MondLicht_725
DONE呪専時代の夏五風邪っぴき夏の話
【夏五】いつもとは違う顔「…お前、大丈夫かよ?」
覗き込んでくる五条に、いつもの傲慢さはない。まるで置いてけぼりをくらった幼子のように、青い目は不安げに揺れていた。大丈夫だよ、と伝えたかったのに、耐えきれなかった咳に邪魔される。こんなときどうすればいいのかわからないのだろう、ただおろおろと周囲を見渡して狼狽える。
あの、五条悟が。
そう考えればなんだかおかしくて、思わず顔に出てしまっていたらしい。なに笑ってんだよ、と顔を顰めた。
「だい、じょぶ、だから。ほら」
もう出なければならない時間なのだろう。白い頭の向こうに、困った顔で中を覗き込んでいる補助監督が見える。急がなければならないが、無理やり連れだすほど非情にもなれない。
2456覗き込んでくる五条に、いつもの傲慢さはない。まるで置いてけぼりをくらった幼子のように、青い目は不安げに揺れていた。大丈夫だよ、と伝えたかったのに、耐えきれなかった咳に邪魔される。こんなときどうすればいいのかわからないのだろう、ただおろおろと周囲を見渡して狼狽える。
あの、五条悟が。
そう考えればなんだかおかしくて、思わず顔に出てしまっていたらしい。なに笑ってんだよ、と顔を顰めた。
「だい、じょぶ、だから。ほら」
もう出なければならない時間なのだろう。白い頭の向こうに、困った顔で中を覗き込んでいる補助監督が見える。急がなければならないが、無理やり連れだすほど非情にもなれない。
藤 夜
DONE呪専投げ掛けられる視線と受け取る視線。俺、天使なんかじゃないよ
GEGO DIG. SUMMERでpixivにて展示した短編集より。
【白】 スノーエンジェル いつからかなんて、知らない。
でも、なぜかは、わかるかも、しれない。
学食のごはんも慣れてこれば、おいしく食べられるようになった。そもそも温かいものは温かく、冷たいものは冷たく出してくれるのだけでも、おいしく感じられる。育ち盛りだと大盛にしてくれたハンバーグ定食を持って傑を探せば、天ざる定食を持った傑と視線がぶつかった。
探していたと顎で身近なテーブルを指し示せば、軽く手を上げた後、ひょこひょことこちらまで歩いてきた。
そんな事が何度か繰り返されるうちに、探さなくても傑が見つけてくれるようになった。怪訝そうにしていたのか、そんな簡単なことと、当然のように表情も変えずに彼曰く
「悟は頭一つ出るから、探さなくてもすぐにわかるよ」
2326でも、なぜかは、わかるかも、しれない。
学食のごはんも慣れてこれば、おいしく食べられるようになった。そもそも温かいものは温かく、冷たいものは冷たく出してくれるのだけでも、おいしく感じられる。育ち盛りだと大盛にしてくれたハンバーグ定食を持って傑を探せば、天ざる定食を持った傑と視線がぶつかった。
探していたと顎で身近なテーブルを指し示せば、軽く手を上げた後、ひょこひょことこちらまで歩いてきた。
そんな事が何度か繰り返されるうちに、探さなくても傑が見つけてくれるようになった。怪訝そうにしていたのか、そんな簡単なことと、当然のように表情も変えずに彼曰く
「悟は頭一つ出るから、探さなくてもすぐにわかるよ」
おはぎ
DONE夏五版ワンドロワンライのお題をお借りしたものでした~!主観色、とても素敵なお題で色々書きたくなりますね!お題:第80回「恋する/主観色」
彩度と輝度――恋をすると、世界が薔薇色に見えるものなのよ
昔見た映画のワンシーンだっただろうか、柔らかいブロンドの髪を揺らしながらヒロインが口にしたその台詞をその時は良く分かっていなかった。恋は盲目とか、痘痕も靨とか、恋をすると冷静な判断が出来なくなって、周りが見えなくなって、まるでこれまでの自分では無くなってしまったように振り回されるものなのだと思っていた。そんな風になってしまうなら恋なんてしなきゃいいのに、そんな状態になるまでハマらないようにすればいいのに、なんて冷めた目で見ていた。
