tono_bd
DOODLE昨日のイベストの熱が冷めずに書き殴りました。正しい相手に贈らないと戻ってきてしまう花束を押しつけられたフィガロの話。
カプ未満くらいの絵本のような優しい話を目指しましたが、実際どうかは分かりません。
ネロ、ラスティカ、シャイロックが友情出演します。
押しつけられた花束を持て余すフィガロの話 花束をもらった。
正しくは、中央の国の市場にある花屋で人間の花売りに強引に押しつけられた。
薬の調合に使う材料や包帯を買い足そうと市場を歩いていたら、その花屋のワゴンの前で微かな魔力に反応して目線を向けてしまった。すると見計らったかのように店主が現れて、「これはあなたが持って帰って。気に入ったみたいなの、お代は要らないから」と花束を押しつけてきた。早々に厄介払いがしたかったのだろう。花束にかけられていた魔法は呪いの類いでは無いけれど、商品としては欠陥品だ。
つまりは、正しい人が正しい人に渡さないと元の場所に戻ってきてしまう。そういう面倒な魔法がかけられていた。難しい魔法では無い、条件を満たせば良いのだ。けれど人間には持て余してしまっただろう。どうしてその花束が人間が営む花屋にあったのかも謎だが、自分がその正しい人の片方に選ばれてしまった理由も謎だ。
4940正しくは、中央の国の市場にある花屋で人間の花売りに強引に押しつけられた。
薬の調合に使う材料や包帯を買い足そうと市場を歩いていたら、その花屋のワゴンの前で微かな魔力に反応して目線を向けてしまった。すると見計らったかのように店主が現れて、「これはあなたが持って帰って。気に入ったみたいなの、お代は要らないから」と花束を押しつけてきた。早々に厄介払いがしたかったのだろう。花束にかけられていた魔法は呪いの類いでは無いけれど、商品としては欠陥品だ。
つまりは、正しい人が正しい人に渡さないと元の場所に戻ってきてしまう。そういう面倒な魔法がかけられていた。難しい魔法では無い、条件を満たせば良いのだ。けれど人間には持て余してしまっただろう。どうしてその花束が人間が営む花屋にあったのかも謎だが、自分がその正しい人の片方に選ばれてしまった理由も謎だ。
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DOODLEフィガロと交際しているファウストが投獄されていた頃の夢を見る話。二人の関係は良好です。※事後の描写が大好きなので、うっかり激しめなプレイを想起させる程度に入れました。問題無い方は、yesとお答えください。
ワードパレット『36kinds of time』から「黎明」で書かせて頂きました。
リクエストくださった方、ありがとうございます! 4586
tono_bd
DOODLEある時から女体化の変身魔法を続けているファウストについて、ヒースクリフ視点で語ってもらいました。妊娠・出産の話です。
※ある年の大いなる厄災の襲来で犠牲者が出ている旨の表記有り。誰が死んだとかは明記しておりませんが、死ネタを含んでいます。苦手な方はお気を付け下さい。
※フィガロのフィの字も出ません。
ヒースクリフによる独白 暫く前からファウスト先生が女体をとっている。
普段から体型の出にくいキャソックにマフラーを掛けていたから見た目には大きな違いが無いが、僅かに縮んだ背丈や一回り小さくなった手の平、喉仏が消えて高くなった声は隠せていない。そもそもファウスト先生本人は隠そうとしていないのだと思う。ただいつも通りに振舞っているだけなのだ。ファウスト先生は何もその体の事を説明はしなかったけれど、俺達も無理に聞き出そうとはしなかった。いの一番に問い詰めそうなシノですら、「変身魔法のやり方を教えろ」と講義を希望するだけだった。
俺達は東の魔法使いだから。突然の変化に驚いたり、騒ぎ立てる事はしない。でも西の魔法使い達だって、ファウスト先生の体の事は誰も核心の部分は触れなかった。変身魔法が得意なムルは面白がって一時期女体で過ごしていたが、それも半月もすれば飽きてしまっていた。
3789普段から体型の出にくいキャソックにマフラーを掛けていたから見た目には大きな違いが無いが、僅かに縮んだ背丈や一回り小さくなった手の平、喉仏が消えて高くなった声は隠せていない。そもそもファウスト先生本人は隠そうとしていないのだと思う。ただいつも通りに振舞っているだけなのだ。ファウスト先生は何もその体の事を説明はしなかったけれど、俺達も無理に聞き出そうとはしなかった。いの一番に問い詰めそうなシノですら、「変身魔法のやり方を教えろ」と講義を希望するだけだった。
俺達は東の魔法使いだから。突然の変化に驚いたり、騒ぎ立てる事はしない。でも西の魔法使い達だって、ファウスト先生の体の事は誰も核心の部分は触れなかった。変身魔法が得意なムルは面白がって一時期女体で過ごしていたが、それも半月もすれば飽きてしまっていた。
worino0605
MAIKING師弟時代の二人の、休日について思いを馳せてみました。たまには無邪気に楽しく戯れていたらいいな…という妄想です。まだ遊んでるだけな感じですが、最終的にはキュンとする感じになれ〜〜!と、思っているところです。まだまだ途中です、すいません!
