ニノ式 啓水
DONE祝你生日快乐 藍湛!まだまだ知己のようです。がんばれ、藍忘機☆ミ
n番煎じな気がしますが、知己はいつもだいたいこんな感じってことで(
★忘羨ワンドロ 1/22「今までの全てのお題」より【雪】
chunyang_3
MEMO観音廟の後、藍忘機と別れ一人で旅をしている魏無羨が蓮花塢に立ち寄って金凌と出会う話。CQLを見終わった時に全て終わった後の金凌と魏無羨が再会するのを見たいなと思っていたのですが、魏無羨から両親の話を聞く話になりました。※原作の番外編の再会とは異なります。話を聞かせて 目の前に広がる蓮の花の咲く景色を瞳に映し、魏無羨は大きく深呼吸をした。早朝の水辺の空気そのものを吸い込んだような清々しさに、自然と顔が綻んでしまう。朝食を売る屋台の呼び声が聞こえ、波止場の街には既に活気がある。
この世から消えてしまってからの十六年。決して短くない時の流れの間に変わってしまったことも変わっていないこともある。蓮花塢には少しばかり前にも来たけれど、その時はこんな風に優しく吹く風を感じる余裕は無かった。慌ただしく走り抜けるばかりだった景色が、今は目の前に悠然と広がっている。
今になって思えば、魏無羨が帰る場所というのは元々この世には無かったのかもしれない。ここ蓮花塢は幼い頃から育った場所でとても大事でかけがえのない存在であることは今も昔も変わらないけれど、魏無羨が帰る場所では無くなってしまった。それは、江澄に江家を破門される前から頭では理解していたことだったが、こうして訪れてみると改めて実感する。
8087この世から消えてしまってからの十六年。決して短くない時の流れの間に変わってしまったことも変わっていないこともある。蓮花塢には少しばかり前にも来たけれど、その時はこんな風に優しく吹く風を感じる余裕は無かった。慌ただしく走り抜けるばかりだった景色が、今は目の前に悠然と広がっている。
今になって思えば、魏無羨が帰る場所というのは元々この世には無かったのかもしれない。ここ蓮花塢は幼い頃から育った場所でとても大事でかけがえのない存在であることは今も昔も変わらないけれど、魏無羨が帰る場所では無くなってしまった。それは、江澄に江家を破門される前から頭では理解していたことだったが、こうして訪れてみると改めて実感する。
chunyang_3
MEMO景儀と思追の出会いの妄想です。思追が温寧と温家の弔いを済ませ雲深不知処に戻った頃に、魏無羨も雲深不知処に留まる様になったという時間軸の設定です。うさぎと一緒に人参を食べていた頃の思追くんと景儀の出会いの話を書いてみたくなって書きました。君と兎と しんと静まり返った蘭室を前にして、藍景儀は柄にもなくとても緊張していた。今日は景儀にとって初めての座学だ。随分前に蘭室には遊びで入って良い場所ではないと叱られてからは一度も近寄っていないので、この建物に来ること自体、ちょっと尻込みしてしまう。
同じ年頃の藍家の子弟が中に入って行くのに続けて景儀もその静かな空間に足を踏み入れた。周囲を見回してみると、どうやら空いている席に座って良さそうだ。
こっそり息を吐いて、周囲を見回す。近くに誰か景儀が知っている友達がいると安心できるのだけれど来ているだろうか。そう思って既に座っていた隣の席の少年へと視線を向けた景儀は、視界に入ってきた横顔に思わず息を呑んだ。まるでお手本のように姿勢良く座っていた景儀と同じ白い藍氏の校服を身に纏った少年も、隣に誰かが座ったことに気付いたらしい。軽く横へ顔を向けたことで、景儀と顔を互いに合わせることになった。その顔を見て、景儀は思わず叫ばずにはいられなかった。
