Jeff
DOODLEお題:「束縛」#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2025/04/27
Puzzle「アリアハンの酒場の主人、って誰だ」
しわくちゃになった紙片を睨んで、ラーハルトが言う。
「パティだ。出会いと別れの酒場の」
論文翻訳から目をあげずに、ヒュンケルが返す。
「頭文字が合わない」
ラーハルトは鉛筆の先でテーブルを叩く。
遅い夕食後。最近、二人は古代の遊びにはまっている。
ヒュンケルが引き取ってきた怪しげな古文書に連載されていた、十字の言葉パズルだ。
キーワードから正解の単語を類推して、紙面を縦横に埋めていく。
シンプルだが味わい深い。
「魔界語の名で言い換えると?」
問われて、ヒュンケルは数秒考えた。
「女主人ルイーダ。確か」
「それだ」
満足げに最後の行を埋めて、ラーハルトは伸びをした。
1410しわくちゃになった紙片を睨んで、ラーハルトが言う。
「パティだ。出会いと別れの酒場の」
論文翻訳から目をあげずに、ヒュンケルが返す。
「頭文字が合わない」
ラーハルトは鉛筆の先でテーブルを叩く。
遅い夕食後。最近、二人は古代の遊びにはまっている。
ヒュンケルが引き取ってきた怪しげな古文書に連載されていた、十字の言葉パズルだ。
キーワードから正解の単語を類推して、紙面を縦横に埋めていく。
シンプルだが味わい深い。
「魔界語の名で言い換えると?」
問われて、ヒュンケルは数秒考えた。
「女主人ルイーダ。確か」
「それだ」
満足げに最後の行を埋めて、ラーハルトは伸びをした。
そうこ
CAN’T MAKE #LH1dr1wrお題「束縛」所要時間2時間半程度
なりきれないヤンデレラーハルトVS色々クラッシャーヒュンケル
コメディに見せかけたなにか
束縛 コトコトと煮込まれるシチューの美味しそうな匂いが部屋に広がる。
なんの変哲もないシチューではあるが、これは会心の出来だろう、とラーハルトはこれからこれを食べるであろう人物を思い浮かべながら一人微笑んだ。
外を見ればすっかり日は落ち、そろそろ想い人が訪れるだろうとシチューを皿に移した。
そしてその一皿に小瓶から取り出した粉を振り入れる。同色の粒子の細かい粉は見ただけでは入っていることすらわからない。
ラーハルトはその皿を見つめ、寝室に目を移すと更に笑みを深くした。
直後に玄関の扉を叩く音が響く。
意識をそちらに向けると、勝手知ったる様子で扉を開け上がり込むヒュンケルの姿が見える。
「今日はシチューか」
3965なんの変哲もないシチューではあるが、これは会心の出来だろう、とラーハルトはこれからこれを食べるであろう人物を思い浮かべながら一人微笑んだ。
外を見ればすっかり日は落ち、そろそろ想い人が訪れるだろうとシチューを皿に移した。
そしてその一皿に小瓶から取り出した粉を振り入れる。同色の粒子の細かい粉は見ただけでは入っていることすらわからない。
ラーハルトはその皿を見つめ、寝室に目を移すと更に笑みを深くした。
直後に玄関の扉を叩く音が響く。
意識をそちらに向けると、勝手知ったる様子で扉を開け上がり込むヒュンケルの姿が見える。
「今日はシチューか」
きのこ
DONE #LH1dr1wr2025/04/25
お題「束縛」120分程。
無意識の束縛にも程がある。多分いつもは自分に縛り付けちゃいけないとか思ってそうなので、意識がなくなると的な…。ラー側は誰だどう見ても普段から束縛しまくりだけど(ヒュンは気にしていない) 4
Jeff
DOODLEお題:「空腹」#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2025/04/20
Herbcandy 少々の侮辱に耐えられないことは、ない。
と、ラーハルトは反芻する。
――なんとまあ、魔族ですか。
――女王猊下、いくらなんでも。
――敵性人物を国際会議に招くとは。
人間社会の反応は辛らつだ。
主君ダイの思い人、賢者姫は眉ひとつ動かさずに言い返した。
「笑っちゃうわね。神々にとっては、我ら等しく見慣れぬ生き物では?」
大戦の記憶を軽んじるようなその言葉は、翌日の三面記事になった。
好奇の目。
護衛としてラーハルトを連れ出したレオナ女王の意図が分からなかった。
数日間、肌を焼く視線をまっすぐ跳ねのけ続けた。
