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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

    ☆yên lặng theo dõi Yell với Biểu tượng cảm xúc 🌠 🐣 🍩 💕
    POIPOI 286

    なりひさ

    ☆yên lặng theo dõi

    ⬜️🐜(⬜️記憶なし)🐜はあるきっかけで部屋に閉じ篭もるようになって…

    #死瘴

    幸せに名前なんてなかったから6 カーテンの隙間から洩れる光が、舞う埃を照らしている。その輝きから瘴奸は顔をそむけていた。顔を押しつけた枕からはすえた臭いがする。外から聞こえる車の走行音すら自分を責めるように響いた。
     瘴奸は少し目を開けてから、そのぼやけた視界すら忌々しく思った。今日も一日が始まってしまったという絶望だけが胸に広がる。何時間寝ても体は鉛のように重い。起きなければと思うのに、腕一本動かすことすら億劫だった。
     いつからこうしていたのか、もう覚えていない。最初の数日は少し休むだけと自分に言い訳していたが、事態が好転することはなかった。
     瘴奸がこうして起きられなくなることは、初めてではない。瘴奸はこれが起こるたびに絶望し、一緒に生活する貞宗たちに多大なる迷惑をかけてきた。最近は調子が良かったから、気を配ることを忘れていたのかもしれない。
     きっかけは些細なことだった。普段は持ち歩いている薬を、煙草のケースにライターと一緒に入れ、それを死蝋の家のベッド脇に置き忘れてしまった。
     それに気付いたのは家に帰ってからだった。パニックになるのをなんとか堪えようとしたが、浅くなる呼吸に足は震えた。急に視界が狭まったように感じて、吐き気を感じながらトイレまで這うように進んだが、辿り着く前に動けなくなった。
     異変に気付いた貞宗が家にあった薬を飲ませてくれたが、そこから瘴奸は部屋から出ることができなくなった。もう何日も布団の中で沈んでいる。前世の記憶が脈絡もなく浮かび上がって瘴奸を苛んだ。名前も忘れた集落の、赤々と燃え上がる火の煌めきさえ克明に思い浮かぶ。どこからか聞こえる啜り泣く声の頼りなさ。けたたましい叫び声。それらが途切れて訪れる一瞬の静寂。その心地良さ。それらが瘴奸に纏わりついて離れなかった。
     瘴奸はこの世から消えたいと縋るように祈った。この途方もない苦しみから解放されたい。瘴奸の光の失せた瞳から流れ落ちた涙は、何日も剃られていない髭へと染み込んでいった。
     すると控えめな足音が階段を登ってくるのが聞こえた。その足音は瘴奸の部屋の前で止まると、一呼吸置いてからドアを叩いた。食事を持ってきたのかもしれない。朝も同じようにドアが叩かれて、朝食だと言ってドアの前に置いていった。それに手をつけていないことが更に罪悪感を募らせる。
    「起きているか?」
     常興の声だった。常興がこの時間にいるということは、今日は日曜日なのかもしれない。
     瘴奸は布団から手を出した。布団の周りには空のペットボトルと薬の空きシートが散らばっている。スマートフォンはバイブレーションで震えていたが、見ることができなかった。通知はすべて未読のまま溜まっている。また職場から解雇されるだろうが、今は何も考えられなかった。
    「瘴奸」
     普段は厳しく響く常興の声が柔らかく聞こえた。それでも呼びかけに答えられない。もう放っておいてほしい。しかし常興が去る気配はなかった。
     少し間を置いてから常興は言った。
    「……死蝋がお前を訪ねてきた。会うか?」
     詰まった息が細い音を立てた。布団を跳ね除けると、そばにあった空のペットボトルが転がっていく。逃げるように後退りして頭を抱えた。
     するとドアが開く音がして、常興が部屋に入ってきた。常興は床に落ちているものを避けながら瘴奸の前まで来る。瘴奸は更に身を縮めた。
    「会いたくないなら追い返す。どうする」
     会えるはずがない。前世でさえ死蝋を不幸にした己が、今世で幸せに生きている死蝋に関わったのが間違いだった。これ以上は関わってはいけない。