6997同じ年頃の藍家の子弟が中に入って行くのに続けて景儀もその静かな空間に足を踏み入れた。周囲を見回してみると、どうやら空いている席に座って良さそうだ。
こっそり息を吐いて、周囲を見回す。近くに誰か景儀が知っている友達がいると安心できるのだけれど来ているだろうか。そう思って既に座っていた隣の席の少年へと視線を向けた景儀は、視界に入ってきた横顔に思わず息を呑んだ。まるでお手本のように姿勢良く座っていた景儀と同じ白い藍氏の校服を身に纏った少年も、隣に誰かが座ったことに気付いたらしい。軽く横へ顔を向けたことで、景儀と顔を互いに合わせることになった。その顔を見て、景儀は思わず叫ばずにはいられなかった。
chunyang_3
MEMOCQL話数ワンドロワンライアンコール開催分。2周目に見る1話の魏無羨が過ごす夜の話です。2周目ということにすれば、これまでのことを思い出しているんだろうなぁということがネタバレ有りで書けるのでは!?と思い立って書いた話です。草笛で奏でる旋律は全てを失った魏無羨に残された魂に刻まれたものなのだろうなと思えてとても好きです。※画像で上げたものと基本的に同じですが、表現を手直ししています
残されたもの 魏無羨はこれでも一応途方に暮れていた。
今の状況で途方に暮れない人はほとんどいないだろう。一度死ぬ前の魏無羨なら、もう少しは不遜な態度でもしてみせたかもしれない。とはいえ、一度魏無羨はこの世から消え、死んでいる間に十六年も時が経っていたらしい。そんな事態なのだから、魏無羨だって多少は途方に暮れても許されるのではないだろうか。
せめて魏無羨をこの世に蘇らせた莫玄羽が詳細を書き残してくれていれば良かったのだが、どうやらそこまでは考えなしだったのか、それとも詳細を書くことを躊躇っていたのか。
魏無羨の魂を呼び寄せ、己の魂魄を犠牲にした莫玄羽は魏無羨に負けず劣らず周囲に敵しかいない状況ということは否応なく理解した。一体何をして金家から追い出されたのか詳しくは分からないが、金家にも莫家にも居場所がなかったことだけは確かだ。そんな莫玄羽と一度話をしてみたかったなと思う。もし話が聞けたなら、怨んでいる相手くらい分かるようにしておいてくれとか、陣の描き方のちょっとした間違いなんかを説教してしまうかもしれないけれど。
1475今の状況で途方に暮れない人はほとんどいないだろう。一度死ぬ前の魏無羨なら、もう少しは不遜な態度でもしてみせたかもしれない。とはいえ、一度魏無羨はこの世から消え、死んでいる間に十六年も時が経っていたらしい。そんな事態なのだから、魏無羨だって多少は途方に暮れても許されるのではないだろうか。
せめて魏無羨をこの世に蘇らせた莫玄羽が詳細を書き残してくれていれば良かったのだが、どうやらそこまでは考えなしだったのか、それとも詳細を書くことを躊躇っていたのか。
魏無羨の魂を呼び寄せ、己の魂魄を犠牲にした莫玄羽は魏無羨に負けず劣らず周囲に敵しかいない状況ということは否応なく理解した。一体何をして金家から追い出されたのか詳しくは分からないが、金家にも莫家にも居場所がなかったことだけは確かだ。そんな莫玄羽と一度話をしてみたかったなと思う。もし話が聞けたなら、怨んでいる相手くらい分かるようにしておいてくれとか、陣の描き方のちょっとした間違いなんかを説教してしまうかもしれないけれど。
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MEMOCQL話数ワンドロワンライ3回目(21~30話)。28話の夷陵で再会した忘羨と阿苑の話です。剣と刀で2本買ってもらったんだなぁなんてことを思いながら書きました。※画像で上げたものと基本的に同じですが、表現を手直ししています
