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    ▼随分前に書いてはいたけどなんとなく納得いかなかった諏訪さんと影浦くん▼『絡新婦の理』(著・京極夏彦)の一部ネタバレを含みます▼そんな描写で大丈夫か?って感じのいつもの捏造▼時間軸は本編以前▼影浦くん誕生日おめでとう🎉

    #ワールドトリガー
    worldTrigger
    #影浦雅人
    masatoKagura

    【WT】てんごくとじごく 諏訪には以前から気になっていたことがある。ただし内容が内容なだけにうまく質問できる気がしなくて、結局訊きそびれたまま月日だけがいつの間にか経っていた。そのチャンスが巡ってきたのは、本当に偶然。たまたま通りがかった自販機の前に影浦が立っていて、たまたま周囲に彼を刺激するようなひと気が全くなくて。そして最近出たコミカライズに触発されて原作を再読したことで、かつて抱いた疑問をたまたま思い出したばかりだったのだ。
     何を買うか迷っているのか、自販機を眺めていた影浦がスッと視線を此方に寄越す。声をかけずとも気づく彼に今更驚くこともない。まだだいぶ離れた場所から諏訪は「よう」と片手を上げて挨拶をした。
     影浦は一見不良のような少年だが、実家が客商売をやっているためかこれで意外と礼儀正しい。今も「ども」と軽く会釈を返してきた。
    「なに飲みてーんだ? 奢ってやるぜ」
     隣に並びながら財布を取り出す。影浦は気前の良い諏訪の提案に訝しげに目を細めながらも「これ」とペットボトルのコーラを指した。数あるラインナップの中からそれなりの値段を即座に選ぶ影浦に、遠慮なしだなと苦笑しながら小銭を入れる。
    「で、俺に何か用っすか」
    「バレてたか」
    「さっきから鬱陶しいんだよ」
     眉を顰めてうなじを撫でる影浦に「別に用ってほどのもんでもないんだけどな」と言いながら自身にも缶コーヒーを買って辺りを見回す。できればひと目を避けて話したかった。
     そんな諏訪の意図を察したのか、影浦が先んじて歩きだす。人の多いラウンジとは逆へと向かった先に、小さな休憩ブースがあった。灰皿も設置されていて、ありがたく胸ポケットから箱を取り出す。振って見せればコーラを飲んでいた影浦は構わないと言うように頷いたので、さっそく一本咥えて火をつけた。深々と一服して、ようやく口を開く。
    「お前のサイドエフェクトについてなんだけどよ」
     ボーダー内で箝口令が敷かれているわけではないが、この話題をおおっぴらにするのは基本的にタブーとされている。けれど幾度も一緒に任務をこなした仲だし、諏訪は影浦よりも古参の隊員だったこともあって、早くから彼が未知の万能物質トリオンによる副作用持ちであることを知っていた。
     曰く、自身に向けられた意識や感情が肌に刺さる感覚がするのだという。おかげで殺気も敵意もお見通しの影浦には死角から銃口を向けても滅多に当たらず、逆に此方の隙をついて変幻自在なスコーピオンで斬り込んでくる、味方としては頼もしい限りだが敵にまわすとかなり手を焼く相手だった。一体どこで身につけたのやら、指折りの反射神経と迅の作ったスコーピオンを操るセンスも持ち合わせ、攻撃手上位に食い込んでいる強豪だ。けれどその副作用の影響で、度々罰則を受けている影浦は問題児としての素行の悪さの方が目立っていた。
     サイドエフェクトの単語を出した瞬間、低く唸る影浦に苦笑する。
    「そんなに警戒すんなって」
    「あんたがその話を振ってくるからだよ。そういうの、突っ込んで聞くタイプじゃねえだろ」
    「まあ、そうなんだけどな」
     誰にだって踏み込まれたくないものはある。別に傷つけたいわけじゃねえんだが、と諏訪はうまく言葉にできないもどかしさに頰を掻いた。
    「ちょっと気になってたことがあるだけだ。嫌なら無理して答えてくれなくていいぜ」
     ようやく奢られた理由に合点がいったのだろう。ペットボトルの蓋を苛立たしそうに弄りながらも「話聞くくれーなら」と影浦は頷いた。
    「さんきゅ。お前さ……」
     口を開いて、一瞬躊躇ってから閉じる。途端に目の前の影浦が険しい顔をした。感情のなにもかもがわかってしまうからこそ、隠し事をされるのが嫌いな影浦だ。とっさの逡巡を経て、諏訪が結局選んだのは考えていたものとは全く違う言葉だった。
    「楽しいか?」
    「はあ?」
    「いや……どう思ってるのかなって気になって。ボーダーで過ごすの」
    「なんなんだよ、突然」
     構えていた話題から逸れてあまりにも当たり障りのないことを聞くものだから、拍子抜けしたらしい。キョトンと瞬く影浦に繰り返す。
    「言い方が悪かったか。ボーダー、楽しいか?」
    「質問変わってねえじゃねーか。つーか、じゃなきゃいつまでもいねーよ。それよりなんだよ、訊きてーの、そんなんじゃねえだろ」
    「訊いたところで俺じゃわからねえだろうし、やっぱいいわ」
    「そういうの逆に気に食わねえって知ってるだろ」
     なんなんだよ一体、と苛立たしそうに首元を掻く影浦に悪かった、と諏訪は両手を広げて言い訳をする。
    「昔読んだ小説に、お前に似た奴が出てきたんだ。それだけ」
