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    last_of_QED

    @last_of_QED

    ディスガイアを好むしがない愛マニア。執事閣下、閣下執事、ヴァルアルやCP無しの地獄話まで節操なく執筆します。デ初代〜7までプレイ済。
    最近ハマったコーヒートーク(ガラハイ)のお話しもちょびっと載せてます。

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    last_of_QED

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    閣下とリッヒが二言、三言、交わすだけ。
    ※診断メーカーより、「あなたさえいなければ」で始まり、「きっとそれを幸せって呼ぶんだね」で終わる物語を書きました。

    #ディスガイア4
    disgaea4

    今はまだ、ベターエンド【今はまだ、ベターエンド】



     あなたさえいなければ、プリニーどもの教育をすることなど生涯有り得なかったでしょう。部屋の外でまた、連鎖的な爆発音が響いている。物覚えの悪い魂を相手に教鞭を執るなんて、私の性に合わない仕事です。あなた様にだって似合っていない。安月給で割にも合わない。何より、プリニーは幾度注意してもヴァル様に馴れ馴れしい。

     そう、あなたさえいなければ。私は今も傭兵として自由気ままに魔界を彷徨い歩いていたに違いありません。少なくともじめじめと薄暗いこの地よりはいくらかマシな環境で、一人根無草をやっていたのだと思います。……誤解しないでください、これは恨み節などではないのですから。

    「ヴァル様、そろそろお時間です」

     四百年前、血を絶ってから少しして閣下は仰いましたね。「俺はもうお前が忠誠を誓った暴君ではない。ついてくる必要はない」と。ええ、その通りです。私がかつて忠誠を誓ったのは、血染めの恐怖王。意固地になって血を断ちイワシばかりを食べる今のあなた様とは、見た目も魔力量も、明らかに別人です。……だのに、未だにそばでお仕えしている自分のことが自分でも良く分からなくなるのです。こんな辺鄙な地の底に云百年、まさか私が好き好んで居るとでも?

    「うむ、こんなところか」

     顔を上げた吸血鬼が執務机の上、書類の束をとんと隅に追いやった。席を立ち、伸びをひとつして当然のようにこちらへと背を向ける。主人の右の腕を、それから反対の腕を順に袖へと誘導してやり、ベルベットのコートを羽織らせる。コートに潜む眷属たちがキュイと声をあげて鳴いた。

    「ゆくぞ、フェンリッヒ」

     あの時はついてこなくて良いなんて突き放しておいて、どんな心境の変化でしょうか。数百年を共にしてようやくついてこいと言われるこちらの身にもなってほしいというものです。……私が途中で本当についてこなくなったら、どうするおつもりだったのです。誰があなた様にこうしてコートを着せるのですか。まさか、愚図なプリニーどもでは代用出来ますまい。

     我が主が地の底で生き生きとプリニー教育係の職務を全うしているだなんて、私からすればとんでもないバッドエンドです。
     それでもあなた様の在り様は、あの頃と何ら変わらず真っ直ぐで……どうしようもなく心惹かれる。つゆも変わらず尽くしたいと思えることが今、少し嬉しいのはどうしてでしょうか。

    「はい、ヴァルバトーゼ様」

     反射的に尾が揺れる。語尾が上がる。主人が主人なら、従者も従者だ。間違っても忠誠をひけらかすことはないけれど。惚れた弱みを晒すような真似はしないけれど。この人となら地獄の果てまでだって共に往こう、心のうちで自然とそう思えた。

    「なんだ、良いことでもあったのか?」

     見知った瞳が、こちらを振り返って穏やかに笑う。私にもあの頃と変わらず、胸に宿るものがございます。己が野望のため、現状に甘んじる気など更々ありません。今はまだ、それを叶えるための道半ばなのですから。

    「いいえ、何も」

     一言否定して、吸血鬼の先を行く。執務室の扉を開け放てば再びの爆発音がやかましい。やれやれと肩をすくめる主と目が合って、どちらからともなく靴先をその喧騒の方へと向けた。意識せずとも歩調は合うものだ。呆れながらも小走りする足取りを私は決してそうとは認めませんが、それでも場合によっては……きっと幸せって呼ぶんでしょうね。
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    last_of_QED

    DOODLEガラハイ🐺🦇【stand up!】
    お題「靴擦れ」で書きました。ハイドがストーカーに刺された過去を捏造しています(!?)のでご注意ください。

    ガラさんとハイドには、互いの痛みを和らげてくれる、一歩を踏み出すきっかけになってくれる…そんな関係にあってほしいです。
    【stand up】「ガラ、休憩だ」

