そうこ
MOURNING #LH1dr1wrお題「運」所要時間2時間半時間程度
コイントスに判断を委ねてるラーヒュンの話
ゆっくり歩み寄る話が書きたかったけど上手くまとまらなかったので雰囲気で読んでいただければと
運 独特の高い音を立ててコインが宙を舞う。
指で弾かれたそれは回転をしながら落下し、 ラーハルトは手の甲で受け止め反対の手で覆い隠した。
鳴り止んだ音に合わせてヒュンケルが目を開く。
「表」
神妙な顔つきで宣言するヒュンケルをどこか気の毒そうに見つめながら、ラーハルトは覆っていた手を退けた。
「……裏、だな」
手の甲に乗るコインを見つめ溜息を吐いたのはラーハルトだ。
「こうも当たらないとは、呪われているんじゃないのか?」
「それはない……と、思うが」
「一度も当たったことがないではないか」
ラーハルトは呆れながら過去を思い返す。
晴れて恋人となり共に暮らし始め、少なくない時間が経った。
日々を積み重ねていけば当然二人の意見が割れることがある。
2576指で弾かれたそれは回転をしながら落下し、 ラーハルトは手の甲で受け止め反対の手で覆い隠した。
鳴り止んだ音に合わせてヒュンケルが目を開く。
「表」
神妙な顔つきで宣言するヒュンケルをどこか気の毒そうに見つめながら、ラーハルトは覆っていた手を退けた。
「……裏、だな」
手の甲に乗るコインを見つめ溜息を吐いたのはラーハルトだ。
「こうも当たらないとは、呪われているんじゃないのか?」
「それはない……と、思うが」
「一度も当たったことがないではないか」
ラーハルトは呆れながら過去を思い返す。
晴れて恋人となり共に暮らし始め、少なくない時間が経った。
日々を積み重ねていけば当然二人の意見が割れることがある。
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「我慢」所要時間1時間程度
冒険中に状態異常に陥ったヒュンケルがグイグイくるだけの話。
耐性については3よりうんのよさ依存の設定拝借してます。
山もオチも意味もないバカ小噺。
9からゆめみの花(敵一体を眠らせるアイテム)拝借してます。
我慢「なぁ、ラーハルト、シよ?」
ヒュンケルがしなだれながらオレの耳元で囁く。
平時であれば一もなく二もなく誘いに乗るのだが如何せん場所が場所だ。
しかしこの場所、こんな状況でないと、このようなことは滅多にコイツは言わないだろう。
「周りの魔物の群れが見えんのか」
そう、今はとある洞窟を散策している中で、厄介な魔物の大群に囲まれている所だ。
どうにか絞り出した言葉も意に介しておらず、誘うようにその腕をオレの首に回してくる。いや、実際に誘われているのだが。
「ラーハルトしか見えない」
そりゃこれだけ抱きつけばオレしか見えないだろうな。
抗い難い温もりにも関わらず頭痛がしてきた。何故ヒュンケルがこんな事になったのか痛む頭で思い返す。
1702ヒュンケルがしなだれながらオレの耳元で囁く。
平時であれば一もなく二もなく誘いに乗るのだが如何せん場所が場所だ。
しかしこの場所、こんな状況でないと、このようなことは滅多にコイツは言わないだろう。
「周りの魔物の群れが見えんのか」
そう、今はとある洞窟を散策している中で、厄介な魔物の大群に囲まれている所だ。
どうにか絞り出した言葉も意に介しておらず、誘うようにその腕をオレの首に回してくる。いや、実際に誘われているのだが。
「ラーハルトしか見えない」
そりゃこれだけ抱きつけばオレしか見えないだろうな。
抗い難い温もりにも関わらず頭痛がしてきた。何故ヒュンケルがこんな事になったのか痛む頭で思い返す。
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「密会」所要時間2時間弱程度
冒頭で死んだような描写がありますが元気に生きてるヒュンケルの話。どことなく暗い話です。
偽名が出たりダイ大にない職業があります。
シリアスに見せかけたギャグになる予定でしたが思いの外暗いだけの話になってしまった。 3066
きのこ
DONE #LH1dr1wr2025/02/15
お題「甘~~~い!」75分程。
古民家で生活してる現パロラーヒュンシリーズの二人です。
ヤマもオチもなにもない日常の一幕って感じで。
個人的にさつま芋の旬は今からだと思っている。蔵出しさつまいもはうまい(宣伝) 2
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「転職」所要時間70分程度
踊り子に転職したヒュンケルの話。
「朝帰り」と何となく繋がってますが単体でも読めます。
サラッとダーマ神殿がある世界線の話です。
転職 夜も更け賑わう酒場、その出入口近くでラーハルトは1人静かに杯を傾けていた。