師弟の休日 北の国では珍しい朝だった。
大抵は重く暗い雲に覆われ、雪が常に降っているような天候で、その音が静かであるか猛烈な風と共にあるか、それぐらいの差しかない。しかし今日は夜明けから太陽がずっと顔を見せている。
部屋の窓際からその光景をずっと見つめている彼は、今どんな顔をしているのだろう。興味が湧いたフィガロは、その年若い弟子の背中に問いかける。
「君は初めて見るんじゃない?こんなに晴れているところ」
彼がこちらを振り返り、背中に少し掛かるくらいの、結った癖毛の尾がふわりと揺れる。陽の光に照らされた亜麻色のきらめき。
「ええ。とても綺麗で、つい見入ってしまいました」
そう言って紫の瞳を細めて笑うファウストは、もう世間では青年と言われる年齢ではあるけれど、どこか無邪気な少年っぽさもあって、フィガロの心を和ませた。
6125大抵は重く暗い雲に覆われ、雪が常に降っているような天候で、その音が静かであるか猛烈な風と共にあるか、それぐらいの差しかない。しかし今日は夜明けから太陽がずっと顔を見せている。
部屋の窓際からその光景をずっと見つめている彼は、今どんな顔をしているのだろう。興味が湧いたフィガロは、その年若い弟子の背中に問いかける。
「君は初めて見るんじゃない?こんなに晴れているところ」
彼がこちらを振り返り、背中に少し掛かるくらいの、結った癖毛の尾がふわりと揺れる。陽の光に照らされた亜麻色のきらめき。
「ええ。とても綺麗で、つい見入ってしまいました」
そう言って紫の瞳を細めて笑うファウストは、もう世間では青年と言われる年齢ではあるけれど、どこか無邪気な少年っぽさもあって、フィガロの心を和ませた。
mitaka
DONE10/16開門フェスの展示②でした。ファウストとの距離感に悩むフィガロが、とある夜勢いに任せて手を出してみる話(健全)。
孤独と向き合う、ピュアなふたりの幻想です。
心臓の門を叩くかつて
そこに村があったこと。
そこに人がいたこと。
そこに不思議な力をもつ子どもがいたこと。
いつからか
そこに雪しかなかったこと。
そこに海しかなかったこと。
そこにただひとりしかいなかったこと。
はじまりとおわり、繁栄と衰退、獲得と喪失、誕生と臨終。
人間も魔法使いも隔てなく定められた、この世の基本構造。世界が存在してから現在に至るまで、すべての生きとし生けるものが背負ってきた宿命だ。時間に可逆性はないのだから、遅かれ早かれ誰しも最期を迎える。
それなのに、心というものはその時を無感情で受け入れるようにはできていない。なんと皮肉なシステムの欠陥だろう。他人の死を想い、嘆き、そして自らの終末を恐れ、必死に足掻こうとする。儚く残酷なさだめ。しかし、だからこそ生命は黎明の光のように尊く、時として何よりも美しいのだと人は言う。
7508そこに村があったこと。
そこに人がいたこと。
そこに不思議な力をもつ子どもがいたこと。
いつからか
そこに雪しかなかったこと。
そこに海しかなかったこと。
そこにただひとりしかいなかったこと。
はじまりとおわり、繁栄と衰退、獲得と喪失、誕生と臨終。
人間も魔法使いも隔てなく定められた、この世の基本構造。世界が存在してから現在に至るまで、すべての生きとし生けるものが背負ってきた宿命だ。時間に可逆性はないのだから、遅かれ早かれ誰しも最期を迎える。
それなのに、心というものはその時を無感情で受け入れるようにはできていない。なんと皮肉なシステムの欠陥だろう。他人の死を想い、嘆き、そして自らの終末を恐れ、必死に足掻こうとする。儚く残酷なさだめ。しかし、だからこそ生命は黎明の光のように尊く、時として何よりも美しいのだと人は言う。
mitaka
DONE10/16開門フェスの展示①でした。私立フォルモーント学園秋の大運動会の話。
前半フィガファウ成分薄めです。
※ふたりの過去とキャラ同士の呼称、口調などを捏造しています。
予測不能のビタープリズム 雲ひとつない抜けるような晴天。澄み渡る青色と髪を揺らす爽やかな風が気持ちまで晴れやかにする。天候に恵まれた絶好の日、私立フォルモーント学園では、年に一度の体育祭が執り行われていた。リズムよく駆けていく足取りに合わせて砂煙が巻き起こり、額には青春の結晶ともいうべき汗がきらめく。輝く一瞬を焼き付けるように、皆懸命に声を上げる。