触れたリンゴのみずみずしさすら感じ取れない程、指先が冷たくなっていた。
提供される豪奢なレセプション・ディナーは、ひとつも味がしなかった。
1225と、ラーハルトは反芻する。
――なんとまあ、魔族ですか。
――女王猊下、いくらなんでも。
――敵性人物を国際会議に招くとは。
人間社会の反応は辛らつだ。
主君ダイの思い人、賢者姫は眉ひとつ動かさずに言い返した。
「笑っちゃうわね。神々にとっては、我ら等しく見慣れぬ生き物では?」
大戦の記憶を軽んじるようなその言葉は、翌日の三面記事になった。
好奇の目。
護衛としてラーハルトを連れ出したレオナ女王の意図が分からなかった。
数日間、肌を焼く視線をまっすぐ跳ねのけ続けた。
触れたリンゴのみずみずしさすら感じ取れない程、指先が冷たくなっていた。
提供される豪奢なレセプション・ディナーは、ひとつも味がしなかった。
きのこ
DOODLE #LH1dr1wr2025/04/19
お題「空腹」120分程。今日は半分フライングしているので実際に掛かった時間よりも早い時間帯にアップしております。
どちらかというとラーの方が詳しいとは思うんですけど。
なお、弟弟子ズに話をリークしたのは多分ラー。うちの先生はいつだって被害者です。 3
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「泣き顔」所要時間1時間半程度
ラーハルトの百面相とヒュンケルの独白。
何気ない日常の話。
泣き顔 朝の気配に瞼が上がる。
寝起きのぼんやりとした視界に映るのは愛しい人の寝顔。
穏やかな寝息をたてて眠る姿に思わず触れたくなるが、グッと堪えて身体を起こす。
静かにベッドを抜け出し寝室の扉を開けても恋人は起きる気配が無い。
そっと扉を閉めて朝の準備に取り掛かる。
そうして朝食を作っていれば、不意に寝室の扉が開いた。
音の先を見れば、まだ眠そうな目を擦りながらラーハルトがこちらを見つめている。
「おはよう、ラーハルト」
調理の手は止めずに挨拶をすれば、見た目にそぐわず掠れた声で小さな返事が返る。
「もうすぐ出来るから顔でも洗って目を覚ましてこい」
半分夢の世界にいるラーハルトが小さく頷き井戸へと向かう姿はどこか幼げで微笑ましい。
2826寝起きのぼんやりとした視界に映るのは愛しい人の寝顔。
穏やかな寝息をたてて眠る姿に思わず触れたくなるが、グッと堪えて身体を起こす。
静かにベッドを抜け出し寝室の扉を開けても恋人は起きる気配が無い。
そっと扉を閉めて朝の準備に取り掛かる。
そうして朝食を作っていれば、不意に寝室の扉が開いた。
音の先を見れば、まだ眠そうな目を擦りながらラーハルトがこちらを見つめている。
「おはよう、ラーハルト」
調理の手は止めずに挨拶をすれば、見た目にそぐわず掠れた声で小さな返事が返る。
「もうすぐ出来るから顔でも洗って目を覚ましてこい」
半分夢の世界にいるラーハルトが小さく頷き井戸へと向かう姿はどこか幼げで微笑ましい。
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「仕方ない」所要時間3時間程度
「引っ越し」と話が繋がってますが読まなくても大丈夫です。
ラーヒュンと牙折れキラーパンサーが一緒に住んでる家が狭いので、引っ越し先を探しているヒュンケルが一匹のスライムと出会う話。
仕方ない その日ヒュンケルが訪れたのは、どこか物寂しい小さな村だった。
手狭になった現在の家から移り住む為、新たな土地を見て回っていたが中々条件の良い場所に出会えないでいる。
今は留守番をしている半魔と魔界の獣が不自由なく暮らすには、ある程度人里から離れたい。しかし人間のものである地上はどこも人の住む場所となっており、無人の地は定住出来そうにもない。
であれば人間とはそれなりに距離を置きつつ住み良い土地をと、ヒュンケルはあちこちを見て回っていた。
そんな中たどり着いたこの地は、人間が住まうには良い条件が揃っているにもかかわらず活気がない。
不思議に思いながらヒュンケルが村の中を歩いていると、一人の老人と遭遇した。
5409手狭になった現在の家から移り住む為、新たな土地を見て回っていたが中々条件の良い場所に出会えないでいる。
今は留守番をしている半魔と魔界の獣が不自由なく暮らすには、ある程度人里から離れたい。しかし人間のものである地上はどこも人の住む場所となっており、無人の地は定住出来そうにもない。
