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    nachi_osora

    @nachi_osora

    GW:T、K暁にゴロゴロしてる。書くのはほぼ固定、読むのは雑食。だいたいけけ受肉してるしアジトメンバー全員わちゃわちゃしています。

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    nachi_osora

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    ほのぼのけあき。一緒に平和に年を越すバディです。
    タイトル二年参りだけど作品内で内で参ってないのでじゃっかんタイトル詐欺。

    #K暁

    二年参り 二人きりで過ごす初めて大晦日の夜、年越し蕎麦も食べ終えあとはゆっくり日が変わるのを待つだけかと暁人は思っていたが、KKの「二年参りでも行くか」という一言で状況が変わった。二人の住むアパートの近くには有名ではないがそこそこの規模の神社がある。年の終わりと新年の挨拶をするのは確かに悪くない。だってあの夜(そして正確に言えば祓い屋を生業とする今も)、二人は幾多の神社に確かに『世話になった』のだから。
     何より、KKと二人で『初めてのことをする』のはなんだって心が躍る。二十も年嵩の師であり相棒であり恋人である相手は「そういうとこがガキなんだ」と揶揄うだろうかと思いつつも、口の端があがるのが止められない。しょうがないだろう。大事な人と過ごす年末は、どうあったって幸せなのだから。
    「もう行く?」
    「そうだな、今から準備して歩いていけばちょうどいいか」
    「わかった」
     言って身を翻すと、部屋にコートとマフラーと手袋を取りに行く。手袋は少し寒がりな暁人のために今年のクリスマスにKKがくれたちょっと高級なもので最近のお気に入りだ。
    「あんま慌てんなって」
     転ぶぞ、という声かけにやっぱり子供扱いされてる気がするが、はしゃいでるのは事実なので反論も出来ない。それでも後ろからかけられたその声音は呆れたものではなく、どこか柔らかく弾んでるようにも聞こえるので、KKも楽しみにしてくれてるといいと思う。
     マフラーを軽く巻いてからコートを身につけ、なるべく冷たい風が入り込まないように整えた。その姿でリビングに戻れば相棒もすでに身支度を終えたようで黒いコートを身にまとっているが、その下には暁人が先日贈ったばかりの白のハイネックニットが見える。黒と悩んだが思った通りこちらもよく似合っていると、己が見立てに間違いはなかったとちょっぴり鼻が高い。
     あまりに見つめたからか、気配に聡いKKがこちらを向いてニヤリと笑った。
    「そんなに見つめられたら穴があいちまいそうだ」
     見とれてたのか? という意地の悪い問いに「KKうるさい」と言えばそれは愉快そうに笑うものだからなお腹が立つ。惚れた方が負けとはこういうことを言うのかと思いつつも、諦め半分で側によって上から下までもう一度男を見る。悔しいがかっこいい、自分にはない年を重ねたからこそ出る男らしさだ。
    「……その服」
    「ん?」
    「着てくれたんだなって思って」
    「せっかくだからな。あったかくて、悪くねえ」
     続いて「オマエも……」と続けられた言葉にKKの視線を追えば、それは暁人が手にしている手袋にあって。
    「使ってくれてるんだな」
    「あ、うん。薄手なのにあったかくて、助かってる。ありがと」
    「おう」
     横たわる沈黙が、気まずくはないけど少し甘酸っぱい。お互いに目を見交わし、ぷっと噴き出したのは同時だった。こういうところはやはり自分達は似たもの同士なのかもしれない。
    「――よし、行くか」
    「うん」


     二人並んで歩いていく。
     今年も、来年も、出来ればずっと、この命が続く限り幾年月と。
     片割れのぬくもりが愛おしい。幸せだな、とこぼれる想いに暁人は一人笑む。
     神様。また一年、この人と良き毎日を過ごせますように。
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    nachi_osora

    DONEけけにプレゼント買いたくて地下アイドルすることになったあきとくんの(アホな)お話。のはずだったんですがシリアス長編ルートになりました。
    最後はハッピーエンドです!
    秘密と、嫉妬と、愛の歌 KKに何かプレゼントを贈りたい。そう思いついたのはいつだったか。
     KKは暁人の師であり相棒でありそして恋人だ。長い夜を越えて二十以上も年上の彼とそういう関係になってしばらくたつ。本来だったら付き合うどころか出会うことすらなかったような違う世界の男だが、今の暁人にとっては誰にも渡せない大事な人だ。
     さて話は戻る。そうプレゼント、プレゼントだ。歳が離れてることもあり、あまり同年代の友人たちのような付き合い方をしていないが、プレゼントくらい渡しても罰は当たらないだろうと暁人は思ったのだ。
     スマートフォンでブランド物の財布や時計を眺めては、その値段に溜息をついてしまう。暁人に甘いKKのことだ、きっと何を贈ったって喜んでくれるに違いない。だけど彼の年齢を考えれば、あまりにも安っぽいものは似合わないだろう。かといって暁人の財布には厳しすぎる額だ。確かにKKと共にアジトのメンバーとしてバイトするようになってから以前よりも懐具合は楽になったが……目下暁人は学生なのでなかなか苦しい。
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    takeke_919

    DONE #毎月25日はK暁デー
    素敵タグにギリギリ間に合いました💦
    お題は「おはよう」
    Kは成仏したのではなく、暁の中で眠りに付いたという説を添えて。
    毛色の違う話が書きたいなぁと思い至ったまでは良いものの、毎度のことながらお題に添えているかは迷走してます🤣
    目醒めの言の葉 東京の街を覆っていた濃く暗い霧は晴れ、東の空からは眩い光を放つ日輪が顔を覗かせている。

     幾重にも連立する朱鳥居を潜り、石燈籠の淡く揺らめく灯りに照らされた石階段を登る暁人の胸中には全てを終わらせた事による達成感と、追い求めた者を失ってしまった喪失感。そして、自身の中に宿る男への寂寥感が入り混じっていた。男の悲願は達成され、その魂が刻一刻と眠りに就こうとしているのを肌身に感じる。

     本当に独りぼっちになってしまう。

     そうは思うものの、妹に、両親に誓った。泣いても、みっともなくても生きていくのだと。次に会うのは、最後の最後まで生き抜いた、その後なのだと。

     一歩一歩、階段を登る最中にKKから彼の妻子に向けての言伝を預かった。『最後まで、あきらめずに生き抜いた』と、そう語られた言葉は、彼の想いが沢山、たくさん詰まった大切なモノだ。何があっても絶対に伝えなくてはと、しかと心に刻み込んだ。
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