ちらりと一際騒がしい一団を見やる。人数は5人、その中で小太りの中年男がリーダー格のようで、話しているのはほぼその男だった。
思い思いに過ごす人々の音の中に、唐突にギターの音色が鳴り響く。
客達は驚き音の元を見ると、そこにはそれぞれ楽器を携えた楽団がいた。
静寂に包まれた酒場に、そっとギターが弾かれ旋律が始まる。追従して増える音色は古くから伝わる楽器がほとんどで、どこか郷愁を誘う音だ。
悪くないな、とラーハルトは思いながら杯を空けると、急に曲調が変わった。
ゆったりした音楽から一変、アップテンポの明るい音は酒場に相応しく、踊り子の参入に更に盛り上がりを見せた。
2524ちらりと一際騒がしい一団を見やる。人数は5人、その中で小太りの中年男がリーダー格のようで、話しているのはほぼその男だった。
思い思いに過ごす人々の音の中に、唐突にギターの音色が鳴り響く。
客達は驚き音の元を見ると、そこにはそれぞれ楽器を携えた楽団がいた。
静寂に包まれた酒場に、そっとギターが弾かれ旋律が始まる。追従して増える音色は古くから伝わる楽器がほとんどで、どこか郷愁を誘う音だ。
悪くないな、とラーハルトは思いながら杯を空けると、急に曲調が変わった。
ゆったりした音楽から一変、アップテンポの明るい音は酒場に相応しく、踊り子の参入に更に盛り上がりを見せた。
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「初夢」所要時間2時間半程度
どんなに良い夢でも場所でも、愛する者がいなければ意味が無い。
謎のモンスターはナスビナーラです。
そこはかとなく5要素がありますがあまり関係はないです。
初夢 ヒュンケルは一人森の中で一匹の魔物を追いかけていた。
その魔物の風体は見た目はヒュンケルの身長の半分ほどの巨大な茄子だが、ツルのような手足が生えている。見たことも聞いたこともないその魔物は、導くように軽快に森を駆けている。
どれだけ追いかけたかわからくなった頃、ようやく目的地にたどり着いたのか、謎の魔物は足を止めた。
目の前には崖のような山がそびえ立っていた。山頂は雲に隠れ、全貌が見えない。
「さぁ、この山を登るんだ!」
突然頭上から声が響く。
ヘルコンドルだ。いつの間にかそこにいたのだろう、とヒュンケルは疑問に思うがそれよりも気になることがあった。
「登ると、何があるんだ」
「この山を登れば、光の国があるぞ!」
2488その魔物の風体は見た目はヒュンケルの身長の半分ほどの巨大な茄子だが、ツルのような手足が生えている。見たことも聞いたこともないその魔物は、導くように軽快に森を駆けている。
どれだけ追いかけたかわからくなった頃、ようやく目的地にたどり着いたのか、謎の魔物は足を止めた。
目の前には崖のような山がそびえ立っていた。山頂は雲に隠れ、全貌が見えない。
「さぁ、この山を登るんだ!」
突然頭上から声が響く。
ヘルコンドルだ。いつの間にかそこにいたのだろう、とヒュンケルは疑問に思うがそれよりも気になることがあった。
「登ると、何があるんだ」
「この山を登れば、光の国があるぞ!」
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「下心」所要時間3時間程度
原作終了後別々に暮らしているくっついていないラーヒュンの様子がおかしい話。
下心 長かったような短かったような激動の日々は終わりを告げ、今オレは新たな主君ダイ様に仕える形でパプニカの国に居を構えている。
国といっても城からはそれなりに距離があり、街とも離れている、所謂僻地に家を建ててもらった。
今は別の国に住む友にして我が想い人は、この国に来ることを出来る限り避けている。しかし、己を尋ねることくらいは許されてもいいだろう、その期待を持って不便も厭わずこの人里離れた場所を選んだ。
別に今すぐにでなくていい、どこかでオレを思い出し、会いたいと願ってくれれば。自分にこんな殊勝な願いが生まれたことに驚きつつも、そのいつかを思い描きながら日々は過ぎていった。
そして、それぞれの新しい生活がようやく落ち着きを見せてきた頃、一通の手紙が届いた。ヒュンケルからだ。
4050国といっても城からはそれなりに距離があり、街とも離れている、所謂僻地に家を建ててもらった。
今は別の国に住む友にして我が想い人は、この国に来ることを出来る限り避けている。しかし、己を尋ねることくらいは許されてもいいだろう、その期待を持って不便も厭わずこの人里離れた場所を選んだ。
別に今すぐにでなくていい、どこかでオレを思い出し、会いたいと願ってくれれば。自分にこんな殊勝な願いが生まれたことに驚きつつも、そのいつかを思い描きながら日々は過ぎていった。
そして、それぞれの新しい生活がようやく落ち着きを見せてきた頃、一通の手紙が届いた。ヒュンケルからだ。