であれば人間とはそれなりに距離を置きつつ住み良い土地をと、ヒュンケルはあちこちを見て回っていた。
そんな中たどり着いたこの地は、人間が住まうには良い条件が揃っているにもかかわらず活気がない。
不思議に思いながらヒュンケルが村の中を歩いていると、一人の老人と遭遇した。
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「引っ越し」所要時間1時間半程度
ラーヒュンとキラーパンサーが3人で住んでる話。
やまも落ちも意味もない感じです。
キラーパンサーが可哀想な目にあっていたので苦手な方はご注意ください、今は幸せいっぱいです。
引っ越し「おい、止まれ!」
ヒュンケルの必死の叫びも虚しく、大型の獣は素早く動き回る小さな影を追いかけ回す。
掃除の為に開け放っていた玄関から入り込んだネズミは、いち早く大型の獣―キラーパンサーに補足され追いかけ回された結果、大混乱に陥っていた。
迫り来る魔の手から逃れようとネズミが隠れようとするが、逃げ込んだ先は空の壺の裏。
巨体に飛びかかられたそれは勢い良く倒れ、見るも無惨に砕け散った。
大きな破壊音にさすがのキラーパンサーも我に帰ったのか、目の前の惨状に耳を伏せている。
ヒュンケルは動きが止まったことに安堵し、手にしていた箒でネズミを追い立て外に逃がしてやった。
きゅーん、とキラーパンサーが情けない声を上げる。
2004ヒュンケルの必死の叫びも虚しく、大型の獣は素早く動き回る小さな影を追いかけ回す。
掃除の為に開け放っていた玄関から入り込んだネズミは、いち早く大型の獣―キラーパンサーに補足され追いかけ回された結果、大混乱に陥っていた。
迫り来る魔の手から逃れようとネズミが隠れようとするが、逃げ込んだ先は空の壺の裏。
巨体に飛びかかられたそれは勢い良く倒れ、見るも無惨に砕け散った。
大きな破壊音にさすがのキラーパンサーも我に帰ったのか、目の前の惨状に耳を伏せている。
ヒュンケルは動きが止まったことに安堵し、手にしていた箒でネズミを追い立て外に逃がしてやった。
きゅーん、とキラーパンサーが情けない声を上げる。
きのこ
DOODLE #LH1dr1wr2025/03/15
お題「引っ越し」90分程。
うちの引っ越しはこれしかなかった…。古民家で始めるラーヒュン生活の引っ越してくる寸前のお話ってことで。
現パロにつき、ラーの見た目が異なるのでご注意下さい 2
そうこ
MOURNING #LH1dr1wrお題「運」所要時間2時間半時間程度
コイントスに判断を委ねてるラーヒュンの話
ゆっくり歩み寄る話が書きたかったけど上手くまとまらなかったので雰囲気で読んでいただければと
運 独特の高い音を立ててコインが宙を舞う。
指で弾かれたそれは回転をしながら落下し、 ラーハルトは手の甲で受け止め反対の手で覆い隠した。
鳴り止んだ音に合わせてヒュンケルが目を開く。
「表」
神妙な顔つきで宣言するヒュンケルをどこか気の毒そうに見つめながら、ラーハルトは覆っていた手を退けた。
「……裏、だな」
手の甲に乗るコインを見つめ溜息を吐いたのはラーハルトだ。
「こうも当たらないとは、呪われているんじゃないのか?」
「それはない……と、思うが」
「一度も当たったことがないではないか」
ラーハルトは呆れながら過去を思い返す。
晴れて恋人となり共に暮らし始め、少なくない時間が経った。
日々を積み重ねていけば当然二人の意見が割れることがある。
2576指で弾かれたそれは回転をしながら落下し、 ラーハルトは手の甲で受け止め反対の手で覆い隠した。
鳴り止んだ音に合わせてヒュンケルが目を開く。
「表」
神妙な顔つきで宣言するヒュンケルをどこか気の毒そうに見つめながら、ラーハルトは覆っていた手を退けた。
「……裏、だな」
手の甲に乗るコインを見つめ溜息を吐いたのはラーハルトだ。
「こうも当たらないとは、呪われているんじゃないのか?」
「それはない……と、思うが」
「一度も当たったことがないではないか」
ラーハルトは呆れながら過去を思い返す。
晴れて恋人となり共に暮らし始め、少なくない時間が経った。
日々を積み重ねていけば当然二人の意見が割れることがある。
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「我慢」所要時間1時間程度
