hanano_seasons
PROGRESS現パロかつフィの養子になったファのフィガファウという捏造の塊みたいな話フィの養子になったファのフィガファウ「ファウスト。君は今日から俺の家族になるんだよ」
フィガロがそう声をかけると、ファウストのアメジストの瞳がゆらゆらと揺れた。
「かぞ、く……?」
「そう。……とは言ってもすぐに心の整理をするのは難しいだろうし、俺は君のお父さんになりたいわけでもないから、まずは心の治療を優先しようか」
心の治療、という言葉に、ファウストは不思議そうに首を傾げる。
「……僕は、治療が必要なんですか?」
「うーん、そうだね……。一般的には両親が亡くなったら悲しくなるものだと思うけど」
君は違うの?
フィガロがそう問いかけると、ファウストは再び首を傾けた。
「……分かりません。両親のことは好きだったと思います、けど……」
ほんの数日前、ファウストの両親は揃って交通事故で亡くなった。残されたファウストはまだ十二歳。親がいなければ生きていくこともできない年齢であるというのに、彼の瞳は少しも涙に濡れてはいなかった。
592フィガロがそう声をかけると、ファウストのアメジストの瞳がゆらゆらと揺れた。
「かぞ、く……?」
「そう。……とは言ってもすぐに心の整理をするのは難しいだろうし、俺は君のお父さんになりたいわけでもないから、まずは心の治療を優先しようか」
心の治療、という言葉に、ファウストは不思議そうに首を傾げる。
「……僕は、治療が必要なんですか?」
「うーん、そうだね……。一般的には両親が亡くなったら悲しくなるものだと思うけど」
君は違うの?
フィガロがそう問いかけると、ファウストは再び首を傾けた。
「……分かりません。両親のことは好きだったと思います、けど……」
ほんの数日前、ファウストの両親は揃って交通事故で亡くなった。残されたファウストはまだ十二歳。親がいなければ生きていくこともできない年齢であるというのに、彼の瞳は少しも涙に濡れてはいなかった。
to_cosfree_12
TRAININGフィとファ。甘えたいファ。
変わりゆく陽光死の瀬戸際に巡り会う運命は数奇で、どうしようもなく僕を歪ませた。
図書館に向かう昼下がりの中庭は穏やかに風が凪いでいく。
自身にはあまりに似つかわしくなくてその場から距離を取ろうと急足で図書館へと歩みを進める。
どうにも新しく補充された魔法使いは素質はあるが未熟な面が散見され放っておきたかったが自身が許さなかった。
(やっと解放されると思っていたのに)
何からかはとにかく色々だ。
木漏れ日が漏れる木々の下、レンガ道、程よく手入れされた草花。
薬草でもなんでもないただの鑑賞用の花。
レンガ道の先には魔法の練習に馬車を動かすミチルと応援するルチル、見守るレノックスとフィガロ。
日向の中随分とイメージとのギャップが激しい光景。
2531図書館に向かう昼下がりの中庭は穏やかに風が凪いでいく。
自身にはあまりに似つかわしくなくてその場から距離を取ろうと急足で図書館へと歩みを進める。
どうにも新しく補充された魔法使いは素質はあるが未熟な面が散見され放っておきたかったが自身が許さなかった。
(やっと解放されると思っていたのに)
何からかはとにかく色々だ。
木漏れ日が漏れる木々の下、レンガ道、程よく手入れされた草花。
薬草でもなんでもないただの鑑賞用の花。
レンガ道の先には魔法の練習に馬車を動かすミチルと応援するルチル、見守るレノックスとフィガロ。
日向の中随分とイメージとのギャップが激しい光景。
Runagr
MOURNINGフィガファウ/ポエム/死ネタ/捏造書きたいところだけ書いたやつ
