たった2文字◇◆──────────
カン、と軽快な音を立てて、ボールは遠く飛んでいく。これで三球目。あと十七球ある。九門がバットを振るうのを、俺はフェンス越しに眺めていた。
この全二十球が終わったら、寮に帰ることになっている。チャンスがあるとしたら、九門のバッティングが終わって、一緒に帰路について、寮に着くまでの間だ。
一体何から言えば。こういうことに関するボキャブラリーが少なすぎて、どうすればいいのかわからない。それでも今日言わない手はなかった。だって、もたもたしていたら取り返しがつかなくなる。
今日は、校門の前で九門を待っていた。別に約束はしていない。ただ、最近はタイミングが合えばなんとなく一緒に帰るようになっているから、九門を待つことはなんらおかしなことではないはずだった。本当は教室の前まで行って待とうかと思ったけれど、それはやめた。
2442