夷陵での再会 子どもがずっと乱葬崗にいるのは良くないかもしれないし、阿苑なら温氏だと誰かに気付かれることもないだろうと、魏無羨は街の様子を見せるためにも阿苑を夷陵の街に連れてきていた。目を離したほんの一瞬でいなくなった阿苑に肝が冷えたのは一瞬で、阿苑はなんとあの雨の中で別れたきりの藍忘機の足元でわんわんと声を上げて泣いていた。
久しぶりに遭遇した見知った顔が、阿苑を泣かせているなんて思いもしなかった。あんな別れ方をしたのに、再会がこんな笑える場面だなんてことも思いもしなかったけれど。お陰で声を掛けることに悩まずに済んだし、冗談を言って揶揄って、まるで何もなかったかのように話をすることができた。
屋台の玩具屋の前で足を止め、阿苑に玩具を見せてひやかした。乱葬崗には玩具などないし見せてやるくらいしてもいいだろう。しかし、阿苑に玩具を見せて喜ぶ姿を見た藍忘機は、なぜ買ってやらないと不満気に疑問をぶつけてくる。そりゃあ、お金があったらいくらでも買ってやりたいが、今の魏無羨にはなかなかそうもいかない。
1739久しぶりに遭遇した見知った顔が、阿苑を泣かせているなんて思いもしなかった。あんな別れ方をしたのに、再会がこんな笑える場面だなんてことも思いもしなかったけれど。お陰で声を掛けることに悩まずに済んだし、冗談を言って揶揄って、まるで何もなかったかのように話をすることができた。
屋台の玩具屋の前で足を止め、阿苑に玩具を見せてひやかした。乱葬崗には玩具などないし見せてやるくらいしてもいいだろう。しかし、阿苑に玩具を見せて喜ぶ姿を見た藍忘機は、なぜ買ってやらないと不満気に疑問をぶつけてくる。そりゃあ、お金があったらいくらでも買ってやりたいが、今の魏無羨にはなかなかそうもいかない。
しか🦌
DONE忘羨のワンドロワンライに過去投稿したもの「禁言術」
n番煎じだと思いますが私は煎じたことないので煎じさせて頂きました…( ˇωˇ ) たいしたものではないですがタグ使用のため念の為ワンクッション…
魏嬰、藍湛のこと煽りすぎて我慢の限界になった藍湛に術かけられてたらいいな…っていう…声を出したくても出せないプレイも魏嬰は楽しむ( ˇωˇ )
chunyang_3
MEMOCQL話数ワンドロワンライ2回目(11~20話)。18話の江澄と汁物の思い出の話。魏無羨の話を聞きながら涙を流している江澄※画像で上げたものと基本的に同じですが、表現を手直ししています
忘れ難き味 ドンドンと扉を叩く音に、眠りについていた厭離は起こされた。
「姉上……!」
扉の向こうの姉に向かって江澄は声を上げた。父にも母にも言ったら絶対に怒られるに決まっていて怖くて言えないから、江澄には姉に頼る以外の道は無かった。厭離は一体何があったのだろうと思ったのか、急いで扉を開けてくれた。
「阿澄どうしたの?」
「姉上……姉上、どうしよう!」
厭離の顔を見た瞬間、堪えきれなくなり江澄はわんわんと声を上げて泣き出してしまった。
今日、父は江澄が妃妃や小愛と名前をつけて可愛がっていた犬達を知らぬ間に他所へあげてしまっていた。江澄がそのことを知ったのは彼女達がもうずっと遠くに行ってしまってからだ。そんなの絶対に納得がいかないし、悲しくて苦しくてどうして良いか分からないまま夜になってしまい、江澄は部屋でずっと泣き喚いていた。
2333「姉上……!」
扉の向こうの姉に向かって江澄は声を上げた。父にも母にも言ったら絶対に怒られるに決まっていて怖くて言えないから、江澄には姉に頼る以外の道は無かった。厭離は一体何があったのだろうと思ったのか、急いで扉を開けてくれた。