     背後から名を呼ばれ、狼男は足を止めた。気配が背中まで迫って来るや否や、声の主はウンザリだとばかり、息を吐く。

    「休憩って……おれたち、さっきまでコーヒートークに居たんだよな?」

     両名は確かに五分前まで馴染みの喫茶店で寛いでいた。ガラハッドとゾボを頼み、バリスタ、それから偶然居合わせたジョルジと街の噂や騒動について会話を交わし別れたばかりだ。にも関わらず再び休憩を所望するこの友人をガラは訝しんだ。傾き始めた陽のせいかハイドの表情は翳り、どこか居心地が悪そうに見えた。

    「具合でも悪いのか?」
    「……ああ、もう一歩も歩けそうにない。助けてくれ」

     かつて、オークに集団で殴られようが、ストーカーに刺されようが、皮肉を吐いて飄々としていた男が今、明確に助けを求めている。数十年に及ぶ付き合いの中でも初めてのことで、ガラは咄嗟にスマートフォンに手を掛けた。「911」をコールしようとした時、その手を制止したのはあろうことかハイド自身だった。
    1434

    last_of_QED

    DONEガラハイ🐺🦇【As you wish, Mr.Hyde.】
    バレンタインのお話🍫Xにてupしたもの。記録用にこちらにも載せておきます✍️
    【As you wish, Mr.Hyde.】 今にも底の抜けそうな紙袋が二つ、どさりとフローリングに下ろされる。溢れんばかりの荷物、そして良く見知った来訪者を交互に見比べて人狼が尋ねた。

    「なんだこれ」
    「かわい子ちゃんたちからの贈り物だ。毎年この時期事務所に届く。……無碍にも出来ないからな、いくつかはこうして持ち帰るんだ」
    「マジかよ……これ全部か……?」

     愕然とする人狼を横目に、ハイドは手が痺れたと笑うだけだった。今日は二月十四日、いわゆるバレンタインデー。氏に言わせれば、これでも送られてきた段ボールの大半を事務所に置いてきたのだという。

    「さすがは天下のハイド様だ……」
    「まあ、悪い気はしない」

     ソファに腰を下ろし、スリッパを蹴飛ばしてしまうと吸血鬼はくじ引きのように紙袋へと腕を突っ込んだ。無作為に取り出したファンレター。封を開き便箋を取り出すと、丁寧にしたためられた文字の列をなぞった。一通り目を通した後で再び腕が伸ばされる。次にハイドが掴み取ったのは厚みのある化粧箱だった。リボンを解けば、中には宝石にも見紛うチョコレートが敷き詰められていた。どれにしようかと迷う指先。気まぐれに選んだ一つを口の中に放り込んだ時、ガラがおもむろに通勤カバンを漁り始めた。
    1853

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    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

    last_of_QED

    DOODLEディスガイア4に今更ハマりました。フェンリッヒとヴァルバトーゼ閣下(フェンヴァル?執事閣下?界隈ではどう呼称しているのでしょうか)に気持ちが爆発したため、書き散らしました。【悪魔に愛はあるのか】


    口の中、歯の一本一本を舌でなぞる。舌と舌とを絡ませ、音を立てて吸ってやる。主人を、犯している?まさか。丁寧に、陶器に触れるようぬるり舌を這わせてゆく。舌先が鋭い犬歯にあたり、吸血鬼たる証に触れたようにも思えたが、この牙が人間の血を吸うことはもうないのだろう。その悲しいまでに頑なな意思が自分には変えようのないものだと思うと、歯痒く、虚しかった。

    律儀に瞼を閉じ口付けを受け入れているのは、我が主人、ヴァルバトーゼ様。暴君の名を魔界中に轟かせたそのお方だ。400年前の出来事をきっかけに魔力を失い姿形は少々退行してしまわれたが、誇り高い魂はあの頃のまま、その胸の杭のうちに秘められている。
    そんな主人と、執事として忠誠を誓った俺はいつからか、就寝前に「戯れ」るようになっていた。
    最初は眠る前の挨拶と称して手の甲に口付けを落とす程度のものであったはずだが、なし崩し的に唇と唇が触れ合うところまで漕ぎ着けた。そこまでは、我ながら惚れ惚れするほどのスピード感だったのだが。
    ……その「戯れ」がかれこれ幾月進展しないことには苦笑する他ない。月光の牙とまで呼ばれたこの俺が一体何を 3613