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/12/28お題「下心」80分程。
なんだかよくわからない話に…。つまりラーはいつだってあわよくば的な気持ちでヒュンの世話をしていたりする事もある的な感じです。
夜のティラミスの意味は各自調べてください。 3
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「靴下」所要時間70分程度
クリスマスっぽいなにかの準備をするラーヒュン。全てが捏造です。
終始ほのぼのというか会話だけ。サンタブーツはロマン。
全体的にゆるふわなので深く考えずにお読みいただければ幸いです。
靴下 ラーハルトが帰宅すると、そこには奇妙な光景が広がっていた。
大量の食料と思われる包みをテーブルに広げ、なぜか靴下の片方だけを持ち、包みを持ち上げては首を傾げるヒュンケルの姿だ。
よほど集中しているのか恋人の帰宅にも気づかない様子に、少しだけ面白くないラーハルトはいつもより少し大きな声で帰宅を告げた。
案の定予測していなかった声にヒュンケルは少し肩を跳ねさせ、驚きと申し訳なさを滲ませた顔で声の主を振り返る。
「気づかなくてすまないラーハルト、おかえり」
「別に気にしてない、随分と夢中のようだが何をしている?」
明らかに気にしている声音を感じ、ヒュンケルは眉を下げつつ手の中の靴下をラーハルトに見せる。
2140大量の食料と思われる包みをテーブルに広げ、なぜか靴下の片方だけを持ち、包みを持ち上げては首を傾げるヒュンケルの姿だ。
よほど集中しているのか恋人の帰宅にも気づかない様子に、少しだけ面白くないラーハルトはいつもより少し大きな声で帰宅を告げた。
案の定予測していなかった声にヒュンケルは少し肩を跳ねさせ、驚きと申し訳なさを滲ませた顔で声の主を振り返る。
「気づかなくてすまないラーハルト、おかえり」
「別に気にしてない、随分と夢中のようだが何をしている?」
明らかに気にしている声音を感じ、ヒュンケルは眉を下げつつ手の中の靴下をラーハルトに見せる。
きのこ
DOODLE #LH1dr1wr2024/12/7お題「待ち合わせ」130分程。
https://poipiku.com/5185671/9192921.html
https://poipiku.com/5185671/9200062.html
この辺の遙か先での続きの話です。
※死ネタに関する描写になります(ネタバレ) 3
そうこ
DONE #LH1dr1wrお題「朝帰り」
ヒュが遊び人に転職する話。
シリーズから色々とネタ拝借。橙世界線に無いものがあります。たぶんギャグです。
初投稿のため色々と至らない点もあるかと思いますが、ご容赦いただければ幸いです。
朝帰り 消えた勇者を探す道すがら、偶然見つけたその施設はどうやら転職を司る神殿だとか何とかで、望む者は職を変えることが出来るらしい。
戦士として死を迎えたヒュンケルはこれ幸いにと新たな職に就くことを喜んだが、どうにもタイミングが悪かった。
だいぶ前から道に迷いまともな休息をとれる場所もなく、食べるのもままならない状態で旅を続け、やっと見つけたのがこの施設だ。
久々のまともな寝食に無意識にテンションは上がり、そのままの勢いで新たな職について相談したものだから後先など考えるはずもなく。
魔王の脅威は過ぎ去ったがいまだ凶暴な魔物は絶えず、度々交戦は起こる。
竜の騎士に従事したオレが遅れをとる敵など存在しない、本来であれば。
3657戦士として死を迎えたヒュンケルはこれ幸いにと新たな職に就くことを喜んだが、どうにもタイミングが悪かった。
だいぶ前から道に迷いまともな休息をとれる場所もなく、食べるのもままならない状態で旅を続け、やっと見つけたのがこの施設だ。
久々のまともな寝食に無意識にテンションは上がり、そのままの勢いで新たな職について相談したものだから後先など考えるはずもなく。
魔王の脅威は過ぎ去ったがいまだ凶暴な魔物は絶えず、度々交戦は起こる。
竜の騎士に従事したオレが遅れをとる敵など存在しない、本来であれば。
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/11/30お題「朝帰り」100分程。
一人で囲まれてしまったらもうどうしようもない。隙をついて逃げられるほど運も良くないので、ただただ相手をするしかなかったわけで… 3
Jeff
DOODLEお題:「家族」現パロです
#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2024/11/23
Snowglobe「カタチだけだろ、そんなもの」
ラーハルトは顔も上げずに答える。
リズミカルにアンチョビを切り刻み、新鮮なチコリに乗せる。
「うん」