「阿澄どうしたの?」
「姉上……姉上、どうしよう!」
厭離の顔を見た瞬間、堪えきれなくなり江澄はわんわんと声を上げて泣き出してしまった。
今日、父は江澄が妃妃や小愛と名前をつけて可愛がっていた犬達を知らぬ間に他所へあげてしまっていた。江澄がそのことを知ったのは彼女達がもうずっと遠くに行ってしまってからだ。そんなの絶対に納得がいかないし、悲しくて苦しくてどうして良いか分からないまま夜になってしまい、江澄は部屋でずっと泣き喚いていた。
ニノ式 啓水
DONE10/2 お題「甘える」 陳情令ベースです。道侶になってるかなってないかは、ご想像におまかせします(■執筆1時間、推敲+校正15分
※加筆修正分を支部にあげています。https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16208861 6
pfvnvavc
TRAINING沸き上がる情熱に負けて初めて魏嬰さん描いた。いい加減だし、めちゃくちゃ修正して汚いから薄目で💦どうしても魔道祖師ではなく陳情令で描きたい。三次元を二次元でかわいく描きたいのだけど、こればかりはひたすら描いて慣れるしかないのかな。あ、アナログしか出来ませぬぬぬ。藍湛さんも役者さんも描きたい❗練習記録になるかな❓oio_oi3
DONE忘羨が酔っ払いながらおしゃべりしてます。小湛を抱っこしてあげたい羨哥哥のお話です。前回書いた話と繋がっていますが双方単体でも楽しめるかと思います。
⚠️妊娠出産についてなどデリケートなことに触れています 6
chunyang_3
MEMO“君”がいない世界の江澄蓮の花の咲く音を聞くと悟りが開けるという話があるらしいんですが、蓮が開く時にポンという音がするというのは俗説らしい。
江澄の隣に金凌がいてくれて良かったなと思うばかり。
詠んだ短歌のイメージを短編にしました
君待ち/江澄「蓮花の咲きだす音の聞きたさに走る君の背まぼろしなりて」
ゆさゆさと肩を揺らされて、寝台でよく眠っていた江澄は何事かと寝返りを打とうとする。
「おい、江澄起きろ。行くぞ」
「なんだ?」
目を擦りながらゆっくりと目を開けるが、まだ夜は明けていないようで部屋は暗いままだ。
「こんな夜中になんだ」
「夜中じゃないよ、寅の刻(午前四時)だよ」
「なんでそんな時間にお前が起きてるんだ」
江澄が苛立たしげに声を上げると、魏嬰は人差し指を顔の前に立てながら、もう片方の手のひらで江澄の口を塞ぐ。
「しーっ! 大きい声を出したら師姉達が起きちゃうだろ」
たしかにこんな時辰に騒ぎ立てようものなら、父上や母上の耳に入ったら何を言われるか分からない。
3734ゆさゆさと肩を揺らされて、寝台でよく眠っていた江澄は何事かと寝返りを打とうとする。
「おい、江澄起きろ。行くぞ」
「なんだ?」
目を擦りながらゆっくりと目を開けるが、まだ夜は明けていないようで部屋は暗いままだ。
「こんな夜中になんだ」
「夜中じゃないよ、寅の刻(午前四時)だよ」
「なんでそんな時間にお前が起きてるんだ」
江澄が苛立たしげに声を上げると、魏嬰は人差し指を顔の前に立てながら、もう片方の手のひらで江澄の口を塞ぐ。
「しーっ! 大きい声を出したら師姉達が起きちゃうだろ」
たしかにこんな時辰に騒ぎ立てようものなら、父上や母上の耳に入ったら何を言われるか分からない。
紫雨(shigure)
DONE8/2(バニー)の日に、尻尾を嵌めてるバニーちゃんな魏嬰がいないか尋ねたところから始まって、性癖つめつめのひたすらえっちするお話になりました。8/21(バニィ)の日に間に合った感…!
