途綺*
DONE🔮🐑//貴方を護る星空の祈り少し疲れて夢見が悪くなった🐑の話。「君の知らない真夜中の攻防(https://poipiku.com/6922981/8317869.html)」の対になるイメージで書きましたが、未読でも単体で読めます。
人間にはそれぞれ活動するのに適した時間帯があるのだと、ファルガーが教えてくれたのはいつのことだっただろう。朝が得意な人もいれば、夜の方が頭が働きやすい人もいる。だからそんなに気にすることはないと、頭を撫でてくれたのを覚えている。あぁそうだ、あれは二人で暮らし始めて一ヶ月が経った頃だった。お互いに二人で暮らすことには慣れてきたのに、全くもって彼と同じ生活リズムを送れないことを悩んでいた。今になって考えれば些細なことだと笑えるけれど、当時は酷く思い悩んで色んな人に相談して、見兼ねたファルガーが声を掛けて「心地よくいられること」をお互いに最優先に生活しようと決めたのだった。
そんなやり取りから数ヶ月。いつも通り深夜に寝室へ向かった浮奇は、すっかり寝入っている愛おしいひとの隣へ潜り込もうとベッドへ近づいた。静かにマットレスへ膝を付いて起こしていないことを確認しようと向けた視線の先で、眉を顰めて時折呼吸を詰めるファルガーを捉える。
2893そんなやり取りから数ヶ月。いつも通り深夜に寝室へ向かった浮奇は、すっかり寝入っている愛おしいひとの隣へ潜り込もうとベッドへ近づいた。静かにマットレスへ膝を付いて起こしていないことを確認しようと向けた視線の先で、眉を顰めて時折呼吸を詰めるファルガーを捉える。
途綺*
DONE🐑🔮//貴方と世界を繋ぐもの突然ドッゴの言葉が分かるようになる話。ほぼ🔮とドッゴの二人きりです。
四ヶ月、はたまた半年、もしくは二ヶ月に一度。彼の背骨は悲鳴を上げる。『現代』の医療では手の施しようがない痛みを抱える彼に不安げな表情を見せた浮奇に、プログラムされた制御がきちんと統制されていれば生身のそれよりも随分と便利なものだと、彼は笑った。彼の義肢の仕組みなど分かる訳もない浮奇は、それが強がりなのか本心なのか見抜くことができず、彼の引いた線を無理に踏み越えないことに決めた。最も、浮奇だって彼に施設での出来事を話していないのだから、きっとお互い様なのだ。
そんな不便で便利な義肢を持つ彼は、『現代』に来て様々な仲間と出会う中で優れた技術者とコンタクトを取ることができたようで、浮奇と出逢う少し前から数ヶ月に一度ほどいわゆる定期検診に向かう生活を送っていた。浮奇と共に生活をするようになってからもそれは変わらず、二日がかりで検診をしている間はドッゴとお留守番をするのが恒例になっている。カレンダーに丸く印を付けられた今日が、まさにその日だった。
9768そんな不便で便利な義肢を持つ彼は、『現代』に来て様々な仲間と出会う中で優れた技術者とコンタクトを取ることができたようで、浮奇と出逢う少し前から数ヶ月に一度ほどいわゆる定期検診に向かう生活を送っていた。浮奇と共に生活をするようになってからもそれは変わらず、二日がかりで検診をしている間はドッゴとお留守番をするのが恒例になっている。カレンダーに丸く印を付けられた今日が、まさにその日だった。
途綺*
DONE🐑🔮// 君と空を描く綺麗だと思える心を柔らかな愛で包んで大切にしたい話。
「...んっ、」
固まった身体をほぐす様に両手を天井へ向けて伸びをする。長時間の配信はしないようにする、と言ったのが少し懐かしく思えるくらいには、もうすでに片手では足りないほどの時間を費やしていることが増えている気がする。ストーリー重視のゲームは楽しい分、辞めどきが分からなくなるのが困りものだ。