しかし、ここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。今回の体育祭は「進学校」「不良校」「芸能校」の3校が合併してから初めての開催であったからだ。集まったのは校風の異なった、考え方や性格がバラバラの生徒たち。彼らの組分けは、実行委員たちにとって一番の懸念材料であった。けれど、合併を記念する創立祭がなんとか成功したこともあり、今回もまずはやってみようの精神でランダムに組分けをすることになった。その結果、学年のみならず出身校をごちゃ混ぜにした5組が誕生した。
11246しかし、ここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。今回の体育祭は「進学校」「不良校」「芸能校」の3校が合併してから初めての開催であったからだ。集まったのは校風の異なった、考え方や性格がバラバラの生徒たち。彼らの組分けは、実行委員たちにとって一番の懸念材料であった。けれど、合併を記念する創立祭がなんとか成功したこともあり、今回もまずはやってみようの精神でランダムに組分けをすることになった。その結果、学年のみならず出身校をごちゃ混ぜにした5組が誕生した。
yukisane0804
PROGRESSこちらのフィガファウの続きです https://poipiku.com/439850/7364118.html修正・加筆版はGALLERIAとぷらいべったーに載せています~
AndL.(2) 二
僕の顔が以前のものに戻ってから数日が経った。
アンドロイドの顔で過ごしたのは僅か一日にも満たない時間だったし、その間に自分の姿を目にすることもなかった。けれど自覚しているよりも自分の肉体や見た目がアンドロイドになったことに僕は緊張していたようで、反射する滑らかな性質のものから目をそらす癖のようなものがいつの間にか染みついていた。
フィガロは僕の顔を手術した後、車いすに僕の体を乗せると、どこかずっと待ち望んでいたことかのように僕をあの室内から連れ出した。僕が眠っていた部屋の隣室は、暗めの茶色のフローリングに白の紙クロスの壁紙を貼ったシックな雰囲気の部屋だった。いわゆる事務デスクや壁掛けのホワイトボード、革張りのソファ、IHのコンロと電気ケトルがあり、会社の一角と言われればすんなりと受け入れられた。(僕はまだ就職活動を始める前だから、あくまでイメージの会社だが。)患者からの贈り物だろうか、手紙や折り紙、押し花の栞が飾ってあるのが愛らしい。
9110僕の顔が以前のものに戻ってから数日が経った。
アンドロイドの顔で過ごしたのは僅か一日にも満たない時間だったし、その間に自分の姿を目にすることもなかった。けれど自覚しているよりも自分の肉体や見た目がアンドロイドになったことに僕は緊張していたようで、反射する滑らかな性質のものから目をそらす癖のようなものがいつの間にか染みついていた。
フィガロは僕の顔を手術した後、車いすに僕の体を乗せると、どこかずっと待ち望んでいたことかのように僕をあの室内から連れ出した。僕が眠っていた部屋の隣室は、暗めの茶色のフローリングに白の紙クロスの壁紙を貼ったシックな雰囲気の部屋だった。いわゆる事務デスクや壁掛けのホワイトボード、革張りのソファ、IHのコンロと電気ケトルがあり、会社の一角と言われればすんなりと受け入れられた。(僕はまだ就職活動を始める前だから、あくまでイメージの会社だが。)患者からの贈り物だろうか、手紙や折り紙、押し花の栞が飾ってあるのが愛らしい。
_m_n_z_s
DOODLEフィについて、自分が欲望のままにふるまうのあんま好きじゃないと興奮するな~て鍵アカウントで妄想してたのが発端だった気がしますそれに付随して、一人でするの嫌いだと私が興奮するな~とか。妄想です。
Shiori_maho
DONEワードパレット Select me.24.逸るままに「ちゃんと目を見て」「射抜くような」「魔法」をお借りしています。