なんちゃって現代AUで、道具を使ったプレイがメインです。
キーワード:アナルプラグ、尿道プレイ、2本挿し
pass:成人済? yes/no 9929
紫雨(shigure)
PROGRESSモス羨をベースにしたファンタジー第二話ですー🦋ちょっとBLぽくなってきたはず…!
(次回か次次回にR18が入る予定です)
微妙に違和感があったので、今回から改題しました🙏💦
君と久遠の夢をみる- 2 -
――――このままではいけない気がする。
そう危機感を抱きながら、シェンシェンはずずずっとコケモモの果実酒を藁の管で吸い上げた。
「うまい」
うっかり酩酊に浸りそうになって、我にかえる。
「だめだ……ワンジーとの生活は、居心地が良すぎる」
ここ最近のシェンシェンの一日の生活の流れはこうだ。
夕方頃に目を覚まして、暗くなるころに家を明るくしてラン・ワンジーを出迎える。夕餉も一緒にとるが、自分の分は、ラン・ワンジーが手土産に持って帰ってきた花や果物だ。その後は、二人で話をしたり、ラン・ワンジーの竪琴に合わせて笛を吹いて合奏したりして過ごし、ラン・ワンジーの就寝を見守ると、森を出て遊び回る。日が上り始める頃に家に戻って二人で朝食を食べると、もうシェンシェンは起きていられなくなり、定位置となったベッド脇の棚に敷かれた手巾の上で眠りにつくのだ。
3016――――このままではいけない気がする。
そう危機感を抱きながら、シェンシェンはずずずっとコケモモの果実酒を藁の管で吸い上げた。
「うまい」
うっかり酩酊に浸りそうになって、我にかえる。
「だめだ……ワンジーとの生活は、居心地が良すぎる」
ここ最近のシェンシェンの一日の生活の流れはこうだ。
夕方頃に目を覚まして、暗くなるころに家を明るくしてラン・ワンジーを出迎える。夕餉も一緒にとるが、自分の分は、ラン・ワンジーが手土産に持って帰ってきた花や果物だ。その後は、二人で話をしたり、ラン・ワンジーの竪琴に合わせて笛を吹いて合奏したりして過ごし、ラン・ワンジーの就寝を見守ると、森を出て遊び回る。日が上り始める頃に家に戻って二人で朝食を食べると、もうシェンシェンは起きていられなくなり、定位置となったベッド脇の棚に敷かれた手巾の上で眠りにつくのだ。
紫雨(shigure)
PROGRESSファンタジー風モス羨のお話の続きです〜🦋プロローグもポイピクに置いてあるよ!
・週2〜3回更新で、今月中に完結したい
・次回もうちょっとBのLな雰囲気に
・中盤からR18シーン入ります。
その際はひとまずポイピクに。リス限フォロ限はないです。
・もう少しまとまったらpixivにも置きます
君と久遠の夢をみる- 1 -
庭で放し飼いにされている鶏が、けたたましく朝を告げた。夜半よりも濃くなった霧の隙間を縫って、霜のように冴え冴えとした光の筋が、窓辺に射しこんでいる。
いつも通りに目を覚ましたラン・ワンジーは、テーブルの上に木の実や果物が、窓辺には朝露に濡れた色とりどりの花が置かれていることに気がついた。
「おはよう、ワンジー! 起きるのが早いんだな」
タイミングよく、窓から八重咲きの白い花を抱えたシェンシェンがやってきた。
「じゃあこの花はラン兄ちゃんに」
楽しそうにラン・ワンジーに近づいたシェンシェンは、手にしていた花をそっとラン・ワンジーの髪に挿す。
「やっぱり、美人には花が似合うな!」
「やめなさい」