すっかり飲み干して空になったグラスを掴んでキッチンへ向かう。愛しい同居人が水分補給にはうるさいため配信中に気にするようになってから、長時間配信の後に喉に違和感を覚えることが減った気がしていた。何度言われてもつい疎かにしてしまう節があることに呆れた浮奇が、画面に付箋を貼った時は手を叩いて爆笑したのもよく覚えている。誰のせいだとしっかり詰められて怒られたが、その健気さが愛おしくて今もそのままだ。
1782固まった身体をほぐす様に両手を天井へ向けて伸びをする。長時間の配信はしないようにする、と言ったのが少し懐かしく思えるくらいには、もうすでに片手では足りないほどの時間を費やしていることが増えている気がする。ストーリー重視のゲームは楽しい分、辞めどきが分からなくなるのが困りものだ。
すっかり飲み干して空になったグラスを掴んでキッチンへ向かう。愛しい同居人が水分補給にはうるさいため配信中に気にするようになってから、長時間配信の後に喉に違和感を覚えることが減った気がしていた。何度言われてもつい疎かにしてしまう節があることに呆れた浮奇が、画面に付箋を貼った時は手を叩いて爆笑したのもよく覚えている。誰のせいだとしっかり詰められて怒られたが、その健気さが愛おしくて今もそのままだ。
途綺*
DONE🐑🔮//真珠貝の唄人魚姫パロ。※👟 の友情出演があります。※🐑の翻訳はTwitterで投稿していますが、見なくても楽しめます。
海底に住む人魚が陸に住む人間に恋をする、遥か昔から語り継がれる物語。好奇心旺盛な人間と人魚によって、いつしかその物語は人間と縁を切っても切れない存在である人魚の世界にも広まっていた。人間の世界のそれとは、少し話の尾鰭を変えて。
「ねぇ、お願い!」
「やだってば」
海底深くにある煌びやかな世界で生まれ育った浮奇もまた、人間の世界に憧れる人魚だ。もう何十回も断られているにも関わらず、諦めの悪い浮奇は今日も人魚の魔法使いであるシュウの元へ通っていた。
「シュウもほんとしつこいよね」
「浮奇が言えたことじゃないよ、これで何回目だと思ってるの」
「十五回くらい?」
「三十二回目だよ」
わざわざ数えていたことに笑い出す浮奇を横目に、シュウは溜息を吐いた。作業場に篭りがちなのをいいことに二日と間を空けずに通ってくるこの人魚は、小さい頃から知っていることもありシュウにとっては弟的な存在である。
12106「ねぇ、お願い!」
「やだってば」
海底深くにある煌びやかな世界で生まれ育った浮奇もまた、人間の世界に憧れる人魚だ。もう何十回も断られているにも関わらず、諦めの悪い浮奇は今日も人魚の魔法使いであるシュウの元へ通っていた。
「シュウもほんとしつこいよね」
「浮奇が言えたことじゃないよ、これで何回目だと思ってるの」
「十五回くらい?」
「三十二回目だよ」
わざわざ数えていたことに笑い出す浮奇を横目に、シュウは溜息を吐いた。作業場に篭りがちなのをいいことに二日と間を空けずに通ってくるこの人魚は、小さい頃から知っていることもありシュウにとっては弟的な存在である。
途綺*
DONE🐑🔮//俺の世界を見て言葉を介して伝えるのが苦手な🔮の話。※🎭が友情出演しています
「ふーふーちゃんなんて、きらい!」
星空のような輝きを閉じ込めた両眼にいっぱいの涙を溜めて半ば叫ぶように言葉を放った浮奇は、近くにあったスマホを引っ掴んでファルガーと二人で住む家を飛び出した。咄嗟に伸ばされた手を避けるように背を向けて、焦ったように名前を呼ぶ声に振り向きもせず、目に入ったスニーカーに足を入れて玄関のドアを乱暴に開ける。ファルガーが追いかけてくるだろうことを分かっていたため、周りの目も気にせずに車通りの多い道まで走った。
「...っ、はぁ、は、」