なんか最期くらいは穏やかであってほしい~……というのと髪のくだりを書きたかっただけのやつです……
夏空に散る「髪、伸びたね」
フィガロの声に振り向くファウストの、ゆるやかにウェーブを描く髪はひとつに束ねられても彼の背中の中心まであった。それはふわりと夏風に揺れている。
「……伸ばしているんだ」
「なぜ?」
「あなた、何度も聞くけど、飽きないの」
「飽きないね。嬉しいから」
ファウストは呆れたような表情を形作ったけれど、すぐにふっ、と微笑みながら、顎にかかる髪の毛をゆったりと耳に掛けた。それはまさに語り継がれる中央の国の聖人らしいうつくしい所作だった。
「しょうがない人」
まだ夜が明けたばかりだというのに、眩すぎる旭光が嵐の谷に生い茂る芝生の全てを照らしている。いつもはそれを避けるように木陰にて土いじりをするファウストを見守るフィガロだったが、今日は珍しく近くにいた。その理由がわからないファウストではない。
2378フィガロの声に振り向くファウストの、ゆるやかにウェーブを描く髪はひとつに束ねられても彼の背中の中心まであった。それはふわりと夏風に揺れている。
「……伸ばしているんだ」
「なぜ?」
「あなた、何度も聞くけど、飽きないの」
「飽きないね。嬉しいから」
ファウストは呆れたような表情を形作ったけれど、すぐにふっ、と微笑みながら、顎にかかる髪の毛をゆったりと耳に掛けた。それはまさに語り継がれる中央の国の聖人らしいうつくしい所作だった。
「しょうがない人」
まだ夜が明けたばかりだというのに、眩すぎる旭光が嵐の谷に生い茂る芝生の全てを照らしている。いつもはそれを避けるように木陰にて土いじりをするファウストを見守るフィガロだったが、今日は珍しく近くにいた。その理由がわからないファウストではない。
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プラシーボ「……いっ!……ガロっ!」
遠くでファウストの声が聞こえる。初めはぼんやりとしていたその呼びかけは、体の揺れに呼応するように徐々にはっきりと頭に響き始めた。
「フィガロ!いつまで寝ているつもりだ!」
「んん………、ファウスト」
「もうお昼前だぞ」
「へ……?」
「だらしない声を出すな」
窓から差し込む光の眩しさを鬱陶しく感じながら、ゆっくりと瞼をあげると目の前には呆れ顔の恋人がいた。ぱちっと視線が合うとむっとした表情で逸らされる。剥き出しの背中の肩越しに仄かに朱色に染まった可愛らしい耳が見えた。本気で怒っているわけではなく、単なる照れ隠しのようだ。昨夜の情事の名残を思わせるその仕草が愛しくて、もう少し眺めていたかったのに、ファウストはそそくさと服を羽織って寝床から離れてしまった。
5412遠くでファウストの声が聞こえる。初めはぼんやりとしていたその呼びかけは、体の揺れに呼応するように徐々にはっきりと頭に響き始めた。
「フィガロ!いつまで寝ているつもりだ!」
「んん………、ファウスト」
「もうお昼前だぞ」
「へ……?」
「だらしない声を出すな」
窓から差し込む光の眩しさを鬱陶しく感じながら、ゆっくりと瞼をあげると目の前には呆れ顔の恋人がいた。ぱちっと視線が合うとむっとした表情で逸らされる。剥き出しの背中の肩越しに仄かに朱色に染まった可愛らしい耳が見えた。本気で怒っているわけではなく、単なる照れ隠しのようだ。昨夜の情事の名残を思わせるその仕草が愛しくて、もう少し眺めていたかったのに、ファウストはそそくさと服を羽織って寝床から離れてしまった。
きいろ
DONE2021/7/18パラロイwebオンリー「SEE THE WORLD」
ガルシア博士は甘やかされたい!