めちゃくちゃぬるいですがそういうシーンです。 1374
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DOODLE開発のファとマーケティングのフィのイメージで書きました。あまり接点の多くない彼らが一緒にランチをする話。ワードパレット『36kinds of time』から「12時」で書かせて頂きました。
社会人パロのフィガファウ『12時』
十二時きっかりに、部内の誰もが席を立った。パソコンと長い時間向かい合っていたファウストは長く伸びをして、軽く首を回す。
途中になっている仕事に後ろ髪引かれるが、十二時からの一時間という時間設定の休憩時間は動かせないのだ。渋々重い腰を上げると誰よりも遅くに室内を出た。途端、手首を掴まれてぎょっとする。
「良かった、まだいたんだね。お昼外で取ろうよ、店調べておいたからさ」
まるで出待ちのような事をする男、フィガロ・ガルシアは、同期でも無ければ、部署も異なる。研修や会議で顔を合わせる程度の、全くの他人では無いが友人とは呼べない距離感の人物の筈だ。それなのにどうしてか度々こういう事が起こる。
「あ、お弁当持ってきてたりする?」と確認をされた時に思わず正直に首を横に振ってしまったから、フィガロの提案は承諾したも同然だった。
2654十二時きっかりに、部内の誰もが席を立った。パソコンと長い時間向かい合っていたファウストは長く伸びをして、軽く首を回す。
途中になっている仕事に後ろ髪引かれるが、十二時からの一時間という時間設定の休憩時間は動かせないのだ。渋々重い腰を上げると誰よりも遅くに室内を出た。途端、手首を掴まれてぎょっとする。
「良かった、まだいたんだね。お昼外で取ろうよ、店調べておいたからさ」
まるで出待ちのような事をする男、フィガロ・ガルシアは、同期でも無ければ、部署も異なる。研修や会議で顔を合わせる程度の、全くの他人では無いが友人とは呼べない距離感の人物の筈だ。それなのにどうしてか度々こういう事が起こる。
「あ、お弁当持ってきてたりする?」と確認をされた時に思わず正直に首を横に振ってしまったから、フィガロの提案は承諾したも同然だった。
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DOODLE※400年前のフィガロは髪が長かったという前提で、ベッドの中でファウストから「いつ髪を切ったのか」と訊ねられる話。
※南の国の開拓初期の捏造があります。若干のモブ有り。
え、ここで終わるの? 濡れ場は? って思う方。
私もそう思います。
pixivに上げる時に追記するかもしれないし、しないかもしれない。
タイトルはその時考えます。
フィガファウの官能小説大好き。
セックス後の浅い眠りから覚めたフィガロが、髪にまつわる昔語りをする話。 まどろみが続いていた。
寄せては返す波のようなそれは、思いのほか心地が良い。悪い夢は見なかった。むしろそれとは逆のずっと見ていたいような幸福な夢を見ていた気がする。だが、それ以上の幸せを知ってしまったから、重たい瞼を持ち上げるのもやぶさかではない。結局現実以上の幸せは夢の中には無いのだと教えてくれた存在が、今も自分に触れてくれているのだ。
頭皮には触れず、短い髪の表面を撫ぜるような遠慮がちな触り方に思わず口元を笑みの形に変える。すると鼻を摘ままれた。
「狸寝入りか」
「違うよ、夢から覚めたばかり。まだ夜明け前でしょう、寝られないの?」
「うん。眠気が来なくて、終わってすぐに眠ってしまったあなたを見てた」
5779寄せては返す波のようなそれは、思いのほか心地が良い。悪い夢は見なかった。むしろそれとは逆のずっと見ていたいような幸福な夢を見ていた気がする。だが、それ以上の幸せを知ってしまったから、重たい瞼を持ち上げるのもやぶさかではない。結局現実以上の幸せは夢の中には無いのだと教えてくれた存在が、今も自分に触れてくれているのだ。
頭皮には触れず、短い髪の表面を撫ぜるような遠慮がちな触り方に思わず口元を笑みの形に変える。すると鼻を摘ままれた。