と、ヒュンケルはページを繰る。古書店で見つけたペーパーバックには、何かの花が挟まっている。
「それでも。クリスマスには、家に帰るんだ」
たっぷりのフルーツケーキを想像しながら、ヒュンケルは言う。
「そういうものなんだ」
たたき上げの審美眼で美術商の職を得たラーハルトと、そこそこ売れ始めた画家のヒュンケルが出会ったのは運命だった。
親の無い子供同士。
惹かれ合った二人が共に住み始めて、もう数年が経つ。
生きていける程度以上の収入と、一等地のアパルトマンと、やりがいのある仕事。
1425ラーハルトは顔も上げずに答える。
リズミカルにアンチョビを切り刻み、新鮮なチコリに乗せる。
「うん」
と、ヒュンケルはページを繰る。古書店で見つけたペーパーバックには、何かの花が挟まっている。
「それでも。クリスマスには、家に帰るんだ」
たっぷりのフルーツケーキを想像しながら、ヒュンケルは言う。
「そういうものなんだ」
たたき上げの審美眼で美術商の職を得たラーハルトと、そこそこ売れ始めた画家のヒュンケルが出会ったのは運命だった。
親の無い子供同士。
惹かれ合った二人が共に住み始めて、もう数年が経つ。
生きていける程度以上の収入と、一等地のアパルトマンと、やりがいのある仕事。
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/11/09お題「新食感」120分程。
はるか昔に落書き漫画っぽいのであげたネタですが、正式に。
うちのヒュンは甘噛をする設定です。
あと、先生が作ったお菓子はいわゆるグミです。 2
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/11/02お題「身代わり」120分程。
第64回の『酔っ払い』の続きのような感じですhttps://poipiku.com/5185671/9242786.html
多分、ヒュンは普段酒入っても他の人の前では平然としているけど、ラーと一緒のときだけ安心して泥酔しちゃう的な感じかもしれません。 3
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/10/19 お題「弁当」150分程
https://poipiku.com/5185671/9719039.html
https://poipiku.com/5185671/10516806.html
この辺の現パロの二人。
ラーはヒュンを甘やかし気味です。ヒュンはスクスクのびのび暮らしています。 4
きのこ
DOODLE #LH1dr1wr2024/10/05 お題「寄り道」100分程
ダ帰還後、ヒュンはどこぞの山奥とかで暮らしてる的なイメージです。
思考のすれ違いはしょっちゅうしてそう。ちゃんと話し合え。 3
Jeff
DOODLEお題:「ひとりじめ」たまにはスポイルされた子どものように
#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2024/09/15
Rosegarden 勘違いしていた。自分に、執着心などないと。
と、ヒュンケルは思う。
「この前話しただろ、やっと咲いたんだ。自信作だから――」
興奮気味に言うと、ラーハルトはあくび混じりに、
「また今度な」
今日も忙しい、と言い捨てて、いつものように出勤していった。
ラーハルトの主君であるバランの息子、希望の勇者ダイが帰ってきてから。
彼はずっとこんな調子だ。
――仕方ないだろう、生きていくための仕事は要る。
などど言い訳しているが、勿論「ダイ様」のためだ。
分かっている。ラーハルトの邪魔はしたくない。
けれど。
「今は俺の方が稼いでるぞ、結構」
ぶつくさ呟きながら、秘密の薔薇園へと向かう。
たわむれに魔界から持ち帰ったその枝は、伝説的希少種だった。
1083と、ヒュンケルは思う。
「この前話しただろ、やっと咲いたんだ。自信作だから――」
興奮気味に言うと、ラーハルトはあくび混じりに、
「また今度な」
今日も忙しい、と言い捨てて、いつものように出勤していった。
ラーハルトの主君であるバランの息子、希望の勇者ダイが帰ってきてから。
彼はずっとこんな調子だ。
――仕方ないだろう、生きていくための仕事は要る。
などど言い訳しているが、勿論「ダイ様」のためだ。
分かっている。ラーハルトの邪魔はしたくない。
けれど。
「今は俺の方が稼いでるぞ、結構」
ぶつくさ呟きながら、秘密の薔薇園へと向かう。
たわむれに魔界から持ち帰ったその枝は、伝説的希少種だった。
Jeff
DOODLEお題:「会心の一撃」謎理論と会心・必中。
#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2024/09/15
Metal ――どっちがやる?