呼吸の苦しさに足を止め、後ろを振り返りファルガーの姿がないことを確認する。なんとも言えない気持ちを抱えながら前を向いて踏み出せば、疲労のせいかスニーカーの爪先が地面を擦って、前のめりにバランスを崩しそうになったのを寸でのところで耐えた。浮奇の横を行き交う車も人間も、道端で息を切らして中途半端に引っ掛けただけだったスニーカーを履き直す浮奇に目もくれない。荒波のような心の浮奇には、その無関心さが救いだった。
6163星空のような輝きを閉じ込めた両眼にいっぱいの涙を溜めて半ば叫ぶように言葉を放った浮奇は、近くにあったスマホを引っ掴んでファルガーと二人で住む家を飛び出した。咄嗟に伸ばされた手を避けるように背を向けて、焦ったように名前を呼ぶ声に振り向きもせず、目に入ったスニーカーに足を入れて玄関のドアを乱暴に開ける。ファルガーが追いかけてくるだろうことを分かっていたため、周りの目も気にせずに車通りの多い道まで走った。
「...っ、はぁ、は、」
呼吸の苦しさに足を止め、後ろを振り返りファルガーの姿がないことを確認する。なんとも言えない気持ちを抱えながら前を向いて踏み出せば、疲労のせいかスニーカーの爪先が地面を擦って、前のめりにバランスを崩しそうになったのを寸でのところで耐えた。浮奇の横を行き交う車も人間も、道端で息を切らして中途半端に引っ掛けただけだったスニーカーを履き直す浮奇に目もくれない。荒波のような心の浮奇には、その無関心さが救いだった。
途綺*
DONE🔮🐑//サードアイにはご注意をうっかりやらかすサイボーグの話。機械なのを良いことに色々ずぼらになってたら可愛い。
『いま駅に着いたとこ、何か買って行くものある?』
電車を降りて改札へ向かいながら、すっかり見慣れたアイコンのトーク画面を開いて文字を打ち込む。数秒もせずに既読が付いて、ファルガーからのメッセージが届いた。
『特にないな。雨が降ってるし、やっぱり迎えに行こうか?』
『ううん、まだそんなに強くないし大丈夫だよ』
大切にされていると分かる優しさに、浮奇の頬が自然と弛む。スマホを上着のポケットに入れてお気に入りの傘を広げ、空から降り注ぐ雨がゆっくりと濡らしていく地面へ踏み出した。一ヶ月ぶりに取った数日間の休暇をリラックスして過ごすべく、浮奇はファルガーの家へと向かっている。「ふーふーちゃんの家で休暇を過ごしたい」と半ば思い付きで伝えた浮奇を、コラボも含めて配信の予定が入っているが、それでも構わないなら、とファルガーは快く受け入れてくれた。
3026電車を降りて改札へ向かいながら、すっかり見慣れたアイコンのトーク画面を開いて文字を打ち込む。数秒もせずに既読が付いて、ファルガーからのメッセージが届いた。
『特にないな。雨が降ってるし、やっぱり迎えに行こうか?』
『ううん、まだそんなに強くないし大丈夫だよ』
大切にされていると分かる優しさに、浮奇の頬が自然と弛む。スマホを上着のポケットに入れてお気に入りの傘を広げ、空から降り注ぐ雨がゆっくりと濡らしていく地面へ踏み出した。一ヶ月ぶりに取った数日間の休暇をリラックスして過ごすべく、浮奇はファルガーの家へと向かっている。「ふーふーちゃんの家で休暇を過ごしたい」と半ば思い付きで伝えた浮奇を、コラボも含めて配信の予定が入っているが、それでも構わないなら、とファルガーは快く受け入れてくれた。
途綺*
DONE🐑🔮//ポルックスの羽化SF要素強め。星のチカラに振り回されて繭に籠る話。ポルックスは🔮の誕生星。
途轍もなく、むしゃくしゃしていた。
胎児のように体を丸めて頭から布団を被って、母親の優しい体温を思い出して眠ってしまいたいような、そんな気分だった。最も残念ながら、浮奇にはそんな風に縋れるほど優しい幼少期の思い出なんて無いけれど。