1749庭で放し飼いにされている鶏が、けたたましく朝を告げた。夜半よりも濃くなった霧の隙間を縫って、霜のように冴え冴えとした光の筋が、窓辺に射しこんでいる。
いつも通りに目を覚ましたラン・ワンジーは、テーブルの上に木の実や果物が、窓辺には朝露に濡れた色とりどりの花が置かれていることに気がついた。
「おはよう、ワンジー! 起きるのが早いんだな」
タイミングよく、窓から八重咲きの白い花を抱えたシェンシェンがやってきた。
「じゃあこの花はラン兄ちゃんに」
楽しそうにラン・ワンジーに近づいたシェンシェンは、手にしていた花をそっとラン・ワンジーの髪に挿す。
「やっぱり、美人には花が似合うな!」
「やめなさい」
紫雨(shigure)
PROGRESS魔法使い藍湛と、モス羨を元ネタに西洋ファンタジー風のお話を書き途中…!もう少しまとまったらpixivにもおきますが、ひとまずポイピクに。
プロローグです。
君と久遠の夢をみる〜プロローグ〜
夜霧が立ち込める、鬱蒼とした森の奥。
ひっそりとした佇まいの小屋から、竪琴が紡ぎだすやわらかな音色が流れて、夜闇に広がっていく。
薄い藤色の翅をもつ小さな生き物が、その優しい旋律に惹かれたかのように、ひらひらと飛んで小屋の窓へと降り立った。
演奏が途切れるのを待って、その生き物は奏者へと話しかけた。
「こんばんは、お兄さん」
「誰だ」
竪琴を抱いた男――――ラン・ワンジーが、短く誰何する。
「シェンシェンだよ!」
シェンシェンと名乗った夜の来訪者は、窓枠からぴょんと跳びあがって、竪琴の上に座った。
――――それは、小さな妖精だった。
大きさは、手のひらに載るくらい。ふんわりとひらめく桃色のケープをまとって、首元には赤いリボンを結んでいる。まるで少女のような風貌だが、悪戯めいた笑顔は少年のようにも見える。
1548夜霧が立ち込める、鬱蒼とした森の奥。
ひっそりとした佇まいの小屋から、竪琴が紡ぎだすやわらかな音色が流れて、夜闇に広がっていく。
薄い藤色の翅をもつ小さな生き物が、その優しい旋律に惹かれたかのように、ひらひらと飛んで小屋の窓へと降り立った。
演奏が途切れるのを待って、その生き物は奏者へと話しかけた。
「こんばんは、お兄さん」
「誰だ」
竪琴を抱いた男――――ラン・ワンジーが、短く誰何する。
「シェンシェンだよ!」
シェンシェンと名乗った夜の来訪者は、窓枠からぴょんと跳びあがって、竪琴の上に座った。
――――それは、小さな妖精だった。
大きさは、手のひらに載るくらい。ふんわりとひらめく桃色のケープをまとって、首元には赤いリボンを結んでいる。まるで少女のような風貌だが、悪戯めいた笑顔は少年のようにも見える。
ニノ式 啓水
DOODLE忘羨ワンドロワンライの素敵なお題お借りしました。1時間+? 今回も大遅刻です(;´Д`)
旅に出るとき、藍湛は決してこんな髪型ででかけませんが、髪を描いてたら楽しくなってしまったので、欲望のままに描きました。反省はしていません(
chunyang_3
TRAINING射日の戦いの英雄魏無羨ってつまるところ羿(げい、中国神話の英雄、弓の名手、太陽を落とす)だよなと思ってたんですけど、CQL1話で藍湛がいきなり月見上げてるし、二人の出会いも月見上げてたので、藍忘機って月に逃げなかった嫦娥(じょうが、羿の妻、羿を裏切って不老不死の薬を手に月に逃げる)じゃん!?となった感想のような忘羨知己です。THIS IS 知己(たぶん)Do not repost.