無言のつばぜり合いを制したのは、ヒュンケルだった。
武器も持たず、奇っ怪な扉の前に進み出る。
「待たんかヒュンケル。話を聞いていたのか」
巨大な鉄のスライムが描かれた鈍色の壁には、古代文字で呪詛が綴られている。
秘宝を求める盗っ人どもよ。
我が扉を破るは、会心の一撃のみ。
資格無き者、たちどころに鉄と成れ。
扉に挑戦した盗賊たちがそこここで、アスパラガスよろしく石化している。
ここは某国僻地、財宝伝説の眠るひなびた村。
おかしな扉が発掘されてからと言うもの、欲にかられた旅人の犠牲者が絶えない。
純朴な村民たちに懇願された国王に懇願された暇人二人が、解決に駆り出された。
先の戦いの功労者、アバンの使徒ヒュンケルと元陸戦騎ラーハルトは、すっかり便利屋扱いだ。
1092無言のつばぜり合いを制したのは、ヒュンケルだった。
武器も持たず、奇っ怪な扉の前に進み出る。
「待たんかヒュンケル。話を聞いていたのか」
巨大な鉄のスライムが描かれた鈍色の壁には、古代文字で呪詛が綴られている。
秘宝を求める盗っ人どもよ。
我が扉を破るは、会心の一撃のみ。
資格無き者、たちどころに鉄と成れ。
扉に挑戦した盗賊たちがそこここで、アスパラガスよろしく石化している。
ここは某国僻地、財宝伝説の眠るひなびた村。
おかしな扉が発掘されてからと言うもの、欲にかられた旅人の犠牲者が絶えない。
純朴な村民たちに懇願された国王に懇願された暇人二人が、解決に駆り出された。
先の戦いの功労者、アバンの使徒ヒュンケルと元陸戦騎ラーハルトは、すっかり便利屋扱いだ。
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/08/31 お題「卵」100分程
卵は生で食べるよりも加熱したほうが良いらしいですよ。温泉卵とか良いらしいです。
先生はいつだって虎視眈々とその場を狙っていると思います。 3
Jeff
DOODLEお題:「涙」#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2024/08/25
Goddess「おおかた、偽装だ」
と、ヒュンケルがこともなげに言う。
「もしくは、科学だ。多孔質の瞳を埋め込まれている。雨をため込み、条件が揃えば水滴が漏れ出る」
今回の依頼は、涙を流す女神像の謎だ。
美しく整った街の中心にそびえる、異教の女神。
彼女の涙は凶兆であり、伝統を重んじる人々を恐怖に陥れていた。
「そんなわけだから。この樹脂でこっそり瞳をコーティングしてしまおう。彼女は二度と涙を流さない」
ヒュンケルは眉一つ動かさず、透明な液体を塗りつけている。
「それでいいのか」と、ラーハルト。
「伝承は伝承だ。迷信だとしても、意味はあるのではないか」
ヒュンケルは驚いたように、相棒を見下ろした。
759と、ヒュンケルがこともなげに言う。
「もしくは、科学だ。多孔質の瞳を埋め込まれている。雨をため込み、条件が揃えば水滴が漏れ出る」
今回の依頼は、涙を流す女神像の謎だ。
美しく整った街の中心にそびえる、異教の女神。
彼女の涙は凶兆であり、伝統を重んじる人々を恐怖に陥れていた。
「そんなわけだから。この樹脂でこっそり瞳をコーティングしてしまおう。彼女は二度と涙を流さない」
ヒュンケルは眉一つ動かさず、透明な液体を塗りつけている。
「それでいいのか」と、ラーハルト。
「伝承は伝承だ。迷信だとしても、意味はあるのではないか」
ヒュンケルは驚いたように、相棒を見下ろした。
Jeff
DOODLEお題:「旅行」#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
現ぱろです🙏
2024/08/19
Arrival 飛ぶのが好きだ。
はるか昔、子供のころから。
ヒュンケルは楕円の窓にこめかみを付けて、主翼の先を見る。
上下し始めたフラップの向こうに、オレンジ色の朝日。
最新鋭機のガラスは霜も降りず、視界はクリア。人工的な色膜が張られているようで、どこか味気ない。