冒険中に状態異常に陥ったヒュンケルがグイグイくるだけの話。
耐性については3よりうんのよさ依存の設定拝借してます。
山もオチも意味もないバカ小噺。
9からゆめみの花(敵一体を眠らせるアイテム)拝借してます。
我慢「なぁ、ラーハルト、シよ?」
ヒュンケルがしなだれながらオレの耳元で囁く。
平時であれば一もなく二もなく誘いに乗るのだが如何せん場所が場所だ。
しかしこの場所、こんな状況でないと、このようなことは滅多にコイツは言わないだろう。
「周りの魔物の群れが見えんのか」
そう、今はとある洞窟を散策している中で、厄介な魔物の大群に囲まれている所だ。
どうにか絞り出した言葉も意に介しておらず、誘うようにその腕をオレの首に回してくる。いや、実際に誘われているのだが。
「ラーハルトしか見えない」
そりゃこれだけ抱きつけばオレしか見えないだろうな。
抗い難い温もりにも関わらず頭痛がしてきた。何故ヒュンケルがこんな事になったのか痛む頭で思い返す。
1702ヒュンケルがしなだれながらオレの耳元で囁く。
平時であれば一もなく二もなく誘いに乗るのだが如何せん場所が場所だ。
しかしこの場所、こんな状況でないと、このようなことは滅多にコイツは言わないだろう。
「周りの魔物の群れが見えんのか」
そう、今はとある洞窟を散策している中で、厄介な魔物の大群に囲まれている所だ。
どうにか絞り出した言葉も意に介しておらず、誘うようにその腕をオレの首に回してくる。いや、実際に誘われているのだが。
「ラーハルトしか見えない」
そりゃこれだけ抱きつけばオレしか見えないだろうな。
抗い難い温もりにも関わらず頭痛がしてきた。何故ヒュンケルがこんな事になったのか痛む頭で思い返す。
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「密会」所要時間2時間弱程度
冒頭で死んだような描写がありますが元気に生きてるヒュンケルの話。どことなく暗い話です。
偽名が出たりダイ大にない職業があります。
シリアスに見せかけたギャグになる予定でしたが思いの外暗いだけの話になってしまった。 3066
きのこ
DONE #LH1dr1wr2025/02/15
お題「甘~~~い!」75分程。
古民家で生活してる現パロラーヒュンシリーズの二人です。
ヤマもオチもなにもない日常の一幕って感じで。
個人的にさつま芋の旬は今からだと思っている。蔵出しさつまいもはうまい(宣伝) 2
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「転職」所要時間70分程度
踊り子に転職したヒュンケルの話。
「朝帰り」と何となく繋がってますが単体でも読めます。
サラッとダーマ神殿がある世界線の話です。
転職 夜も更け賑わう酒場、その出入口近くでラーハルトは1人静かに杯を傾けていた。
ちらりと一際騒がしい一団を見やる。人数は5人、その中で小太りの中年男がリーダー格のようで、話しているのはほぼその男だった。
思い思いに過ごす人々の音の中に、唐突にギターの音色が鳴り響く。
客達は驚き音の元を見ると、そこにはそれぞれ楽器を携えた楽団がいた。
静寂に包まれた酒場に、そっとギターが弾かれ旋律が始まる。追従して増える音色は古くから伝わる楽器がほとんどで、どこか郷愁を誘う音だ。
悪くないな、とラーハルトは思いながら杯を空けると、急に曲調が変わった。
ゆったりした音楽から一変、アップテンポの明るい音は酒場に相応しく、踊り子の参入に更に盛り上がりを見せた。
2524ちらりと一際騒がしい一団を見やる。人数は5人、その中で小太りの中年男がリーダー格のようで、話しているのはほぼその男だった。
思い思いに過ごす人々の音の中に、唐突にギターの音色が鳴り響く。
客達は驚き音の元を見ると、そこにはそれぞれ楽器を携えた楽団がいた。
静寂に包まれた酒場に、そっとギターが弾かれ旋律が始まる。追従して増える音色は古くから伝わる楽器がほとんどで、どこか郷愁を誘う音だ。
悪くないな、とラーハルトは思いながら杯を空けると、急に曲調が変わった。
ゆったりした音楽から一変、アップテンポの明るい音は酒場に相応しく、踊り子の参入に更に盛り上がりを見せた。
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「初夢」所要時間2時間半程度