月に昇らじ 夜の風が竹林を通り抜ける囁くような音が聞こえてくる。風の音に藍忘機が琴を弾く手を止め、開け放たれた外へと視線を向けると、魏無羨は軒先から見上げた月の明かりに目を細めながら天子笑を呷っていた。
静室の奥に座る藍忘機がじっと魏無羨の顔を見つめていると、魏無羨が振り向いた。藍忘機の琴の音が止まったことが気になったらしい。
「藍湛、どうかしたのか?」
月明かりに照らされた魏無羨の陰影の濃い輪郭に見惚れながらも、藍忘機は前々から気になっていた疑問を口にした。
「好きなのか?」
「ん? 俺が酒を好きなのは見てれば分かるだろ? 酒ならいくらでも飲めるなぁ」
魏無羨の答えを聞かずとも、彼が酒を愛していていくらでも飲めることは良く知っている。
2362静室の奥に座る藍忘機がじっと魏無羨の顔を見つめていると、魏無羨が振り向いた。藍忘機の琴の音が止まったことが気になったらしい。
「藍湛、どうかしたのか?」
月明かりに照らされた魏無羨の陰影の濃い輪郭に見惚れながらも、藍忘機は前々から気になっていた疑問を口にした。
「好きなのか?」
「ん? 俺が酒を好きなのは見てれば分かるだろ? 酒ならいくらでも飲めるなぁ」
魏無羨の答えを聞かずとも、彼が酒を愛していていくらでも飲めることは良く知っている。
amaneazumaa
DONE双傑に夢を見すぎではとなりつつ夢は見たモン勝ちなので良いんだよとなりつつのとりあえず小説の体裁が完了。そのうち肉付けして校正してまとめてからpixivに上げます。上がる筈。
ともしびを手に 6腹もくちくなりさあ出発と、二人は銅陵を後にして西へと向かう。しかし星の巡りが悪いのか、銅陵を出てしばらくもしないところで、小さな荘が妖怪に襲われている場面に出くわした。
無視する訳には無論いかず、二人して荘に降りたって妖怪退治となった。
村に出た妖怪は欽原と呼ばれる蜂に似た妖怪で、刺されると鳥獣は死に木々は枯れる。さらには群れを作りその数も多いという妖怪である。
剣で一匹一匹を切り殺すのは面倒な欽原は、火を使って退治をする。蜂と同じような薄い羽を火で焼き、地面に落としてから始末をするのだ。手順さえ踏めば時間は掛かるが脅威ではそれ程でもない妖怪である。
退治の手法に倣い二人は符術で欽原の羽を焼いて回っていたのだが、一向に減らない数に魏無羨が悪い癖を出した。効率を上げるべく広範囲を焼いてやろうと、霊符をその場で書き変えたのだ。
4394無視する訳には無論いかず、二人して荘に降りたって妖怪退治となった。
村に出た妖怪は欽原と呼ばれる蜂に似た妖怪で、刺されると鳥獣は死に木々は枯れる。さらには群れを作りその数も多いという妖怪である。
剣で一匹一匹を切り殺すのは面倒な欽原は、火を使って退治をする。蜂と同じような薄い羽を火で焼き、地面に落としてから始末をするのだ。手順さえ踏めば時間は掛かるが脅威ではそれ程でもない妖怪である。
退治の手法に倣い二人は符術で欽原の羽を焼いて回っていたのだが、一向に減らない数に魏無羨が悪い癖を出した。効率を上げるべく広範囲を焼いてやろうと、霊符をその場で書き変えたのだ。
amaneazumaa
PROGRESS少年双傑話の続き。少年藍湛とニアミスしますが今回の話には関わらない。
ともしびを手に 5二人を最後に乗せて橋桁が外されると、夜明けと共に船が漕ぎ出された。未だ薄暗いにもかかわらず、力強く皖河を下っていく船の上は長江沿いの都邑へ向かう人と荷物で混み合っている。
