鍾離は考察を始め、
「中心の方がエネルギーは凝縮されているだろうし、変化はあるかもしれないね。どちらも削るとして、あれだけの大きさがあればかき氷はたくさん作れるだろうけど……配るにしても、同じだけシロップも必要だね」
1140稲妻にて、素材集めのため無相の炎をかれこれ十回連続で討伐していた空がぼやくと、パーティに組まれていた魈、鍾離、アルベドが各々反応を示した。
「氷とはいえ食べるようなものでもあるまい? ……そのようなことを考えるとは、疲れ過ぎているのではないか?」
魈は若干の心配をみせつつ嘆息して、
「そうかもしれないな。戦闘も続いたし、少し休むといいだろう。それにしても面白い発想だな……コアとそのまわりを覆う氷とで味の変化はあるのだろうか?」
鍾離は考察を始め、
「中心の方がエネルギーは凝縮されているだろうし、変化はあるかもしれないね。どちらも削るとして、あれだけの大きさがあればかき氷はたくさん作れるだろうけど……配るにしても、同じだけシロップも必要だね」
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ11鍾魈 パスタの話
11 鍾魈土曜日、正午を少し過ぎた頃。
鍾離と共に暮らしているマンションのキッチンで、魈は乾麺のパスタを茹でていた。
鍾離は用事があるとのことで出掛けていて、夕方まで戻らないと聞いている。夕飯は一緒にできるから、と言い置いて出ていったのは九時頃だった。詳細は聞いていないが、仕事の関係もしくは近隣住人の相談役を買って出ているのだろうと推測する。幅広い知識と圧倒的な記憶力は今世でも健在で、それらに頼る人間もまた後を絶たない。そのことは魈にとっても誇らしいが、一方でどことなく寂しさを感じることもあった。
誰からも好かれる鍾離の周りには好意を寄せる人も多い。自分もそのうちの一人だが、いつかその群れにのまれて一個体として認識されなくなるのではないかと、薄暗い気持ちになる。
1245鍾離と共に暮らしているマンションのキッチンで、魈は乾麺のパスタを茹でていた。
鍾離は用事があるとのことで出掛けていて、夕方まで戻らないと聞いている。夕飯は一緒にできるから、と言い置いて出ていったのは九時頃だった。詳細は聞いていないが、仕事の関係もしくは近隣住人の相談役を買って出ているのだろうと推測する。幅広い知識と圧倒的な記憶力は今世でも健在で、それらに頼る人間もまた後を絶たない。そのことは魈にとっても誇らしいが、一方でどことなく寂しさを感じることもあった。
誰からも好かれる鍾離の周りには好意を寄せる人も多い。自分もそのうちの一人だが、いつかその群れにのまれて一個体として認識されなくなるのではないかと、薄暗い気持ちになる。