やるせなさに泳がせた視線がお湯を沸騰させる鍋を捉える。ふつふつと沸き上がる湯を見ていると自分の中の何かが暴れ出しそうな感覚がして、気持ちを抑え込もうとキツく目を閉じた。
気持ちに影響されているのか体がぐらぐらと揺れる感覚がして、やがて目の前がぐるぐると回るような眩暈へと変わる。倒れる、と気付いて咄嗟に伸ばした手は何かにぶつかって支え損ねた。重力に従って硬い床に体をぶつけた感覚を最後に、浮奇は意識を手放していた。
5966胎児のように体を丸めて頭から布団を被って、母親の優しい体温を思い出して眠ってしまいたいような、そんな気分だった。最も残念ながら、浮奇にはそんな風に縋れるほど優しい幼少期の思い出なんて無いけれど。
やるせなさに泳がせた視線がお湯を沸騰させる鍋を捉える。ふつふつと沸き上がる湯を見ていると自分の中の何かが暴れ出しそうな感覚がして、気持ちを抑え込もうとキツく目を閉じた。
気持ちに影響されているのか体がぐらぐらと揺れる感覚がして、やがて目の前がぐるぐると回るような眩暈へと変わる。倒れる、と気付いて咄嗟に伸ばした手は何かにぶつかって支え損ねた。重力に従って硬い床に体をぶつけた感覚を最後に、浮奇は意識を手放していた。
途綺*
DONE🐑🔮//夜空を想う日常のひとコマ。今夜は満月なので夜空に想いを馳せて。
「今日が満月って知ってたか?」
夜の散歩から帰ってきたふーふーちゃんが、玄関で出迎えた俺にハグをするなり唐突な質問を投げかけてきた。
「ううん、だからこんなに外が明るかったんだ」
「あぁ、よく晴れてるから余計に」
満足したのか俺の身体を離してドッゴの脚を拭くふーふーちゃんの横を擦り抜けて空を見上げれば、そこにはまんまるのお月様が浮かんでいた。
「どうりで星の声が静かだと思った」
一等星を除いて月明かりに姿を隠している星々は、まるで後ろに引っ込んでこちらをそっと見ているかのようだった。
「…浮奇には星の声が聞こえるのか?」
目を丸くしてこちらを見てくるふーふーちゃんに、俺は首を傾げた。
「言ってなかったっけ」
「初めて聞いたぞ」
2398夜の散歩から帰ってきたふーふーちゃんが、玄関で出迎えた俺にハグをするなり唐突な質問を投げかけてきた。
「ううん、だからこんなに外が明るかったんだ」
「あぁ、よく晴れてるから余計に」
満足したのか俺の身体を離してドッゴの脚を拭くふーふーちゃんの横を擦り抜けて空を見上げれば、そこにはまんまるのお月様が浮かんでいた。
「どうりで星の声が静かだと思った」
一等星を除いて月明かりに姿を隠している星々は、まるで後ろに引っ込んでこちらをそっと見ているかのようだった。
「…浮奇には星の声が聞こえるのか?」
目を丸くしてこちらを見てくるふーふーちゃんに、俺は首を傾げた。
「言ってなかったっけ」
「初めて聞いたぞ」
にこ:)
DOODLE🐑🔮/オーダーメイドヴェール「世界一可愛いって言ってもらいたいの!」
お友達🎭出ます🙏(🔗🎭)
🔗🎭のお話↓のヴェールについて詳しく書きました。順番どちらでも大丈夫です。
https://poipiku.com/8013418/8917367.html 3494
途綺*
DONE🐑🔮//月明かりに舞う眠れない月夜にダンスを踊る話。時間があれば ”So This is Love” を聴きながらお楽しみください。
眠りについていた意識が浮上する感覚に抗うように寝返りを打って隣の温もりを探す。伸ばした手が空を切って冷たいシーツへ触れたことで、ファルガーはゆっくりと目を開けた。
「…ぅき?」
