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    ltochiri

    二次創作いろいろ

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    ltochiri

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    あんずさん視点の斑あんです。解釈ちがいだなと思いつつデートしてるふたりが見たくて書きました。

    ##小説
    ##斑あん

    買いかぶりでも嬉しかったのに 出がけに寄ったレトロな喫茶店。そろって同じ産地のコーヒーを頼んだ。
     ソファ席で向かい合って座り、サービスで出されたお菓子といっしょに少しずついただいた。
     他愛のない天気の話題から他のアイドルの近況について、話していたらあっという間に時間が過ぎていく。

     最後の一口を飲んでカップをソーサーに置く。ふいにかっこいいなと思ったのは、じっと見つめられていることに気づいたからだった。
     顔を見つめ返しているのだから当然そう思う。三毛縞先輩はアイドルだし端正な顔立ちをしている。わたしには少し眩しいくらい。
     すると彼はおもむろに口を開くと真顔でこう言った。

    「かわいい」

     途端に全身が跳ね上がった。ドキッとしたのか心臓がバクバクしているし、頭が沸騰したみたいに何も考えられない。思ったことがそのまま口から出てしまう。

    「ど、どうしたんですか!どこに行ったんですか、いつもの勢いは!」
    「顔が真っ赤だぞお」

     指摘されて思わず頬を両手で挟む。その声は茶化すみたいでいつもと同じ。少し安心したけれど、それはそれとして質問には答えてほしい。

    「そ、そんなことないですもん!」

     口調がおかしなことになってるのは引け目を感じでいるせいかしら。こんなかっこいい人の近くにいられて幸せだなって。
     混乱するわたしをよそに、三毛縞先輩はいつものあたたかな笑みを浮かべながら、立ち去り際にこう言った。

    「そのポーズもかわいい」
    「ムンクの叫びが!?」

     気が済んだのかその背中はルンルンと弾むようだ。

    「いったいなにを……あっ」

     テーブルに視線を落としてようやく伝票がないことに気がついた。
     割り勘にさせないつもりで人を誑かすようなことを言ったのか。だとしたらめちゃくちゃ悪い男だ。
     腹を立てているうちに支払いは完了してしまったらしくセルフレジが軽快な音を立てる。キャッシュレスの取り扱いがあることを把握していたんだろう、動きがかなりスムーズだった。

    「待って!」

     趣のあるベルが鳴る。閉まりかけるドアを片手でおさえながら足を一歩外に出すと三毛縞先輩が振り向いた。
     今に見てなさい。絶対かっこいいって言ってドキッとさせてやる、それも正々堂々と。そう心に決めながら、必死でついていった。
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    ろじーにゃ

    MOURNINGけっこう前の英あん。続き書かないけどなんかもったいないから供養
    英智くん長期戦のチェスみたいにじわじわあんずちゃんを絡めとる感じがすきだな〜ってのと、あんずちゃん何気にちゃんと気づいてるよね〜っていう。英智くん絶対ズ!の時から権力行使してお茶会してるよね!英あんの不思議な距離感すき
    「あんずちゃん」



    ESビルの廊下を歩いていると、ふいに背後から”あの人”の声がした。反射で振り返れば、天祥院先輩がいつものように品のある柔らかい笑みをうかべてこちらへと近寄ってきた。気のせいか、かすかに穏やかな春の匂いがして、久しぶりに会う先輩の顔色が良さそうだった。...うん、すこし安心した。

    「こんにちは、天祥院先輩。何かご用でしょうか?」
    「こんにちは、あんずちゃん。今は急ぎの用事はあるかい?もし時間があれば、お茶に付き合ってくれないかな」

    小首をかしげて私に尋ねる先輩は、少しいたずらっぽくてあどけない。以前は学院でよく見せてくれていた表情だけれど、今ではあまり見ることがない気がする。生徒会長よりも大きな立場に就いているからだと思う。

    「春の紅茶と苺のミルフィーユを用意したんだ。マカロンもあるよ」

    私を誘うように先輩が告げたラインナップに心がときめいた。先輩が用意してくれる紅茶とスイーツは感動するほど美味しくて大好きだから、ついつい頬がゆるんでしまう。そんな私の様子を見て、先輩がくすりと微笑んだ。...すこし恥ずかしい。

    「ちょうど1時間ほど余裕があるので、ぜひお 1931