まだ眠っている家々の灯火を、朝焼けが優しく包み込む。
夜よ、君らの役割は終わった。目覚めのときだ。
――皆様。
当機は間もなく、着陸態勢に入ります。
シートベルトをしっかりとお締めください。
現地時刻は午前5時57分、外気温は摂氏14度。
天候は曇り。
滑走路の混雑が予想されております。
そのため今後の状況次第では――
大きく旋回するボーイング787の下に、街の全貌が見えた。
1947はるか昔、子供のころから。
ヒュンケルは楕円の窓にこめかみを付けて、主翼の先を見る。
上下し始めたフラップの向こうに、オレンジ色の朝日。
最新鋭機のガラスは霜も降りず、視界はクリア。人工的な色膜が張られているようで、どこか味気ない。
まだ眠っている家々の灯火を、朝焼けが優しく包み込む。
夜よ、君らの役割は終わった。目覚めのときだ。
――皆様。
当機は間もなく、着陸態勢に入ります。
シートベルトをしっかりとお締めください。
現地時刻は午前5時57分、外気温は摂氏14度。
天候は曇り。
滑走路の混雑が予想されております。
そのため今後の状況次第では――
大きく旋回するボーイング787の下に、街の全貌が見えた。
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/08/17 お題「旅行」100分程。
この後、数百年後の世界まで『ラーヒュン旅行記』として残ることになる一品である。
※よくあるゲーム本編には関係ないけど、民家や城や図書館とかの本棚を調べるとこっそりあったりするちょっとその地方のヒントが書いてあったりするやつになる。 2
Jeff
DOODLEお題:「新品」#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2024/08/04
Flashbacks「見てくれ、ラーハルト」
月光のごとく滑らかな頬を引き上げて、ヒュンケルが笑う。
「新品同様だ」
ラーハルトは黙って、力強い腕に触れる。
魔槍とは比べ物にならない重量を纏いながらも己を翻弄した、その無尽蔵の体力に。
「これでやっと、お前と並び立てる。戦士と名乗れる」
人形のような笑みに、ラーハルトは眼を閉じる。
「健康で、頑健で。お前と同じ速度で走れるんだ」
ヒュンケルの明朗な宣言に、ふと引きこまれそうな自分がいる。
すべての不安は解消。
腹の底に巣食う絶望は幻と化し、永遠の安堵にたゆたうことができる。
だが。
それでも。
「戻って来い」
と、ラーハルトは呼びかける。
冷徹で真摯な言葉に、ヒュンケルは俯く。
888月光のごとく滑らかな頬を引き上げて、ヒュンケルが笑う。
「新品同様だ」
ラーハルトは黙って、力強い腕に触れる。
魔槍とは比べ物にならない重量を纏いながらも己を翻弄した、その無尽蔵の体力に。
「これでやっと、お前と並び立てる。戦士と名乗れる」
人形のような笑みに、ラーハルトは眼を閉じる。
「健康で、頑健で。お前と同じ速度で走れるんだ」
ヒュンケルの明朗な宣言に、ふと引きこまれそうな自分がいる。
すべての不安は解消。
腹の底に巣食う絶望は幻と化し、永遠の安堵にたゆたうことができる。
だが。
それでも。
「戻って来い」
と、ラーハルトは呼びかける。
冷徹で真摯な言葉に、ヒュンケルは俯く。
きのこ
DOODLE #LH1dr1wr2024/07/27 お題「スイカ」170分程。
唐突な現パロ。現パロなのでラーの耳は尖ってないし紋様もないパターンのやつです。
https://poipiku.com/5185671/9719039.html
ここの二人です。古民家で生活している二人。
家庭菜園とか初めて始めた方たちでたまに起きるお話。 5
Jeff
DOODLEお題:「くさったしたい」#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2024/07/14
現パロですすみません!