確かめるように呼んだ声は掠れて暗い部屋に溶ける。一緒にベッドに入ったはずの浮奇はいつの間にか抜け出したらしく、ぼやけた視界に映るベッドはもぬけの殻だった。まだ暗さに慣れない瞳を瞬きながら手探りでスマホを探して時間を確認すれば、強い光を放つ画面が表示する時間に瞠目して、ファルガーはそっとベッドを抜け出した。
「浮奇」
電気も付けずにカーテンだけを開け放ったリビングに差し込んだ月光が、ソファで膝を抱える浮奇を照らしている。ぼんやりとしていたのかファルガーの声に弾かれたように肩を揺らした浮奇が、困ったような顔でゆっくりと振り返った。
1880「…ぅき?」
確かめるように呼んだ声は掠れて暗い部屋に溶ける。一緒にベッドに入ったはずの浮奇はいつの間にか抜け出したらしく、ぼやけた視界に映るベッドはもぬけの殻だった。まだ暗さに慣れない瞳を瞬きながら手探りでスマホを探して時間を確認すれば、強い光を放つ画面が表示する時間に瞠目して、ファルガーはそっとベッドを抜け出した。
「浮奇」
電気も付けずにカーテンだけを開け放ったリビングに差し込んだ月光が、ソファで膝を抱える浮奇を照らしている。ぼんやりとしていたのかファルガーの声に弾かれたように肩を揺らした浮奇が、困ったような顔でゆっくりと振り返った。
akikane_cosplay
DONEPsyborg 🐑🔮 左右気にせず読めます⚠️死ネタ/ナチュラルに同棲中
新衣装のアンクレットに狂ってしまいました
ミサンガじゃないような気がしないでもないけど全て妄想・捏造なのでなんでも大丈夫な方だけ読んでネ
ミサンガが切れたら薄く開いた窓から流れ込む冷ややかな風が、じんわりと汗の滲んだ背中を走り抜けてゆく火点し頃。
キッチンで夕飯の準備をしながら食卓を挟んだ向こうにあるリビングに目をやると、愛しのサイボーグが珍しく眼鏡をかけて何やら真剣そうに金属の指を動かしている。暇さえあれば文字を追いかける本の虫だった彼だが、最近はああしているところを見る機会が増えた気がする。彼の姿を視界に入れながらも手は動かしていたはずだが、ふと彼がどうしたんだ?というような微笑みをこちらに向けたことで己の手が止まっていたことに気が付いた。
「ごめんね、邪魔しちゃった」
そう言って途中だった盛り付けを終え、皿を食卓に運んだ足でファルガーの元へ向かえば、作業の手を止めて両手を広げてくれる愛しい彼。遠慮なくその胸に納まると、彼の冷たくて大きな手に優しく撫でられた。
6070キッチンで夕飯の準備をしながら食卓を挟んだ向こうにあるリビングに目をやると、愛しのサイボーグが珍しく眼鏡をかけて何やら真剣そうに金属の指を動かしている。暇さえあれば文字を追いかける本の虫だった彼だが、最近はああしているところを見る機会が増えた気がする。彼の姿を視界に入れながらも手は動かしていたはずだが、ふと彼がどうしたんだ?というような微笑みをこちらに向けたことで己の手が止まっていたことに気が付いた。
「ごめんね、邪魔しちゃった」
そう言って途中だった盛り付けを終え、皿を食卓に運んだ足でファルガーの元へ向かえば、作業の手を止めて両手を広げてくれる愛しい彼。遠慮なくその胸に納まると、彼の冷たくて大きな手に優しく撫でられた。
𝓪𝓶𝓾
DONE肩が触れ合う距離で:🐑🔮学パロです。
カバンの中にメイク道具しか入ってないゥと、ぱんっぱんに教科書を詰めて帰るふふちゃの対比最高じゃないです?←
梅雨…相合傘をしやすい季節……最高です。 2717
途綺*
DONE🐑🔮//綺羅星の微睡み甘やかされてふわふわしてぼんやり眠くなる話。※実際にある睡眠導入法を軽くアレンジしています。
「ふーふーちゃんのばか」
足を抱えて小さく丸まった浮奇の声は、深く潜り込んだベッドの中でくぐもって響いた。ファルガーがドッゴの夜の散歩から帰ってきた直後という、浮奇にとっては有り得ないほど早い時間にベッドへ入っているのは低気圧に負けて痛みを訴える頭のせいだった。