人と荷物をかき分けながら船の端に高く積まれた荷物を見つけると、二人は並んで腰を下ろてし荷物に背中を預けた。
「これでしばらく、身体を休めることが出来るな」
魏無羨は大きく身体を伸ばす。すると今度は演技でなく大きなあくびが出た。
夜通し御剣の術で飛びっぱなしだったのだ。休息を取ったとはいえ気の休まらない山の中だったので、安全な場所で腰を下ろした事により疲労と空腹、ついでに眠気が一気に襲いかかってくる。
隣の江澄も疲れを隠せない顔で乾坤袋から、竹を切って作った水筒と饅頭を二つ取り出すと、一つを魏無羨に投げて寄越した。受け取ってもそもそと饅頭を囓り腹に収めたが、空腹よりも眠気が勝って、もう一つとは手が伸びない。代わりに懐から隠行符を取り出した。
3190人と荷物をかき分けながら船の端に高く積まれた荷物を見つけると、二人は並んで腰を下ろてし荷物に背中を預けた。
「これでしばらく、身体を休めることが出来るな」
魏無羨は大きく身体を伸ばす。すると今度は演技でなく大きなあくびが出た。
夜通し御剣の術で飛びっぱなしだったのだ。休息を取ったとはいえ気の休まらない山の中だったので、安全な場所で腰を下ろした事により疲労と空腹、ついでに眠気が一気に襲いかかってくる。
隣の江澄も疲れを隠せない顔で乾坤袋から、竹を切って作った水筒と饅頭を二つ取り出すと、一つを魏無羨に投げて寄越した。受け取ってもそもそと饅頭を囓り腹に収めたが、空腹よりも眠気が勝って、もう一つとは手が伸びない。代わりに懐から隠行符を取り出した。
amaneazumaa
PROGRESS少年双傑話の続き。少年時代の二人は地元じゃ負け知らずの悪童だと滅茶滅茶思っている。
責任感もまだあんまり無くて結丹したばかりで毎日が楽しくてしゃあない、眩いばかりの黄金時代をこの話は夢見てます。
ともしびを手に 4安慶に向かうべく結託をした二人は、段取りを詰めながら機会を待った。そして二ヶ月が過ぎた頃、江楓眠が清談会で不在の間に夜狩に出ることになった。
夜狩を願い出たのは雲夢の西に存在する木蘭山、その麓にある荘からであった。
山に住まう妖怪が、麓の荘まで降りてきて悪さをするので退治に赴いて欲しいと訴え出る話を江澄は聞きつけると、魏無羨と共に虞紫鳶へと妖怪退治に名乗りを上げた。
腕を上げたいと願い出る二人に虞紫鳶は、二十人の門弟を付けるならばと許可を与えた。
そして江澄が門弟を引き連れる形で蓮花塢を出発した一行は、日がある内に木欄山に到着すると、その日のうちに妖怪は見事退治されたのである。
だがその日のうちと言っても、退治を終えたのは夜もすっかり更けた刻限だ。蓮花塢に戻るのは翌日となり、その日は木欄山の荘に宿を取ることになった。
3139夜狩を願い出たのは雲夢の西に存在する木蘭山、その麓にある荘からであった。
山に住まう妖怪が、麓の荘まで降りてきて悪さをするので退治に赴いて欲しいと訴え出る話を江澄は聞きつけると、魏無羨と共に虞紫鳶へと妖怪退治に名乗りを上げた。
腕を上げたいと願い出る二人に虞紫鳶は、二十人の門弟を付けるならばと許可を与えた。
そして江澄が門弟を引き連れる形で蓮花塢を出発した一行は、日がある内に木欄山に到着すると、その日のうちに妖怪は見事退治されたのである。
だがその日のうちと言っても、退治を終えたのは夜もすっかり更けた刻限だ。蓮花塢に戻るのは翌日となり、その日は木欄山の荘に宿を取ることになった。