Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    serisawa

    ふるやさんとしほちゃんがSUKIです

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 26

    serisawa

    ☆quiet follow

    シェリキスワンライ、「口づけ」テーマで。
    テーマ消化できたかどうかかなり怪しいのですが、賑やかしで!
    開催おめでとうございます&ありがとうございました!

    #降志
    would-be

    sweet medicine ふ、と。
     意識が浮上した。
     まだ眠っていたいという怠惰な欲に逆らって、寝ぼけ眼をこじ開けたのは、近くで聞こえた囁き声のせいだ。

    「……こら、静かに。まだ早いだろう」

     ぶんぶんと尻尾を振る音。ハッハッと期待の息遣い。
    「散歩はこの雨が止んでから。予報では午後だよ」
     諭すような声音。
     ついさっきまで息を弾ませていた鳴き声が、途端にきゅん、と寂しげなものに変わる。
     ようやく焦点が合った眼前の光景。
     自分と同じようにまだ寝台上の人でありながらも、腹に乗った愛犬の首を撫でる男の姿。
     彼の愛犬は彼の腹の上でしゅんとしょげて耳を垂らしている。その顔があまりにも可愛らしくてクスリと笑みを零すと、隣の彼と目が合った。

    「ごめん、起こしたな」
    「ううん。……雨?」
    「ああ。結構降ってる」

     言われて耳を澄ませば、何故今の今まで気付かなかったのかというほど、ざあざあと強い雨音が響いていた。
     時刻は早朝。太陽は休日を決め込んでいるらしい朝の空は薄暗く、カーテンの隙間から零れ落ちる日差しは姿を潜めたままだ。
    「いつ、帰ってきたの?」
    「一時過ぎだったかな」
     どんな時間に帰宅しようと、熟睡している彼女のベッドに潜り込もうと、彼の自由だ。
     けれども―――
    「声、かけてくれてもよかったのに」
    「そう? 起こす方が悪いかと思った。なら今度からは一声かけるよ」
    「うん……」
     そっと、手を伸ばす。
     雨の朝、常夜灯の橙の色を受ける蜂蜜色の髪に指を通し、さらさらと掬い零して。

    「おかえりなさい、零さん」


     それはそれは、幸せそうに微笑んだ妻――志保の姿に、降谷はただいまの言葉さえ発さず、その唇を己のそれで塞いでしまう。
    「や、今、あさ…」
    「ん、ほら、疲れて、帰ってきたんだし、ね?」
     薬がほしい、と囁いて再度、問答無用の口づけ。
    「もう……ん…」
     ぎしり、と手をついて、彼女をベッドに縫い留めるように覆いかぶされば、志保は恥じらいながらも抵抗せず、少しばかり期待を込めた上目遣いが降谷を捉えた。
     縫い留めたのはこちらなのに、縫い留められたような感覚。
     衝動のままに再度、口づけようとした、その時。

     わんっ!と、元気な鳴き声と衝動が、乱入した。

    「きゃっ」
    「っと、こら、ハロ!」
    「やっ、もう、くすぐったいわ。こーらっ」

     二人の間に割り込んで、僕も仲間に入れてよと言わんばかりにペロペロと唇を舐めてくるハロに、志保はケラケラと笑出した。
     尻尾をぶんぶんと振る無邪気さに充てられて、先ほどまでのしっとりとした空気があっという間に霧散してしまう。

    「……まったく、もう」

     ソレは本当は俺のものだぞ、なんて毒を零すのは、流石に子どもじみている。
     頭をぽりぽりと搔きながら起き上がった主人など目にも見えていないかのような愛犬に、思わずジト目を向けてしまうことくらいは許してほしい。
    「ほら、もう。わかった、起きるわ。雨が止んだら散歩に行きましょ」
     降谷のぼやきなど聞こえないというように愛犬と戯れる彼女の、輝かしいまでの笑顔。

    「ね?」

     くるりと自分へと注がれた瞳に、悪戯げに弧を描く唇。
     ああ、こんなのも悪くないな、なんて。

     ―――君の笑顔は、何よりの特効薬。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖👏😍💖👏💖🙏☺💖💖❤👏😭😍💞💞💞💞💖💖💖😍😭💖👏☺💖😍😍💖💞💞❤💖💖💖❤☺💯💯💯💖❤💖💖❤💞💖❤💘💞💖💘❤❤💖☺💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    serisawa

    DOODLE2023.12.17にダズンローズフェス内で開催された降志オンリー、
    「零時の闇に星や降る」の参加レポートです。
    というか、参加までの道のりです。
    まあまあ内輪向けなので、ご興味がある方のみどうぞ~。
    2023.12.17れいやみに参加して■発足〜参加確定までの話

     全ては昨年12月、僭越ながら主催させていただいた降志WEBオンリーイベントの翌日、突発アフタースペースを開いたことから始まった。
    「新刊カード50枚集め、募ってみませんか?」と、スペースをご一緒していた某amrさんが提案してくれたのである。
     赤ブー主催で新刊カード50枚集めるとカプオンリーを開いてもらえることは知っていたが、50枚なんて夢のまた夢…と思っていた(でも「もしも」のために新刊カードはきっちり保管していた。えらいぞわたし)