どんなに良い夢でも場所でも、愛する者がいなければ意味が無い。
謎のモンスターはナスビナーラです。
そこはかとなく5要素がありますがあまり関係はないです。
初夢 ヒュンケルは一人森の中で一匹の魔物を追いかけていた。
その魔物の風体は見た目はヒュンケルの身長の半分ほどの巨大な茄子だが、ツルのような手足が生えている。見たことも聞いたこともないその魔物は、導くように軽快に森を駆けている。
どれだけ追いかけたかわからくなった頃、ようやく目的地にたどり着いたのか、謎の魔物は足を止めた。
目の前には崖のような山がそびえ立っていた。山頂は雲に隠れ、全貌が見えない。
「さぁ、この山を登るんだ!」
突然頭上から声が響く。
ヘルコンドルだ。いつの間にかそこにいたのだろう、とヒュンケルは疑問に思うがそれよりも気になることがあった。
「登ると、何があるんだ」
「この山を登れば、光の国があるぞ!」
2488その魔物の風体は見た目はヒュンケルの身長の半分ほどの巨大な茄子だが、ツルのような手足が生えている。見たことも聞いたこともないその魔物は、導くように軽快に森を駆けている。
どれだけ追いかけたかわからくなった頃、ようやく目的地にたどり着いたのか、謎の魔物は足を止めた。
目の前には崖のような山がそびえ立っていた。山頂は雲に隠れ、全貌が見えない。
「さぁ、この山を登るんだ!」
突然頭上から声が響く。
ヘルコンドルだ。いつの間にかそこにいたのだろう、とヒュンケルは疑問に思うがそれよりも気になることがあった。
「登ると、何があるんだ」
「この山を登れば、光の国があるぞ!」
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「下心」所要時間3時間程度
原作終了後別々に暮らしているくっついていないラーヒュンの様子がおかしい話。
下心 長かったような短かったような激動の日々は終わりを告げ、今オレは新たな主君ダイ様に仕える形でパプニカの国に居を構えている。
国といっても城からはそれなりに距離があり、街とも離れている、所謂僻地に家を建ててもらった。
今は別の国に住む友にして我が想い人は、この国に来ることを出来る限り避けている。しかし、己を尋ねることくらいは許されてもいいだろう、その期待を持って不便も厭わずこの人里離れた場所を選んだ。
別に今すぐにでなくていい、どこかでオレを思い出し、会いたいと願ってくれれば。自分にこんな殊勝な願いが生まれたことに驚きつつも、そのいつかを思い描きながら日々は過ぎていった。
そして、それぞれの新しい生活がようやく落ち着きを見せてきた頃、一通の手紙が届いた。ヒュンケルからだ。
4050国といっても城からはそれなりに距離があり、街とも離れている、所謂僻地に家を建ててもらった。
今は別の国に住む友にして我が想い人は、この国に来ることを出来る限り避けている。しかし、己を尋ねることくらいは許されてもいいだろう、その期待を持って不便も厭わずこの人里離れた場所を選んだ。
別に今すぐにでなくていい、どこかでオレを思い出し、会いたいと願ってくれれば。自分にこんな殊勝な願いが生まれたことに驚きつつも、そのいつかを思い描きながら日々は過ぎていった。
そして、それぞれの新しい生活がようやく落ち着きを見せてきた頃、一通の手紙が届いた。ヒュンケルからだ。
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/12/28お題「下心」80分程。
なんだかよくわからない話に…。つまりラーはいつだってあわよくば的な気持ちでヒュンの世話をしていたりする事もある的な感じです。
夜のティラミスの意味は各自調べてください。 3
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「靴下」所要時間70分程度
クリスマスっぽいなにかの準備をするラーヒュン。全てが捏造です。
終始ほのぼのというか会話だけ。サンタブーツはロマン。
全体的にゆるふわなので深く考えずにお読みいただければ幸いです。
靴下 ラーハルトが帰宅すると、そこには奇妙な光景が広がっていた。
大量の食料と思われる包みをテーブルに広げ、なぜか靴下の片方だけを持ち、包みを持ち上げては首を傾げるヒュンケルの姿だ。