「狸寝入りか」
「違うよ、夢から覚めたばかり。まだ夜明け前でしょう、寝られないの?」
「うん。眠気が来なくて、終わってすぐに眠ってしまったあなたを見てた」
Shiori_maho
DONE現代転生フィガファウ♀の番外編(初夜編)です。※ファ♀の一人称が「私」で、原作より口調がやわらかいです。
※モブの女の子がでてきます。
※R12程度の描写が入ります。
マシュマロでいただいたシチュエーション「星(流星群)を見に行く」を取り入れさせてもらっています。ありがとうございました! 17367
yukisane0804
PROGRESS医者?×アンドロイド?というプチSFチックなパロディのフィガファウ小説です。いつかR-18になるかもしれない。ちょこちょこ加筆して本にできたら良いな。誤字を見つけたら教えてください。9/29 序章が書き終わりました。
AndL.(序) 一
───夢とは何と不思議なものだろう。肉体の五感なんてそっちのけで、温もりや暗さを信じ込ませるのだから。
意識を浮上させ、目を開けるより先にふとそんなことを思った。夢の中では感じなかった冷たさを、自分の背中から感じたからだ。
目覚めのとき、普段わざわざ意識しない哲学的・倫理的な論点が突然思考の中央に躍り出てきて僕の思考を鋭くさせることがある。夢の中で何かの学問のエキスパートになって呪文のように学術を諳んじる夢を時折見るが、その延長のようなものだろうか。聡明な気分を半ば引きずりながら現実へのトンネルを潜り抜けているなら、かえってぼんやりと鈍った思考の寝起きよりも寝惚けていると言えるかもしれない。
16802───夢とは何と不思議なものだろう。肉体の五感なんてそっちのけで、温もりや暗さを信じ込ませるのだから。
意識を浮上させ、目を開けるより先にふとそんなことを思った。夢の中では感じなかった冷たさを、自分の背中から感じたからだ。
目覚めのとき、普段わざわざ意識しない哲学的・倫理的な論点が突然思考の中央に躍り出てきて僕の思考を鋭くさせることがある。夢の中で何かの学問のエキスパートになって呪文のように学術を諳んじる夢を時折見るが、その延長のようなものだろうか。聡明な気分を半ば引きずりながら現実へのトンネルを潜り抜けているなら、かえってぼんやりと鈍った思考の寝起きよりも寝惚けていると言えるかもしれない。
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DOODLE2022.6.19公開の、フォル学時空のフィガファウ。付き合ってる二人で、魔法使いだった頃の夢を見たファウスト。
※ファウスト記憶あり。
フォル学フィガファウ 空を飛ぶ夢を見た。闇色をした箒に座って、空の高い所を飛ぶ夢。見下ろす町並みはまるで西洋の片田舎のような景色で、黄金の麦畑や、鐘の付いた教会のような建物が見える。もっと高く上昇すると海のように雲が広がっていて、そこには自分ともう一人。青灰色の髪が空に溶けて、肩にかけた上着が雲と混ざっている。自分と並んで飛ぶ男はこちらをずっと見つめていて、危ないから前を向けと小言を言うと、それなら君が前を飛べば良いと屁理屈をこねた。男に好かれているという自覚が、僕を素直じゃなくさせるのだと男は気付いているのだろうか。僕は彼に甘えているのだ、何を言っても良いのだというどうしようもない甘え。まるで子が親にするような、飼い犬が飼い主にするような……もしかすると恋人にするような。許されると無自覚に理解しているのだ。どうしようもなく甘ったれな自分を、どうして好いてくれているのかは分からないけれど、男はこうして隣にいてくれる。
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DOODLE2022.6.2公開の、フィガロ誕4コマの蛇足のようなフィガファウ。4コマ見た瞬間に書いてた。本当はなんでも無い日だって部屋にくらい行く二人です。