    「無理です。会えない」
    「……そうか」
     すると階下から大きな物音がした。新三郎と貞宗が何やら止める声がして、死蝋の大きな声が響く。
    「だから、ちょっとでいいんで会わせてくださいって!」
     常興はため息をつくと瘴奸を見た。どうするのかと再三問われている気がして、瘴奸は迷いながらも小さく頷いた。貞宗たちにこれ以上の迷惑はかけられない。死蝋に不様な姿を見せたくはないが、この有様を見れば、もう来ることもないだろう。
     死蝋が前世を覚えていなくてよかった。今世でのことも、いずれ忘れるだろう。そして何もなかったように幸せを見つけてほしい。
     常興は階下へ降りていった。少ししてまた足音が近付いてくる。
     ドアが開く音とともに、眩しいほどの光が差し込んだ。その中に逆光の影が立ちすくんでいる。瘴奸は眩しさに目を細め、影を手庇で見つめた。
     死蝋は数秒の間、動きを止めていた。瘴奸の姿を見て言葉を失っている。髭も剃らず、風呂にも入っていないこの有様に驚きと不快さを感じているのだろう。
     死蝋は瘴奸に寄ってきたが、その足取りはほんのわずかに躊躇いがあった。死蝋は何も言わず、瘴奸の前に膝をついた。
    「……どうしたんだよ、何があったんすか」
     その声にはどこか無理をしている響きがあった。それを隠すように死蝋は咳払いをする。平静を装っているのは明らかだった。眉間がわずかに寄っていて、指先もどこかぎこちない。その仕草が死蝋の動揺を物語っていた。
     死蝋は目をそらすと、ポケットに手を突っ込んだ。そして煙草のケースを取り出して、瘴奸の手のひらにそっと乗せた。あの夜、死蝋の部屋に忘れてきたものだ。
    「中を見ちゃいました。大切なものだと思って持ってきたんすけど」
     死蝋はなんでもないように振る舞っていた。瘴奸は普段はお守りのように感じていた煙草の中の薬が、急に恥であるように思えた。
    「見損なっただろ」
     その問いに死蝋は固まった。一瞬だけ瘴奸を見たが、また目を逸らして首を横に振った。
    「……いや、全然。びっくりしただけっすよ」
     嘘だ。死蝋の動揺と戸惑いが痛いほど伝わってくる。顔に出すまいとしているその死蝋の優しさに、胸が苦しくなった。
     けれどもこの状態を説明など、できるはずがなかった。前世の記憶に押し潰されそうになったこと。取り返しのつかない過ちが頭の中で延々と繰り返されること。薬を忘れたことで、それらが一気に雪崩れ込んだこと。それを話したところで、死蝋には伝わらないし、伝えたくもなかった。そんなもので死蝋を縛りたくはない。だから早く去ってほしかった。
    「……あんたのこと、少ししか知らないから、よくわかんねえんだけどさ」
     視線をさまよわせながら、死蝋は首筋を手のひらで撫でていた。
    「あんたは今つらいんだろうし、俺にできることなんて、そんなにないかもしれないけど」
     死蝋はまるで捨てられても主人を追う子犬のような目をしていた。気丈に振る舞おうと、少しだけ笑おうとしている。そのぎこちなくて、でも確かに優しい笑い方に、覚えがあった。
     ふと目の前の死蝋が前世の死蝋の姿と重なった。拾った当初の死蝋は怯えるだけだった。それが少しずつ瘴奸のことも恐れなくなっていった。やがて瘴奸の隣に立って、そこが当然の居場所だというような顔をするようになった。そのいじらしいほどの健気さや生意気さが腹立たしくもあったが、どこか喜ぶ気持ちがあった。だから死蝋を傍に置き続けた。その献身を当然のように搾取しながら。
    「……あんたが嫌じゃないなら、俺はそばにいるから」
     どうしてお前は、いつだってこんな俺のそばにいようとしてくれるんだ。
     飲み込んだ言葉の代わりに、前世では届かなかった手を、今度こそ伸ばした。死蝋の身体を抱き寄せる。死蝋は驚いたように少し身を固くしたが、すぐに力を抜いて背に腕を回した。
     気づいていたはずだった。死蝋がどれほど大切だったのか。それを、また忘れかけていた。
     もう二度と手放さない。瘴奸は抱きしめる腕に、静かに力を込めた。
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