よほど集中しているのか恋人の帰宅にも気づかない様子に、少しだけ面白くないラーハルトはいつもより少し大きな声で帰宅を告げた。
案の定予測していなかった声にヒュンケルは少し肩を跳ねさせ、驚きと申し訳なさを滲ませた顔で声の主を振り返る。
「気づかなくてすまないラーハルト、おかえり」
「別に気にしてない、随分と夢中のようだが何をしている?」
明らかに気にしている声音を感じ、ヒュンケルは眉を下げつつ手の中の靴下をラーハルトに見せる。
2140大量の食料と思われる包みをテーブルに広げ、なぜか靴下の片方だけを持ち、包みを持ち上げては首を傾げるヒュンケルの姿だ。
よほど集中しているのか恋人の帰宅にも気づかない様子に、少しだけ面白くないラーハルトはいつもより少し大きな声で帰宅を告げた。
案の定予測していなかった声にヒュンケルは少し肩を跳ねさせ、驚きと申し訳なさを滲ませた顔で声の主を振り返る。
「気づかなくてすまないラーハルト、おかえり」
「別に気にしてない、随分と夢中のようだが何をしている?」
明らかに気にしている声音を感じ、ヒュンケルは眉を下げつつ手の中の靴下をラーハルトに見せる。
きのこ
DOODLE #LH1dr1wr2024/12/7お題「待ち合わせ」130分程。
https://poipiku.com/5185671/9192921.html
https://poipiku.com/5185671/9200062.html
この辺の遙か先での続きの話です。
※死ネタに関する描写になります(ネタバレ) 3
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「朝帰り」
ヒュが遊び人に転職する話。
シリーズから色々とネタ拝借。橙世界線に無いものがあります。たぶんギャグです。
初投稿のため色々と至らない点もあるかと思いますが、ご容赦いただければ幸いです。
朝帰り 消えた勇者を探す道すがら、偶然見つけたその施設はどうやら転職を司る神殿だとか何とかで、望む者は職を変えることが出来るらしい。
戦士として死を迎えたヒュンケルはこれ幸いにと新たな職に就くことを喜んだが、どうにもタイミングが悪かった。
だいぶ前から道に迷いまともな休息をとれる場所もなく、食べるのもままならない状態で旅を続け、やっと見つけたのがこの施設だ。
久々のまともな寝食に無意識にテンションは上がり、そのままの勢いで新たな職について相談したものだから後先など考えるはずもなく。
魔王の脅威は過ぎ去ったがいまだ凶暴な魔物は絶えず、度々交戦は起こる。
竜の騎士に従事したオレが遅れをとる敵など存在しない、本来であれば。
3657戦士として死を迎えたヒュンケルはこれ幸いにと新たな職に就くことを喜んだが、どうにもタイミングが悪かった。
だいぶ前から道に迷いまともな休息をとれる場所もなく、食べるのもままならない状態で旅を続け、やっと見つけたのがこの施設だ。
久々のまともな寝食に無意識にテンションは上がり、そのままの勢いで新たな職について相談したものだから後先など考えるはずもなく。
魔王の脅威は過ぎ去ったがいまだ凶暴な魔物は絶えず、度々交戦は起こる。
竜の騎士に従事したオレが遅れをとる敵など存在しない、本来であれば。
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/11/30お題「朝帰り」100分程。
一人で囲まれてしまったらもうどうしようもない。隙をついて逃げられるほど運も良くないので、ただただ相手をするしかなかったわけで… 3
Jeff
DOODLEお題:「家族」現パロです
#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2024/11/23
Snowglobe「カタチだけだろ、そんなもの」
ラーハルトは顔も上げずに答える。
リズミカルにアンチョビを切り刻み、新鮮なチコリに乗せる。
「うん」
と、ヒュンケルはページを繰る。古書店で見つけたペーパーバックには、何かの花が挟まっている。
「それでも。クリスマスには、家に帰るんだ」
たっぷりのフルーツケーキを想像しながら、ヒュンケルは言う。
「そういうものなんだ」
たたき上げの審美眼で美術商の職を得たラーハルトと、そこそこ売れ始めた画家のヒュンケルが出会ったのは運命だった。
親の無い子供同士。
惹かれ合った二人が共に住み始めて、もう数年が経つ。