昔から映画を見るのは好きだった。映画の中の人物には汚い呪力がまとわりついていることもないから表情をしっかり読み取ることができ、没入している間は自分も普通の世界を見ている気分になった。別にこの眼をもって生まれたことを悔やんだことは一度も無いし、普通になりたいなんて思ったことも一度もない。ただ、興味はあったのだ。普通の眼を通してみた世界はどのようなものなのか。
3016昔見た映画のワンシーンだっただろうか、柔らかいブロンドの髪を揺らしながらヒロインが口にしたその台詞をその時は良く分かっていなかった。恋は盲目とか、痘痕も靨とか、恋をすると冷静な判断が出来なくなって、周りが見えなくなって、まるでこれまでの自分では無くなってしまったように振り回されるものなのだと思っていた。そんな風になってしまうなら恋なんてしなきゃいいのに、そんな状態になるまでハマらないようにすればいいのに、なんて冷めた目で見ていた。
昔から映画を見るのは好きだった。映画の中の人物には汚い呪力がまとわりついていることもないから表情をしっかり読み取ることができ、没入している間は自分も普通の世界を見ている気分になった。別にこの眼をもって生まれたことを悔やんだことは一度も無いし、普通になりたいなんて思ったことも一度もない。ただ、興味はあったのだ。普通の眼を通してみた世界はどのようなものなのか。
MondLicht_725
DONEhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16596444#6この世界の祓本夏五(転生)
夏と秋の間の話
【夏五】花火大会【祓本】 またか、と思った。
ほとんどなにもなくなった部屋を見ても、案外冷静だった。たぶん、どこかでは予感していたのだと思う。
初めて参加した賞レースでそこそこいいところまでいって、結果瞬く間に注目を集めて、目が回るくらい忙しくなって、半年も経たないうちにピンでの仕事も増えた。手に入れた金でちょっといいところに引っ越して、さあここからまた一緒にって笑いあったのに、顔を合わせることも少なくなっていった。
五条でさえすり減っていたのだから、繊細な相方はもっとだろうと予想はついていた。ついていたが、頑固なまでに通話アプリを入れない相方にせいぜいメールで大丈夫かと尋ねることしかできず――だから。
ついさっきまで、五条はひとりで3日間、泊りがけの仕事だった。こっそりと引っ越しの作業をするには十分な時間だったのだろうと思う。
3242ほとんどなにもなくなった部屋を見ても、案外冷静だった。たぶん、どこかでは予感していたのだと思う。
初めて参加した賞レースでそこそこいいところまでいって、結果瞬く間に注目を集めて、目が回るくらい忙しくなって、半年も経たないうちにピンでの仕事も増えた。手に入れた金でちょっといいところに引っ越して、さあここからまた一緒にって笑いあったのに、顔を合わせることも少なくなっていった。
五条でさえすり減っていたのだから、繊細な相方はもっとだろうと予想はついていた。ついていたが、頑固なまでに通話アプリを入れない相方にせいぜいメールで大丈夫かと尋ねることしかできず――だから。
ついさっきまで、五条はひとりで3日間、泊りがけの仕事だった。こっそりと引っ越しの作業をするには十分な時間だったのだろうと思う。
benibeni0611
DOODLE※夏五※ちょっとだけ緊縛(ほんのちょっと)
※イく手前で何回も何回も焦らされまくって我慢できなくて泣いちゃう五が見たいrkgk
※相変わらず夏が優しいドS
※18歳未満の閲覧はご遠慮ください
※何でも許せる方向け 2
MondLicht_725
MOURNING教団の闇を暴くべく侵入したモブ探偵くんが出会ったのは…みたいなお話です。タイトルこうですがシリアスです。(こういうネタなんで公開ちょっと躊躇してました💦)
最後は特殊な夏五です。
なんでも大丈夫な方のみどうぞ。
(n番煎じの真実はいつもひとつ!的なアレです) 6899
藤 夜
DONE呪専もやっと灰原に嫉妬しつつも、自販機の前で後輩たちと楽しい夏のひとコマ。間接キッス!