なんでも無い日だって部屋にくらい行くよ。 自分から出向かないと顔を出すまで部屋の扉を叩かれるから。他の賢者の魔法使いは声をかけているのに、一人だけ無視をするのは気が引けるから。理由はいくらでも思い浮かんだけれど、結局の所、僕が伝えたいだけなのだ。
四百年の間、誕生日という日を特別に感じた事は無かった。それもそうだろう、依頼人くらいしか他人と接する機会が無かったのだ。すると自分の誕生日も有って無いようなものになる。ふと、そういえば今日は自分の誕生日だと思い出す事もあるが、王族の気まぐれで作られる国民の休日と同じくらいどうでもいいものだ。
それなのに、この魔法舎で暮らし始めてからはどうだろう。二十一人の魔法使いと賢者、それからクックロビンやカナリアの誕生日の度に、ここはおもちゃ箱をひっくり返したような有様になるのだ。自分の誕生日には一日中誰かから祝いの言葉を贈られて、特別なプレゼントを用意されたりして、自分らしくもなく浮かれていた。それは他人が僕のために祝ってくれる心があってはじめて成り立つもので、少なくとも僕はその気持ちを嬉しいと感じた。僕が何か行動を起こしても相手は喜ばないかもしれない、もしかしたら怒らせる可能性だってある。受け取る側の気持ちを強制は出来ないけれど、僕が他人を祝いたいのだ。気持ちを伝えたいだけ、あわよくば喜んで欲しいけれど。
2235四百年の間、誕生日という日を特別に感じた事は無かった。それもそうだろう、依頼人くらいしか他人と接する機会が無かったのだ。すると自分の誕生日も有って無いようなものになる。ふと、そういえば今日は自分の誕生日だと思い出す事もあるが、王族の気まぐれで作られる国民の休日と同じくらいどうでもいいものだ。
それなのに、この魔法舎で暮らし始めてからはどうだろう。二十一人の魔法使いと賢者、それからクックロビンやカナリアの誕生日の度に、ここはおもちゃ箱をひっくり返したような有様になるのだ。自分の誕生日には一日中誰かから祝いの言葉を贈られて、特別なプレゼントを用意されたりして、自分らしくもなく浮かれていた。それは他人が僕のために祝ってくれる心があってはじめて成り立つもので、少なくとも僕はその気持ちを嬉しいと感じた。僕が何か行動を起こしても相手は喜ばないかもしれない、もしかしたら怒らせる可能性だってある。受け取る側の気持ちを強制は出来ないけれど、僕が他人を祝いたいのだ。気持ちを伝えたいだけ、あわよくば喜んで欲しいけれど。
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DOODLE2022.5.20公開のタイトル通りの話。南4人しか登場しませんが、回想の部分で小学生には読ませられない程度の描写をしています。
フィガロ先生の腰が痛い話「フィガロ先生! もう朝ですよ、起きてください! あっ、寝返りを打たないでくださいってば!」
ドアのノックもそこそこに部屋に入り込んできたミチルの怒鳴り声に、目を閉じたまま思わず口角を上げる。もう少し平和な一日の始まりを噛み締めていたかったのだが、布団を引っぺがされた事で観念した。
「はいはい、分かったよ。おはようミチル」
いつも全力で起こしてくれる可愛い生徒の頭を撫でながら上半身を起こすと、片腕を取られて立ち上がらされる。もう随分前から起きて活動を始めているのだろうミチルの足取りは軽くすぐに部屋から連れだそうとするから、その直前で指を一振りして服を着替えた。いつもの白衣に聴診器を下げた格好で廊下に出ると、そこにはルチルとレノックスの姿もあって南の国の魔法使い勢揃いだ。
1933ドアのノックもそこそこに部屋に入り込んできたミチルの怒鳴り声に、目を閉じたまま思わず口角を上げる。もう少し平和な一日の始まりを噛み締めていたかったのだが、布団を引っぺがされた事で観念した。
「はいはい、分かったよ。おはようミチル」
いつも全力で起こしてくれる可愛い生徒の頭を撫でながら上半身を起こすと、片腕を取られて立ち上がらされる。もう随分前から起きて活動を始めているのだろうミチルの足取りは軽くすぐに部屋から連れだそうとするから、その直前で指を一振りして服を着替えた。いつもの白衣に聴診器を下げた格好で廊下に出ると、そこにはルチルとレノックスの姿もあって南の国の魔法使い勢揃いだ。