生きていける程度以上の収入と、一等地のアパルトマンと、やりがいのある仕事。
1425ラーハルトは顔も上げずに答える。
リズミカルにアンチョビを切り刻み、新鮮なチコリに乗せる。
「うん」
と、ヒュンケルはページを繰る。古書店で見つけたペーパーバックには、何かの花が挟まっている。
「それでも。クリスマスには、家に帰るんだ」
たっぷりのフルーツケーキを想像しながら、ヒュンケルは言う。
「そういうものなんだ」
たたき上げの審美眼で美術商の職を得たラーハルトと、そこそこ売れ始めた画家のヒュンケルが出会ったのは運命だった。
親の無い子供同士。
惹かれ合った二人が共に住み始めて、もう数年が経つ。
生きていける程度以上の収入と、一等地のアパルトマンと、やりがいのある仕事。
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/11/09お題「新食感」120分程。
はるか昔に落書き漫画っぽいのであげたネタですが、正式に。
うちのヒュンは甘噛をする設定です。
あと、先生が作ったお菓子はいわゆるグミです。 2
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/11/02お題「身代わり」120分程。
第64回の『酔っ払い』の続きのような感じですhttps://poipiku.com/5185671/9242786.html
多分、ヒュンは普段酒入っても他の人の前では平然としているけど、ラーと一緒のときだけ安心して泥酔しちゃう的な感じかもしれません。 3
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/10/19 お題「弁当」150分程
https://poipiku.com/5185671/9719039.html
https://poipiku.com/5185671/10516806.html
この辺の現パロの二人。
ラーはヒュンを甘やかし気味です。ヒュンはスクスクのびのび暮らしています。 4
きのこ
DOODLE #LH1dr1wr2024/10/05 お題「寄り道」100分程
ダ帰還後、ヒュンはどこぞの山奥とかで暮らしてる的なイメージです。
思考のすれ違いはしょっちゅうしてそう。ちゃんと話し合え。 3
Jeff
DOODLEお題:「ひとりじめ」たまにはスポイルされた子どものように
#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2024/09/15
Rosegarden 勘違いしていた。自分に、執着心などないと。
と、ヒュンケルは思う。
「この前話しただろ、やっと咲いたんだ。自信作だから――」
興奮気味に言うと、ラーハルトはあくび混じりに、
「また今度な」
今日も忙しい、と言い捨てて、いつものように出勤していった。
ラーハルトの主君であるバランの息子、希望の勇者ダイが帰ってきてから。
彼はずっとこんな調子だ。
――仕方ないだろう、生きていくための仕事は要る。
などど言い訳しているが、勿論「ダイ様」のためだ。
分かっている。ラーハルトの邪魔はしたくない。
けれど。
「今は俺の方が稼いでるぞ、結構」
ぶつくさ呟きながら、秘密の薔薇園へと向かう。
たわむれに魔界から持ち帰ったその枝は、伝説的希少種だった。
1083と、ヒュンケルは思う。
「この前話しただろ、やっと咲いたんだ。自信作だから――」
興奮気味に言うと、ラーハルトはあくび混じりに、
「また今度な」
今日も忙しい、と言い捨てて、いつものように出勤していった。
ラーハルトの主君であるバランの息子、希望の勇者ダイが帰ってきてから。
彼はずっとこんな調子だ。
――仕方ないだろう、生きていくための仕事は要る。
などど言い訳しているが、勿論「ダイ様」のためだ。
分かっている。ラーハルトの邪魔はしたくない。
けれど。
「今は俺の方が稼いでるぞ、結構」
ぶつくさ呟きながら、秘密の薔薇園へと向かう。
たわむれに魔界から持ち帰ったその枝は、伝説的希少種だった。
Jeff
DOODLEお題:「会心の一撃」謎理論と会心・必中。
#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2024/09/15
Metal ――どっちがやる?