外の雨が強くなるにつれて突き刺すような痛みが徐々に強くなってきたこめかみをさすりながら眉根を寄せていた浮奇は、見兼ねたファルガーに鎮痛薬を飲むよう促された。当然の対応だとは分かっていたが昼前から痛んでいた頭は疲れ切って正常な思考を保てず、浮奇は鎮痛薬を差し出すファルガーの手を拒否した。ふーふーちゃんが抱きしめてくれれば治るだとか、脳みそを取り出して壁に投げたいだとか、キスして甘やかしてよだとか。とにかく悪態をついた覚えはあるが何を口走ったのか記憶にない。ただ、話を受け流しつつ浮奇の手を引いてキッチンへと向かったファルガーが唐突に顎を掴んできて、優しく重なる唇に安心したのと同時にぬるい水と薬が口内へ流れ込んできたことで浮奇はようやく正気を取り戻した。
4137足を抱えて小さく丸まった浮奇の声は、深く潜り込んだベッドの中でくぐもって響いた。ファルガーがドッゴの夜の散歩から帰ってきた直後という、浮奇にとっては有り得ないほど早い時間にベッドへ入っているのは低気圧に負けて痛みを訴える頭のせいだった。
外の雨が強くなるにつれて突き刺すような痛みが徐々に強くなってきたこめかみをさすりながら眉根を寄せていた浮奇は、見兼ねたファルガーに鎮痛薬を飲むよう促された。当然の対応だとは分かっていたが昼前から痛んでいた頭は疲れ切って正常な思考を保てず、浮奇は鎮痛薬を差し出すファルガーの手を拒否した。ふーふーちゃんが抱きしめてくれれば治るだとか、脳みそを取り出して壁に投げたいだとか、キスして甘やかしてよだとか。とにかく悪態をついた覚えはあるが何を口走ったのか記憶にない。ただ、話を受け流しつつ浮奇の手を引いてキッチンへと向かったファルガーが唐突に顎を掴んできて、優しく重なる唇に安心したのと同時にぬるい水と薬が口内へ流れ込んできたことで浮奇はようやく正気を取り戻した。
途綺*
DONE🐑🔮//ディナーはハグの後で夕暮れの床に🔮が落ちてる話。
浮奇が床に落ちている。
どうしても仕上げなければいけない作業を終えてやけに静かな階下に降りたファルガーが見つけたのは、すっかりと傾きかけている陽が当たるカーペットの上で猫さながらに身体を丸めて眠る浮奇だった。すぐそこに使い慣れたソファがあるのに昼寝をするには妙な場所で丸くなる姿は、眠っているというより「落ちている」と言った方が正しいような光景だった。
近寄ってみれば浮奇へ身を寄せたKatとCatがこちらを見詰めてくる。まだファルガーに慣れないらしい彼女たちが普段なら一目散に逃げ出しそうな距離なのに、視線を向けるだけで動かずにいるのは浮奇が傍にいるからだろうか。まるで母猫に寄り添う子猫のように見えて、お互い親と離れた身であることを思い出して胸の奥が切なくなる。だが、本人が気に留めていないことを他者がつつくことでもないとすぐに頭を振った。
2062どうしても仕上げなければいけない作業を終えてやけに静かな階下に降りたファルガーが見つけたのは、すっかりと傾きかけている陽が当たるカーペットの上で猫さながらに身体を丸めて眠る浮奇だった。すぐそこに使い慣れたソファがあるのに昼寝をするには妙な場所で丸くなる姿は、眠っているというより「落ちている」と言った方が正しいような光景だった。
近寄ってみれば浮奇へ身を寄せたKatとCatがこちらを見詰めてくる。まだファルガーに慣れないらしい彼女たちが普段なら一目散に逃げ出しそうな距離なのに、視線を向けるだけで動かずにいるのは浮奇が傍にいるからだろうか。まるで母猫に寄り添う子猫のように見えて、お互い親と離れた身であることを思い出して胸の奥が切なくなる。だが、本人が気に留めていないことを他者がつつくことでもないとすぐに頭を振った。