Zombies 「うわ、速い」
ヒュンケルはポップコーンを掬いながら呟く。
「走るゾンビって反則じゃないか」
深夜二時。
ラーハルトが最近買った、豪華で孤独なマンションのリビングで。
高層階の眺望に目もくれず、二人ソファにあぐらをかいて、安いホラー映画を味わっていた。
クリスタルの大皿には、ヘタだけになった苺の山。
ヒュンケルが食べたいとねだったマカロニチーズとドミノピザ・スーパーデラックスの残骸。
すっかり溶け切った氷が、ビールとシャンパンの空き瓶を冷やしている。
「腐った死体って、もっとこう」
とジェスチャーで示すヒュンケルの口に、ラーハルトがポップコーンを数粒押し込む。
「こぼすな」と叱ると、
「むぐ」ヒュンケルは大人しく咀嚼して、画面に目を戻す。
1675ヒュンケルはポップコーンを掬いながら呟く。
「走るゾンビって反則じゃないか」
深夜二時。
ラーハルトが最近買った、豪華で孤独なマンションのリビングで。
高層階の眺望に目もくれず、二人ソファにあぐらをかいて、安いホラー映画を味わっていた。
クリスタルの大皿には、ヘタだけになった苺の山。
ヒュンケルが食べたいとねだったマカロニチーズとドミノピザ・スーパーデラックスの残骸。
すっかり溶け切った氷が、ビールとシャンパンの空き瓶を冷やしている。
「腐った死体って、もっとこう」
とジェスチャーで示すヒュンケルの口に、ラーハルトがポップコーンを数粒押し込む。
「こぼすな」と叱ると、
「むぐ」ヒュンケルは大人しく咀嚼して、画面に目を戻す。
きのこ
DONE #LH1dr1wr2024/07/13 お題「くさったしたい」140分程。
ラーにはアミノ酸とかが豊富に含まれている疑惑。
それはそうと、うちのヒュンはいつだって欠食ハラヘリ青年です。 4
Jeff
DOODLEお題:「裸足」#LH1dr1wr
ワンドロワンライ参加作品
2024/07/07
Sauvage こ こここ こここここ
ここ
こ。
リズミカルな足音が途絶えた。
舞踏会場から抜け出た先に、延々と続く薄暗い階段。
その先には、豪奢な大理石の玄関。
もう夜も更けたが、饗宴は明け方まで続くだろう。
逃げ道はすぐそこだ。
「まったく、大した肝っ玉だあの女王は。よりによって俺たちを、外交の場で飾り物にするとは。わが国には大魔王を倒した勇者の仲間が控えている、女王の命令に馳せ参じるのだと示したかったのだろう。都合よく使ってくれる……ええい、この刺繍の凝った襟、きつくてかなわん。とにかくやることはやった、報酬は期待できる。この忌々しい正装も、館から出るまでの辛抱だ。そうだろう、ヒュンケル――」
しばし虚空に話しかけていたことに気づく。
1545ここ
こ。
リズミカルな足音が途絶えた。
舞踏会場から抜け出た先に、延々と続く薄暗い階段。
その先には、豪奢な大理石の玄関。
もう夜も更けたが、饗宴は明け方まで続くだろう。
逃げ道はすぐそこだ。
「まったく、大した肝っ玉だあの女王は。よりによって俺たちを、外交の場で飾り物にするとは。わが国には大魔王を倒した勇者の仲間が控えている、女王の命令に馳せ参じるのだと示したかったのだろう。都合よく使ってくれる……ええい、この刺繍の凝った襟、きつくてかなわん。とにかくやることはやった、報酬は期待できる。この忌々しい正装も、館から出るまでの辛抱だ。そうだろう、ヒュンケル――」
しばし虚空に話しかけていたことに気づく。