無言のつばぜり合いを制したのは、ヒュンケルだった。
武器も持たず、奇っ怪な扉の前に進み出る。
「待たんかヒュンケル。話を聞いていたのか」
巨大な鉄のスライムが描かれた鈍色の壁には、古代文字で呪詛が綴られている。
秘宝を求める盗っ人どもよ。
我が扉を破るは、会心の一撃のみ。
資格無き者、たちどころに鉄と成れ。
扉に挑戦した盗賊たちがそこここで、アスパラガスよろしく石化している。
ここは某国僻地、財宝伝説の眠るひなびた村。
おかしな扉が発掘されてからと言うもの、欲にかられた旅人の犠牲者が絶えない。
純朴な村民たちに懇願された国王に懇願された暇人二人が、解決に駆り出された。
先の戦いの功労者、アバンの使徒ヒュンケルと元陸戦騎ラーハルトは、すっかり便利屋扱いだ。
1092無言のつばぜり合いを制したのは、ヒュンケルだった。
武器も持たず、奇っ怪な扉の前に進み出る。
「待たんかヒュンケル。話を聞いていたのか」
巨大な鉄のスライムが描かれた鈍色の壁には、古代文字で呪詛が綴られている。
秘宝を求める盗っ人どもよ。
我が扉を破るは、会心の一撃のみ。
資格無き者、たちどころに鉄と成れ。
扉に挑戦した盗賊たちがそこここで、アスパラガスよろしく石化している。
ここは某国僻地、財宝伝説の眠るひなびた村。
おかしな扉が発掘されてからと言うもの、欲にかられた旅人の犠牲者が絶えない。
純朴な村民たちに懇願された国王に懇願された暇人二人が、解決に駆り出された。
先の戦いの功労者、アバンの使徒ヒュンケルと元陸戦騎ラーハルトは、すっかり便利屋扱いだ。
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/08/31 お題「卵」100分程
卵は生で食べるよりも加熱したほうが良いらしいですよ。温泉卵とか良いらしいです。
先生はいつだって虎視眈々とその場を狙っていると思います。 3
Jeff
DOODLEお題:「涙」#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2024/08/25
Goddess「おおかた、偽装だ」
と、ヒュンケルがこともなげに言う。
「もしくは、科学だ。多孔質の瞳を埋め込まれている。雨をため込み、条件が揃えば水滴が漏れ出る」
今回の依頼は、涙を流す女神像の謎だ。
美しく整った街の中心にそびえる、異教の女神。
彼女の涙は凶兆であり、伝統を重んじる人々を恐怖に陥れていた。
「そんなわけだから。この樹脂でこっそり瞳をコーティングしてしまおう。彼女は二度と涙を流さない」
ヒュンケルは眉一つ動かさず、透明な液体を塗りつけている。
「それでいいのか」と、ラーハルト。
「伝承は伝承だ。迷信だとしても、意味はあるのではないか」
ヒュンケルは驚いたように、相棒を見下ろした。
759と、ヒュンケルがこともなげに言う。
「もしくは、科学だ。多孔質の瞳を埋め込まれている。雨をため込み、条件が揃えば水滴が漏れ出る」
今回の依頼は、涙を流す女神像の謎だ。
美しく整った街の中心にそびえる、異教の女神。
彼女の涙は凶兆であり、伝統を重んじる人々を恐怖に陥れていた。
「そんなわけだから。この樹脂でこっそり瞳をコーティングしてしまおう。彼女は二度と涙を流さない」
ヒュンケルは眉一つ動かさず、透明な液体を塗りつけている。
「それでいいのか」と、ラーハルト。
「伝承は伝承だ。迷信だとしても、意味はあるのではないか」
ヒュンケルは驚いたように、相棒を見下ろした。