途綺*
DONE🔮🐑//君色の指先甘えたり、寄り添ったり、振り回したりする話。
「浮奇、髪を…」
風呂から上がって雑にタオルドライした髪先からポタポタと雫を落としながらリビングへと向かったファルガーは、先に風呂を上がってソファに座っている浮奇に声を掛けようとして途中で言葉を止めた。熱心に手元を見つめる浮奇の前には、黒いネイルの瓶が置いてある。静かに近寄れば足音に気付いた浮奇が顔を上げた。
「ふーふーちゃん、上がったの?おかえり。」
「あぁ、ただいま。ネイルしてるのか?」
「ううん、これから。ちゃんと髪拭いてきた?」
母親のような口調で問いかける浮奇に、頷くことで返事をする。そのまま浮奇の隣へと腰掛ければ、動いたことで髪先から落ちた雫がソファに染みを作った。
「うそつき。」
「…拭いた、軽く。」
2200風呂から上がって雑にタオルドライした髪先からポタポタと雫を落としながらリビングへと向かったファルガーは、先に風呂を上がってソファに座っている浮奇に声を掛けようとして途中で言葉を止めた。熱心に手元を見つめる浮奇の前には、黒いネイルの瓶が置いてある。静かに近寄れば足音に気付いた浮奇が顔を上げた。
「ふーふーちゃん、上がったの?おかえり。」
「あぁ、ただいま。ネイルしてるのか?」
「ううん、これから。ちゃんと髪拭いてきた?」
母親のような口調で問いかける浮奇に、頷くことで返事をする。そのまま浮奇の隣へと腰掛ければ、動いたことで髪先から落ちた雫がソファに染みを作った。
「うそつき。」
「…拭いた、軽く。」
しろ🐾
DONE🐑🔮「これを読んでいる頃には、俺はもういません」・全然シリアスじゃ無い
・ほぼ🐑ちゃんの独り言
・一緒に暮らしている設定
突発ワンライ企画参加させていただきました
テーマ「泣きそうな横顔」
ツイッターに上げたものを加筆修正
愛するきみへ 7:20
朝身体を起こすと、深酒をしたわけでもないのに随分と頭が痛かった。バスルームで用を足し、鏡に映ったふて腐れた顔を横目に洗面台から鎮痛剤の入れ物を掴む。キッチンに行くと、カウンターに折りたたまれた手紙が置いてあった。
二つ折りになった紙の真ん中に良く知った筆跡で自分の名前が、右下には彼のサインがしてある。
ことりと薬の容器をカウンターに置いて、代わりに重ねて折られた紙を開く。
『ふぅふぅちゃんへ
この手紙を読む頃には、俺はもういません』
息を大きく吸って胸に溜めてから、長く吐く。頭痛が酷くなった気がした。
8:00
薄い塩味のビスケットを二枚食べてからオレンジジュースをグラスに半分だけ飲む。グラスを空にしてから水を一杯までいれて、痛み止めを二錠口の中に放り込む。舌に乗った苦みを水で流し込みながら、手紙の続きを読んだ。
3220朝身体を起こすと、深酒をしたわけでもないのに随分と頭が痛かった。バスルームで用を足し、鏡に映ったふて腐れた顔を横目に洗面台から鎮痛剤の入れ物を掴む。キッチンに行くと、カウンターに折りたたまれた手紙が置いてあった。
二つ折りになった紙の真ん中に良く知った筆跡で自分の名前が、右下には彼のサインがしてある。
ことりと薬の容器をカウンターに置いて、代わりに重ねて折られた紙を開く。
『ふぅふぅちゃんへ
この手紙を読む頃には、俺はもういません』
息を大きく吸って胸に溜めてから、長く吐く。頭痛が酷くなった気がした。
8:00
薄い塩味のビスケットを二枚食べてからオレンジジュースをグラスに半分だけ飲む。グラスを空にしてから水を一杯までいれて、痛み止めを二錠口の中に放り込む。舌に乗った苦みを水で流し込みながら、手紙の続きを読んだ。