へるた
DOODLE修行時代WEBオンリーの展示物でした。きたなすぎてめちゃくちゃ読みにくいです。
なでなでのフィガファウ漫画(※直接的な表現はありませんが、一部成人向けの描写があります…という注意書きですがとてもぬるいです) 6
Shiori_maho
DONEほしきてにて展示していた小説です。「一緒に生きていこう」から、フィガロがファウストのもとを去ったあとまでの話。
※フィガロがモブの魔女と関係を結ぶ描写があります
※ハッピーな終わり方ではありません
以前、短期間だけpixivに上げていた殴り書きみたいな小説に加筆・修正を行ったものです。
指先からこぼれる その場所に膝を突いて、何度何度、繰り返したか。白くきらめく雪の粒は、まるで細かく砕いた水晶のようにも見えた。果てなくひろがるきらめきを、手のひらで何度何度かき分けても、その先へは辿り着けない。指の隙間からこぼれゆく雪、容赦なくすべてを呑みつくした白。悴むくちびるで呪文を唱えて、白へと放つけれどもやはり。ふわっ、と自らの周囲にゆるくきらめきが舞い上がるのみ。荘厳に輝く細氷のように舞い散った雪の粒、それが音もなく頬に落ちる。つめたい、と思う感覚はとうになくなっているのに、吐く息はわずかな熱を帯びてくちびるからこぼれる。どうして、自分だけがまだあたたかいのか。人も、建物も、動物も、わずかに実った作物も、暖を取るために起こした頼りなげな炎も。幸福そうな笑い声も、ささやかな諍いの喧噪も、無垢な泣き声も、恋人たちの睦言も。すべてすべて、このきらめきの下でつめたく凍えているのに。
8766てきだん堂_for mhyk
INFO2022.7/30 ピクスクにて開催の「流星ふる夜にあいにきて」にサークル参加します。mhyk界隈、初参戦です!
私(成人済み♀)は、普段戦車やメカを描いているもので、キラキラしたイケメンが描けるかというとやっぱり描けてないんですが、よろしければお立ち寄りください。
あと知性派のフィガ&ファウと思えないほどおかしなことになってますw
何か…すみません💦
少し楽しんで頂けましたら幸いです。 3
Shiori_maho
DONEフィガファウ未満、からの現代転生フィガファウ♀です。(大学生設定)現代フィガロがモブの女の子とキスをしている描写があります。
モブの友達もでてきます。
過去などいろいろ捏造しています!
リンカネーション 幸福を手にしても、それがいつか確定的に失われることを知っていた僕は、そうと自覚せず臆病だった。
「ああ、」
すべてを悟った顔をしたあなたは、南の国の花畑に降るあたたかな陽だまりのような眼差しで僕を見つめた。そうして僕へと伸ばされた指先。師匠と弟子、ふたりで暮らすこの部屋に差し込む光を反射して、繊細にあえかにきらめいた。はっ、と僕は息を呑む。
「……フィガロ、」
あなたの名を呼ぶ声はふるえていた。それに呼応したように、僕はふるふると首を振る。目を見ひらいて、僕へ伸ばされたきらめきに怯えるように後退った。けれどもきらめきは僕の前髪を梳き、そのままこめかみ、耳の後ろを撫でてうなじごと僕を引き寄せる。とん、と倒れ込むようにあなたに抱きとめられた僕の、鼻先があなたの温度にぶつかる。ひりつくように偉大で、それでいて大らかで穏やかな、馴れた香油の匂いが僕を包み込む。
43127「ああ、」
すべてを悟った顔をしたあなたは、南の国の花畑に降るあたたかな陽だまりのような眼差しで僕を見つめた。そうして僕へと伸ばされた指先。師匠と弟子、ふたりで暮らすこの部屋に差し込む光を反射して、繊細にあえかにきらめいた。はっ、と僕は息を呑む。
「……フィガロ、」
あなたの名を呼ぶ声はふるえていた。それに呼応したように、僕はふるふると首を振る。目を見ひらいて、僕へ伸ばされたきらめきに怯えるように後退った。けれどもきらめきは僕の前髪を梳き、そのままこめかみ、耳の後ろを撫でてうなじごと僕を引き寄せる。とん、と倒れ込むようにあなたに抱きとめられた僕の、鼻先があなたの温度にぶつかる。ひりつくように偉大で、それでいて大らかで穏やかな、馴れた香油の匂いが僕を包み込む。