     とある出来事をきっかけにいつも誰かに見られてるような心地がして、生きにくそうで、挙句の果てに――それを目の前の子供に告げるのはなんとなく憚られた。なにが刺さったのやら、影浦はガシガシと頭を掻くと、諏訪がそれ以上言う気がないのを悟ったのかため息を吐いた。
    「前から時々ごちゃごちゃ考えてたの、そいつのせいか」
    「気づいてたか。お前が突っかかってこねえのも珍しいな」
    「別にムカつく刺さり方じゃなかったし、言いたくねーなら無理に腹ァ割らせる必要もねえかと思って。諏訪さんならいつか聞いてくるだろうと思ってたし」
     けどまあ、結局吐くつもりはねーんだろ。そう言って影浦は立ち上がった。
    「コーラごちそうさん」
    「おう。付き合わせて悪かったな」
    「別に。これくらいならかえって儲けたぜ」
     ぷらぷらと手を振って去っていく。その背を見送ってから、諏訪はソファの背もたれに身体を預けて天井を見上げた。ため息にのせて吐き出した白い煙がゆらりと揺らめく。天井に届く前に宙に掻き消えていくそれを眺めながら、あの分厚い小説の記憶を手繰り寄せた。
     アレルギーをそうと知らないまま、肌が敏感に反応する感覚を過去の出来事と重ねた男はしょっちゅう『人に見られている』と錯覚し、やがて追い詰められた挙句人殺しに手を染めた。
     ――影浦の世界ってやつは、ああいう感覚に近いのだろうか。
     秋の宵にページを繰っていた諏訪の脳裏を過ぎったのはそんな感想だった。
     どんなに想像力を働かせても諏訪にはサイドエフェクト持ちが過ごすのはどんな世界か、真に理解することはない。風間のようにボーダーの技術で戦術的に共有することはできるが、それはあくまでこちら側に都合が良い一時的なものでしかないのだ。
     諏訪はボーダーに来る前の影浦を知らない。けれど以前ランク戦のログで何もかもを避けて戦う影浦を目にしたとき、コイツはこんな風に笑うのかと唐突に驚いた。
     ゴーグルをつけていつも胡乱な笑みを浮かべる男を思い出す。あまり姿を見せない黒髪の少年や、風間隊の猫目の少年も。最近荒船が連れていた少年もそうだと聞く。
     ――爽快な青空の下に広がる荒廃した街を覚えている。あの日の光景を二度と見ないためにボーダーはあるし、諏訪もそのためを考えて此処に居た。けれど同時に、年下の彼らのためにもボーダーがあってよかったと思う。少なくとも自分に起こっている現象が何なのか、わけのわからないまま一人きりで抱え込んで苦しみ続けるよりは、多分ずっとマシだろう。
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    REHABILI▼春高後〜卒業のあいだに関係が変化する(予定)東西の話の書きかけ冒頭(予定)▼ディープなキスをしているだけ▼描写が下手
    無題 ――うわ、すげえ。
     それが西谷夕17歳、生まれて初めてのキスに対する最初の感想。いや、最初とはいえねえか。はじめは触っちゃいけないと言われているモノにビクビクしながら触ってはバッと離れていく指先のように、一瞬くっついてはすぐに離れるキスともいえない唇同士の接触を繰り返すこと数回。俺の方が小っ恥ずかしさに耐えきれず「もっとガッと来てくださいよ、ガッと! アンタならできるでしょ!」と胸ぐら摑んで叫んだら、旭さんは広い手を俺の肩に置いて、緊張してたんだろうな、節分の鬼のお面みたいなツラで「い、いくからね……」と言って、たっぷり10秒は経ってからやっと顔を寄せてきた。
     乾いた唇を今度は強く押しつけられて、さらに何秒か経つ。で、この後ってどうするんだ? 濡れた何かがちろちろと俺の唇をなぞるように撫でている。キス初心者の俺もそれなりに緊張して、それなりに固くなっていたらしい。いつのまにか旭さんの手は俺のうなじに触れていて、それが少し擽ったくて、思わず唇を緩めたその瞬間、俺は旭さんが先ほどまでの旭さんじゃなくなっていることを悟った。 
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    MAIKING▼世界弾丸ツアー中の付き合ってない東西に起こるハプニングの序盤▼いい竿(30)の日らしいので東峰さんちの息子(ダブルミーニング)をたたえたくて書きかけのネタから突貫工事▼この後R18になる予定▼名前のあるモブが喋ってそこそこ出張ります
    【HQ】解放(仮) ――タダほど怖いものはない。それは、己や周囲の安全を守るためにも大事な教訓だ。ともあれ東峰がそんな反省を抱いたときにはすでに、事は取り返しがつかないところまで進み、そして果てた後だった。


     その夜、東峰と西谷は宿泊二日目のホテルを出て近場のダンスバーに入っていた。夜の熱気が狭い店内に充満して、大人しく座っていても肌にじんわりと汗が滲む。東峰はひとり、カウンター席で水パイプを嗜みながら階下で踊る人の群れをぼんやりと眺めていた。そこへ喧騒をかき分けて陽気な英語が響くと同時に親しげに肩を叩かれる。
    「やあ、アサヒ! 君のハニーはどうしたんだい?」
     振り返るとくるりと跳ねる焦茶色の髪に同じ色の瞳を輝かせ、健康的な褐色の肌をネオンに彩られながら見覚えのある男が立っていた。同じホテルの宿泊客で昨晩夕食をとった店で偶然居合わせ意気投合、その後パブまで同行し親睦を深めたスペイン人のアルベルト……だったはずだ。
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