GEGO DIG. SUMMERでpixivにて展示した短編集より。
【橙】 回し飲み いい加減陽が暮れてもいいんじゃないかという時刻になって、ようやく燦々と所構わず照りつけていた太陽が傾き始めた。それでも猛暑日を記録した気温は夕方になっても一向に下がる気配はない。せめて安直に腹の中から涼を取ろうと自販機の前に立ち止まるのが日課になっている。
無料にしてくんないかな、この自販機。小銭持ち歩くの面倒なんだけど。
そう思いながら、呪術高専の学生になってから自販機でジュースを買うことを覚えた俺は、からからと小銭を入れて、定番になりつつある『ファンタオレンジ』のボタンを押す。
後ろから伸びてきた腕が、同じように小銭入れに硬貨を入れると、こちらも定番になりつつある、ブラックコーヒーを押した。
2103無料にしてくんないかな、この自販機。小銭持ち歩くの面倒なんだけど。
そう思いながら、呪術高専の学生になってから自販機でジュースを買うことを覚えた俺は、からからと小銭を入れて、定番になりつつある『ファンタオレンジ』のボタンを押す。
後ろから伸びてきた腕が、同じように小銭入れに硬貨を入れると、こちらも定番になりつつある、ブラックコーヒーを押した。
MondLicht_725
DONE夏五版ワンドロワンライ第79回お題「境界線」お借りしました。高専1年生の頃の夏五。
夏五版ワンドロワンライ第79回お題「境界線」 これが境界線だ、と五条は言った。
そこら辺から拾い上げた木の枝で、五条と夏油の間に引かれた線。高さもなければ深くもない。一歩踏み出せば簡単に越えることができる。しかし言われた途端に、夏油の足は動かなくなった。
五条の背後に聳え立つ、半分朽ちた建物を見上げる。緩やかだがだらだらと続く山道を、2時間もかけて登ってきて、ようやく辿り着いた目的地だ。
この先に、遂行すべき任務がある。しかし。
「別に、俺ひとりでも平気だし、ここで待っててもいい。今回行けなかったからって退学にはなんねぇだろう。生涯呪霊だけ祓った呪術師だっていっぱいいる」
だから無理はしなくていい。決めるのはお前だ。色の濃いサングラス越しでも、五条のあの青い瞳が夏油を窺っていることはわかる。
1771そこら辺から拾い上げた木の枝で、五条と夏油の間に引かれた線。高さもなければ深くもない。一歩踏み出せば簡単に越えることができる。しかし言われた途端に、夏油の足は動かなくなった。
五条の背後に聳え立つ、半分朽ちた建物を見上げる。緩やかだがだらだらと続く山道を、2時間もかけて登ってきて、ようやく辿り着いた目的地だ。
この先に、遂行すべき任務がある。しかし。
「別に、俺ひとりでも平気だし、ここで待っててもいい。今回行けなかったからって退学にはなんねぇだろう。生涯呪霊だけ祓った呪術師だっていっぱいいる」
だから無理はしなくていい。決めるのはお前だ。色の濃いサングラス越しでも、五条のあの青い瞳が夏油を窺っていることはわかる。
MondLicht_725
MAIKING10/5 追加夏五版ワンドロワンライ第79回お題「境界線」お借りしました。
離反した夏が、別世界の年上五と会う話。
ちょこっと考えてたネタ途中まで。
最初はななこ視点です。 7620
藤 夜
DONE離反if苦いのが苦手でも一緒にいたい悟と傑のカフェタイム。かわいい約束は日々の暮らしのささやかな幸せ
GEGO DIG. SUMMERでpixivにて展示した短編集より
【飴色】 カフェオレ 食に拘りがあるわけではないけれど、コーヒーぐらいはおいしく、と言うよりは、よい香りで弱い朝の目覚めもマシになると買ったものの、私にはハードルが高過ぎた。ぼうっとしている間に時間は過ぎ、結局ばたばたと慌ただしい朝のひと時だ。まあ、何となく、三日坊主で終わるだろうと、察しが付かなかったわけでもない。ただ、その後が、想定外だった。
「傑、そろそろ起きろよ。遅刻する」
昇ったばかりの弱い朝日を瞼に感じつつ、悟の張りのある声を夢現に聞いている内に、ぬくぬくとした極楽から、冷気に体を包まれた。掛布団を剥がされたらしい。
「さむぅ」
「傑、朝」
「ん」
「起きろよ、ねぼすけ」
「ぅん」
生返事をしながら寒さゆえにもぞりと動くと、再度、起きろよと言い置いて賑やかな気配が遠ざかる。かわりに微かに豆を挽く音に続いて、香ばしい香りが漂ってくる。
2103「傑、そろそろ起きろよ。遅刻する」
昇ったばかりの弱い朝日を瞼に感じつつ、悟の張りのある声を夢現に聞いている内に、ぬくぬくとした極楽から、冷気に体を包まれた。掛布団を剥がされたらしい。
「さむぅ」
「傑、朝」
「ん」
「起きろよ、ねぼすけ」
「ぅん」
生返事をしながら寒さゆえにもぞりと動くと、再度、起きろよと言い置いて賑やかな気配が遠ざかる。かわりに微かに豆を挽く音に続いて、香ばしい香りが漂ってくる。
おちゃわん
DOODLE夏五 / はじめての騎乗位呪専時代の夏五。
雄子宮いっぱいいじめてもらった上に
たっぷり精子注いで貰えて
余韻イキがとまらない5️⃣くん。
可愛い5️⃣が見られて
大変満足なテクニシャン夏くん。
♡喘ぎ/断面図/んほぉ系/結腸責め 5
ねむねむ
MAIKING夏五小説。お久しぶりです!いやぁスランプはきついね。前作書き終わってないのに何別のシリーズ書いてんだって感じだよね。
注意⚠途中までしかないよ!