【限定公開】
期間:7/18 10:00〜7/25 23:59
【イベントページ】
https://pictsquare.net/jmn5uz3wvz4qcmpv36lcr2ma28jli42r 10
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MOURNINGフィガファウなんでも許していただける方向け
願い明日、〈大いなる厄災〉が襲来する。
全身の血が沸騰するような感覚に襲われ、僕は早々に眠るのを諦めていた。きっと彼ならばこんな夜でも悠然とした態度を崩すことはないだろう。気づくと部屋の前まで足を運んでいる自分がいた。彼の顔を見て、安心したかったのかもしれない。ノックをするよりも先に扉が開く。予想外とでも言うかのようにフィガロは少しだけ目を見開いていたが、すぐにいつもの穏やかな表情で見つめられる。視線を落として、なんと言おうか迷っていると、「少し、歩かない?」と先を越された。
行く当てもなく無言で歩みを進める。誰かといるのに沈黙が続いてしまうのは気まずいはずなのに、不思議と先ほどよりも心が落ち着いていた。
3555全身の血が沸騰するような感覚に襲われ、僕は早々に眠るのを諦めていた。きっと彼ならばこんな夜でも悠然とした態度を崩すことはないだろう。気づくと部屋の前まで足を運んでいる自分がいた。彼の顔を見て、安心したかったのかもしれない。ノックをするよりも先に扉が開く。予想外とでも言うかのようにフィガロは少しだけ目を見開いていたが、すぐにいつもの穏やかな表情で見つめられる。視線を落として、なんと言おうか迷っていると、「少し、歩かない?」と先を越された。
行く当てもなく無言で歩みを進める。誰かといるのに沈黙が続いてしまうのは気まずいはずなのに、不思議と先ほどよりも心が落ち着いていた。
むらくも
REHABILI師弟時代のフィガファウ。リハビリです。agape(師弟時代フィガファウ) 与えることには慣れていた。なにせ生まれた時から『神様』をしていたから。
幸いも、恐怖も、知識も、絶望も、助言も、予言も、実りも、安らぎも。それが例えどんなものであれ、相手が望むものを与えることには慣れていた。そうすることを望まれていたからそれに従い、それに疑問と飽きを覚えたから与える事を止めた。生きてきた千年以上。良い事も悪い事も、出来ることは何だってして来た。与えてきたから、奪う事もした。つくることも、壊すことも、出来ることなら、大概はなんだって。
乞われれば許し、貢がれれば対価に見あった事くらいはしてきたつもりだ。それくらいの優しさも情も持ち合わせている。けれど煩わしい事は嫌いだし、自分が組み上げた予定や計画を乱されるのは好きでは無かった。総てが思うままに動くのは一種の快感に似ていたから。
10179幸いも、恐怖も、知識も、絶望も、助言も、予言も、実りも、安らぎも。それが例えどんなものであれ、相手が望むものを与えることには慣れていた。そうすることを望まれていたからそれに従い、それに疑問と飽きを覚えたから与える事を止めた。生きてきた千年以上。良い事も悪い事も、出来ることは何だってして来た。与えてきたから、奪う事もした。つくることも、壊すことも、出来ることなら、大概はなんだって。
乞われれば許し、貢がれれば対価に見あった事くらいはしてきたつもりだ。それくらいの優しさも情も持ち合わせている。けれど煩わしい事は嫌いだし、自分が組み上げた予定や計画を乱されるのは好きでは無かった。総てが思うままに動くのは一種の快感に似ていたから。
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MOURNINGフィガファウpixivに加筆修正したものを、アップしています。
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瞳をめぐる嫉妬の話「まぁ、ファウストさん!今日はサングラスを外しているんですね。」
「あぁ…」
ルチルは正面の席に着くと、物珍しそうにニコニコと話しかけてきた。ミチルにお小言を言われながら眠い目を擦るフィガロもあとからやってきて斜め向かいの席に着席する。
南の若い魔法使いは朝から元気だな…
僕はシノたちに連行されてしぶしぶ食堂で朝食を取っていた。サングラスを外させたのもシノだ。朝から騒がしく部屋に突入してきたかと思えば、いきなり、陰気くさい服装を改めろだ、鬱陶しい前髪を切れだ何だのと要求してきた。彼の言い分としては、他国の魔法使いと比べて東の国の魔法使いがパッとしないのは先生役の僕が暗いからだと言う。断固拒否する僕と粘るシノの攻防が少しの間続いた。
3248「あぁ…」
ルチルは正面の席に着くと、物珍しそうにニコニコと話しかけてきた。ミチルにお小言を言われながら眠い目を擦るフィガロもあとからやってきて斜め向かいの席に着席する。
南の若い魔法使いは朝から元気だな…
僕はシノたちに連行されてしぶしぶ食堂で朝食を取っていた。サングラスを外させたのもシノだ。朝から騒がしく部屋に突入してきたかと思えば、いきなり、陰気くさい服装を改めろだ、鬱陶しい前髪を切れだ何だのと要求してきた。彼の言い分としては、他国の魔法使いと比べて東の国の魔法使いがパッとしないのは先生役の僕が暗いからだと言う。断固拒否する僕と粘るシノの攻防が少しの間続いた。