     次の投票っていつなの?今ここにいる人は何枚カード持ってるの?と、スペースそっちのけで調べ始め、なんと翌月1月のインテが投票日だということが判明。しかもそのスペース参加者の内2名はインテ参加組!やれるだけやってみよう!と正式に募集を募り…するとどうでしょう。みるみるうちに挙手の手が上がる。他ジャンルの友人に声をかけてくれた方もいらっしゃいました。ありがたや…。
    7437

    related works

    recommended works

    黒護にゃちょこ

    MAIKINGかきかけの降志小説から抜粋解毒薬が無事必要在るべきところに渡った後は、私は恐らく然るべき処分を受けるだろう。そうなる前に、母からのテープを最初から最後まで聞かなければと思い、部屋で一人、ベッドに横たわりながらカセットのスイッチを付けた。

    古ぼけた音が途切れ途切れに響き渡る。このテープは、そろそろ限界なのだ。眼を瞑りながら母の音にひたすら集中すると、この世とあの世が繋がる感覚に陥る。途切れる度に現実に押し戻されるので、まるで「こちら側にくるにはまだ早いわよ」と言われているようだ。音の海に流されていると、ふと「れいくん」という単語に意識が覚醒させられた。

    「れいくん」

    その名を自分でも呼んでみる。誰だろう。巻き戻して再度テープの擦る音を聴くと、どうやら母に懐く近所の子どもらしかった。

    「将来は貴女や、日本を護る正義のヒーローになるって言ってたから…もしかしたら、もしかするとかもしれないわね」

    もし、叶っていたら、その「れいくん」とやらは、警察官にでもなっているのかしら。…いえ、きっと、そんな昔の約束なんて…白鳥警部じゃあるまいし。それに、今更だわ。

    「もう決着は着いちゃったわよ…れいくん」

    あまりにも 676

    あんちゅ

    MAIKINGそしかい後、元の姿・宮野志保へと戻った灰原と、そんな彼女の隣りにいる降谷の話
    「君は、虹の素が何か知っているか?」


    タイトルは某アイドルのカップリング曲からお借りしてます。デビュー時から見守ってきたアイドルのユニット曲が宮野志保にしか聞こえなかったもので…。
    灰原哀には大切なものができたけれど、宮野志保は明美さんとの時間以外は空っぽの状態だろうなと。降志になる前の冒頭を少しだけ😌
    虹の素知らされた時にはすべてが終わっていた。

    「…そう。」

    小さく呟いたその一言が私が唯一抱いた感想だった。


    気づいてはいた。
    あの強大な組織を相手に、最終局面を迎えんとしていること。
    ずっと試作を続けてきた解毒剤の効果が3、4日は維持出来るようになったことに1人の少年が勘づいていること。
    そして、それを私に黙って持ち出していたこと。


    わかってはいた。
    彼らは例えその最後であろうと、私には何もしらせないこと。
    知らせないことで私を危険から遠ざけようとしていること。
    そうすることで私を守ろうとしていること。

    そして、
    それが彼らのやり方であること。





    組織との大規模な抗争が終わったことを告げたのは工藤だった。
    いつものように博士の家に我が物顔でやってきた彼はなんてことの無いようにさらりと告げたのだった。
    1529

    dc_eureka

    MOURNING灰原さんの日オンリー「口づけ」のワンライお題で書かせて頂いたけれど、
    コレジャナイ感がすごすぎて没にして、加筆修正して、持て余していたものを今更、供養致します。
    降谷さんのふの字も出てきませんが、降谷さん目線の降志です。
    n は、ここでは実験参加者数のことです。  Ω\ζ°)チーン
    n=2のささやかな実験計画 この歳になると、いや、何より職業上、他人のキスシーンを見ても、そうそう動揺することはない。実際、張り込み中に、濃厚な口付けを交わす対象者であったり、路地裏でキスどころでない行為をやらかしている対象者であったりを、幾らでも見てきた。最初こそどぎまぎしたりもしたけれど、最近では最早、日常茶飯事。どうということもない。――はず、だった。

     偶然目にしたカップルのキス。首に腕を回して、彼らは随分と夢中になっていた。思わずドキリとしてしまい、そんな自分に、驚いた。そうか、付き合い始めの彼女が隣にいる状況では、さすがの自分でも、気恥ずかしさを感じるのか。新しい自分を発見して、一人、心のうちで感心する。

     隣を歩くのは、赤毛頭の天才科学者。職場での彼女の評判は、クール、博識、毒舌、ヤバい…。畏敬を込めた、そんな言葉。案外かわいかったり、動物好きで優しかったりする一面もあるのだが、それは、自分が〔灰原哀〕だった頃を知っているからこそ思えること。確かに、科学者・宮野志保は、はっきり言って、時々怖い。
    3750