夏五未満だけど夏五と言い張ります。ハッピーエンドにはするつもり……(´°ᗜ°)ハハッ..。離反回避ifだけど五が限界迎えて失踪する話!
前・中・後で終わる予定。 5320
ヨモギ
DONE生存if夏五(1)好き勝手ご都合設定で教師if夏が終始キレ気味。
両思いだしなんとなくお互い察してるけど恋人未満の親友2人が一歩踏み出す話しになればいいな。
※夏は教師・教祖の二足の草鞋
※モブ注意 11
MondLicht_725
DONE夏五版ワンドロワンライ第76回お題「生体認証」お借りしました。0後、教団施設を訪れた五の話。夏はいません。
夏五版ワンドロワンライ第76回お題「生体認証」 住人を失った巨大な寺院は、ひっそりと静まり返っていた。
長い廊下を、ひとりでのんびり進んでいく。供は断った。ひとりで行くべきだと思ったからだ。あるいは、感傷的になっていたのかもしれない。
あの新宿の戦い以後、こちらの陣営へ降った異人から内部の構造について一通り聞いていた。最新のセキュリティで守られていたと聞いたが今は効いていないようで、ところどころ窓が割られ何者かが侵入した形跡がある。
しかし、五条にとってはどうでもいいことだ。
五条は呪術師であって警察ではない。残されていたお宝が盗まれていたとしても興味はなかった。
用事があるのは一か所だけだ。
「ここ――かな」
長い廊下の突き当りにある観音開きの扉を開ける。
2186長い廊下を、ひとりでのんびり進んでいく。供は断った。ひとりで行くべきだと思ったからだ。あるいは、感傷的になっていたのかもしれない。
あの新宿の戦い以後、こちらの陣営へ降った異人から内部の構造について一通り聞いていた。最新のセキュリティで守られていたと聞いたが今は効いていないようで、ところどころ窓が割られ何者かが侵入した形跡がある。
しかし、五条にとってはどうでもいいことだ。
五条は呪術師であって警察ではない。残されていたお宝が盗まれていたとしても興味はなかった。
用事があるのは一か所だけだ。
「ここ――かな」
長い廊下の突き当りにある観音開きの扉を開ける。
MondLicht_725
DONE夏五版ワンドロワンライ第76回お題「鳴り止まない」お借りしました。呪専の夏五+α。星漿体任務後、悩む夏。
夏五版ワンドロワンライ第76回お題「鳴り止まない」 あのときからずっと、拍手が鳴り止まずにいる。
「――――る、すぐる!」
肩を叩かれて、我に帰る。息が触れ合うほど近くに訝しげな表情をした親友の顔があり、思わず仰け反った。
「なに、さとる」
「何って…お前、どうしたんだよ。着いたぞ?」
夏油の態度に少々気分を害した、もとい拗ねた顔を隠さずに唇を尖らせ、親友――五条は屈んでいた上体を起こした。
瞬時に視線だけを動かして周りを確認する。見慣れた車の後部座席、嗅ぎ慣れた芳香剤。大きく開けられたドアに半ば寄りかかるように五条が立っている。
ああそうだった。
朝早くから、五条と一緒に高専を出発した。もちろん、任務のためだ。隣県にある廃校が今回の目的地である。取り壊しが決まったが、工事に入ろうとすると立て続けに怪奇現象が起こり、ついには怪我人まで出たのでなんとかしてほしいという内容だ。
2132「――――る、すぐる!」
肩を叩かれて、我に帰る。息が触れ合うほど近くに訝しげな表情をした親友の顔があり、思わず仰け反った。
「なに、さとる」
「何って…お前、どうしたんだよ。着いたぞ?」
夏油の態度に少々気分を害した、もとい拗ねた顔を隠さずに唇を尖らせ、親友――五条は屈んでいた上体を起こした。
瞬時に視線だけを動かして周りを確認する。見慣れた車の後部座席、嗅ぎ慣れた芳香剤。大きく開けられたドアに半ば寄りかかるように五条が立っている。
ああそうだった。
朝早くから、五条と一緒に高専を出発した。もちろん、任務のためだ。隣県にある廃校が今回の目的地である。取り壊しが決まったが、工事に入ろうとすると立て続けに怪奇現象が起こり、ついには怪我人まで出たのでなんとかしてほしいという内容だ。