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    nachi_osora

    @nachi_osora

    GW:T、K暁にゴロゴロしてる。書くのはほぼ固定、読むのは雑食。だいたいけけ受肉してるしアジトメンバー全員わちゃわちゃしています。

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    nachi_osora

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    神様になったあきとくんのお話。
    けあきというよりK←暁。
    あらゆる平行世界のけけを幸せにしたくて、今日もあきとくんはがんばってる。

    #K暁

    曉の旅路 般若を倒し、妹を見送り、相棒の安らかな眠りを祈って現実世界に帰ってみれば――《おめでとうございます、伊月暁人さん。あなたは神になりました》なんてよくわからない声に淡々と告げられたら。はぁ? と言うしかないでしょ。僕悪くないって絶対。
     渋谷というか、この世界の理を救った偉業をたたえて神の一柱となりました、とか言われても。僕は僕のままで何か変わったようには思えないし、救ったというならそれはKKのおかげだろうし(事実僕は最初バイク事故で死にかけてた)。
     神って何が出来るのか問いかければ《理にふれないならばわりとなんでも》と言うから、じゃあKKを助けたいと願えば《この世界の彼の運命はすでに決してしまったので理上無理です》と返ってきてイラッとする。さらに「僕と彼の立場を入れ替えるのも?」《無理です》という。めんどくさいな理。というか、それなら結局神様になったって僕の願いは叶わないじゃないか。
     そこでふっと気づく。さっき「この世界」って言ったな、このAIスピーカーもどき。
    「別の世界のKKならまだ大丈夫ってこと?」
    《運命が決する前にあなた自身が介入するという事なら可能です》
     助けられる、の定義が不明なので明言は出来ませんが。というセリフに少しだけ希望が見えてきた。
     助けるなんておこがましいかもしれない。僕はただ、またあの人に会いたいだけかもしれない。それでもあの優しくて不器用な人が、報われてほしい、幸せになって欲しいんだ――例えそれが、僕の相棒でなくたって。
    《世界は無数に存在し、うっすら重なり続けて終わりは見えません。そのすべてに介入するおつもりですか? ……それは無限地獄のようなものですよ》
     感情の薄い声に少しだけ心配のようなものがのる。意外だな。でも僕の決意は変わらない。
    「それでもいい。色んな世界のKKに会いに行くよ」


     それからずっと僕は旅をしている。世界を渡り、その世界のKKを見つけて、どうしたらこの世界の彼が幸せになるだろうかと考える。
     神の力が不安定なのか、それとも仕様なのか、とりあえず8月22日より前には降り立てるけど、どのくらい前になるかは完全にランダムだ。なので最初にその世界の状態を把握するのが重要ともいえる。
     一番最初に渡った世界はKKが般若と対峙する直前で、どうにか彼の死を避けることには成功したけど事件自体は起こってしまった。でも突然現れた能力者(僕)を死ぬほど怪しむ彼をどうにか納得させて共闘することが出来た。相棒と呼ばれることは最後までなかったけど、生身の彼を見れて事件も解決できたから、上出来な部類だろう。さい先が良いと気分良くなったものだ。

     そこからは色々。途中で気づいたけど、エーテルが使えるだけでなくって死ねなくなってるっぽい。そういや神様だもんな。
     そのせいでKKに敵だと勘違いされたこともあったっけ。その時は誤解を解く時間も惜しくて、もういいやと全力で動いてKKより先に般若を倒した。全身血だらけで、それでも生きてる僕を見たKKの方が死にそうな顔色してて、「気持ち悪いだろ。ごめんね」って言ったら顔を歪めてた。
     あの世界はちょっと失敗だったかも。優しいKKにいらないトラウマ植え付けたかもしれない。

     般若自体が存在してない世界もあった。KKは警察をやめてなくて、でもなぜか目覚めかけのエーテル能力に苦しんで、そのせいで家族ともうまくいかなくなりかけてた。
     なので偶然を装ってKKに接触して、僕がエーテルの扱い方を教えてあげた。あの夜と逆で、ちょっと面白かったな。
     あとは僕が天涯孤独なことをごり押しして、家族がいるならちゃんと気持ちを伝えなきゃだめだよって言えば、苦虫を噛み潰したような顔して「オマエ年下のくせに説教かよ」って文句をつけるから「でもあんたの師匠でもあるよ?」って返してやれば「クッソ生意気なガキめ」って僕の髪の毛をかき回して「わーったよ」言った。
     僕のアドバイスは案外うまくいったらしく、その後のKKはきちんと家に帰るように努力するようになったし、その薬指から指輪が消えることもなかった。幸せそうに息子さんの話をするKKに、僕の仕事はこれで終わったなと満足してその世界に別れを告げた。


     僕が神になったことで、あらゆる世界で『伊月暁人』という存在は消えているようだった。ある意味都合がいい。僕が二人いるとめんどくさいことになりそうだし。
     だからきっと、僕がその世界を旅立つと残るのは生き残ったKKだけで、それが僕がいた証になるんだろう。KKは僕のこと覚えててくれてるのかな。世界を渡ってしまうとその辺の細かいことがわからない。
     覚えてないならそれでもいい。ただ幸せでいてよKK。僕を救ってくれた僕の大事な人。どの世界のKKも優しくて不器用な困った人だった。
     たくさんのあんたに会った。その思い出だけで、僕は生きていけるんだ。

     ――今日も僕は、はじめましてのKKに会いに行く。
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    nachi_osora

    DONE素敵企画『K暁小説プロット交換企画』に参加させていただきました。企画してくださったサブ様(@subaccount3210)には大感謝です!
    いただきましたプロットはサブさんのものでした!
    素敵プロットはこちら
    https://x.com/subaccount3210/status/189562569526

    とんでもない夢を見てしまって頭を抱えるあきとくんお話。
    R15程度ではあるかもしれない。
    夢に堕ちて、夜の淵 ――とんでもない夢を見てしまった。

     目が覚めた瞬間がばりと跳ね上がるように起き上がると、暁人は勢いよく布団をはねのけ己の下半身を確認してしまう。――異常なし、だ。思わず顔を覆って地の底よりも深いため息をつく。それは安堵のものであり、当惑のものでもあり、自己嫌悪からのものでもある。
    「なんで、あんな夢……」
     夢に出てきたのは年の離れた相棒――KKと呼ばれる男だ。あの夏の夜に(強制的ではあったが)体を共有し、共に戦い、事件を無事に解決へと導いたのはまだ記憶に新しい。そのまま別れることを覚悟していたのに、どういうわけか彼を含め事件の関係者(般若除く)は無事に己の体を取り戻して甦った。
     あれから凛子とエドの熱心な勧誘により暁人もアジトのメンバーとして過ごしている。だが当たり前にKKと別々の体になった現状では、相棒とは言いつつも師と弟子のような関係になっていた。KKというバフがなくなった暁人は筋が良いと褒められはするもののあの夜に比べれば弱体化は否めないし、そして年上との経験値の差というものは一朝一夕で埋まるものでもない。KKという男は一人でそれだけの場数を踏んできたのだ。
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